戦姫絶唱シンフォギアTN   作:瑠和

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第一話です。一話ですけど原作の3話~4話くらいです。これ書いた時はまだ筆がうまく進まず文章が稚拙なところがあると思いますが、どうぞご容赦ください。
感想とか待ってます


第一話 A‐ncs

事件は、その日のノイズ討伐後に起こった。ノイズ討伐に嬉々として翼に駆け寄る響。

 

一緒に戦って欲しいという、純粋な願いを響は伝えた。しかし、翼の内心は響とは違った。響の手に入れたガングニール。翼にとってはそれは奏の力で、響が持つものではないと思っていた。他にも思いはあったが、それが一番大きかった。

 

「翼さん!私、今は足で纏いかもしれませんけど、一生懸命頑張ります!だから、私と一緒に戦ってください!」

 

「……………そうね」

 

その返事に、響の表情が明るくなる。ずっと冷たい態度を取られていたから不安だったのだ。

 

「貴方と私、戦いましょうか…」

 

翼は振り返ると、響に剣を向けた。響は困惑の表情を浮かべる。それが翼の答えだった。ぽっと出で、自分の相棒の力を使い、戦場というものを知らない響に戦場の厳しさを叩き込もうということだ。……いや、正しくは、それを言い訳に、響を叩きのめしたかったのだ。

 

「え………?そういう意味じゃありません!私、翼さんと力を合わせて……」

 

「わかっているわそんなこと」

 

「だったらどうして………」

 

「………私が貴方と戦いたいから」

 

まだ理解が及んでいない状態の響に、翼は容赦なく襲いかかる。当然本気だ。

 

狙いもつけず、『天ノ逆鱗』で響に突っ込んだ。響は動揺で動くこともままならず、そのままだと食らうかもしれなかった。だが……二人の間に割り込んでくる影が一つあった。風鳴弦十郎ではない。一人の青年だ。

 

 

「!?」

 

「!!」

 

「オラァ!」

 

その少年が出した技と翼の技がぶつかり合い、激しい爆発を起こした。ちょうどそこに到着した弦十郎が爆風を物ともせず、通信機を取り出して本部に連絡をとる。

 

「なんだいまのは!!なにか反応は!」

 

[これは……この反応は…アンクスよ]

 

櫻井が観測データをみて答える。

 

「アンクス……だとぉ!?」

 

連絡を聞いた司令が爆発で起きた砂煙が晴れていく現場をみる。指令は目を見開いた。

 

「………あれは……」

 

翼と響の間に立っていたのは、白を基調とした鎧を身に纏った紅い瞳の少年。年は、見た目翼と同じくらいだろうか。

 

「君は………」

 

「風鳴………翼…………」

 

少年は腰に装着されたベルトの中央にセットされているナックル形の武器を取って翼に向かって走り出す。

 

「かな姉の仇だ……死んでもらう!」

 

その言葉に対し、翼は何か気づいたようだった。

 

「………………君は…まさかっ!」

 

「はぁ!!!!」

 

少年は動揺して動けずにいる翼に殴りかかる。翼はその少年に僅かな見覚えがあった。あるからこそ、動けなかった。風鳴司令が止めに入ろうとしたが、それよりも早く止めに入った影がある。響だ。

 

「!!」

 

「響君!!」

 

少年は拳を途中で止めた。

 

「…………退け」

 

「やめてください!こんなの間違ってます!!!」

 

「………邪魔立てするなら貴様も殺す!!!!さっさと退け!!!!」

 

「嫌です!」

 

少年は歯軋りをしたかと思うと、とうとう本気で響に切りかかった。響は歯をくい縛って目をつぶる。

 

「はぁ!!!!」

 

二人の間にさらに弦十郎が割り込み、発頸で少年を吹っ飛ばした。

 

「!!」

 

「おじさま!?」

 

「司令!?」

 

「おおおっ!」

 

「なに!?」

 

さらに弦十郎は少年に追撃をかける。少年は空中で身動き取れない状況で弦十郎に強力なボディブローを食らい、気絶した。

 

「う…」

 

「やれやれ……なぁにやってんだお前ら…」

 

弦十郎は気絶した少年の腰に巻かれていたベルトを外す。鎧が消滅し、少年の顔がわかるようになると、弦十郎は驚愕する。 

 

