═移動中═════
またまた記憶媒体をアブソリュート・ゼロで完全破壊、流石のミゼルも分子レベルで崩壊しその辺に蒔く。砂になった物はミゼルでもハッキングも解析も出来ねえだろ
「これでよし。ルナ、ヒノ、Nシティの状況、何か続報は?」
「少しづつNシティの外経由でとられたっぽい写真や動画が上がってる位かな?」
「バンやヒロに送ったメールも届いてないね。何も出来ないとなると、歯痒い」
「向こうは向こうで何とかするだろ」
恐らくNシティではベクターが大暴れしてたはず、それにこっち(日本)のブルーキャッツに現れたところを見ると偶然初期消火に成功したか・・・それともレックスの実力を測る為の偵察かこちらの出方を見るための囮?どれも確証は持てない。ただ三機で次々LBXをゴーストジャックしていっても増える数より減る数の方が早そうな物だし、偵察や撹乱と見るのが自然か?
「スルガ、用意できたよ!ソルジャーとシャルナックとスルガの無人機も回収した」
「他のLBXも持った。準備完了だ」
「よし。俺達もタイニーオービットに向かうぞ」
レックスの車でタイニーオービットに向かう。その間で情報収集を続けたが散発的な被害写真が出てくるのみで具体的な被害状況は分からず、連絡途絶状態はバン達がゴーストジャックで暴れたLBXやベクターを掃討するまで終わらないかもしれない
「スルガ、これまでのことをどう見る?」
「かなり大規模な組織が動いてる。こんなLBXを製作して少なくともNシティであれだけの騒動を起こせる数を量産、どこかの大国っていうのもあり得るな。個人的には・・・パリの犯人が怪しいと睨んでる」
「パリって、あの犯人はスルガが・・・」
「あいつはいつかの海道と同じアンドロイドだった。バックアップがあっても不思議じゃない」
待っていればミゼルが向こうから出てきてくれるのでそれを待つ事にしよう
「ここでも同じこと、起きるかな?」
「レックスが撃破したから良かったものの、ここもNシティのようになる可能性も合った。まあレックスのとこに現れた辺り情報収集かも知れないけど。ただなんにせよ触れられたらゲームオーバーとか、どんなクソゲーだよ。レックスは触れられなかったの?」
「いや、触れられたがすぐに反撃した。一瞬では不十分なんだろう」
「まあ、普通そうだわな。あと手のひらじゃないと駄目だろうし」
「そう考えると・・・以外とやりようはある?」
「ハッキング狙ってくるなら隙生まれるだろうし、触れる間も無く殺ればいい」
「それか奇襲して頭落とすか、かな?」
「ムーンの戦い方ならそうなるな。でも制御機能が全身に散らされてる以上頭落としも動くかもな。まあ蒴と天叢雲なら間接狙えば切り捨て可能よ。エクスカリバーだと・・・ちょい切れ味足らないかな」
切れ味や貫通力特化級の二振なら十分可能、それがスルガの解析結果だ。エクスカリバーでは刀身の厚みの関係で難しいだろう
そうこう会話する内にタイニーオービットへ到着、すでに大分の荷物は搬入された跡でスルガは先に研究室へ向かいベクターの更なる解析を結城さんに依頼、ハッキング能力の事も伝え外部ネットワークとは物理的にも隔絶された場所で解析が始められる
それを聞いてスルガもシーカー本部へ向かった
═タイニーオービット社 シーカー本部═════
既に拓也や霧野秘書によりシーカーの設備は既に再起動されており直ぐに再稼働を始めた
「拓也さん、早速で悪いんですが少し相談が」
「ん?どうした?」
「ちょっとレックスが撃破したLBXに対応するためのLBXを作りたくて」
「お前の見立てなら機龍やシャルナックでも大丈夫だと想うが?」
「まあ、強さはそうなんですが・・・何せフルリンクシステムを搭載したあの三機がハッキングされると自分になにが起こるのかちょっと予想も付けられず」
「成る程、設備を使う分には構わないが・・・まて、トリトーンにフルリンクシステムを搭載してなかったか?」
「いえ?トリトーンに常設するとサイバーランスに秘密が漏れる可能性があるので今はついてないです」
「ならいい。ならフルリンクシステムを取り外したら駄目なのか?」
「うーん、考えたんですがね。まず三機には明確な自我があるので取り外したらどういう動きをするか分からないのが一つ目、仮に別のバックアップを用意してそこに入れたとしても俺への危険性は変わらないし、奴らの自衛にも繋がるのが2つ目です」
