戦姫絶唱シンフォギアTN   作:瑠和

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「かな姉、誕生日おめでとう」


第九話 Ignited

                    声が、聞こえた。

 

                     きっと悲鳴。

 

                  誰がその声を叫ばせたんだ。

 

                    きっとあいつだ。

 

                      あの女

 

                     助けなきゃ…

 

                 助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

律叉は吠えた。その身体の所々から蒼い炎を灯し、顔は目尻から頬に駆けてひび割れ、その奥も蒼く灯りを灯している。

 

三人の装者の聖詠、クリスの絶唱、完全聖遺物デュランダルをエネルギー源としたカディンギルの発射、ガングニールの暴走、複数の聖遺物の波動にあてられ、律叉は覚醒したのだ。

 

「ふ…」

 

「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」

 

共鳴するかのように瓦礫から暴走状態の響が飛び出してきた。響は律叉に向かって突進し、その拳をぶつけようとするが、律叉は片手で受け止めた。

 

「ガァァァァ!!!」

 

「………」

 

律叉の身体が蒼く輝き、それが響の身体の闇を消し飛ばした。響にギアは半ば強制的に解除され、気絶した。

 

「なに!?暴走を解除しただと!?いったい……まさか!ヤントラ・サルヴァスパの力か!シンフォギアを機械と見立てて暴走を調律し、沈静化させたというのか!?」

 

「立花!」

 

気絶し、倒れかけた響を翼が支えに行った。

 

「律叉…」

 

「…」

 

翼の声は聞こえてないのか、律叉は姿勢を一気に低くし、バネのように飛んでフィーネに突進した。

 

「…」

 

フィーネはソロモンの杖を使ってノイズを複数体召喚した。聖遺物の力で暴走しているとはいえ律叉の身は生身。ノイズに触れれば炭化してしまうだろう。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

律叉は瞬時にノイズの背後に回り込み、ノイズを掴んだ。

 

「いけない!律叉!」

 

しかし、律叉の身体は炭化することなくそのままノイズを真っ二つに引き裂いた。

 

「なんだと!?」

 

律叉はそのまま人間離れしたスピードでノイズを素手で狩る。律叉の拳はノイズを数体まとめて貫き、奥にある瓦礫ごとふっ飛ばす威力だった。

 

フィーネは鞭を律叉に飛ばす。律叉はその鞭を掴み、引きちぎった

 

「なに!?」

 

そして律叉はフィーネに突貫する。フィーネは鞭を数段重ねてエネルギー盾を作り出した。律叉はその盾を一蹴し、さらに爪を立て、フィーネの身体を頭から腹にかけて一気に5つに引き裂いた。

 

「採った!?」

 

翼がそう思ったがフィーネの身体からは血もでない。それどころか5つに割れた顔が動き、怪しく笑ったのだ。フィーネは元通りにくっつき、再生した。

 

「…!」

 

再生した側から律叉が手刀をフィーネの腹に突き刺して貫通させたが、ダメージにはなっていない。フィーネは律叉の腕を掴む。

 

「いくら力を行使したところで、脆弱な貴様らの力では私を殺すことなど不可能だ」

 

「人のありかたすら捨て去ったか…」

 

「私と一つになったネフシュタンの再生能力だ。面白かろう?」

 

フィーネは腕を引き抜き、投げ捨てようとしたが律叉はフラッシュキックでフィーネを蹴り飛ばす。フィーネは蹴り飛ばされる。そして貫かれた腹部もすぐに再生を始めた。

 

「それに人の在り方を捨てたというのならその男とて同じだろう?こいつはもうすぐ人間であることを止めるだろうよ!」

 

フィーネは鞭を律叉に巻き付けて動きを封じる。

 

「どういうことだ!?」

 

「かつて、シンフォギアシステムを確立した時、対立する対ノイズ兵器案が存在した。その名もD計画。13魔族の一角であるドラン族のDNAを人体に投与し、量産兵を作る計画でな、シンフォギアシステムのように適合に必要な歌も使わず、より現実的だと言われた計画だった。しかしその実態は非人道的な実験計画。DNAを投与された人間は自らの力でバリアフィールドを生成し、圧倒的戦闘力と再生能力でノイズを討伐することができたが、その力は自らの寿命を削るものだった。兵士は量産はされるがすべて使い捨て。精々2、3回戦えばドラン族のDNAがその身を食いつくし、竜へと変貌する。それが発覚してD計画は頓挫した」

