ダンボール戦機 絶対零度の闘士   作:超甲形巡洋艦

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始動、ミゼルトラウザー蹂躙作戦

===タイニーオービット=========夕刻

 

ミゼルがトキオシティの中心部を帰してから30分もしない内に全員がタイニーオービットに集結する。だが顔色はすぐれない

 

「安心しろ。ヤツ自身が袋小路に飛び込んでくれた。それにこれは俺が言ったのにピッタリの状況だ」

「攻撃で辺り一帯は廃墟になるが攻撃のエネルギーの充填のために動けなくなる、だったか?これがどこをどう見れば理想的なパターンなんだ?」

 

ジンがとても信じられないものを見る目で問いかけてきた

 

 

「良く考えてみな。奴は動けず回りは既に廃墟、周りに何一つ気を配らなくて良いことだ。上下左右360°どこからでも攻め放題、セト50を誘爆させてミゼル諸共消し飛ばすことも容易なわけ」

「つまり、何でも出切ると?」

「そ。霧島さん、アレは出来てますか?」

「ああ。後は量産するだけだ」

「アレ?何か作ってたんですか?」

 

ヒロを始めに子供らは頭を傾げた

 

「そういや皆には言ってなかったな。セト50対策だ。霧島さん、説明よろしく」

「グランドスフィア、強化ダンボールから発展したモノです。Optical・Photon・Generator、略称OPG端末をLBXによりミゼルトラウザーの中心の円状に配置することで巨大なエネルギードームを形成、分かりやすく言うと巨大なDエッグを発生させると考えて下さい。このグランドスフィアはOPG端末を大きさに対して十分な数を設置すればエネルギードーム内外からのエネルギーや物理的衝撃を100%吸収出来ます」

「俺が更地になると助かると言ったのはこれが目的、奴は自分を閉じ込める檻、その基礎を自分で作っちまったって訳だ・・・ただ、無視できない問題が一つ。OPG端末を持つだけの無人LBXとその制御は出来そうだが」

「護衛が足りない。少なくとも1万機・・・それにベクターは強い。普通の無人機では戦闘力に不安が残る」

 

 

しかしランが言葉を漏らした

 

 

「そんな数、一体どうやって集めるのよ」

「つっても、集めるしかねえんだろ。でもどうすりゃ良いんだ」

「地道にやっていたのでは間に合わない。どうすれば」 

 

スルガは作戦の為の準備のため部屋を出る。拓也さんはメディアやマスコミに片っ端から声を掛け始める

 

 

「悪い。ちょっと今回は悪知恵を貸せなさそうだ。俺も俺の仕事がな。ただ、頼れるものは何でも頼れ」

「頼れるもの・・・」

 

 

部屋から出るスルガの背中を見て、考える。次に、仲間達を見た

 

 

「スルガじゃない。俺が、俺達自身がどうするべきか」

「スルガさんがやったことを、世界中にやれば・・・」

「スルガがやったこと?」

「スルガさんはトキオシティ中の人々を、その他大勢の人を動かしました。それを全世界に、僕らの言葉で届ければきっと」

 

バンは少し考え込む。というより迷っているようだ

 

「LBXを通じた絆をバン君は信じないのか?」

「確かに、LBXを信じる・・・オタクロス、世界中のインフィニティネットをここに集められないかな?」

「何をするデヨ?・・・いや、成る程のぉ。良かろう!一度、全世界規模のハッキングをやってみたかったんデヨ!」

 

バンの思いに答えオタクロスは早速準備を始める。それを見てルナは「バンらしい」と笑う。そしてヒノと共にスルガの元へ向かった

 

 

 

==レベル4研究室========

 

「やっぱ二人共こっち来たのね。あの馬鹿共と騒がなくても良いのかい?」

「私達はこっちが落ち着くんだよ」

「しかし思い切った事やったな。全世界インフィニティネット同時ハッキングとは恐れ入った。これは歴史の教科書にオタクロスの名が乗るぜ」

「なぁ、スルガ君はどこまで予想していたんだい?」

「今回のことか?」

「ディテクターのときも含めて、まるで未来が見えてるみたいに」

 

 

少しスルガは黙り、ルナは何となくスルガの迷っているのに気が付く

 

「ヒノにはもう話しといたほうがいいかな。ただ、これを言ったなら後戻りはさせないぞ?」

「うん。ヒノちゃんにとってもかなり衝撃的な事だからね。覚悟はある?」

 

ルナが表情から笑みを消して覚悟を問い掛けた

 

「・・・ある!」

「よろしい。スルガ、どうする?」

「ルナ、ヒノへの説明よろしく。俺は一回寝るわ。機龍、俺の意識落として。多分そうしないと俺がおかしくなる気がする」

 

