ダンボール戦機 絶対零度の闘士   作:超甲形巡洋艦

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とある剣の盗品

═パラダイス外周通路════

A・アーサーはデクーOZと戦闘するイカロス・フォースの援護に入っている。ヒノはヒロとの連携も考えバンの戦い方を参考にしながら戦っていた

 

「ここはどうかな?」

 

ヒロの攻撃の隙間を縫いデクーOZにロンゴミニアドを突き出す。なるべく攻撃の隙を与えない、ヒロへの攻撃をカバーするように立ち回る

 

「ハァァァ!!!」

 

二振りのフォースブレードを合わせ振り下ろす。デクーOZは攻撃をOZシールドで受け裁きながらOZトマホークで反撃する

 

「もうすぐだ・・・もうすぐで完成する!」

 

まだサイクロップスAIは成長途上で本来の力を出していないにせよそんじょそこらの制御装置を遥かに上回る高性能AIだ。それに風摩キリトのテクニックが合わさり三機同時操作でこの猛者達を相手にしても一歩も引いていない

 

 

そしてバンの戦い方は危な気が無い。無理の無い攻めで確実に相手を崩しに行っている。定石的な戦い方だがイカロス・ゼロの性能とその性能を引き出す巧みな槍捌きでジョーカーKCに確かなダメージを蓄積させる

 

 

 

一方スルガはムーンと戦闘中、オーバーセンスは使わず己の技量のみで戦っている。二人はお互いをよく知っている。それもあって有効打がなかった

 

・・・今、風摩キリトもうすぐで完成とか言ってたな。サイクロップスAI強奪の警戒もしないと。出来ればゼウスは完成させたくねえし

 

朔と天叢雲で鍔迫り合い。しかし一瞬合わせただけでお互いに退く。鍔迫り合いを引き込んで別手で倒すのは二人が多用する戦術だからだ

 

やっぱ鍔迫り合いには乗ってこない。なら次の手を

 

シャルナックがグレネードSを投げて牽制、からの

 

アタックファンクション

ブリッツフレイム

 

二筋の火の刃をグレネードの爆炎の向こうへ振りかざす

 

アタックファンクション

ドリルスラッシャー

 

しかし、ムーンはグレネードの爆風をドリル状に形成されたエネルギーで身を守りながら突撃してきた。途中で起きる必殺ファンクションの衝突は相殺され制御から離れ行き場を失ったエネルギーは爆発へと変わる

 

スルガはその爆炎から距離を取った。ドリルスラッシャーと言う技の性質上ムーンは爆炎の中に居たはず・・・ヤバッ!?痛ッッ!!

 

シャルナックの後から朔が突き立てられかけた。ギリギリの回避で致命傷は避けたが左腕が根本から切断された。その痛みでスルガが大きく怯む。咄嗟にシャルナックが自立操作でスルガの怯みをカバー、そのままムーンと斬り結ぶ

 

 

傷口が熱いッ!!あっ!まずい制御が・・・シャルナックが肩代わりしてくれたか。グッ、済まねえ

 

心配無い。私もルナを見てきた。少し休んで居ろ

 

腕を切り落とされるなぞ久し振り。咄嗟のことでシンクロ深度を下げることも叶わず、更にオーバーセンス一歩手前で常時ディープシンクロを保っているスルガにとっては自分の腕が切り落とされた以上の激痛となる

 

その後はシャルナックは震斬に持ち変えて片手のみでムーンの攻撃を捌く。それを見たイカロス・フォースがデクーOZの相手をヒノに任せて援護に駆け付ける

一時的にムーンの相手をしてくれスルガはその隙に態勢を立て直す

 

「大丈夫ですか?スルガさん!」

『痛いけど平気だ。それより助かった』

「今のスルガさんは病み上がりも良いとこです。無理せず下がってください」

『・・・悪い。それは出来ない注文だ。ソルジャー!分取り品を投げ入れてくれ!』

 

シャルナックが背中の電磁拳銃二丁ともう一振の震斬を射出、格納スペースを空にした

 

そしてソルジャーがスルガの体でフィールドに黒い何かを投げ入れた。それは綺麗にシャルナックの格納庫に収まり、スルガはその四つの黒い物とシャルナックをリンクさせた

 

『さて、痛みも慣れた。仕切り直しだ!』

 

少し迷ったがオーバーセンスの領域までシャルナックとシンクロ、それに増して痛みも倍増するが気にも止めなかった

 

「退いてくれ!ヒロ」

 

少し助走をつけるシャルナック、イカロス・フォースの後から直前まで剣を交えていたムーンにジャンプ、回し蹴りを繰り出す

ムーンは回し蹴りを迎撃する姿勢、フォースブレードを投擲して迎撃を妨害

回し蹴りはムーンの胴体にクリーンヒット、両足と右手の三点着地、直ぐに間接を駆動させムーンに飛び掛かる

後に飛んで避けようとするムーン、スルガは飛距離が足りないことを視た

 

「スルガ!危ない!」

 

ん?ヒノ?・・・デクーOZか!

