═タイニーオービット社 研究室════
それの情報はスルガにとっては予定通りで、他にとっては衝撃だった
まず襲来した大量のベクターを押さえきれずファイアースイーツを中心とした対LBX部隊が壊滅、更に陸海空軍共同の哨戒網をすり抜けてエクリプスがNシティに飛来、ミゼルが直接姿を見せ町中のモニターで
「この地球というシステムを最適化する。目標とするのは合理的でムダの無い世界、それが達成された時、世界はパーフェクトワールドに生まれ変わる」
と言う宣戦布告を行い、直接対面したバンとヒロには「これからベクターとミゼルトラウザーを使って世界の最適化を勧めていく」と宣言、エクリプスへと姿を変えたミゼルトラウザーと共に空の彼方へと飛び去ったと
研究室で手を止めず作業中で黙って聞いていたスルガの第一声がこちら
『世界の最適化ぁ?無理無理絶対無理。そんなもん馬鹿のやる事だ。こんな何十億単位の愚かなで阿呆な連中の管理とか頭可笑しくなる。むしろやれるもんならやってみろよ』
これである。人類単位の罵倒に一切の躊躇も躊躇いもない。因みにヒノやルナはシーカー本部に居る
「それで、エクリプス、ミゼルトラウザーは何処へ?」
『不明だ。軍のレーダーシステムの一部がベクターに侵されていて復旧がまだ済んでいない』
『エクリプスの追跡はレーダーじゃ多分無理でしょ。まともに探そうと思ったら人の目とか物理的接触くらい・・・あとは気流と温度変化?』
『スルガ、日本はまだ何も起きてないデヨ?』
『一応、タイニーオービットの中も機龍とソルジャー、シャルナック、銀龍が中心で緊急の警備システムを構築したが取り敢えずベクターは入ってきてない。こっちでゴーストジャックの方は対策を練ってる。だけどウイルス駆除の方法までは手が回ってない』
『それなら大丈夫だ。ゴーストジャックされたLBXの再起動を試したらウイルスプログラムは消滅していた』
『再起動で消滅、ワクチンプログラムも作れないか』
『再起動で何とか出来るのが分かってもこの世のコンピューターの数は膨大、全てを一つ一つ再起動するのは時間がかかりすぎる上に現実的ではない』
やがて現状の把握と対策の話からミゼルの話へと移る
『世界の最適化ってどんな物なんでしょう・・・』
『どうせ自分に従えってこったろうよ。逆らう奴は叩き潰すみたいなやつ』
『というか、元々エクリプスに変形機能なんてあったのかしら?』
「無い。恐らくミゼルが独自に改造したんだろう。日本政府からも先程ミゼルトラウザー調査の協力依頼が合った」
『スルガ君、エクリプス、ミゼルトラウザーの事なんだが』
『どうした?ジン?』
『ミゼルは着地の衝撃以外ではミゼルトラウザーを使っての破壊活動や攻撃を一切行っていない。それにベクターも破壊ではなくハッキングと言う手段を用いている』
『何が言いたい?ちょっと作業中で頭まわせないから結論からよろしく』
『ミゼルの目的は人類の支配、果ては制圧だと推測している』
「制圧ねぇ・・・成る程。ならやりようはいくらかある」
『対策があるのかい?』
『その声・・・風摩キリトか?』
『ああ。それよりも対策の方を聞こうじゃないか』
『人類の制圧が目的なら押さえるべきはライフライン、発電所とかだな。後反抗の芽を潰すのも兼ねて軍事施設とか。ミゼルも支配を保つための兵力を確保せにゃならんだろうから生産プラントなんかも押さえときたいはず、その生産プラントを動かすのにはエネルギーが必要不可欠だ。どちらにせよ多すぎるがな』
「ねえ、ミゼルって一人なの?」
「ここまで大規模だと組織もその分大きくなる。その尻尾が掴めないなんてあり得るのかな?」
ルナの疑問とヒノの疑問
『・・・確かに。隠蔽にも限度があるはず、全力のシーカーの追跡から逃れて尚且つエクリプスをこの短時間で改造するなんて、イノベーターですら出来るかどうか』
