何とか時間を見つけては書き、見つけては書きの繰り返しで更新することができました!
良かったです!
というわけで第6話です、どうぞ!
翌日、師匠に叩き起こされ半ば引き摺られるようにして九鬼ビルを後にした
こんな朝っぱらから何処に行くんだろうか?
まさか昨日の腹いせに私に何かするんじゃあ
「そんなわけないだろう。今日、お前を此処に連れてきたのは最終試験のためだ」
「最終試験?」
はてそんなものがあったとは……
知らなかったよ
「そうだ。この数年で貴様が一体どの程度やれるようになったか確認する」
「まだ、私のことを認めてくださってなかったんです?」
「いや、実力も5位のソレと言ってもいいぐらいはある」
?? じゃあなんでする必要があるんだろうか
……まさか
「自分であの人たちの相手するのが面倒だからって私に押し付けるんですか」
「それもある。だが、今までは九鬼の人間としか強者との試合はしていないだろう」
確かに今までヒュームさんクラウディオさん、ゾズマさんや鷲見さんドミンゲスさんとか怪物みたいな人達としかやってない
とはいえ、あくまでも私たちは仲間だ
正式な試合でもなし、相手にそこまでダメージを与えて通常の仕事に差し支えるようなことがあれば本末転倒もいいところ
本気の本気でやったことは一度もないことになる
「だから最終試験なわけね」
「そういうことだ」
……私があの"野獣"と一戦交えることになるとは
前の世界ではあの人既に師匠にシメられた後で梅屋の店員だったからね
――川神某所
「今日のメシもしけてやがるな」
「文句言うんじゃないよ。ブタからの貢物があるまでは我慢しな」
「でもよーこう毎日野草と食べられるかもわからない川魚ばっかじゃ流石に飽きるぜー」
「よーっすお前ら」
「帰れ」
「何だよ俺ぁ餅持ってんだぞ」
「何だよそれを早く言えよ。とっとと鍋の中にいれろ」
「おう、その代り俺にも朝飯を寄越せ」
「断る……といいたいとこだが餅はありがてぇからな」
「仕方ないねぇ」
「良い根性してやがるぜお前ら」
ホントに貧乏なんだね
亜巳さん仕事してるのに収入が不安定すぎる
辰子さんに至っては仕事中に寝るから給金が入る前にクビになるらしいし
因みにソースは前の世界の彼女たちの実情ね
「おい」
「んぁ? なんだテメェは」
って気づいたらもう喧嘩をふっかけに行ってる
長年一緒にいるけどホントに執事なのか怪しい
「なんだいきなり現れやがってこのジジィ」
あ、天使(エンジェルと読む)がゴルフクラブを持ち出してる
止めないとヒュームさんに串刺しにされそうだ
「ほらほら、そんな危ない物を持ち出すんじゃありません」
糸で武器を絡め取り没収する
素手でも強いけどそれでも進んで武器無しでヒュームさんに突っ込んでくる子じゃない
「なっ、テメェ何しやがる! 返せ!」
「捕縛」
次は今にも暴れだしそうな天使を糸で捕獲する
あくまで矛先が私に変わっただけのようだったのでそのまま捕縛した
「何しやがモゴモゴ……」
「ちょっと黙っててねぇ」
ヤレヤレ騒がしい子だよホントに
糸で口を塞いで完全に沈黙させた
締め落とさないだけまだ私は優しい方だ
「テメェ、天に何しやがる!!」
「止めときな、テメェで敵うような相手じゃねぇよ」
「……おっさん」
釈迦堂さんが殴りかかってきた竜兵を肩を掴んで止めた
基礎を怠ってるとはいえ彼我の実力差が分かるだけの実力はあるみたいだ
「で……一体何しにきやがったんだ」
「話は簡単だ、堅気に戻れ」
「おいおいそれが用件かよ。冗談じゃねぇ」
やれやれと肩を竦める釈迦堂さん
まぁ、こんな野獣が人間の皮被った人がまともな職に就けるとは私にも思ってない(梅屋を除く)
「当然、ただとは言わん。川神らしく力づくでだ」
「ほぅ、じゃあ俺が勝ったら俺やこいつ等に干渉するなよ」
「いいだろう。ただし相手にするのは俺じゃない。こいつだ」
ヒュームさんに指を指された私は釈迦堂さんの前に対峙した
少しだけ怪訝そうな表情をする釈迦堂さん
「テメェがやるんじゃねぇのかよ」
「才能が腐ってしまったお前が俺の相手をしても勝負にならんだろ」
それって私となら勝負になるって言ってるんですかね
言ってるんですよね喧嘩売ってるんですよねよし買った!
