あれから更に数十年が経ち、変わらずあの森のなかで私と幽輝は妖術の修業を行っていた。
おかげで二人とも簡単な弾幕を撃てるようになった。
そして生活環境に変化が訪れた。
森がうっすらと霧に囲まれ、瘴気を放つようになったのだ。
原因はたぶん私と幽輝がバンバン妖気を使ったから。
まあ、おかげで私たちは快適に暮らせてるので万々歳だ。
しかし、時々人里の人間が迷い込むときがある、そんなときは昔人間だった(気がする)よしみで人里まで送ってあげることもあった。
ちなみにあれ以来人は食べていない、あれだね、生肉は食えたもんじゃないね。
というわけで時々人里に行っては人を驚かせて妖力を回復させている。
と、ここまでが今まであったことを簡単にまとめた結果だ!
「いったい誰に説明してるの?」
「いや、気にしないで」
私は再び人里に来ていた、ただし今回は私ではなく幽輝の食料を得るためだ。
満月輝く丑の刻、私の能力が人里を包む。
いったいいつになれば移動しながら使えるようになるのかな…
「それじゃあ幽輝、酒も頼むぞー」
「まかせなさ~い」
幽輝は軽やかに人里へと駆けていった。
人里にもだいぶ変化があった。
まずは家が木造建築になった。
え?早すぎね?竪穴式住居から百年経たずに早くも木造建築って。
「ん…?」
突然私の気配検知範囲内に新しい妖力の淀みが生まれた。
私もそうだったが大多数の妖怪と妖精は妖力から自然発生する、別に異性間で子供を作ることもできるが、今は自然発生の方が多い、というか絶対的に妖怪の数が少ない。
話が逸れた。
普段なら発生してもその反応は小さく気づくことはなく、この目でみて初めて新しい妖怪が発生したことに気付くのだ。
それに気配だけで気付いたということは相当強力な妖怪が発生したということだ。
「あとで調べてみようかな」
少女移動中…
「うむ、相変わらず人の造る酒は旨いな」
「私達だとなかなかうまく造れないもんね~」
幽輝と二人で月見酒、つまみは人肉、もちろん私は食わない。
「ちょっと人里で酒の造り方聞いてこようかな…」
「本当に霞はお酒好きだよね~」
なんと言ってもお酒も私の妖力の元ですから。
私が肉を食わなくてもいい理由のもうひとつはこの酒だ、酒は命の水、そりゃ勇義の姐さんもあれだけ飲むわけだ。
余談だが霞という名の理由は能力発動中に範囲内に霧がかかり、その姿が霞むからだ、シンプル・イズ・ベスト。
更に一刻が経ち、夜明けが近づく。
二人ともすっかり出来上がっていた。
その時、またあのときと同じ妖力を感じる、今度は近い、真後ろおよそ十メートルと言ったところか。
しかし振り向いてもなにもいない。
「ん?」
「ど~したの~?」
「いや、一瞬妖力を感じた気がしたんだけど…」
なにも見えない、でも妖力は感じる、奇妙な感じだ。
「ん~、あれかな~?」
幽輝は立ち上がるとふらふらと千鳥足で気配のある方へ歩いていく。
足取りは覚束ないがたしかな確信をもって進んでいる。
そして…
「捕まえた~」
幽輝はガシッ、と何かを捕まえた。
「え、ちょ、ちょっと!放して!」
なにも見えない空間から少年のようなアルトボイスが聞こえる。
「ふっふっふ、この幽輝しゃまの~、目を欺きたかったらぁ~、妖力を完全に断つ訓練をすることねぇ~」
言ってることはかっこいいのに酔いが回って呂律が回ってない。
幽輝はその見えない妖怪を掴んだまま持ってくる。
「そろそろ姿を見せてくれないかな~?」
「う、うぅ~、わかったよ…」
地面に下ろされたソレは徐々に姿を見せる。
声から予想されていたように顔立ちは幼さを残した少年だった。
しりもちをついているから推測に過ぎないが身長はたぶん140cmくらい…かな?たぶん幽輝より少し低い。
服装は濃い紺色の着物を着ていた。
「さて、いったいどうして隠れたりしてたのかな?」
私はできるだけ警戒されないように目線を会わせて聞いた。
「え、えっと…ちょっとお酒を貰おうかなぁと思って…」
「なるほど、じゃあ私には姿が見えなかった理由は?」
「僕は『欺く程度の能力』を持ってるんだ、だから二人の視界を欺いたんだけど…」
「ふっふっふ、残念~、私には『見える』のよ~」
「ははは、残念だったね、まぁ酒はまだある、一献ご一緒にいかがかしら?」
こうしてまた私の友人が増えた、こんな人生(妖怪だし妖生?)もいいかもしれないと思い始めた転生六十年目くらいの秋の名月。
「ところで私もそうだったんだが発生したばっかりの割には成長してるんだね」
「う~ん、だって発生したら親がいないわけでしょ?それで子供のまま放り出されたら死んじゃうよ」
なるほど、理解した。
私テスト前になにしてんだろうね。
とりあえず古代編主要キャラがほぼ出揃いました!
と言うか古代編は超短いです。
感想等々お待ちしています。