「いや、不可能だ」
シーカー本部に新たな来客、八神さんだ
「エクリプスのメンテナンスは旧イノベーター研究所並の設備が必要だ」
『つまり現行技術では不可能に近い、それをミゼルはどうにか可能にしやがったと・・・数も質も圧倒的に向こうが上、一体どうしろと?』
『我々ファイアースイーツも隊員の被害は無いが大半のLBXを喪失してしまった。オメガダインが宛に出来ない以上直ぐには動けない』
『中尉、LBXの数が足りないならNICSの技術室倉庫に轟雷とスティレットが残ってるはずです。バスターには性能と汎用性では負けません。請求はA国政府宛に回しておくのでお使いください』
『分かった。遠慮無く使わせもらおう』
『良ければ正式採用しませんか?十分な性能と汎用性。手頃な整備性で高い拡張性、シーカーでの採用実績とパリ事件で上げた戦果もある。安くしときますよ?』
『部下の評判次第では上に進言してみよう。君のLBX、期待しているぞ?』
『ご期待には答えられると確信しますよ!』
轟雷とスティレットをファイアースイーツ提供する。ファイアースイーツ隊の練度ならベクター相手にワンサイドゲームにはなりにくいだろう
「そう言えばスルガ、LBXは?」
『もうちょいでコアスケルトンは完全に設計が終わる。それと現状の国際世論・・・と言うより国家間での論争はどうなってます?』
『今大統領が緊急の首脳会談を行っているが、我が国の立場は厳しいだろう』
『どーせお互いに責任押し付けあってミゼル対策の話ろくにしてねえんだろうなぁ・・・シャルナック、ちょっと作業引き継いで。設計図は有るから任せた。ソルジャー、ちょっと手伝って。フルリンクシステム起動・・・あー、シャルナック、会議を引き継ごう』
そして、スルガが一旦作業に区切りを付け体を置いてソルジャーと共に何処かに消える
「こう言うこと見るとスルガも人間かどうか怪しいよね。よろしくシャルナック」
『よろしく頼む。まったく、LBX使いの荒い奴です。先輩』
ルナの肩に乗る機龍が頷いた
「そんな関係性合ったんだ。驚いた」
「機龍はスルガの事どう思ってるの?」
『確か・・・頭は回るのに無茶しかしない馬鹿野郎って機龍先輩言ってました』
「ははは・・・毎度無茶してるからね。壊れては直し壊しては直し壊されては改造しての繰り返しだもん」
『もうスルガさんの奇行には驚きませんが、何か作ってるんですか?』
「うん。スルガが言うには時間が有るからベクター対策を盛り込んだ試験機を作るって。名前はイプシロンUC」
『イプシロン・・・いや、まさか』
「スルガがイノベーターの施設忍び込んで設計図探してきたって言ってた」
『緊急事態だ。なにも言うまい』
『父さん、イプシロンってどんなLBXなの?』
『私がオーディーンの後継機として設計していたものだ。設計思想はエルシオンに近い』
「スルガの設計図を見ましたが、あれの完成品や性能は山野博士もきっと驚きますよ」
細かいことを話し合い三十分程度たっただろうか?その時だった
カイオス長官がオペレーターからの耳打ちでフリーズしたのだ
「どうかしましたか?カイオス長官?」
『い、いや、少し前、謎の声が首脳会議の回線に割り込み、世界各国のトップに喧嘩を売ったと』
「「謎の声・・・まさか?」」
ルナとヒノが先程消えた彼氏を第一容疑者に思い浮かべる
═A国会議室═════
首脳会議の場は醜い責任の押し付けあいや責任逃れの言葉に満ち満ちていた。そこにとある男が乱入してきてしまう
『あーあー聞こえてるかな自称トップのゴミ虫共』
この一文で、この会議は徹底的にスルガによって荒らし尽くされ対ミゼルの具体的な話し合いがなさせた。無論犯人の特定には至っていない(クラウディア大統領は感付いてる)