Fate stay night [Delusion version]   作:抜殻

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セイバー召喚

「何なのよ!もう!」

遠坂凛は、衛宮邸へ急いでいた。出発した直後、正体不明のサーヴァントとマスターに襲撃されたが、お互い特に傷を負う事もないまま、敵は後退していった。ただ私たちをほんの少し足止めするだけの様な戦い方だった。

「このままじゃ間に合うかどうか...」

アーチャーの言い分だと、急いで向かってやっとだったと言うのに、無駄な時間を食ってしまった。

「すまねぇ凛。俺の落ち度だ。俺がさっさと伝えてりゃ...」

「気にしないで、アーチャー。もし間に合わなくても、仕方のない事だった。この戦い、一般人が巻き込まれるのはしょうがない事でもあるわ。衛宮くんには悪いけど、助けられなかったとしても巻き込まれた彼が不運だっただけ」

遠坂凛も、魔術師である。必要なら人を殺す覚悟も持って、この戦いに挑んでいる。たとえ手遅れだったとしても、彼女はそれを理由に危険を冒してまで仇を取る、などという事はしないだろう。

「でも、私とアーチャーには責任があるわ。出来るなら、仇は取ってあげる」

最後のサーヴァントがいる事も知らず、ただひたすらに街を駆けていった。

 

×

 

「問おう、貴方が私のマスターか?」

いきなり現れたこの女性は、まず最初に俺に話しかけてきた。褐色の肌に白い髪、頭にはターバンを巻いている。凛とした顔立ちの彼女は、女性でありながら軍服がよく似合った。

「マ..スター...?」

だが、言ってる事は理解できない。マスターとは何だ?一体俺は、何に巻き込まれたんだ?

「...これより我が誉れは、祖国と、貴方を護ることにある。ここに、契約は完了した」

だが、一つだけハッキリしている事があった。彼女は、俺を守ってくれた。殺される直前だった俺を、助けてくれた。

「さて、まだ敵は残っている。すまないがマスター、治療は後回しだ。ここでおとなしくしていてくれ!」

「なっ、待て...」

こちらの制止も振り切って、彼女は土蔵の外へ飛び出していく。まさか...奴と戦うつもりか!?痛みで、動く事もままならないが、壁にもたれながらヨロヨロと立ち上がり、土蔵の外へと出る。そこでは、昼間に見た様な想像を絶する人外の戦いが繰り広げられていた。

彼女の武器は、サーベルと装飾の施されたライフルである。銃を持つ彼女と、徒手空拳の敵とではこちらに大きく分がある様に思えた。実際敵は、距離をとって弾をかわしている。しかし、銃には当然ながら弾数があり、それが尽きれば装填しなければならない。敵は、その隙をついてくる。

が、これはあくまできっかけに過ぎない。双方共に、このタイミングを待っていたのだ。敵は何と、10メートルはあろう距離を、たった二歩で詰めてきた。その勢いのまま、拳を打ち込もうとするが

「甘いぞ!」

彼女はサーベルで応戦する。敵からの位置では、あのサーベルは体で隠れて見辛いはず。敵は攻撃から回避に移るが、少し入り込み過ぎていたのか、受け流しきれずにわずかに傷を負った。刃先数ミリ程の浅い傷ではあるが、あの敵にも攻撃が通るのか、と感心せずにはいられなかった。

「ふむ、この一撃は分かっていたが、銃を意識し過ぎた様だ。まさか、あの状態から応戦が間に合うとは。さすがセイバーは伊達ではないか」

「そちらも、凄まじい体術だ。よほどの武術家なのだろうな」

「だが、ある程度の実力と、その剣の長さは把握した。儂の一撃を凌げるかな?」

敵は、大きく踏み込み地面を揺らす。構えを整えた敵には、素人の俺でも分かるほど隙がなかった。全身から放たれる殺気。彼女に、あの敵を倒せるだろうか。

違う!俺は何を他人に任せようとしているんだ。俺も、戦わなくては。この体でも出来ることを...。

カラン!カラン!突然の鐘の音に、この場にいた全員が反応した。今のは、この家に誰かが侵入してきた時の音で、家の塀の上、丁度中庭が見える位置に、来訪者は立っていた。

 

 

 

 

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