その言葉を聞いた機龍が椅子に座っているスルガの顔を横から思いっ切り尻尾でぶん殴り、結構な痛みと共にスルガの意識を刈り取った。その衝撃でスルガの体は椅子から落とされる

 

 

「準備は出来た。ヒノちゃん、最後に聞くよ。準備は良い?」

「勿論!」

「「フルリンクシステム、起動!」」

 

 

 

 

 

 

==スルガの意識上=======

 

 

 

 

 

ヒノの意識がソルジャー経由、ルナの意識はシャルナック経由で機龍へ、そこで道案内を受けてスルガの中へと入り込む

 

 

「ここがスルガと機龍を繋ぐ場所、ここに入ればスルガのナカに入れる・・・行くよ」

「うん」

 

 

先にルナが繋ぐ場所に近付くとやはり無数の手に掴まれるような感覚で引き摺り込まれる。続いてヒノも覚悟を決めて飛び込んだ

そして一瞬二人の意識は暗転、一見何も無い真っ白な空間に出た

 

 

「ここがスルガの意識の中?」

「その辺スルガも良く調べられてないみたい。ただここに居ると思うんだけど・・・あ、居た居た」

 

 

ルナが指をさした先には体を少し丸めて眠るスルガ、いや、機龍に殴られた姿勢のまま伸びている。現実とリンクしているのか?

 

 

「あらら・・・あれじゃ話し聞けそうにないや」

「今の肉体と同調してるのかな?」

「まあいいや。ヒノちゃん、ここには文字通りスルガの全てがある」

「その割にはさっぱりしてるね。もっとごちゃっとしてるのかと思った」

「確かに・・・あれ?前より画面増えてる。あ、機龍達が見たものも混ざってるの?いや、所々おかしいな」

 

 

ずっと一枚だった映像が所々二個から四個に変動している

 

 

 

「まあ、それはいいかな。ヒノちゃんコレを見て」

 

ルナがスルガの記憶、イノベーター戦役時代の神谷重工でのルシファー戦、サターンでのイフリート戦、FuturHope号でのスルガ暴走戦、それぞれスルガのLBX達がオーバーセンスの域に達したバトルだ

 

 

「これがスルガ曰くフルリンクシステム最大の碌でもない能力、オーバーセンス」

「オーバーセンス?」

「相手が動く前に赤い軌跡の形で相手の次の手が分かるんだよ。詳しい仕組みは分かんないらしいけど一種の未来視だって言ってた」

「恐ろしい程の強さの秘訣がコレ・・・」

「それだけじゃないよ。次はここ、国防基地でのこの映像、ここだけ映像と映像の間に一枚写真が入ってる。これが、不完全らしいけど未来予知」

「未来予知・・・?これもオーバーセンス?」

「こっちはオーバーロードって言うみたい。スルガに聞いたらヒロも使えるんだってさ。多分能力の質はヒロの方が数段高い。って言ってた。スルガは写真で見えてヒロは映像、それと共通するのが五感の強化と反射神経とかが鋭くなるらしいよ」

「うわっ、何これ・・・」

 

FuturHope号でスルガが暴走中の映像の最後の方、Σオービス対3式機龍(CODE"G"仮称第3段階)との決着時の映像

 

視覚的には一瞬で大量の画像が切り替わるだけだが、それ全てがヒロとスルガの頭の中で繰り広げられた数百の戦闘の《映像》であり、そのすべてを直接覗いてしまった二人は一瞬でその全てが強制的に頭に押し込められて・・・理解してしまった

 

二人は体の力が一切入れれなくなりスルガの意識の中で倒れ込む・・・はずだったが、その体をソルジャーとシャルナックが受け止める

 

 

『こんなことになるとは・・・ちょっと僕も想定してなかったですね』

『気になることがある。なぜあのときのルナはこうならなかった?まだスルガに自覚が無かったからか?』

『それはあの時、石森ルナがスルガの馬鹿を救出するのに手一杯であったからであろう。単純だ』

 

 

黒い怪獣の姿を取った機龍も頭の中に登場する

今スルガの脳中には六人居る。一人は気絶してるが多重人格者もびっくりだ

 

 

『しかし、どうしましょうか、これ多分オーバーセンスとオーバーロードの戦闘流し込まれて気絶しましたよね?』

『間違いない。とにかく二人を元の身体に戻したほうが良さそうだ。兎に角、悪い事にならないと良いが』

 

2機に抱えられた二人は目を覚ました。

 

 

