ハイスクールD×D 天馬の神器を持つ者   作:gbliht

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第四話 イッセーの失恋

彼――――雨天が教師としてやって来てから、二日が経過した。

 

未だに彼だという確信が得られないままだったが、一応彼とは仲良くしながら、探りを入れつつ学校生活をしている。

 

直接聞けばいいのかもしれないが、それでは彼にはぐらかされてしまい、真実かどうかの確信が得られない。なので、じわりじわりとこっそり探っているというわけ。

 

そんなある日の土曜日、イッセーに動きがあった。正確にいえば、堕天使の方なのだが。

 

「ほほう、なんとまあ、ロマンチックだこと」

 

電柱の側面に垂直にくっつきながら、イッセーのいる公園の一角を見る。

 

そこには、ベンチに座り、夕日をバックにしてロマンチックな雰囲気を醸し出している、イッセーと堕天使の姿があった。

 

そんなベンチに座っている二人の内一人、堕天使の方が立ち上がり、夕日をバックにして立ち上がる。

 

その姿は、幻想的な印象をイッセーに与えてるんだろうな~私的には、ちょっと気味悪く感じるけど。

 

……おっと、これはこれは、イッセーの奴、キスされると思っているのか、頬を緩ませて、立ち上がったぞ。

 

「でも、これはちょっとマズイですね」

 

電柱の側面から降りて、地面に着地し、霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)を発動しながら、イッセーのいる公園へ走っていく。

 

霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)の効果として、長距離の光景くらいは、まあ見れる。ただ、あんまり長距離を見ていると、目が痛くなるけども。

 

っと、やっばいなあ。堕天使の奴、とうとう本性晒して、翼なんか出し始めたよ。それだけならいいけど、光の槍まで出して、イッセーを殺そうとしてますよ。

 

「間に合うかな?」

 

本気で走ってはいるけども、なまじ距離がある為、間に合うかどうか分からない。

 

ちょっとした説明に入るが、霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)の副効果的なもので、その、なんて言うかこの瞳は、人の悪意とか善意とかそんな未知の誰しもが持っているオーラというものの機微を見て、嘘か見分けていた……ってのは、前に言いましたよね?

 

で、そのオーラって言うのは、実は肉体強化も出来たりもする。これは、彼――――天さんと共に旅している時に気づいたものだが、その見えてるのを応用して、自分のオーラを自己の強化に回せないかなと思ってやってみたら出来たわけ。

 

それと、自分のオーラを操れば、電柱だってなんだって貼り付けるられるんですよ? 勿論、電柱だけではなく、なんにだって貼り付くことだってできます。……これ、ちょっとしたお金稼ぎができるかも……。

 

まあ、それはいいとして、今はそのオーラってやつで足を強化して、自動車並の速度を出しているわけだけど……まっにあうかな~。

 

「あ、駄目だわ。間に合わない」

 

後一分……いや、三十秒あれば着いたけど、もうイッセーに光の槍が放たれていた。

 

こりゃあ、間に合わない。もう、光の槍が刺さったな……と、思ったら、意外な人物がその場に現れた。

 

「あれは……雨天さん?」

 

雨天さんは、光の槍がイッセーに刺さる直前に、素手で横から握り止めた。

 

「何をしている?」

 

「誰よ貴方!」

 

「この子の学校の教師だ。悪いが、俺の生徒に出だしはさせんぞ」

 

私が公園に到着すると同時に、雨天さんは握っていた光の槍を握り潰すと、イッセーの前に立ち、堕天使を睨みつける。

 

「っ!?」

 

光の槍が握りつぶされた事と、睨まれた事によって、堕天使は息を飲む。

 

その気持ちはわかる。雨天さんの睨みつけてくる瞳が、なんというか、その、一言で言うなら怖い。でも、懐かしすらもある。

 

昔っからあの瞳を、私は見ている。それも、ごく最近、そう、一年前まで。

 

……やっぱり、貴方なのですか、天さん。

 

「堕天使レイナーレ。一度のみ忠告する。この場を去れ」

 

「なにを……」

 