 

「D計画…」

 

「10年前、天羽律叉は交通事故にあった。即死でもおかしくない事故。右手足を失いつつも何とか生き残ったがすぐに死ぬだろうと宣告されていた。そこで天羽夫妻は天羽律叉を救うため、禁断のD計画に手を付けた。聖遺物発掘チームだった天羽夫妻はその伝手を使ってD計画を秘密裏に律叉に施した。せめてもの延命になればとな。そしてその結果は成功。手足の再生と意識の復活。だがドラン族のDNA活性化の為にリンカーを投与するたびに再生すると同時に副作用として狂暴化もした」

 

「リンカーだと!?」

 

「リンカーとは本来、D計画の兵士がその力を戦闘時に発揮するために使用する薬だ。それを天羽奏がシンフォギアを纏うための薬に私が調整し転用させたのだ。偶然とはいえD計画に巻き込まれた人間の姉が使用することとなるとは、皮肉なものだな」

 

「……」

 

「そこでその話を耳にした私が、天羽夫妻に協力してやったのだ。兵器としてではなく、再生治療に使うだけならどうにかできるかもしれないとな。私は律叉の心臓にFG式の機械を仕組んだ。FGとはフォニックゲインの略。シンフォギアシステムを応用し、D計画の制御に利用したのだ。リンカーを投与するより、アウフヴァッヘン波形を持つ歌声の方がDNAの活性化を小さなものにできた。そして、そのために使われたのは…」

 

フィーネはゆっくりと手を上げ翼を指さした。

 

「まさか…」

 

「お前の歌だ」

 

翼はあの日、病室で奏が話してくれたことを思い出す。

 

(律叉は歌が好きだったんだ。だからいつも来るたび音楽聴かせてやってた。でもある日、翼の歌を聞かせてたら、今まで動きもしなかった律叉が一瞬、私の手を握り返してきたんだ。ビックリしたよ。偶然か、それとも翼の歌にはなにかあるのかわかんないけど、聞かせてる時ほんのわずかに反応を見せてくれる。どうやら翼の歌が好きみたいでな)

 

翼の頭の中で歯車が合致した。眠ったままの律叉が翼の歌を奏に聴かされて反応した理由、それは体内のFG式の機械がD計画のDNAをわずかながらにも活性化させていたのだ。

 

「そして身体が完全に再生し、意識を取り戻した後に天羽夫妻はなるべくアウフヴァッヘン波形から遠ざけていたが、天羽奏は知らなかったようだな。天羽奏の、お前の、立花響の、雪音クリスの歌に触れ続けたその結果がこれだ」

 

フィーネは拘束されている律叉を見た。拘束を解こうと抗い続けている律叉は内なる力をどんどん引き出し、目尻から始まったひび割れが、体中に広がっていた。

 

「この力が律叉の身体を侵食しつくした時、こいつは竜へと姿を変えるだろう」

 

「なに!?」

 

「身体の所々に見えるひび割れがその証拠だ。まぁ、先ほどこいつは死んだからな。今体を動かしてるのはただの破壊衝動だ。もうこれは、天羽律叉ではない」

 

「……くっ!」

 

律叉を何とかしなければと考えたその時、カディンギルが再起動を始める。

 

「まさか!?」

 

「そう驚くな……カディンギルがいかに最強最大の兵器だとしても、只の一撃で終わってしまうのであれば兵器としては欠陥品。必要がある限り何発でも打ち放てる。そのためにエネルギー炉心には不滅の刃、デュランダルを取り付けてある。それは尽きることのない無限の心臓なのだ」

 

その時、律叉がカディンギルのエネルギーに反応するように力を増大させ、フィーネの鞭を引きちぎった。

 

敵は二人。この場でまともに戦えるのは、もう翼だけだった。状況を考え、翼は覚悟を決める。

 

「律叉!」

 