「あれ?シャルナック?」

「ソルジャー?何で僕ら抱えられてるの?」

『起きましたか。ヒロとスルガの戦いを無理矢理見せられて気絶しちゃってたんですよ』

『あんな情報量だ、無理もないだろう。スルガも心配する。一度戻ると良い』

「いや、後一つだけ説明しなきゃいけないのがあるの。それだけは絶対に伝えたい」

『・・・分かりました。お二人共動けますか?』

「うん。大丈夫」

「済まない。ソルジャー」

 

 

そうしてルナはヒノをスルガと出会う前日の記憶、2つの人間が交わる所へヒノを案内する

 

 

「これは・・・」

『ここが奴が今のスルガになった瞬間だ。ヒノ、奴は言っていただろう。昔の記憶が思い出せないと、それも恐らくこれが原因だ』

「ヒノちゃん、落ち着いて聞いて。スルガは元々この世界の人間じゃない」

「・・・えっ?」

「私も飲み込めて無いけどここを見て。ここの映像から先、映像が2つになってるでしょ?」

「うん、記憶にしては変じゃない?」

「それに関しては分かんないけど、多分上が元の世界のスルガでの記憶で・・・ここからだ」

 

 

ルナがヒノに見せた映像達、ダンボール戦機シリーズの記憶を見せる

 

 

「えっ、バンに、皆?テレビ画面にゲーム画面?」

『ダンボール戦機。奴が居た世界でこの世界はそうタイトル付けられた創作物だった』

 

 

ソルジャーとシャルナックが説明を変わる

 

 

「ダンボール戦機・・・」

『はい。スルガは元々この世界で何が起きるか、どう解決したら良いのか、そのダンボール戦機で大体全部知ってたんですよ』

「だからあれだけの手を打てたのか」

『でも全てが同じよう進んだ訳ではありません。スルガ自身がダンボール戦機という歴史に介入した結果、この世界独自の歴史が構築され進んでいる。パリでの大規模ブレインジャックそれが最たる例です』

「成る程・・・全く分かんない」

「そうだよね〜、でもスルガのお蔭で世界は少しづついい方向に転がってるんじゃないかな」

『分からない方が良いのだ。漠然と覚えていればそれでいい』  

 

 

機龍がそう締め括る。この世界は元々誰かの創作物かもしれないが、ここに空間があり時間が刻まれ続け人間達は生きている。この世界はこの世界、確かに存在する世界なのだ

 

 

「私が教えてもらったスルガの秘密はこれで全部、ここで話したことは外で口に出したら駄目」

「分かった。僕の騎士道に誓うよ」

「うん。じゃあ、スルガ起こそう。ソルジャー、機龍、シャルナック、帰りよろしくね」

『お任せを』

 

 

後ろで機龍が咆哮する。そうすると機龍のフルリンクシステムに繋がる橋というか、トンネルのようなものが形成されルナとヒノがそこに吸い込まれる。その後を追いソルジャーとシャルナックも穴に飛び込む

 

 

==タイニーオービット======

 

機龍が工業用精製水をスルガの顔にぶっ掛けて無理矢理起こす

 

 

「冷てっ!?首と頭痛えよ機龍!意識刈り取るならもっとスマートにやってくれ」

 

 

残りの水を掛けることでその文句に答える

 

 

「冷たッ!」

「ありゃりゃ、スルガずぶ濡れだ〜」

「・・・タオル持ってくるよ。少し待ってて」

 

 

このやり取りを見てヒノは深く考えないことにした。多分それが正解だろう。ソルジャーがヒノの肩に飛び乗る。どうやら面倒事に巻き込まれそうなので離れたいようだ

 

 

==夜=====

 

 

「分かりました!ありがとうございます!」

 

 

電話越しに帰国して制作指揮に当たっていたクリスターイングラムの技術者からオリオン・AWCSの量産を軌道に乗せ、もうすぐ定数が完成すると連絡が合った。出来上がり次第政府とA国空軍と協力し色々すっ飛ばして直ぐに速達してくれるらしい

 

 

「スルガ君、フロントコマンダーも生産中、予定数は渡せそうだ」

 

 

サイバーランスで生産しているフロントコマンダーも順調、少なくとも夜明けまでに数は揃う

 

 

「これで最低限の準備は整った・・・後はバンとヒロ達が上手く行ったかだな」

「スルガ君、LBXの調達はどうだ?」

「端末持ち無人機及び管制用LBXは大丈夫です。護衛の方は・・・バンを信じるしかありませんね」  

「ふっ、それなら心配要らないだろう。LBXで紡がれた絆は強固なものだ。必ず協力してくれるさ」

「で山野博士、端末の方はどうです?」

「そちらは霧島さん主体で行っている。順調に行けば心配は要らない。それと拓也が呼んでいたぞ」

「りょでふ・・・」

 

