ハイスクールD×D 天馬の神器を持つ者   作:gbliht

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第八話 約束時々はぐれ悪魔

「イッセーに駒の説明をしたい?」

 

「そう」

 

昨日イッセーが悪魔としての仕事を本格的に初め……られたのかは微妙ですが、まあ、初めた次の日。

 

結局昨日イッセーは、魔法陣から依頼人の元へジャンプ出来ず、いつものチラシ配りで使っている自電車で依頼人の所に向かった。

 

それと、イッセーは悪魔になったのは仕方のないことだから、折角なら上級悪魔になろう!と決意したりしましたね。

 

上級悪魔になり、自分の眷属を全て女の子にし、自分だけのハーレムを作る! というのが、決意の半分を占めてはましたけどね。

 

そんな昨日の事を思い出しながら、私が夜の部室でのんびりと紅茶を飲んでいると、リアスが部室に入ってきて、唐突にそんな事を言ってきた。

 

「別にすればいいじゃないですか」

 

「そうなのだけど、言葉でいっても分かりづらいでしょう? そこで、何かいい案でもないか銀華に聞いてみたのよ」

 

「いい案……ですか。そうですね、一番手っ取り早いのは、何かと戦って、駒の性質を直接イッセーに見せるのがいいんじゃないの?」

 

「うーん、それもいいのだけど、何と戦えばいいのよ?」

 

「そんなの知りませんよ。そこら辺は、自分で考えてください」

 

残っていた紅茶を全部飲み干し、横に置いていた鞄を持ってソファーから立ち上がる。

 

「ってことで、私は明日何かしますんで、ここら辺で家に帰りますね」

 

「何かって何するの? 予定ないなら、一緒に考えて頂戴よ」

 

「ああ……今予定を考えました。そんな訳で、さいなら~」

 

「あ、ちょっと銀華! もう……」

 

部室の扉を開け、そそくさと部室を後にする。

 

さて、明日の予定なんですが、雨天さんと一緒に出かけてみようと思います。

 

何故って? そりゃあ、あの人が天さんだっていう確証を得るためですよ!

 

昨日は、まあ、その……色々とありましたから、確証を得ることが出来なかったのでね。

 

そんなことはいいんですよ。それよりも、昨日雨天さんに接近して撫でられた時、私はなんて言いましたか? そう、雨天さんの事を天さんと無意識で言ったんですよ。

 

って事は、あの雨天さんを、私は無意識下で天さんだと認識したんですよ! これは、能力的に人を間違える事の無い私が、唯一間違えた事。

 

つまり、雨天さんの気は天さんに似すぎている、或いは本人の気の可能性が高い。まあ、泣いたせいで、感覚が鈍っていた可能性もありますけど。

 

「そんな訳で、ポチッと」

 

家に帰る道で、鞄から携帯を取り出し、ある所へ電話を掛ける。

 

「……う~ん、なかなか出ないですね。……あ、もしもし、ササンさんですか?」

 

「こんな時間にどうしたのかしら、銀華ちゃん」

 

電話を掛けて数十秒後。夜中の一時をとうに回ったというのに、電話先の相手は出てくれた。

 

ま、悪魔なので、この時間に起きていても問題ないのですが……う~ん、なんでしょうかね。電話先から、何かを煮込むような音が聞こえる。夜食でしょうか?

 

こんな時間に食べれば、お肌にも悪いですし太りますよ。……悪魔には関係ないのでしょうかね。

 

「あ、もしもし、急なんですが、明日って雨天さん暇ですか?」

 

「雨天? ……そうね、少し待って頂戴」

 

保留状態の軽快な音楽が鳴り、向こう側の声が一切聞こえなくなる。

 

「お待たせ」

 

「いえいえ、大丈夫です」

 

しばらく保留の音楽を聴いていると、ちょっと嬉しそうな声でササンが出てきた。

 

「でね、雨天は明日は暇だそうよ」

 

「そうですか……では、雨天さんに明日ショッピングに付き合ってくださいと言ってくれませんか?」

 

「OK 分かったわ。伝えておくわ……場所は」

 

「場所は……チッ。すみません、ササンさん。邪魔が入りました」

 

携帯を手に持ったまま、大きな道路の向こう側からやってくる、汚い気を放っているモノを見る。

 

黒いローブで長身の体を隠し、冬でもないのに口元から白い息を吐くモノ。

 

「ケケケ!! ウマソウナアニンゲンジャアナイカ」

 

人間とは思えない奇怪な声を上げると、目の前の黒ローブの体が大きく膨れ上がる。

 

