八意家の状況
永琳の家は元々小さな病院でした。
しかしどこにでもある程度の小さな個人診療所でした。
しかしある時、一人の女の子が生まれます。
名前を永琳、それもあらゆる薬を作る程度の能力を持っていることがわかった。
それがわかった父は永琳を家に閉じ込め、一切外出を許さなかった。
それゆえに人を、特に権力を持った人間を愚かだと思い、逆に自由気ままな妖怪を羨んだ。
頭がいいのはひまつぶしに様々な本を読んでいたから。と、元より才女だった。
あの日から小競り合いは激化し、今では人妖大戦争になっている。
人は恐怖からの解放と新たな土地のため。
妖怪はこれ以上犠牲を出さないために。
人は武器を持ち、妖怪は妖力を放ち、死力を尽くして戦う、一心不乱の大戦争が始まっていた。
ある時は森で、あるときは平原で
あるときは街門で、あるときは街道で
レーザーに焼かれ、妖弾で破壊し。
あらゆる場所が戦場となった。
なったのだが……
私は永琳の部屋でくつろいでいた。
うん、お茶もお菓子も美味しいし、こういうのはやっぱり人間の方が上手だな。
「ここは相変わらず平和なんだね、外で戦争してるとか信じられない」
あれから私は週に1、2回永琳の部屋を訪れていた。
そこで様々な話をした、お互いの趣味、好きな食べ物、なぜ人と妖怪が争わねばならないのか。
永琳は他の月人達と違って良心の塊のようだった。
妖怪を恐れこそすれそれが自然だと受け入れていた、さすが月の賢者。
「あなたがこんな簡単にここまで入ってこれる方が信じられないわよ」
「そりゃ永琳以外には見えてないからね」
永琳は自分の席で様々な資料とにらめっこ中だ、何でも近々大規模な作戦があるらしい。
「それに元々あんなのザル警備だよ…あ、えーりんその資料見せて~」
「いいわよ、はい」
永琳はさっきまで自分が読んでいた紙束を渡してくれる。
これには次襲撃しようとしている場所、逆に警備が薄くなる場所全てが記されている。
え、こんな重要な書類渡していいのか?
「……いいの?」
「えぇ、別に私は」
「私達は人間と戦争してるんだよ?」
「そもそもそれ自体が不毛だと思ってるから私は興味ないわ」
いい人でも種族人間なんだけどそんなんでいいのかな?頭いい人の考えてることは分からんなぁ。
パラパラと紙をめくっていると、ひとつ気になる項目があった。
「ふぅん…有人ロケットで月移住計画ねぇ…」
人間はついにロケットを作ったのか…
ということはそろそろ永琳とも暫しの別れになるのか。
「偉い人達は少しでも自分の栄光の時間を長引かせるために穢れのない月に行きたいそうよ」
「もうその思考が穢れてるとか考えないのかね」
「まったくもってその通り、永遠と生き永らえるなんて私はごめんだわ」
「でも、行くことは決まってる」
「その通りよ、貴方は時々全て見透かされているような気がするくらい鋭いことを言うわよね」
そりゃ原作通りなら月に行かないと姫様と会えませんし。
「月に行ったらもうこんな気軽に会えなくなるわね」
「そう、きっとまた会えるさ、そうだね…2億年くらいで」
「それは予想?」
「いいや、予言」
すでに決まっている未来を言っているのだから予言じゃなくて未来予知という言い方でも可。
「不思議ね…あなたが言うと本当にそうなりそうだわ」
「ただし私が生きていれば、というきっつい条件付きだけどね」
「きっとあなたのことだからしぶとく生き延びてるでしょ、というかあなたは妖怪、私は人間よ?」
「まぁ月には穢れないらしいから永琳はいいとして、私は…努力はしてみるよ」
「えぇ、楽しみにしておくわ」
これが私と永琳の交わした最後の会話だった。
少女煩悶中…
元々数年前の時点で拮抗した人と妖怪の戦争。
妖怪はその人数の少なさが、人間は妖怪のその強靭な生命力がネックとなりお互いに戦線を進ませることができなかった。
しかしビーム兵器の登場がそれを変えた。
能力を持たない小妖怪は一撃で消し炭にされてしまうほどの威力だ。
これで能力面を見ると人と妖怪のパワーバランスが安定した、それによりマンパワーが少ない妖怪は押され、今や残り1000人にも満たない。
妖怪が存続するには人間の技術水準を一定レベルまで下げるほどの大打撃を与えるしかない。
それほど大規模な作戦をかければこちらの被害も甚大になることだろう、しかし、やらねばならない、やらねば一人として残さず押し潰されてしまう。
やるのか?人を壊滅寸前まで追い込むような作戦を。
私は…妖怪だ。
でも、心ではまだどこかで人でいたいと思っている。
だから人間を食べないんじゃないのか?
口に合わないからと言い訳して。
私は…どうするべきなのか…
少女………
私は森を出てすぐの丘に立ち、妖怪を並ばせ、その前に立っていた。
私は自分を奮い起たせる為に今ここに立っている。
「諸君、私はこの森が好きだ」
静寂が帰ってくる。
これを言えば私も、皆ももう後戻りは効かない。
「諸君、私は妖怪が好きだ」
誰も口を開かない。
私は覚悟を決め、ある偉大な指揮官に肖る。
「諸君、私はここに集まってくれた皆が大好きだ」
だって私以外全員が覚悟をしてきているんだ、リーダーの私が覚悟を決めずにどうする。
「幽輝が好きだ 紺が好きだ
仁鬼が好きだ 妖精達が好きだ
もちろんあの猪だって好きだ この森に住む全ての妖怪が好きだ」
これは私の本心。
「この丘で 川で
山で 街で
春に 夏に
秋に 冬に
様々な場所で共に酒をのみ交わしたそんな妖怪の君たちが大好きだ」
私はあまりにも長い時間妖怪として過ごしすぎた。
「そんな私が大好きな妖怪達が人間の兵器になす術なく殺され、駆逐されようとしている様はとてもとても悲しいことだ」
その長い時間は、私の心まで妖怪にしてしまった。
「本来屈するはずのない人間の兵器に屈し、隠れるように生活している今はまさに屈辱の極みだ」
「諸君、私はこのまま仲間を減らされる様を見るのは耐えられない。
諸君、諸君は私に何を望む?
人にひれ伏す偽りの平和か?
否!
諸君、私に付き従う妖怪諸君、君たちは戦争を望むか?地獄のような烈火の闘争を、情け容赦のない糞のような戦争を望むか?」
「「「「雄おおおおおおおお!!!」」」」
「よろしい
ならば戦争だ」
前半と後半で全然雰囲気が違うな~(他人事
少佐の台詞お借りしたら思ったより真面目になったな
感想等お待ちしています!