悪を断ち切る為の刀   作:水流

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風穴を開けます

 

「誰よ、その斎藤 一って?」

 

なんだ、この失礼な女は

抱いた第一印象は最悪と言った所か

こんな奴、助けなければよかった

 

跳び箱の中でなんかモジモジしてるけどあまり興味は無い

刀が錆びたりしたら困るし・・・さっさと行こう

 

くるりと扉の方を向きさっさと歩き出したが、クロスが見つからない

 

「クロス、さっさと行かないと学校に送れる」

 

そう言うと、顔の前に来た

何やら微妙なニヤニヤを浮かべながらこちらをガン見してくる

 

「そうだね。だけど、もう遅刻してるようなもんだよ?」

 

そう言って瞳に時計のような模様を浮き上がらせた

時刻は・・・・12時30分

俺は7時30分には出てるんだぞ

この世界はどんな勢いで時間が進むんだよ

 

「絶対にその時刻は嘘だろ」

 

「うん、嘘だよ。僕の気分が12時30分だからそうしただけ」

 

悪戯が成功した子供のように笑い出す

本当になんだ、こいつは

 


 

外を眺めながら考える

何をどうやったら今日の体育倉庫の件が人生に置いて必要な事なんだ

意味がいまいちまだわかっていない

 

因みにクロスは疲れたと言って部屋の中にある猫専用のベッドで寝ている

 

ピンポンピンポーン♪

 

隣の部屋から聞こえるチャイム

ベランダからでも聞こえてくる音なので、キンジも聞こえているはず

 

ピポピポピポピポピピピピピピピピンポーン!

 

流石に煩いので様子を見に玄関へと向かう

玄関の扉を開けると

 

「アタシが来たら5秒以内に出ること!」

 

そんな不可能な

というか、その部屋はキンジの部屋

 

キンジはちょっとした病気を抱えているからなんとかしないと

 

そんな焦りからか刀を急いで取りに戻る

キンジの部屋の扉を開けた時

 

「アンタ、アタシの奴隷になりなさい!」

 

何してんだ、こいつらは

夕日をバッグにアリアが声高らかにキンジに命令している

あり得ん、実際に色んな奴に告白されたがこんな告白は見るの初めてだぞ

 

「うん、決まったわね」

 

何も見なかった事にしよう

 

そう心に決めてさっさと、玄関の方へと帰る

だが、その途中に背後から

 

「あ、アンタも居たのね。丁度いいわ。アンタもアタシの奴隷に「結構です」

 

ガチャッ

 

自分の部屋の扉をチェーンロックと鍵を3重にかけておく

腐ってもキンジされどもキンジ

油断大敵だ

キンジはヒステリアモードというもはや反則技を持っている

 

何やら難しい説明は省こう

簡単に言うと性的興奮によってキンジは力を解放する

そうなると奴は女の命令に必ず従うようになるからな

ベランダの防弾ガラスの窓を閉め、防刃加工のカーテンを閉めた

 

一通りの身の安全を確保した所でやっと一息付く

 

はぁ、俺はいつになったら休めるんだ

 


 

狙撃科(スナイプ)の屋上

何故か急に知人に呼び出された

俺の部屋でも良いんじゃないかと聞いたがダメだとの事

なんだ、一体

刀を持ってくるような用事ってあるのか?

 

屋上の扉を開くと、フェンスに保たれるように体育座りして俺を待っていたレキを発見

 

レキはこちらに気づくとヘッドホンを外して立ち上がった

 

「雨月さん、急にお呼び立てして申し訳ありません」

 

一歩、こちらへと近づいてくるレキ

対して気に留めはしないが、なんのようだろうか

 

「いや、別に良いけどなんのようだよ?」

 

再びまた一歩近づいてくる

 

俺の間合いの内側に入り出した

おかしいぞ、レキは何をしてるんだ

さっきまで間合いの遥か遠くに居たのに

 

いや、本当になんだ

 

流石に違和感を覚えてきて後ろに一歩退がる

 

「おい、近づくな。離れろ」

 

ブワッ

 

見計ったかのように突風が吹き荒れ、目にゴミが入った

思わず目を瞑った時

 

フワッとミントのような香りがした

 