「チッ、分かったよ」
分かっちゃうんですか釈迦堂さん
貴方バカにされてるんですよ?
「俺もこんなメンドくせぇことはさっさと終いにしちまいたいんでな」
とっととやるぞ、そんなことを言って釈迦堂さんは構えを取った
それは全くの同意見だけどさ…
「まぁ、何を言っても始まらない、か」
襟元を少し緩める
きちんと締めてるから戦闘の時になると本当に首が締まっちゃうから困ったもんだ
開始の合図はない
どちらかが審判をすればそれは平等ではなくなるからだ
「…………」
「…………」
思ったよりも隙が無い
才能だけでこれだけの実力を保持しているなんて……
「(これできちんと鍛錬していたらと思うとヒュームさん並になってたんじゃないのこの人)」
末恐ろしい話だ
「考え事してる余裕があんのかよ!」
釈迦堂さんが攻撃を仕掛けてきた
ありったけの気を開放して放たれたのはリング
彼の得意とする技の一つで気弾の一種だ
「フッ……!」
「気でかき消しやがったか!」
大して驚いた様子もないところを見るとその程度の威力でしか放ってなかったのかな
じゃあ、次はこっちの番
「火遁の術! ……なんちゃって☆」
さっき仕掛けておいた爆薬を仕込んだ石を爆発させた
卑怯? 褒め言葉です
「さっき天を縛った時にばら撒いてやがったか」
「ありゃ……やっぱりダメージ少ないですね」
普通の人間ならあれでK.Oなんですけど……
これだから壁越え級は厄介なんです
「おらおらおらおらっ!」
凄まじい速度で拳や足での乱打が襲いかかってくる
「はいはいはいはいっと!」
その全てを流し、受け止めて捌いていく
確かに速いけど……
「見切られない速度ではないです」
「チィッ」
「では……ほいっと」
――覇王地顎蹴
足で地面を蹴りぬき局所的に地震を起こさせる技
「そこから更に」
「うぉっ!」
地面が隆起し相手を飲み込む技でもある
上から見れば顎のような形に見えることからこの名が付いている
「こりゃ鍋島のおっさんの技より厄介じゃねぇか」
鍋島さん? 天神館の館長?
あの人もこの技に似たものを使えるんだ
「なんかパクッたみたいでやだな」
一応自分で考えた技なんだけど……
あー、だから初見でも避けられたんですね
「油断も隙もねぇな」
「褒められましたよ師匠」
「余所見をするな集中しろ」
怒られてしまいました
余所見はしても隙はさらしてませんよ?
「そ・れ・に」
「グッ……罠を仕掛けてやがった」
釈迦堂さんが着地した場所には糸で作った罠があるから直ぐには攻撃に出られませんし
「だが、抜け出せねぇわけじゃねぇ!」
糸が無理やり引きちぎられていく
流石に普通の糸じゃあんなもんか
「おい、何故いつもの糸で縛らなかった」
「……クラウディオさんに没収されました」
「…………」
昨日の説教中に罰として1日没収しますと言われて持っていかれてしまった
結構あれ気に入ってたのにぃ
いつもの糸だったら壁越え級の人間でも力づくで引きちぎるのは容易でないほど頑丈で出来ている
そのため、師匠はいつもの糸であれば決まってたいたと思ったんだろう
「仕掛けはこれで全部みてぇだな」
「……」
うーん、時間が無さ過ぎて全然罠を仕掛けられなかったよ
どうしようか
「じゃあほら、これでどう?」
指をピストルのような形にして指先に気を集中させる
「おい、なんか幽窮拍書の○丸みてぇだ」
「…………」
だってそれを見て思いついたんだもん
仕方ないでしょ
「ふざけた野郎だ」
「野郎じゃなくて可憐な乙女よ私は」
第一ゲイに言われたくない
「竜兵、思ったよりも容易じゃないぞあの技は」
「そうかよおっさん」
おろ、気づいてらっしゃる
気を超集束させたこの奇弾には凄まじいまでの威力が宿っている
どれくらいかというと
「これで大体半径1kmは焼け野原よ」
「そんなもんを此処でぶっ放すのかよ」
集束次第ではもっと広範囲にすることもできるけどね
そんなことしたら九鬼から粛清されちゃうし
「当然、私は九鬼のメイドですから?」
「あん?」
そんなことしませんけど…ね!