「…君はっ!」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ー特異災害二課 医務室ー

 

 

少年は二課に保護され、今は医務室で寝ていた。いや、半ば拘束されている。その外で翼と響は櫻井了子の前で少年についての説明を聞いていた。

 

「了子さん、あの子はいったい…」

 

「…」

 

了子は黙ったまま少年のレントゲン写真を見ていた。

 

「いったいなんの因果かしらね………。彼の名前は」

 

「天羽律叉」

 

了子の説明より早く、翼が口を開いた。

 

「翼さん…」

 

「知っていたのね…」

 

了子の言葉に翼は重苦しく頷いた。

 

「彼は……奏くんの弟。翼と同い年だ」

 

「司令…」

 

歌緒の調査を終えた源十郎がちょうどそのタイミングでやって来た。弦十郎は三人に天羽律叉について調べてきたことを話した。

 

二年前、天羽律叉はあのライブの日に目覚めた。目覚めた彼を待っていたのは絶望だった。自身の両親と姉妹が死に、天涯孤独となったこと、事故から5年経過していること。

 

そして、律叉は目覚めたその数日後に行方不明になっていた。そして二年間一度も姿を現したことはないとのことだった。

 

「彼がこの二年間、どこにいたかはわからない。だが、我々の手から失われた兵器を手に、翼を奏君の仇として復讐にやってきた…」

 

「あの、ひとつ質問していいですか?」

 

「ええ」

 

響が気になっていたことを訪ねた。

 

「律叉さんがつけていたものって…」

 

「…シンフォギアとは別のノイズの対抗手段……「Anti-noise combat suit……アンクス(A-ncs)」」

 

「アンクス…」

 

「シンフォギアと違って、フォニックゲイン…歌を必要としないけどその分デメリットまみれでほとんど廃棄されたようなものよ。あのライブの日、念のため用意されてたんだけど、事故の時にネフシュタンの鎧とともに姿を消してしまったわ」

 

「それがどうして律叉さんのところに…」

 

「それは随時調査していくつもりだ。彼の二年間の足取りとともに。とても本人が話してくれるとは思えんしな」

 

弦十郎はベッドで寝ている律叉を見て言った。

 

「とりあえず、ここで軟禁兼保護しておくって形かしらね」

 

 

 

ー風鳴翼 自室ー

 

 

 

翼は弦十郎と少し話した後、自室へ帰ってきていた。翼の表情はとても良いものではなかった。

 

(二年の時を経て…私の前に現れたガングニール…それだけにとどまらずアンクスまで…。それに…律叉…。彼が私に殺意を…)

 

翼は壁を殴った。

 

「私は……」

 

今の彼女にとって、この現実は残酷すぎた。響が奏のガングニールを継いでしまったこと以上に、律叉のことが辛かった。自分の歌を好きになってくれてたかもしれない人物に、敵意を向けられたことが辛かった。

 

律叉に殺される覚悟はできている。実際、奏の死は自分の弱さが引き起こしたようなものだ。しかし、国を護る防人として、一振りの刃として今死ぬわけにはいかない。

 

二律背反のなかで色々な思いがぐちゃぐちゃになってもうなんだかよく分からなくなっていた。

 

「奏…私はどうしたら…」

 

 

 

ー2日後ー

 

 

 

律叉はベッドの上で目を覚ました。そしてすぐにベッドの脇に誰かが座っていることに気づく。

 

「残念だったわね。仇をとれなくて」

 

黒い衣装に身を包み、サングラスをした金髪の女性。その女性が歌緒に話しかけていた。律叉は少し意識が朦朧としていたが、全てを思い出して無理矢理身体を起こす。

 

「くそっ…なんだったんだあの男…」

 

「まぁ、仕方ないわ。あの男は完全に規格外だもの」

 

「次こそ……あいつを…風鳴翼を………俺が殺す」

 

律叉はベッドから降り、点滴の針を抜く。強い憎しみがこもったその瞳を見て金髪の女性はにやりと笑った。

 

「クスクス…その意気よ。ほら、持っていきなさい」

 

金髪の女性は歌緒にアンクスを装備するためのベルトとナックル、そして二課の解錠道具にもなっている通信機を渡す。

 

「…ああ」

 