「そうか。スルガ、例のLBXのハッキング対策は?」
「電磁波を遮断する特殊なコーティングを施すことで対応可能だとは思うのですが、そのコーティングをどうやって作れば良いのやら・・・ですね」
「これから考えることか」
スルガが開発室に足を向けようとした時だった
「NICSとの回線が回復しました!映像出ます!」
『良かった・・・カイオス長官、通信回復しました!』
『シーカーの諸君、現在Nシティの各地でLBXが停止、一時的だが落ち着きを取り戻した』
「カイオス長官、早速で悪いんですが他の連中は?」
『本部に居ますよ。日本は大丈夫ですか?』
「その声ヒロか?ああ。こっちは偶然だが初期消火に成功したっぽい。それでなんだが街中で黒に緑が入った黒いLBXを見なかったか?」
『これの事か?』
山野博士が映像越しでベクターを写す。間違いない。ベクターだ
「間違いない。同じだね」
「ああ。こっちはブルーキャッツに出てきてレックスが撃破した。妙なハッキング能力を持っていたろう?」
『日本にも出現したのか?』
「はい。スルガとシーカーの解析結果ですが、手の平の器官でコンピューター制御機器に触れるとハッキングすると」
『ああ。こちらでそのLBXをベクターと名付けた。その現象についてはゴーストジャックと呼んでいる』
「ベクター、蚊と同じか」
『スルガ、俺とヒロがベクターを使役していたような謎の少年と会ったんだ』
「謎の少年・・・名前は言ってたか?」
『ミゼルって』
「そいつの写真は?」
『スルガ君、君もオメガダインの資料を目にしたろう?それについていた廃棄予定のアンドロイドの写真も』
「ええ・・・まさか」
『そのまさかだ。その少年はそのアンドロイドに酷似していた。元となった人物、或いは裏で動いている何かがある』
「ミゼルか・・・またパリの連中が事件を起こしている可能性もあります。自分はシーカーとこっちで色々します。皆、そっちは任せたぞ」
『任せてくれ。こっちはこっちで何とかしてみせよう』
「ジンか?丁度いい。ゴーストジャックがどんな影響を及ぼすか分からん。お前フルリンクシステム使うなよ?積みもするなよ?」
『外したのは君だろう?』
「一応な。そっちはこれからどうする?」
『』
「了解、こっちで出来ることがあれば何なりと。それと皆、数時間前、パリで俺らが乗ったステルス司令母機、エクリプスが失踪した。恐らくミゼルの仕業と推測する」
『エクリプスまで!?』
「ああ。飛行中のエクリプスを捕捉するのは至難の技、レーダー探知はほぼ不可能に近い。もしかしたらNシティに飛来してくるかも。カイオス長官、空軍の出動も打診してみてください・・・エクリプス相手にどこまで通じるか分かりませんが」
『分かった。軍に忠告しておこう』
これでA国の方は初動は終わりか。エクリプスって言う足が無い以上下手に日本からも出られないな。取り敢えず対ベクター用のLBXとハッキング対策のコーティングの開発に入るか。太平洋はさんで対岸の火事の内に対策を練らねば
═レベル4研究室════
「結城さん、ベクター、黒いLBXの解析どうですか?」
「君やシーカーが調べたこと以上は出てこなさそうだ。申し訳無い」
「いえいえ・・・バン達がNシティの奪還作戦を決行するそうです。その間に俺の新作とハッキング対策を形にせねば」
「ハッキング対策の方は検討をつけているのかい?」
「一応電磁波を遮断するようなフィルムもしくは塗装をすれば可能かと・・・ですが試作を盗られて対策されたら元も子も無いので慎重に行かねば」
「後スルガ君の新作と言うのは?LBXかい?」
「ええ。パリの犯人が使ってたビットの解析が終了、再設計まで可能になったのでそれを利用したLBXを製作します。後々の試作も兼ねてるのでこいつでハッキング対策の試験機としようかと」
「設計図はあるかい?」
「有ります。ですがコアスケルトンまで新設計からカスタマイズしてると時間かかるのでソルジャーと同型品の改造で済ませます。対策を盛り込むので一部素材は変更するでしょうが」
「これは・・・君の設計かい?」
「いえ、山野博士が設計していたオーディーンの後継機、イプシロンです。設計変更と改造を加えて新たなLBXとして誕生させます」
「でもこんなデータを何処から?」
「エンジェルスターと海道邸、旧イノベーター研究室に泥棒に入りまして、山野博士の研究データをいくつか頂戴してきました。いえーい」