「去らんか!」

 

「ヒッ!」

 

「ッ!?」

 

雨天さんが大声で堕天使に一喝すると、大気が震え、周りの砂は舞い、木々はまるで台風のように揺れる。

 

迫力のありすぎる一喝に、堕天使は小さな悲鳴を上げると、自分で飛ぶことも忘れて、涙目になりながら走って逃げ始めた。……あ、転んだ……。

 

「う、雨天、先、生……」

 

呆然としているイッセーは、なんとか喉から声を搾り出すと、雨天さんに向かって手を伸ばした。

 

「せ、先生は一体……」

 

「すまんな」

 

「ッ!?」

 

イッセーの言葉が終わる前に、雨天さんは振り返りながら歩き、イッセーの首の後ろを手刀で叩き、気絶させた。

 

……動きが見えなかった。私が言ったのはあくまで結果であって、その過程は想像に過ぎない。

 

もしかした、雨天さんは他に腹を殴ったり、首筋を押さえて気絶させたりしたのかもしれないが、その全ての動きが見えなかった。

 

この動き、やっぱり天さんなの……? いや、天さん意外にこんな動きが出来るはずがない。

 

時が遅くなったような、早くなったような、言いようのないこの感覚。あの人の神器(セイクリッド・ギア)意外にありえないはず……

 

「銀華、後は頼む」

 

「え、あ……」

 

「じゃあな」

 

気絶したイッセーを放置し、隠れて雨天さんから見えていないはず私に、雨天さんは声を掛けてから、その場を去る。

 

何も言えずに、ただ見送る……はずだったのだが、いつの間にか雨天さんの姿が消えた。

 

見えていた……のにも関わらず、消えた。認識できなかった。そもそも、元からそこにいなかったような感覚さえ感じる。

 

「……雨天さん。貴方は一体、誰なのですか……」

 

小さな言葉を発すると同時に、イッセーの体から、リアス家特有の真っ赤な魔法陣が現れた。

 

 

 

「そろそろ、動き始めるわね」

 

自分の自室に篭もり、椅子に座って紅茶を飲みながら呟く。

 

誰もいない室内……のはずなのだけど、室内の一室に、薄らとした気配を感じる。

 

「あら、帰ってきてたの?」

 

「やだな~姉さん、気づいていたくせに」

 

室内の気配がドンドン大きくなり、紅茶を飲んでいる私の向かいに、紫色のポニーテールのスタイル抜群女性が椅子に座った。

 

「気づいてはいたけど、いつにもまして、気配が薄かったわよ」

 

「おお、褒められるとは、嬉しいですねぇ。あ、紅茶貰っていいすか?」

 

「はい」

 

「ども」

 

ティーポットとカップを渡し、自分で注ぐように渡す。

 

全く、主に注がせようとするなんて、とんだ眷属よね。まぁ、それが彼女の良いところなんだけどね。

 

彼女はカップに紅茶を注ぎ、角砂糖を五個も入れて、一気に飲み干す。

 

うわぁ、ちょっと流石にそれは引くわ~多すぎるでしょう、五個なんて。

 

「んぐ。ごちで~す」

 

「はいはい……それで?」

 

「と言いますと?」

 

とぼけたように彼女はそっぽを向くと、ニヤニヤとした笑いを口元に浮かべる。

 

「とぼけないでいいわよ。アレの状況よ、アレ」

 

「いやあ、なんにもないっすよ? まだ、堕天使の陣営にいるようですし。……ああ、でも、なんかあの組織と繋がってるとかないとか」

 

「ふ~ん、な~るほ~どね~。まだ動きはないか。つまんないわねえ。でも、いっか。今は、この街に面白いものがいっぱいあるしね」

 

笑を浮かべながら、目の前の彼女に向かいながら言う。彼女も私と同じように笑を浮かべる。

 

ふふふ、早く覚醒してくれないかしらねえ、赤龍帝君。家の『騎士(ナイト)』も楽しみにしてるし、私達も大いに楽しみにしてるし。

 

「ああ、早く覚醒して欲しいわね。赤龍帝君に白龍皇君」

 