 

シャルナックが振り返ると丁度赤い軌跡が自分に振り下ろされる。咄嗟にその場から移動、ムーンに退避場所へと先回りされる。だが左腕が無くバランスの崩れた体を制御しながらムーンを紙一重で躱した

 

しかしシャルナックを歪な赤い球のようなエフェクトが包む

 

これの視え方はグレネードッ

 

左に飛ぶ。その瞬間ムーンがグレネードを投げた。しかも飛んだ先にOZトマホークが投げ込まれる

 

本気のヒノ捌きながらよく俺に構ってられるなッ

 

グレネードが起爆した。爆炎でOZトマホークの軌道も見えなくなるが既に回避できる位置には居る。次はムーンムーン次第だ

 

一瞬だけ少し元の体と繋がりフィールド全体を目視で把握するすると言う何気に高度でバレないズルを実行

 

ハカイオーKC対ヴァルキュリア

狙撃でキャタピラを切断したためヴァルキュリアが優勢のようだ

ジョーカーKC対イカロス・ゼロ

あの独特な鎌からダガーへと持ち変えていた。まあ相手がダガーならアミやヒノ相手に勝ち越してるし問題無かろう

そして問題はここから。デクーOZ、ムーン、イカロス・フォース、A・アーサーと自分の乱戦だ

それだけを把握してシャルナックに意識を全て移した

 

 

さて、震斬じゃちょっとこの乱戦はきついか。近くに電磁拳銃はと・・・あったあった

 

電磁拳銃を拾い上げて着剣、乱戦状態のフォースとA・アーサーへの援護射撃を始める

 

「取れてないデータはお前だけだ!河白スルガ!」 

 

キリトのターゲットがこちらに向く。確かに、この場に居てまともにバトルしていないのは後スルガだけである

 

そしてもうサイクロップスAIも完成に近いのだろう。キリトのLBXの動きの精度がさっきからどんどん上がっていた。その裏付けにオーバーセンスで視える攻撃の未来が一度に二つになる位には早くなっている

 

 

『チィッ!ヒノ、ちょっと正面戦闘任せたい。ッ痛!』

 

 

電磁拳銃を撃ちながら後退、しかし至近距離で単純に攻撃の回避が間に合わず今度は右腕が切り落とされた

 

「ごめん!間に合わなかった」

『痛いけど良い。まだ戦えるだけの力は残してある』

 

シャルナックの格納部が開く

 

 

「スルガさん!後ろ!」

 

 

振り返るとすぐ近くまでムーンが迫っていた。スルガにとれる選択肢はそう多くない

 

そして、朔が背中に突き立った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シールドビット』 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムーンの持つ朔が背中に突き立てられかけたその時、紫の三角の膜がシャルナックの背中を護ったのだ

 

「それって、パリの敵が使ってた・・・!」

 

『それ次だ。ソードビット!』

 

そしてデクーOZの背中に剣が突然出現、右膝裏に刺突し機動力を奪う。そして攻撃の運動エネルギーを失ったタイミングで盾を解除、ムーンを蹴り飛ばした

 

『ぶっつけ本場にしては上々か』

 

シャルナックの回りをソードビットが周回する

 

『ヒノ、ヒロ、援護する。存分に戦ってくれ』

 

シャルナックが踵を返して距離を取る。それを追尾しようとしたデクーOZだがヒロに阻まれ追撃不能

ムーンは蹴り飛ばされた後A・アーサーの攻撃を受ける。致命傷は与えていないがそろそろ拘束してルナを解放しないとムーンが壊れてしまうだろう

 

ひとまずデクーOZ、ムーンを見ながら四機のビットをリアルタイムで増減させる

 

デクーOZ相手にはその回りをうろちょろさせキリトの気を散らせる。積極的な攻撃に出ても良いが右膝裏の損傷しているし、何より今のキリトなら容易に叩き切れるだろうと言う判断だ

 

そしてムーンは戦いの主導権をA・アーサーに握られていた。ソードビットの妨害によりいつものような変幻自在な機動が阻まれているのだ。

それにA・アーサーは聖剣エクスカリバーではなくその辺に落ちてた震斬を使っているのもありムーンの動きに完璧に対応している

 

『ヒノ、ムーンを止めるぞ。何とか地面に倒してくれ』

「難しいね・・・心得た!」

 

シャルナックは高台に立ちビットの制御と戦況把握に徹する

 

『ラン、もうちょい力抜け。攻撃に夢中だと足とられるぞ。バン、もうちょいこっち寄って?そしたら俺からの支援範囲に入る』

 

 

他の二機にもソードビットを飛ばす。ハカイオーKCのもう片方のキャタピラ、ジョーカーKCの胴体を後ろから突き刺し装甲に傷をつけた

 

スルガがパリでリフィルス・クロウドのLBXトルークビルトから鹵獲した壊れていないソードビットを解析、修理や製作は出来ないものの使用するだけなら可能としたのだ

ビットは各機相手に猛威を振るう。オーバーセンスの未来視がまだ操作に慣れきっていないのが誤差でしかない

 

「スルガ、そろそろ決めるよ!」

『りょ。三人とも、一度援護外すぞ。どの程度ダメージ稼いだ?』

「かなり傷付いてる。あともう一押しで撃破できるかな?」

『了解』

 

ムーンの回りを四機のビットが飛び交う。A・アーサーへの攻撃をシールドビットで防ぎもう一本は常に攻撃に回る。少し制御に小馴れてきたスルガ、更に畳み掛ける

 

A・アーサーと攻撃タイミングを完璧に合わせて系六本の刃を同時にムーンに叩き付ける

 

同時攻撃の衝撃でムーンが地面に仰向けに倒れる。スルガはすかさず手の平と足先にソードビットを突き刺し地面に縫い付けた

 

 

『済まねえヒノ、後は俺の役目だ』

 

 

道を開けるA・アーサー、その横を通りすぎるほぼ満身創痍のシャルナック、地に膝を付き頭をムーンの胸元に近付ける

 

 

そして、この勝負を外から眺めてる視線には、知っているスルガ以外気が付くことも無かったのだ

 

 

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