翼が律叉の名前を呼んでも反応しない。フィーネの言う通り、もう「彼」は律叉ではなく聖遺物に宿る意思に身を任せて動くだけの「モノ」でしかなかった。翼は一気に接近し、律叉に刀を振るった。

 

切られる直前で気配を察知し、律叉は翼の刀を腕で防ぐ。律叉の顔には感情はなかった。

 

「…すまないな。あのとき奏を救えなかったのは私だ。君が復讐のために力を手に入れたのも、フィーネに敵対する理由を作ったのも、君がこうなってしまったのも、全部私の責任だ。だから…」

 

翼は一呼吸おいて律叉に言った。

 

「せめて………私がすべてを断つ」

 

翼は律叉を蹴り飛ばし、そのまま一気に切りかかったが、刀は腕で弾かれる。

 

(硬い!皮膚の強度が上がっているのか!)

 

律叉のパワーでまともに反撃を食らえば翼の身が危ない。翼は律叉に反撃させないために連撃を加える。

 

「はははは!自分の力不足で救えなかった相棒の弟をその手にかけるか!なんとも酔狂だな」

 

「…っ!」

 

翼はなにも言い返さなかったが、血が出る程唇を噛みしめ、悔しさに耐える。しかし、その翼の顔が瞳に写った瞬間、律叉は翼の刀を掴んで連撃を止めた。

 

「しまっ…!!」

 

「………するな」

 

「!」

 

「ん?」

 

「あいつを………殺すんだ…………………フィーネ………邪魔するな」

 

律叉が、言葉を介した。翼は驚愕する。まさかと思い、律叉に呼びかける。

 

「律叉……わかるか!?私だ!風鳴翼だ!律叉!!律叉!」

 

翼は必死になって呼び掛けるが、律叉はたいした反応はしない。

 

(なんだこいつ邪魔だ助けなきゃ立花響こいつだけはフィーネ殺す)

 

「邪魔だ!」

 

律叉は翼を吹っ飛ばす。

 

「くっ!律叉!」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

吹っ飛んだ翼に、律叉は思いっきり叫んだ。その叫びは地面を抉り、翼をさらに吹っ飛ばした。

 

「ほう、ドラゴンブレスか。いよいよ龍に近づいてきたな」

 

「……グゥゥゥ」

 

翼を吹っ飛ばした律叉は再度フィーネに突っ込んでいく。しかしその進行方向に翼が入り込んだ。

 

「律叉………」

 

「邪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「………っ!」

 

翼は律叉が目の前まで迫ったとき、持っていた刀を捨てて律叉の拳を胸で受け、そのまま律叉を抱きしめた。

 

「…」

 

そして律叉を抱き寄せながらささやくように耳元で翼は歌った。

 

「………………仰ぎ見よ太陽を 万の愛を学べ 朝な夕なに声高く 調べと共に強く生きよ」

 

(聴いてくれ、律叉。私の歌を愛してくれる人はたくさんいる。だがきっと、防人ではない私としての歌を聴いてくれるのは、貴方が最期かもしれないから。私の歌を好きと言ってくれた、あなただからこそ聴いてもらいたい)

 

「遥かな未来の果て たとえ涙をしても 誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして………」

 

「……ぁ」

 

翼の歌を聴いた律叉は完全に止まった。さらに身体に灯っていた炎は消え始め、ひび割れも元に戻り始めた。

 

「馬鹿な!?歌で暴走が逆に止まっただと!?どういうことだ!?歌はドラン族のDNAを活性化させる筈……」

 

「つ………翼?」

 

翼の歌のおかげか、時間経過によるものか、正気に引き戻された律叉は目の前にいた翼や周りの状況を見て大体を察する。

 

「ああ。私だ………。目覚めて早々悪いが立花のこと、頼むぞ」

 

「………ダメだ…行くな翼!翼!!俺が……ぐぁ!」

 

律叉は暴走で掛けた負荷が大きすぎたせいか、身体がボロボロでまったく動けなかった。翼を止め、自分がフィーネとの闘いに臨もうとしたがすぐに倒れてしまう。最後の戦いに臨もうとする翼も止められなかった。翼は律叉の静止を聞かず、フィーネの前までやってきた。

 

「待たせたな」

 

「どこまでも剣というわけか」

 

