═シーカー本部═════
タンカーの爆心地からはオーレギオンは見付からなかった。爆風で吹き飛んだ事も考え周辺を捜索したがオーレギオンの反応はない。オーレギオンはミゼルに奪われた
各所にLBXの強化に向かっていた奴は騒動を聞き付けて直ぐに戻って来た
「─────以上が、俺の油断が招いた事態だ。だが幸い、かなぁ?オーレギオンは直ぐには全力では動けない」
「どう言うことだ?」
「機龍とのバトルで腕を片方捥いだから」
「ま、それが原因で盗まれたんだけどな」
ジンからの質問とキリトからのツッコミ
「お前達のLBXはどうだ?スルガが手を回していたと聞いているが?」
「拓也さん、すげえぞ。コレ、見てくれよ。新しいヴァンパイアキャット・・・じゃねえ、ワータイガー!」
「問題ありません。トリトーンも終了しました。これが、キャプテントリトーンです」
「僕のリュウビホウオウも、流石スルガ君だね」
「私が最高のカスタマイズを施したジャンヌD、まだまだ上があったとはね。ジャンヌF(フォックス)よ」
全員改造は終了させた。基礎性能向上は全員に一応施した。オーレギオンが奪われた戦力差、少しは埋まるだろうか?
「拓也さん!」
「どうした?」
「トキオシティ各所で小規模なゴーストジャック発生!場所は・・・市街地!人口密集地ばかりです!」
「なんだと!?」
が、情報交換を行おうってときにトキオシティの各所で小規模なゴーストジャックが発生、ろくな情報交換も出来ず各所の火消しに回ることになった
「・・・シャルナック、ソルジャー、機龍を頼んだ。ルナ、ヒノ、俺らはミソラタウンに向かうぞ!」
═ミソラ商店街════
約二時間ほどだろう。最後のベクターを全てのビットで串刺しにしてここは終わり
十ヶ所を越える場所で起きたゴーストジャックは小規模と言う事もあり特に苦もなく対処完了
「・・・時間稼ぎだな」
「スルガ、流れ変わったね」
「ああ。ここからは全てアドリブだ。とにかく、新しい希望を作らない事には次には進まない」
「アドリブ、どうする?手伝えることがあれば遠慮なく言ってほしいな」
「現状は、特に無いな。流れ通りならそろそろA国でオメガダイン奪還が計画されてる頃だ。だが先に希望を作り出すのが先、ハッカー軍団にはそれとなく伝えたし大丈夫」
これからの歴史を思い出す。そしてアキレスD9、オーディーンMk.II、更にイプシロンをベースにしたもう一機をランに与えミゼルへの更なる対抗策に据える
「おーい、二人ともー!こっちはもう大丈夫だよー!」
「ヒノ、こっちも大丈夫だ。タイニーオービットへ戻るぞ」
「ねぇ、ヒノには言わないで良いの?」
「まだ・・・な。少なくとも事が済んでからだ。本来ならルナにも話さないつもりだったし」
「・・・?」
ヒノにはいつ言ったものか・・・
═タイニーオービット社════
戻ってきた三人、既に皆は戻っており研究室に集まっていた
「ミソラタウンの掃討終わりました」
「お疲れさん。拓也が改めて現状の整理と情報の共有をしたいようだ」
「了解」
「しかし、今回はあんま骨が無かったな」
「だな。ベクターの数も多くなかった」
「多分ミゼルがオーレギオン修理のための時間稼ぎをしたかったんじゃ無いですかね?ソルジャーからの解析結果何ですけど奴の小型機は旧イノベーター研究室の方に向かったことが分かりました」
「既に万全の状態にされていると言うことか・・・僕らのLBXの強化で穴が少しでも埋まると良いが」
「皆、集まっているな?・・・つい先程横須賀が襲撃を受けた。犯人は、オーレギオンだ」
「オーレギオンが!?」
「ああ。護衛艦やA国海軍の艦船の大半が大破、沈没したそうだ」
「・・・やベーもん渡しちまったな」
「それに再びベクターやオーレギオンは世界各国の軍事施設を襲撃、特にA国の被害が甚大だ。先程横須賀の事を鑑みてクラウディア大統領がオーレギオンの破壊命令を出した」
「無茶だ。オーレギオンやエクリプスの行方も掴めてないなら迎撃戦、相手は小型ロボット、普通の兵器が当たるとは思えん。核でも使えば当たるだろうが・・・二次被害が尋常じゃない。セト50が奪われてなきゃ、無理矢理撃墜してやるんだが」
実際もれなくなす術なく部隊は壊滅的被害を貰っている