唇に違和感が生じる

シリコンのように滑らかな感覚を唇に感じた

目を開くとレキの綺麗な顔が目の前にあり、実感している

今、俺はレキとそのキスをしているのだと

 

レキの両肩を掴み、無理矢理自分から引き剥がす

 

「雨月さん、私と結婚をして下さい」

 

ここに居てはいけない

本能が警報を鳴らしているのでここは逃げるのが得策だろう

 

逃げようと屋上の扉に手を伸ばすと───

 

チャキッ

 

もはや聴き慣れた銃を構える音

 

ドラグノフ狙撃銃

美しいまでに細身のデザインで他の狙撃銃を凌駕する軽量さ

悪環境でも故障しない信頼性・耐久性にも優れた世界を代表する名狙撃銃の1つだ

 

「逃がしませんよ。もし逃げると言うのであれば風穴を開けます」

 

口元を押さえながら距離を取って聞く

レキは平然としており、何故か、異様な感じだ

 

クロスを家で寝かせておいてよかった

そう心の底から感じる

もし、こんなのをクロスが見てたら大騒ぎしてるだろうからな

 

「なんで結婚なんだ・・・別に交際とかでも良いんじゃないのか?」

 

「────そうすれば雨月さんもウルスになれますから」

 

「なんだ、そのウルスって」

 

「家族という意味です」

 

家族、か

嫌な日々を思い出した

話を切り替えよう

そうでないと気が滅入って了承してしまいそうだ

 

「レキ、言いたい事がある。俺と家族になりたいなら話し合いでいいだろ?なんで銃を向ける必要があるんだ?」

 

単純な疑問をぶつける

どう考えてもおかしいだろ

ここは武偵だが、いくら武偵でも“養子縁組”を求める時に銃って

 

「銃を下ろせ」

 

冷静に交渉する為に先ずは銃を下させるべきだろう

レキも銃を下ろせば流石に自分のやってる事に気づくはず

 

「お断りします。異性とは話し合いで手に入れる物ではなく」

 

レキは最小限の動きで再び銃口を俺に向けてきた

こいつ、婚約って言ってるけど結婚って怖いんだぞ

専業主婦とか外に出したくないと思ったら合法的に家に閉じ込められるからな

それを考えると結婚なんてしたくない

 

「───奪う物ですから」

 

『ロボット・レキ』

そう言われる女子生徒は俺に銃を向けながら求婚してきた

生憎、俺はお前のことが好きじゃないんだ

 

「普通の男女は求婚する時は銃なんて持ち出さないし・・・ってかやり方を盛大に間違ってないか、お前」

 

ここは反論させてもらおう

だって、いきなり求婚された上に初めてのキスも取られた

その上に何故か銃を向けられているんだ

当然だが俺はここは反論する権利がある筈

 

「私もすぐに貴方と婚約出来るとは思っていません」「おい、人の話を聞けよ」

 

全く持って聞いて無いレキ

最早、結婚というゴールしか見えていないようだ

なんでこんな目に・・・・・

 

「ですので最大7分間・・・私は7回、貴方を襲います」

 

「貴方が私の銃弾に当たらなければ求婚は撤回します」

 

「たったの3分かよ!?お前、実は最初から銃使うつもりだったんだな!?」

 

「どこへ逃げても構いませんよ。ですが私の絶対半径(キリングレンジ)は2051mです」

 

こいつ、本当に人の話を聞かないな

レキはもっときちんとした奴だと思うんだけど

何かの命令を受信したロボットみたいだ

 

「つまり、2051m四方どこへ逃げても私は貴方を射抜く事が出来る。この銃は私を絶対に裏切りませんから」

 

どこからくるんだよその自信は

まぁ、ここは武偵

求婚方式も多少違って・・・・・・・

いかん、これを認めそうになっているんだからな

つまりはレキと俺は戦わないといけない

 

「7回までに私と結婚してくださいね」

 

婚約からもう結婚が確定していやがる

もう、本当に俺はついていないようだな

 

「・・・・7回で俺を諦めてくれよ」

 

そうレキに言い放つとレキは首を縦には振らなかった

返事もしない

どうやら、負けるつもりもないようだ

確かにレキ相手だと難しいな

 

 

 

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