歌緒は二課の病室から抜け出してエレベーターまで向かった。

 

 

 

ー商店街ー

 

 

 

一方そのころ、翼は一人商店街で出現したノイズを相手していた。

 

「はぁ!」

 

翼の一撃でノイズは炭と消える。人類の驚異とはいえ所詮はノイズ。歴戦の戦士である翼の相手ではない。

 

[ノイズの反応完全消滅。翼ちゃん、お疲れさまでした]

 

「了解しました。それでは、これより帰投しま」

 

「まて」

 

「!」

 

上から声がした。2日前に聞いたばかりの、頭から消したくても消えない声。

 

翼が声のした方を見る。ビルの上に人影が見えた。律叉だ。

 

「風鳴翼……今度こそ死んでもらう!」

 

歌緒がいつのまにか病室を抜け出し、翼のところへむかっていたことに二課人間が今になって気づく。

 

[そんな!どうして彼が…!]

 

「律叉…君…」

 

「いくぞ…」

 

律叉はベルトを腰に巻き、ナックルを右手に握り、左掌に押し付けた。

 

『レ・デ・ィ』

 

ナックルから電子音の声でカタコトのような「レディ」と流れると、警報のような音が鳴り響いた。

 

「やめろ!それを使ってはいけない!」

 

「変身!」

 

翼の制止を聞かず、律叉はナックルをベルトに装填した。

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

音声の後にベルトから三ツ又のエンブレムが出現し、それを頂として鎧、もといギアが展開され、律叉の全身を包んでいく。

 

「ふぅ…」

 

アンクスのギアを纏った律叉はビルから飛び降り、翼の前に着地した。

 

「今すぐそれを外せ!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

律叉は翼の言葉に聞く耳を持たず、翼に殴りかかった。翼は律叉の拳をうまく避ける。外れた拳が翼の背後にあったコンクリートを砕いた。

 

(紛い物とはいえ聖遺物を核として稼働している装備、パワーも高いか…っ!)

 

「はぁ!」

 

律叉はすぐに翼の方に向き直り、翼に向かって走り出す。

 

「……どうすれば」

 

[翼!]

 

攻撃を避けながらどうすれば良いのか考えていると、本部の弦十郎から通信が入った。

 

「おじさま!?」

 

[翼、なんとか周りに被害がでないように攻撃を避け続けるんだ]

 

「なにか案が?」

 

[…少々手荒だが、前回の使用時間を考えるとあと数分でアンクスはオーバーヒートを起こす。そうすれば強烈なバックファイアが生じて彼も止まるだろう]

 

「そんな!それでは彼が…」

 

[俺や翼の技で無理矢理止めるよりダメージが低いだろうという、了子くんの案だ…。他にあるまい……]

 

翼は律叉を見る。取り押さえるのにもこちらも無傷とはいかない様子だ。

 

「風鳴翼ぁぁぁぁぁ!」

 

「……それしかないのか…」

 

そのとき、律叉に背後から誰かが飛び付いて律叉を制止させる。

 

「!?」

 

「やめてください律叉さん!」

 

遅れながら合流した響だった。

 

「立花!?」

 

「お前は…」

 

「奏さんが死んだことは……翼さんのせいじゃないです!!もうやめてください!」

 

「………っ!黙れぇぇ!」

 

響の腕を振り払い、投げ飛ばした。

 

「翼が……こいつが絶唱を歌えばよかったんだ!!奏姉より適合率の高いこいつが………」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

感情のままに叫んでいた律叉だが、突然悲鳴と共に小さな少女が路地裏から飛び出してきたことには気づく。そしてその後ろからはノイズが追いかけてきている。

 

「ノイズ!?打ち漏らしていたか!」

 

[ノイズ反応観測!たった今発生したものです!]