「過ぎたことを悔やんでも仕方ない。博士、オーレギオンに対抗できるようなモノはあるんですか?」
「・・・オーレギオンにはオーレギオンで対抗するしかない。が、君の、スルガと機龍の全力ならば或いは」
「ねえ全力って、暴走した時の事言ってるの?」
「・・・ああ」
「それなら私はスルガを戦わせない。皆も知ってるよね?スルガが全力を出して、どうなったか」
「だが現状機龍しかn「ルナ、それしかないなら俺はそうするだけだ」
スルガは覚悟を決めた。元はと言えば自分の慢心が原因でオーレギオンが取られてしまったのだ。しかし喧騒のようなものは風摩キリトの言葉で絶ち斬られる
「なら、作れば良いじゃないか。オーレギオンを越える新しいLBXを」
「だが、スタンフィールインゴットはもう・・・」
「ああ。先程スタンフィールインゴットの取り扱い責任者に連絡を取ったが、取りに行った分を含めて全てミゼルに奪われたようだ。鉱山で産出している分を合わせても、足りない」
「誰がオーレギオンをもう一機作ると言った?越えるLBXを作れば良いって言ったんだぜ?」
「だな。機龍に越えられる可能性があるならオーレギオン以上のLBX、作れないわけがない。伝説は塗り替えるものだ」
「ああ。俺はお前達が言う最強クラスの強敵と戦い、倒してきた。それは全部経験値やカスタマイズの積み上げだ。それを積み重ねていけば作れないわけがない。俺は、そうやって最強を目指した。最強とは自分で掴み取る物だ!」
「・・・私が、LBXと言うものをいつの間にか忘れていたのかもしれない。最強の形は一つではない。オーレギオンが最強のプロトタイプならば現状最強のプロダクションモデルを作れば良い・・・」
「キリト、だがデータはどうする?ミゼルの妨害もある。今から集めても間に合うか」
「拓也さん、データの収集には既に手を打ちました。ハッカー軍団にお願いしたのでそろそろ効果が出るかと」
静かな会議室でジンのCCMが鳴る
「済まない。席を外す」
「いや、良い。相手は?」
「サイバーランスの西原だ────メッセージ?」
「・・・これもスルガの仕込みか?」
「俺はハッカー軍団に情報収集の依頼をしただけ。方法は向こう任せだから詳細は知らん」
ハッカー軍団はバンやヒロ、LBXトッププレイヤー達が世界を守るためにミゼルと戦い続けている事実を。世界中に協力を要請するメッセージと共にインフィニティネットに拡散したのだ。現に世界中を動かした
「────分かった。スルガ君、君はどこまで見えているんだい?」
「以外と全てお視通しかも?」
研究室に霧野秘書が駆け込んでくる
「社長!LBXメーカー各社、いえ、LBXメーカーだけじゃありません!国家企業個人問わず大量の設計、研究データ、戦闘データが送られてきました!」
「なに!?」
「よっしゃ。大空博士!オタクロス!直ぐにファイアーウォールを作るぞ!こんだけ目立つことすればミゼルも嗅ぎ付ける!世界中から託された希望を、絶望にさせてたまるかよ!」
スルガと大空博士やオタクロスが部屋を飛び出し、直ぐに研究員を纏め上げセキュリティの構築を始めた
「これが、LBXの紡いだ絆・・・」
「それだけじゃありません!世界を守りたい人達の心が一つになっているんです!」
「宇崎のダンナ、NICSから通信だ。繋ぐぜ」
『そちらも希望を掴んだようだな。早速本題に入る。ファイアースィーツとの共同作戦でオメガダインの奪還作戦の目処が付いた。それで』
「俺の記憶が欲しいのかい?」
『そうだ。オメガダインの内部を知っている人間が居れば作戦の成功率は大きく上がる』
「なら、キリト、ジェシカとカズ、ユウヤを連れて」
「なら、俺も向かおう」
「檜山・・・」
「あそこはミゼルの総本山なんだろ?なら俺が引率していこう。荒事は慣れっこだ。それにスルガやバンが居ればミゼルがまた攻めてきても大丈夫だ」
「分かった。頼んだぞ」
『伝説のLBXプレイヤーが一緒とは心強い限りだ。よろしく頼む』
「霧野君、竜源社に連絡を取って少しでもスタンフィールインゴットを調達できないかの交渉、任せて良いか?」
「分かりました。失礼します」
冷静さを取り戻した霧野秘書は研究員を出た。
「バン君、僕らは備えを整えよう」