「今日に折れて死んでも、明日に人として歌うために……風鳴翼が歌うのは、戦場ばかりでないと知れ!!」

 

「人の世界が剣を受け入れることなど、ありはしない!」

 

フィーネは鞭を展開し、翼に向けた。

 

「受け入れてくれたものならば………」

 

翼は一瞬律叉を見た。

 

「ここにいる!!!」

 

翼は鞭を避けて飛び上り、更に追撃の鞭を脚部のブレードで弾く。そして懐が開いたフィーネに蒼ノ一閃を放つ。

 

「甘い!」

 

フィーネは青いフォニッスルを使用した。翼は青い波動を受けて墜ち、更に形体変化させたアームドギアの剣を奪われた。

 

「くっ……やはり一筋縄ではいかぬか…」

 

「ふん、玩具風情が。貴様一人で私を倒すことなどできるものか」

 

「だとしても……!」

 

フィーネは今まで見せたことのないフォニッスルを取り出し、キバットに奏でさせた。

 

「ウェイクアップ」

 

新たな笛の音色が響くと金色の波動が広がり、その光が翼から奪い取った剣に集束される。

 

「死ね」

 

「!」

 

フィーネが剣を振ると金色のエネルギー斬撃が翼を襲う。翼の蒼ノ一閃なんて比べ物にならないほどの一撃だった。翼はその攻撃を何とか回避した。

 

「くっ………」

 

「もう終わりだな………」

 

「まだだ………まだ終わってなるものか!」

 

武器を失って辺りを見回していた翼にフィーネは鞭を放った。翼はすぐに真横に飛び、そのまま一気に接近する。

 

「ええいちょこまかと!」

 

横から特攻してくる翼に鞭を振るったが、翼は紙一重で躱し、新たな剣を出現させ、懐に潜りこんで斬ろうとしたがその攻撃はフィーネが奪い取った剣で防がれる。

 

「くっ!」

 

翼は一旦距離を取り、フィーネの背後の上空に投げた。空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させる「千ノ落涙」を放った。

 

「そのような攻撃………」

 

フィーネは後ろを向いて鞭を回転させ、振ってきた剣を全て弾く。さらに翼は自身の真上に剣を投げ、自分も一緒に飛んだ。そして上空で剣を巨大化させ、それを蹴りながら剣と共に千ノ落涙を弾いているフィーネの背中に突っ込んだ。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

「隙を突いたつもりか!」

 

フィーネは使っていない鞭を自身の背後に網状に張り廻らせ、盾を三重に張る。翼の攻撃は盾で防がれる。しかし剣からもブーストを吹かせているため、完全に防がれても少しずつ動く。そして剣が完全に真上を向いたとき、剣を足場にそのまま真上へ飛んだ。

 

「初めから狙いはカディンギルか!」

 

フィーネは翼を止めるために青いフォニッスルを奏でようとした。しかし、そのフォニッスルを光弾が弾き飛ばした。

 

「!」

 

律叉だった。最後の力を振り絞ってアンクスのナックルで光弾を放った律叉は叫んだ。

 

「飛べ!風鳴翼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

(お前の歌、確かに聞き届けたぞ…)

 

「律叉………」

 

律叉の顔を最期にみて、翼は飛んだ。

 

誰よりも高く。

 

「あとは頼んだぞ!律叉!立花ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

その叫びに呼応するように、響は目を覚ます。

 

「…………翼さん?」

 

その直後、翼はカディンギルに突っ込んだ。発射間近でエネルギーを極限まで溜めたカディンギルは、翼の特攻でカディンギルは暴発した。発射機構が破壊され、行き所を無くしたエネルギーは爆発し、カディンギルの砲塔を完全に破壊した。

 

「あ………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

凄まじい爆発が起きると同時に律叉は瓦礫の影に響を引きずりながら隠れて衝撃をやり過ごす。爆発が終わり、そこには9割が崩壊してただの瓦礫の塔と化したカディンギルが残った。

 

「私の想いはまたも…」

 

辺りが静まりかえると、律叉と響は瓦礫の下から這い出てきた。響はカディンギの近くを見回しても翼の姿が見えないことに絶望する。

 

「ぁ……翼さん………」

 