「はぐれ悪魔ですか……良かったです。ここがあまり誰も通らない道路で」

 

はぐれ悪魔。まさか、こんな近場にこんな奴がいたなんて。まだこの街に入りたてだったのでしょうかね。

 

被害の初めてが私だったのなら、幸いです。なんせ、他に被害者を出さなくていいんですから。

 

「もしもし、銀華ちゃん。もしもし!」

 

持っていた携帯から、ササンの慌てたような声が聞こえる。おやおや、慌てているのでしたら、後で謝らないといけないですね。

 

鞄を電柱の近くに投げ、その鞄がクッションになるように、一緒に携帯も投げる。

 

「ケケケ!! クワレロニンゲン!!」

 

大きさは、民家一つ分位。両手には大きなカマキリのような鎌。足はムカデのような感じ。一言で表すなら、気色悪いです。

 

その民家一つ分ある巨体で、はぐれ悪魔は突っ込んでくる。速度はあまり早くない。ただ、迫力だけは凄まじいですけど。

 

両手に付いた鎌を、私に向かって大きく振るってくる。

 

「ったく、本当、この程度の相手は弱くていけませんね」

 

両足を気で強化し、はぐれ悪魔の大きさ以上の高さ位まで、横にあった電柱に向かって跳ぶ。

 

突っ込んで来たはぐれ悪魔は、私という対象物を無くしたため、すっ転んで地面を抉る。

 

私はというと、霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)を発動して、気を足に集中させて、電柱の横に垂直に立ち、転んだはぐれ悪魔を見下ろす。

 

……はぁ、全く。久々の戦闘が、まさかこんな雑魚になってしまうなんて……萎えるわ~。

 

でも、戦闘じゃなくて、これは遊びと考えましょうか。こんな雑魚の相手なんて、戦闘の範疇に入りませんからね。

 

「ドコイッタア!! ニンゲン!!」

 

標的である私を見失ったはぐれ悪魔は、道路の下で叫び始める。

 

これ以上煩くされてはかないませんね。ご近所の皆様に迷惑です。……仕方ない、ちゃっちゃと片付けましょうか。

 

道路を探していたはぐれ悪魔は、上を向いて私を見つけると、ニンマリとキモイ笑みを浮かべて、上を見ながら電柱へと突っ込んで来た。

 

「来なさい、三流。格の違いってやつを見せてあげる」

 

 

 

「もしもし、銀華。もしもし!」

 

銀華ちゃんが、邪魔が入ったと言ってから数分後。何があったのかは知らないが、急に銀華ちゃんと話せなくなった。

 

しかも、なんだが電話の向こうで物が砕けるような音がしたし、大丈夫だろうか。

 

「どうした、ササン」

 

「雨天、大変よ。急に銀華ちゃんと話せなくなった」

 

「……そうか」

 

話しかけてきた雨天は、それだけを言うと、テーブルに置いていた紅茶を飲む。

 

心配じゃないのだろうか。仮にも銀華ちゃんは雨天の……。

 

「心配じゃないの?」

 

「ああ、どうせ、戦闘でもしているのだろう。それも、はぐれ悪魔辺りとな」

 

「なら、なおさら心配じゃないの?」

 

はぐれ悪魔。仮にも悪魔だから、生身である銀華ちゃんは危ないと思うのだけれど。

 

私が聞くと、雨天は苦笑いを浮かべて、紅茶のカップをテーブルへと置いた。

 

「ササン、ある話をしよう」

 

「何?」

 

「昔な。ある所に一人の男と女の子がいたんだ。その二人は旅をしていてな。でだ、その二人のうち、男の方が天使や悪魔、更には堕天使等など様々な勢力から狙われていた」

 

……これは、もしかして。

 

「二人の旅路には、その等などが度々襲いかかってきた。十や二十といった小編成の部隊でな。だが、その部隊は毎度毎度、男によって壊滅させられた。そしてある時、その小編成の部隊から、それぞれが協力し合って、上級悪魔や天使や堕天使が百人編成……おおよそ三百人という大部隊を作り上げて、二人へ襲いかかった」

 

私は雨天の話を聞いて、生唾を飲んだ。

 

三百? 馬鹿げてる。本来ならば、それだけでこの世界の人間なら、塵すら残らず消滅させられている。

 

「まあ、悪魔や天使や堕天使は楽勝だと思ったんだろうな。なんせ、男と少女の二人組だからな……でも」

 

そこまで雨天は話すと、ソファーに深く座り込み、両膝の上に両肘を付けて、前かがみになる。

 

「壊滅させられた。完膚無きまでに。しかも、一人の死なせずにだ」

 

「でも、それって普通なんじゃ……」

 

男がそれをやってのけたのなら、別に分からない話でもない。だって、その男の方はきっと……。

 

私が普通だというと、雨天は首を左右に振って、いつもの仏頂面が嘘に感じるような笑みを浮かべる。そして、彼とは思えない程、長く話してるわね、今日。

 

「いやいや、この話には秘密があってだな。その部隊を壊滅させる時、男の方は参加してなかったんだよ」

 

「は?」

 

参加してない? って事は、つまり……少女一人が相手したってこと?