「ええ・・・」
引き気味な結城さんを差し置いてスルガは改造の準備を開始する
「あ、そうそう。結城さん、これここの技術で作れる?」
「どれどれ・・・これは君が設計したのかい?」
「はい。こっちはパリの事件を起こした奴の武装をベースにして再設計しました。攻撃以外でも色々出来ますね」
「ハッキング対策を盛り込むと重さも増える。確かに良い案だね」
「後は素材ですが電磁波遮断シートをアーマーフレーム表面に塗布するような感覚で作れないかと」
「分かった。製作を開始しよう」
アーマーフレームを結城さんに任せスルガはカスタムビルドファクトリーを開きコアスケルトンの改造に着手していた。コアスケルトンにも外装はあるのでそこにもコーティングを施す
「へー、これが新しいLBX?」
「おう。LBXイプシロン、元は山野博士がバンの為に用意していたものだ。それを勝手に利用させてもらった」
「カラーリングは変えるんだね」
「どっちかってとハッキング対策の都合上な。試作兼試験機だから次々色々しなきゃいけない中で塗装はちょっとめんどくさいし塗料も黒、灰色だし、都市迷彩、UC( urban camouflage)とでも付けておこうか」
「こっちの色だと凄くスルガっぽい」
「確かに。ヒロイックさは無くなったけどその変わりに実用感が出てきて凄くスルガっぽくなったね」
「さてと、武器どうするかなんだよな。マルチギミックサックにしても良いけど強度が不安だし、普通に刀か。震斬ベースで高周波ブレード作ろ。サブは・・・無難に両手単発か狙撃銃かなぁ?あのLBX相手の固さならいっそバズーカでも」
「電磁狙撃銃もう一丁作れば?」
「それが無難か」
「それならオススメが有るよ。まだ試作段階だけど威力は保証する」
結城さんが声をかけてきた。手に持っていたのは黄色い狙撃銃だ
「これはルミナスシューター、貫通力重視の狙撃銃でまだテスト段階だけどこれならあの黒いLBXを余裕で貫徹できる」
「成る程、じゃあありがたく使わせていただきます。せっかくならこれ塗り替えるか。ちょっと黄色は浮くし」
スルガはコアスケルトンの加工をしながら結城さんと進捗とハッキング対策の話を続ける。専門用語や圧縮言語が飛び交いルナとヒノは完全に置いていかれる
「もうなに言ってるのか分かんないや」
「うん。本当に凄いね。僕らの彼氏は」
「スルガがここまで本腰入れてるの見ると、今回はディテクター以上に厄介だと思ってる。私達も何か出来ないかな?」
「二人ともー、それならちょっと売店で食べ物買ってきてー。兵站大事ー!」
「そう言えば日付変わるくらいから何も食べてないね」
「甘いものは必要かい?」
「二人の甘いキスがあればどこまででも行けるぜ~」
「要らないみたい。行こ、ヒノちゃん」
二人でタイニーオービット社内の売店へ、入れ替わりで入ってきたのは拓也さん
「お疲れ様だ。二人とも、進捗どうだ?」
「アーマーフレームは試行錯誤をしながらですが半分程進みました」
「コアスケルトンもちょうど五分くらい。後はあの武装がいつ終わるかだな。結城さん、どうです?」
「恐ろしく精密で、まだ6機しか作れていません。調整もまだです。これほどのものを製作していた組織が居たとは」
「そうか。ハッキング対策の方は?」
「二人で相談しながら試行錯誤してます。今は電磁波を遮断する特徴を持つ物質を配合した装甲を作りました。ですが既存のLBXに施す方はまだ時間とデータが足りません。鹵獲機の手を使って実験を繰り返していますがめぼしい成果はまだ」
「今のところ電磁波を弱めてハッキングの時間を伸ばす事は出来そうです。ただ完全遮断をしようとすると装甲を新造しないと厳しそうです」
「分かった。引き続き頼んだぞ」
その他細かいことを報告した後拓也が研究室から出る。LBXの製作は折り返し地点まで来たがハッキング対策はまだ時間がかかりそうだ
作業は続きルナとヒノが戻ってきた
「ただいまー。お握りとかサンドイッチとか買ってきたよー」
「お、ありがてぇ」
極て自然な事のようにルナが両手を忙しなく動かすスルガの口元にサンドイッチを持っていき、それを器用に口の動きだけで食べる
ここまでのイチャつきを見せられる他の社員の心情やいかに
Nシティでは奪還作戦が進行中、そして物事はもう一つ先へと動き出していた