 

どうやら先ほど発生し、翼に倒されたノイズから身を隠していた少女のところに新たに現れたようだ。

 

「くっ!」

 

今にも少女が襲われそうになった時、翼や響よりも先に律叉が少女の前に立った。

 

「オラァ!!」

 

律叉はノイズに殴り掛かる。拳が命中するも、ノイズは一部炭化したがすぐに再生した。威力が足りていない様だ。

 

「クソ!うら!ウラ!オリャアァァァ!!」

 

律叉はさらに二発、三発と連撃し、ようやく一体のノイズが消滅させることができた。

 

「何やってんだ!早く逃げろ!」

 

少女は怯えながらも小さくうなずき、走り出したがすぐに転んでしまった。

 

「…っ!あの子の保護は任せるわ」

 

「ええ!?あ、はい!」

 

翼は響に少女の保護を任せ、ノイズに向かって走った。響もあわてて少女の元へ行く。

 

「大丈夫!?さぁ、行こう!お姉ちゃんがついてるからね!」

 

「うん!」

 

そしてノイズ一体に手間を取られている律叉が肉弾戦で一体一体処理をしていると、辺りのノイズが無数の蒼い刃に貫かれ、消滅した。

 

「な…」

 

「その装備じゃ危ないわ。下がっていなさい」

 

「…なめんな」

 

二人はノイズの群れに立ち向かった。翼は剣での戦闘を行うが、律叉のアンクスは基本的に格闘のみだ。さすがに効率が悪いと判断した。ベルトにセットしてあるナックルを外し、それを遠くにいるノイズに向けた。

 

ナックルからは電磁光弾が発射され、ノイズを消し飛ばした。

 

(こっちの方が効率がいいが……バッテリーの消費が…)

 

どう戦うべきか悩んでいる隙を狙われて律叉は特攻してくるノイズへの反応が一瞬遅れた。

 

一方翼は思ったよりも数の多いノイズをどうしようか考えていた。正直ノイズごとき大した敵ではない。しかしここ最近、心身とも疲れ切っていた翼にとって二連続の戦闘は中々辛いものがあった。

 

(大技でまとめて倒すこともできるが、それでは街への被害が大きくなる…)

 

そこに、ノイズにふっ飛ばされた律叉が転がってきた。

 

「律叉君!?」

 

「ぐ…ぁ………」

 

ノイズに顔面に特攻され、強く頭を打ったのか脳震盪を起こしているようだった。

 

「くっ……」

 

アンクスという未完成の力でノイズに立ち向かった結果がこれだ。だが、彼が今ここでこんな危険な力で戦っているのも、この場にいるのも、原因を辿れば自分のせいだ。

 

翼は律叉を抱えて、ビルの上に飛んだ。

 

「律叉君!!しっかりしてくれ!」

 

「…」

 

なんとか意識を戻そうとしたが、律叉は起きない。そうこうしているうちにノイズがビルの上に登ってきた。

 

「……このままでは」

 

律叉を置いたまま戦うことはできない。どうするべきか考えていると、自身に起きている変化に気づく。持っている刀が光を灯っていたのだ。

 

「これは…?」

 

光を灯している刀からは力を感じる。よく見ると律叉の胸にも光が灯っていた。心を静かにして力の流れを感じると、この力は律叉から流れてきているものだとわかった。

 

「……なんだかよくわからないが…はぁ!!」

 

律叉を抱えたまま変形をさせていない天羽々斬のアームドギアを横に振った。すると自身の前にいたノイズが一気に消滅した。

 

「只の一閃でこの威力…明らかに威力が上がっている……これは、彼は一体…」

 

考えるのは後にした。翼はビルから飛び降り、近くにいるノイズに剣を振った。先ほどと同じ様に敵は一気に消滅する。律叉から受け取った力ですべてのノイズを討伐し現場には炭化したノイズだったものが辺りに散らばっていた。

 

少しすると律叉が目を覚ます。

 

「……」

 

「起きたか?」

 

目を覚ました視界の先には翼がいた。

 

「律叉君…君は…」

 

「うぐ!」

 

翼が話しかけようとした瞬間、律叉のアンクスが全身から蒸気を噴き出し、ベルトからは警告音が練り響いた。

 

「く…そ……っ!」

 

「大丈夫か!?」

 

タイムリミットが来たのだ。律叉はバックファイアに苦しみながらも笛のようなアイテムを取りだし、ベルトに挿入した。

 

『ア・ン・ク・ス・ナ・ッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ』

 

そしてエネルギーが充填されたナックルを取り、地面に向けて攻撃を放った。

 

「くっ!」

 

律叉はそれによって発生した土煙に紛れて、その場を離脱した。現場には、翼だけが残された。

 

「律叉君…君は一体…」

 

 

 

 

続く

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