 

雨天は心底嬉しそうにクツクツと笑うと、口元を三日月のように歪めた。

 

「ククク……そうだよ。想像通り……でもま、明日の予定を聞かなきゃいけないから、行くか」

 

雨天はそう言うと、呆然としている私の横を通り過ぎ、扉から出ていこうとする。だが、扉を開けたまま、こちらに振り返る。

 

「その少女が戦った時、齢十の時だったそうな」

 

 

 

「グガ……ガッガガ」

 

「この程度で終わりですか、つまらないですね」

 

私の目の前には、両腕をもがれて、私の気で体内を侵食されて動けないはぐれ悪魔がいた。

 

「よっと」

 

「ガ!」

 

足を蹴りで破壊し、動けないでいるはぐれ悪魔を転倒させる。

 

あ~あ、本当につまらない。あんだけ大見え切って置いて、この程度だなんて……反吐が出る。

 

「この程度で私を食おうなんて、とんだお調子者でしたね」

 

「グガッ!」

 

倒れたはぐれ悪魔の喉元を踏みつけ、霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)の効果で黄金に輝いているであろう瞳で、はぐれ悪魔の瞳を覗き込む。

 

……汚い。汚すぎる。純粋で、無垢で、華やかで、色美しく、真っ直ぐで、目的があって、意志がある。そんな誰にあっても当然の魂の色が見えない。腐りきっている、この魂は。

 

こんな魂……いらない。未来永劫、消え去れ。

 

「お前は汚い。自らの力に溺れ、害しか出さない……まるで、ゴミ。いや、それ以下だ」

 

「ゲ、ゲゲ」

 

足に力を込め、はぐれ悪魔の汚らしい声を出させないくらい力強く踏みつける。

 

聞きたくない。目障りだ。もう消えてしまえ。

 

「だからこそ、もう消えてしまえ。この世界に存在するな」

 

「グガアアアアアア…………」

 

雄叫びを上げるはぐれ悪魔の喉を踏み潰す。

 

血が溢れ、私の顔や服に着く。ああ、汚い。血は洗濯が大変だから、着けたくなかったんですよ。

 

最悪。本当、害しか及ばさなかったな、このはぐれ悪魔。

 

血に濡れた足を退け、ゴロンと転がったはぐれ悪魔の頭を握り、持ち上げる。

 

「……本当、使えない」

 

頭をそこら辺の壁に投げつけ、電柱の近くに置いた鞄を持って歩き出す。

 

電話は……もう切れている。はぁ、ササンには悪い事をしてしまいましたね。

 

天さんとの修行及び、私の霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)の第二の効果によって作り出せるようになった光の爆弾を右手に形成し、左手には光の槍を形成する。

 

「シネエエエエエエエ!! ニンゲンガアアアアアアアアアアアア!!」

 

「だから、雑魚は嫌なのですよ」

 

胴体だけで突っ込んでくるはぐれ悪魔に向かって、振り返りながら光の爆弾を投げる。

 

莫大な閃光が辺りを包み、突っ込んで来たはぐれ悪魔の体は、光の影響によって、塵も残らずに消え去った。

 

「名前も知らないはぐれ悪魔でしたが、リアスへの説明はどうしましょうか」

 

左手に形成した槍を、壁にぶつけたはぐれ悪魔の頭に向かって投げつける。突き刺さったはぐれ悪魔の頭は、胴体と同じように塵も残らずに消え去った。

 

完全に消え去ったのを確認してから、私は再び振り返って、家に帰る道を歩き始める。

 

明日は、雨天さんとのショッピングだというのに、この血の量……洗い流すのが大変ですよ。

 

服もですし……はあ、大変だ。

 

しかし、なんでしょうかね。何かを忘れているような……それも。結構大変な事。

 

リアスの事……ではないですし、イッセーの事? いやいや、イッセーに対しても何もないですね。一体、なんでしょうか、このもやもや?

 

「……って、あ……雨天さんに明日の集合場所を伝えるの忘れてた……」

 




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