 

スルガが大きな欠伸を漏らす。色々やってる上常に3機とリンクしていた為体への負荷も大きいのだろう

 

 

「スルガ君、拓哉との話が終わったら寝たほうが良い。君も攻略作戦で動くつもりだろう?なら尚更だ」

「そうさせてもらいます。さっ、もうひと頑張りだ」

 

 

山野博士がグランドスフィア、その弱点を補うための準備を進める中スルガはシーカー本部へと向かう。

 

 

==シーカー本部=======

 

「はーい、河白スルガさーんじょう!」

「お、拓哉さん、スルガ来ました」

「スルガ、済まないな。疲れてるだろうに」

「いえいえ、ここで勝たねば人類に未来はありません。多少の無理など必要経費です・・・で、作戦実行可能な数の無人機は揃います。護衛の頭数は完全にバン任せですが後は作戦の確度を上げていきましょう。オペさん、ちょっと立体地図をお願いします」

「はい。こちらでよろしいでしょうか?」

 

 

シーカー本部中央の台上にミゼルトラウザーとその周辺が空中に投影される。ミゼルトラウザーの足元にはベクターを示す大量の赤い点が有る

 

 

「はい。これが今のミゼルトラウザー、オペさん、グランドスフィアの投影を」

 

 

ミゼルトラウザーから円上に青い点、こちらのLBXが陣取り、緑色の半球に覆われる

 

 

「恐らくここまではミゼルも様子を見るでしょう。何だかんだ慎重な奴、グランドスフィアの正体を確かめてから動くでしょう」

「もし動かれたら?」

「その時は護衛の開始時間がそこになるだけです」

「分かった。そこからは?」

「ミゼルトラウザーの手足をもぎ取りに行きます。これで奴は動けない。変形の映像解析と元のエクリプスの図面を照らし合わせて各関節の中枢部は見つけました。後は槍の破壊ですね。やらかしてもっかい地震を起こされるとグランドスフィアが崩壊するので」

 

 

トキオシティ中心部を更地にした衝撃波はグランドスフィアと大変に相性が悪い。LBXが展開する以上足場を崩されるのが一番怖い。それ以上に・・・

 

 

「ミゼルに逃げられると最悪だな」

「ま、逃げたら逃げたでその程度の奴だったと言う事です。俺が挑発してミゼルはこの決戦に応じた。そこから逃げる。それは明確な敗北です。そうなったら全人類で死ぬ程煽り倒してやりましょう」

 

 

スルガは笑う。それはミゼル自身のプライドが許さないだろうと

 

 

「まあ、元がエクリプスなんで電子戦が行われるのは確実、ジャミング対策はコントロールポットにはされてますが護衛の方はなんか山野博士が手があるらしいんで任せてます」

「ミゼルトラウザー本体の攻略はどうする?」

「さっき言った通り手足をもいで武器を壊し、アキレスD9、オーディーンMark.II、イプシロンΔ零をミゼルが取り憑いたオーレギオン・・・ミゼルオーレギオンにぶつけます」

「機龍はどうする?4機で当たったほうが確実じゃないか?」

「そりゃそうなんですが・・・ソルジャーとシャルナック、機龍は至近距離に着陸予定のダックシャトルの防衛と遊撃に充てます。いくらグランドスフィアとは言えLBXが通れる隙間くらいはどうしても出てきちゃうので」

「確かにミゼルオーレギオンが出張ってくる事も考えられるのか」

「一応最終手段、本当に最悪の場合グランドスフィアが維持できていたなら・・・機龍で無理矢理セト50を誘爆させます」

「・・・それも手の内」

「ミゼル諸共消し飛ばすということか」

「再三言いますけど本当に最悪の場合です」

「分かった。細かいところはこちらで詰めておく。スルガ、休め」

「あい。寝ます」

 

 

スルガはさっとシャワーを浴びる。その中ソルジャーと交信した

 

なあ、ヒノに記憶見せたけど大丈夫だった?

『なかなか衝撃を受けたみたいだ。後は二人がお前が暴走中の戦闘映像を見て少し気を失った。おそらくオーバーロードとオーバーセンスの戦闘をあの時と同じ時間間隔で流し込まれて処理落ちしたんだろう』

先に言えそれ!・・・ってもなんとも無さそうだしな

『それくらいだ。一応シャルナックと護衛兼様子見をしてるが体調も問題ない』

何かあったらすぐ連絡くれ

『分かった』

 

 

ソルジャーとの交信を切って空いていた個室仮眠室のベッドに入る。起きるとルナとヒノが隣で寝ていた

 

 

 

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