フィーネは鞭を地面に叩きつけて八つ当たりする。

 

「ええい!どこまでも忌々しい!!月の破壊はヴァラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす。惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、うろたえ、そして聖遺物の力を振るう私の基に帰順する筈であった!痛みだけが、人の心をつなぐ絆!たった一つの真実なのに!それを……それをお前は…お前たちは!」

 

完全にキレたフィーネが律叉と響のもとに歩いてくる。律叉は響の前に立って構えた。

 

「ろくでもない計画ばかり立てておいて!ふざけんな!!」

 

『レ・レ・デ・ィィ』

 

『フ・ィ・ス・ス・ス・ト・オ・n』

 

ナックルをベルトに装填し、半壊したアンクスを律叉は無理やり装備する。

 

「そんな……こんな玩具もどきぃぃぃぃ!!!」

 

「うごぁ!」

 

フィーネは律叉を縛り上げて上に持ち上げ、地面に叩きつけることを数回繰り返したのちに思いっきり投げ飛ばした。

 

「うぉあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

律叉は瓦礫の山に突っ込み、そのまま力なく横たわる。

 

「忌々しい……憎たらしい!」

 

フィーネは響の頭を掴み、投げ飛ばした。響は力なく、されるがまま吹っ飛んだ。それから、フィーネはなぜか自分の過去を語った。誰かに知ってほしかったのか、自分の行いの正当性を示すためかわからないが、なぜか語ったのだ。

 

一通り話した後、フィーネは響の処分に移ろうとした。

 

「シンフォギアシステムの最大の欠点は絶唱使用時のバックファイア………融合体であるお前が絶唱を放った場合、どこまで負荷を抑えられるのか……研究者として興味深くはあるがもはやお前で実験してみようとは思わぬ。この身も同じ融合体だからなぁ…。神霊長は私一人がいればいい。私に並ぶものは、すべて絶やしてくれる」

 

フィーネは何も抵抗しない響に鞭の切先を向けた。

 

「そういえばあの男もそうだったなぁお前の後はあの男もこの怒りの分いたぶってから………ん?」

 

フィーネは律叉を投げ飛ばした方向を見た。しかしそこには律叉の姿はない。

 

「いない………?」

 

『仰ぎ見よ太陽を 万の愛を学べ』

 

その時、歌が、聞こえた。

 

「…っ!耳障りな、何が聞こえている!」

 

「立てよヒーロー!!!」

 

歌と同時に律叉の声が聞こえた。声の方向を響が見ると、そこには柱が折れた学校の校庭用スピーカーを担いだ律叉がいた。

 

「起き上がれよ!そして戦え!お前がいままで守ってきた命はここにいる!!だから立て!たとえその身が砕けても!俺はどっちつかずの半端ものでよぉ!慣れても自称ヒーローがいいとこだ!!けどな!そんな俺がヒーローになりたいって思ったのはお前が、お前らがいたからだ!お前の何かを護るっていう姿勢が俺を何度でも立ち上がらせた!その姿勢があったから!今ここに、歌がある!!!」

 

「歌………だと…」

 

その歌は、近くの森に、そして塔の上にまで届いていた。想いを込めた歌が、フォニックゲインをわずかにでも持っている学園の生徒たちの歌が想いに乗ってその場に響き渡る。

 

「聞こえる……みんな声が………良かった、私を支えてくれるみんな…いつだって側に…みんなが歌ってるんだ…だから、まだ歌える、頑張れる!戦える!!!」

 

響の眼に、闘志がもどった。身体は辺りに充満するフォニックゲインにあてられて輝き、その身には力があふれていた。

 

(そうだ…立て………立花響…)

 

「まだ戦えるだと!?なにを支えに立ち上がる…何を握って力と変える!鳴り渡る不快な歌の仕業か?そうだ……お前の纏っているものはなんだ…心は確かに折り砕いたはず…なのに、何を纏っている…それは私が作ったものか?お前が纏うそれは一体なんだ!?なんなのだ…!?」

 

その問いに答えるように、崩壊したカディンギルの上から、近くの森から、そして響から輝きが天に向かって放たれた。

 

「シィィンフォギアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

 

 

 

続く




次回、怒濤の最終回
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