目の前の私に意識を集中させすぎたらしく背後は恐ろしく隙だらけだった
「グォッ!!」
「ぶ、分身!?」
分身というか気で作った私そっくりのダミーなんだけどね
私の意志で動かせるし、ダミーにも一定量の気を与えてるから技を繰り出すこともできる
何でも昔師匠が学長と戦った時に見た技らしい
「今のはジジィの十万億土じゃねぇか」
「そんなにスゴイ技でもないよ」
何せ私の場合は私そっくりに似せる分、気を多く使っちゃうし、大技も使えない
「いつ入れ替わりやがった」
「地顎蹴で地面が隆起したときに」
避けた場合は目くらましにもなるしね
「む……そろそろ鉄心たちが来るぞ」
決着を付けろとお達しが来た
勝負に時間をかけ過ぎたらしい
「クソッ、また糸か!」
今度は罠の時のように甘い縛りはしていない
力を出しにくいよう関節ごと縛ってある
「百式羅漢殺……か・ら・の!」
「リング……乱れ撃ちぃ!!」
さっきは数発だったリングが今度はその数を増やして打ち出された
ならこっちは
「覇王咆哮拳!」
羅漢殺から繰り出される拳と共に気弾を打ち出す合わせ技
最初に師匠に使ったら周りに凶悪だと言われたことがあったのは内緒だ
「1発1発の威力が半端ねぇ!」
当然、咆哮拳自体がトンデモ威力だからね
リングを容易く掻き消していき……そして
「おおおぉぉぉぉぉ!!」
釈迦堂さんに直撃した
ジャム撃ちだから全弾が当たったわけじゃないけど直撃の手ごたえがあった
煙が晴れた先には膝をつく釈迦堂さんの姿があった
「勝負あり……ですね」
「クソッ……」
まだやれないこともないが如何せんダメージは大きい
そんな状態で勝てるような相手ではないと判断したみたいだ
「師匠が歯が立たないなんて」
「化けもんかあの女……」
失礼な、人を化け物呼ばわりなんて
姉さんほどじゃないと自負してるさ
「就職先を幾つかリストアップしておきます。今日の午後には従者が届けるので何処に就職するか決めておいてくださいね」
多分、梅屋になりそうだけど
「行きましょうか」
「ああ」
その場からさっさと退散した
何だか悪者みたいだ
1人は完全に悪者だけど……
「口のきき方に気を付けろ美哉」
「また心を読んで……ん?」
「どうした?」
「いま……なんて」
「ふん」
今名前で呼んだよねこの人
いっつも貴様とか生意気メイドとか、入社した時は赤子とかだったけど
一体どういう心変わりで……
――intrude Hume side
従者部隊に入ってきたときはそれこそ俺から見ればそこらの赤子と大差なかった
だが、持ち前の容量の良さと何でも吸収しようとする直向きな姿勢には俺を初めとした序列上位者は舌を巻いていた
多くの従者は俺と目を合わせようともしない
当たり前だ、そんなことをすれば俺が稽古をつけてやってるからな
全く根性の無いやつらばかりだ
だが、アイツは他とは違った
寧ろ自分から俺に稽古を付けてほしいと頼み込んできた
それこそ足にしがみ付いてまで
いつからだろうかそんな俺達を見て師弟だとか言い始めていた連中がいた
俺は弟子に取ったつもりはない
向こうも最初は俺のことを師とは見ていなかったはずだ
周りはそうは思っていなかったらしいが、俺もアイツも次第に意識し始め遂には俺の2番弟子として鍛えていた
そんな弟子がいま、野獣と呼ばれた釈迦堂を下した
奴は恐ろしいまでの才能の塊だった
才能は腐ってしまっているがそれでもなお強力な力を保持していることには変わりない
「(もう、赤子とは呼べんな)」
これから奴は俺と対等となるだろう
その実力も、まだまだ伸びるはずだ
……行く行くは俺の後を継がせるのも面白いかもしれん
いかんな、こんなことを考えるようになっては
俺とてまだまだ現役
紋様の花嫁姿を見たとしても後数十年はやるつもりだ
それまで精々覚悟しておけよ美哉
――intrude out
to be continued....
というわけで第6話でした
4話からまだ1話しか経ってないのに早戦闘シーンが……
というか差し当たっての課題がスワロー娘をどうやって川神に移住させようかというところです
ちなみに原作と同じ理由はまったく考えていません
何かしらの理由を付けて転校してきます
…松永納豆か!
というわけでまた次回
ではでは!