Fate stay night [Delusion version] 作:抜殻
目標は完結させる事!
死の一撃が、迫る。衛宮士郎が、これまで培ってきたもの全てを砕く力。圧倒的な力の前に、衛宮士郎は何も出来なかった。
(俺は、ここで死ぬ。間違いなく。)
衛宮士郎は、生きる事を諦める。もはや脳裏には、走馬灯の様に過去の記憶が流れている。あの、衛宮士郎が全てを失い、一度死んだ業火の夜。...切嗣との出会い。そして、約束。その記憶が、衛宮士郎に再び生きる気力を与えた。
(死ぬだと!?ふざけるな!こんな訳も分からずに?俺は!まだ!)
「切嗣との約束が、残っている!護ると!決めたんだ!」
最後までの抵抗は、全くの無意味であった。衛宮士郎がいくら吠えても、状況は変わらない。打ち込まれた拳は、容易く衛宮士郎の心臓を穿ち、命を奪うだろう。だが、その抵抗が、激情が、体内の魔力を燃やし奇跡を起こした。
突如光に包まれる土蔵。そして、
「ぬっ!」
衛宮士郎を襲っていた赤き刺客が、蔵の外へと飛び出る。そして入れ替わる様に、1人の女性が衛宮士郎の前に立っていた。月光が差し込み、褐色の肌に白い髪を照らし出す。そして、強く、決して折れない芯を持つ声が、衛宮士郎に問いかける。
「問おう。貴方が、私のマスターか?」
月下の邂逅。衛宮士郎には、まるで飲み込めない状況だが、見惚れていた。彼女の目に宿る、逆境をも弾く強い意志に。そして誰かも分からない自分を助けてくれた事に。
「...これより我が誉れは、祖国と、貴方を護る事にある。ここに、契約は完了した、我がマスター」
彼女の僅かな微笑みは、今まで見た誰よりも、優しさに満ちていた。
×
召喚の、呪文を紡ぐ。失敗は許されない。自身の魔力の波長が最も良くなる午前2時に合わせて、召喚を行う。触媒は用意出来なかったが、私の魔力量なら問題無いだろう。必ずセイバーを召喚してみせる。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
________告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
(来た!最高の召喚!これは手応えがあった。間違いなくセイバーを引いたはず。)
最高の状態で、最高の召喚が出来たマスター、遠坂凛。魔力の流れによって、一時的に視力を閉じていた彼女が、最初に見た人物は...
「あぁ!?てめえが、俺のマスターかぁ!?」
ヤンキーの様な口調で喋る、長身半裸の男だった。
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