「ええ、楽しみっすねえ。……それじゃあ、私はこの辺で、またなんかあったら報告しますわ」

 

「よろしく、『僧侶(ビショップ)』。メルト・コカトリス」

 

 

 

イッセーが気絶させれた次の日の放課後、私はリアスに部室へと呼び出されていた。

 

「失礼します」

 

「入って頂戴」

 

部室の扉を叩き、中に入ると、そこにはリアス一人だけがソファーに座って紅茶を飲んでいた。

 

一体、何の御用でしょうねぇ。相手の気持ちも無視して、勝手にイッセーを眷属にしたリアスさんは。

 

昨日、あの後、イッセーの元へと現れたリアスは、死んでいると思ったイッセーに、急いで眷属の駒、つまり、悪魔の駒の『兵士(ポーン)』の駒八個も使って、眷属悪魔にしたのだ。

 

けども、実はイッセーが死んでいなかったと気づいたリアスは、やばいって表情を浮かべて、あたふたしてたなぁ。

 

あの時の表情ったら……プッ。

 

「なに、笑っているのよ」

 

「いえいえ、なんでも」

 

必死に笑いを堪えながら、なんとかリアスの顔を見る。

 

「は~まぁいいわ」

 

リアスはため息を吐くと、私にソファーに座れと指で促してくる。その指に従い、リアスとは反対側のソファーに座ると、リアスは足を組んで息を吐いた。

 

「それで、なんで今日は呼んだの?」

 

「実は、イッセーをしばらく放置しておこうと思ってね」

 

……何を言ってるのだろうか、この馬鹿は。

 

いやいや、ダメでしょう。悪魔だって本人は知らないのに、それを放置しておくなんて。そんなことしたら、たちまち堕天使とか天使とか悪魔とかにはぐれ悪魔扱いされて、殺されてしまうよ。

 

はぐれ悪魔ってのは、簡単に説明すると、自分の主を殺したり、もしくは悪さをし続ける奴らの事を言う。そいつらは、どの陣営も問わずに殺していいことになっている。

 

「放置してたら、あの子死ぬよ?」

 

「そうかもしれないけど、でもね、自分で悪魔だって気づいて欲しいのよ」

 

「な~に言ってるん? あんさん馬鹿でっか?」

 

んなもん、一般人が気づくわけないがな。せいぜい、ちょっと身体能力が高くなったなあとか位しか思わないよ。

 

なんか、私の言葉でキョトンとしているリアスに、私はソファーにふんぞり返りながら話す。

 

「ん、んん……えっと、わからなかった? なら、もう一度言うけど、貴方は馬鹿ですか?」

 

「いやいやいやいや、二度も言わなくていいわよ! ちゃんと聞こえてわよ! それで、なんで私が馬鹿なのよ!」

 

「分からないのなら言ってやろう。まず一つ目、普通、そんな悪魔になったとかは、一般人は分からん。二つ目、そもそも、主も分からないのに放置していたら、はぐれ悪魔と間違われて殺されかねない。そして、三つ目、仮にもイッセーは一般人なので、どこの陣営に見つかっても、逃げきれずに即死です。以上、三つのことにより、お前は馬鹿かと言いたい」

 

ぐうの音も出ずに、リアスは黙ってしまった。

 

「ぐう……」

 

訂正、ぐうの音は出ました。

 

「で、でも……」

 

「そもそも、放置しておくメリットがゼロじゃない。なのに、それでなんで放置しておくの?」

 

「そ、それは……!」

 

「ほら、いわんこっちゃない」

 

リアスの何かを言いかけた時、私とリアスはちょっとした異変を感じた。それは、イッセーが現在、堕天使によって殺されかけているということ。

 

「い、行くわよ、銀華!」

 

「全く、世話の焼ける姉さんだ」

 

リアスが魔法陣を展開し、私とリアスはその魔法陣を介して、イッセーの元へと飛ぶのだった。

 




題名が思いつかない。
涙目レイナーレっていいと思いません?

感想、批判、アドバイス、誤字、お待ちしております。

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