「ああ!」
世界から希望となるモノを託された。その希望には当然ミゼルの魔の手が迫る。希望を絶望にしないための戦いが始まる
═シーカー本部════
「オタクロス、ファイアーウォールの構築は終わったわね?」
「終わったデヨ。全盛期のワシも突破出来るか怪しいほど強力じゃゾイ」
全盛期オタクロスでもそのレベル、スルガが少し抉じ開けようとしたがびくともしなかった。どんだけ頑丈なんだこれ
そしてスルガは三機やTO社員やシーカー隊員と協力してタイニーオービットへ送られたデータをネット上で仕分けしファイアーウォール内のファイルにひたすら整理している。既に3機目の構想と設計は山野博士に託していた
「なんかよく分かんないけど、凄いねコレ」
突貫作業で構築された作業スペース、ここにいるのはタイニーオービットの人間だけではない。サイバーランスの西原を始め別会社の人間も応援に来おり、そこには垣根など無い。世界を守る。その目的に集った者達だ
「山野博士、ファイアーウォールの構築終わったわ。後はリアルタイムでの対応になる」
「分かった。私もこれから材料選定等の試験作業に入る。そっちは任せた」
「任せて。託されたデータは必ず守る」
そして纏め作業も一段落して漸くスルガと三機も解放された。今はまだミゼルの痕跡は確認されていない
「あー、どっと疲れた・・・」
「お疲れ様、膝枕でも要る?」
「すげー欲しいけど今はその暇が無いのが悔しいなぁ」
「スルガ氏、仕分けは一通り済んだんデヨ?」
「あい。まだまだ送られてきてますが後は任せて大丈夫そうです」
「なら少し休んでおれ。ミゼルが来たら矢面に立つのはお前さんじゃ」
「なら、お言葉に甘えt「オタクロスさん!ミゼルからと思われるハッキングです!ファイアーウォールが少しずつ突破されています!」
「なんじゃと!?」
「ちぃっ、オタクロス」
「行くデヨ!」
スルガが三機とコンピューターを接続、オタクロスの指がキーボードの上を高速で舞い踊る
「くっそ強えぇ」
「スルガ!オタクロス!大丈夫!?」
「現状攻撃を受けてる。何とか凌ぐよ!」
「駄目じゃ・・・いつものように力が出んゾイ」
「「「「はぁ?」」」」
「美少女パワーが足りぬ・・・」
「・・・皆、頼む」
「なんだよそれ・・・いっけー!オタクロス!」
「・・・なんか違うのぉ」
「オタクロス!ガンバ!」
「お願い!オタクロス!」
「ぬぉぉぉぉ!パワーが湧いてきたデヨー!デーヨデヨデヨデヨデヨデヨデヨデヨォ!」
更に指の速度が上げた。スルガもファイアーウォールの壁から反転攻勢しオタクロスと共に見のハッキングを叩き返した
「いよっしゃ!」
「案外、大したことなかったのお・・・スルガ、間違いなく次が来るゾイ」
「次の手は・・・?ベクター?」
「ヴァーチャルLBX、何をする気だ?なんにせよオタクロス、仮想空間スキャナは?僕らもバーチャルLBXで反撃に出る」
「そこの棚の中に入っておるデヨ。バン、ジン、ヒロ、頼んだゾイ」
「待て!ありゃ・・・」
モニターを睨んでいたコブラが叫んだ
ベクターは元気玉よろしく仮想空間に小さなセト50を生成、ファイアーウォールに投げつける
「ヤバい!データが!」
「行くわよ!」
ファイアーウォールの一部が損傷、データが流出していく。今度はスルガが大空博士と協力してセキュリティの再構築、データの流出を防ぐ
「次が来るぞ・・・なんて大きさを作ろうとしてやがる」
「させません!」
更に巨大なセト50を構築しているベクターにイカロス・フォースが斬りかかる。が炎の拳がその攻撃を跳ね返した
「イフリートが、なんで」
「ゼノンか・・・」
「あのLBX、確か去年のアルテミスで・・・ユウヤさんが使ってた」
立ちはだかったヴァーチャルLBX達は一斉にイカロス・ゼロ、フォース、キャプテントリトーンに攻撃を仕掛ける
『イフリート』がイカロス・ゼロと
『ゼノン』がキャプテントリトーンと
『ジャッジ』がイカロス・フォースと対面する
更にミゼルは『ゼウス』『ペガサスII』を送り込んできた
増援として機龍、ソルジャー、シャルナックが参戦、迎撃に当たる
仮想空間の上での戦闘が始まった。だがスルガは一人、何かの準備を始めたのだった