ダンボール戦機 絶対零度の闘士   作:超甲形巡洋艦

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ミゼル事変 今回のオチ

──────

ミゼル事件、取り敢えずの終結、セト50の盛大な爆発オチから約半日後

 

ヒロとバン、スルガ以外のミゼルトラウザーを攻略した子供達が揃っていた。事件収束を労わせろとバンの母にして山野淳一郎の妻、山野真理絵からお達しがあり皆でお邪魔しているらしい

 

キッチンでは花嫁修業の一環、と言ってルナとヒノが手伝いを買って出て行った

 

そんな中スルガは自宅に居る。ミゼルトラウザー脱出時にいくつかを紛失したが持ち出せた物の処理と保管、そしてもう一つ

 

 

(・・・なんで俺はこんなもん持ってきたんだ?)

 

 

縁側に座り月に照らしてみる。が、普通の宝石のように光を反射するのみだった

自宅でできる限り硬度やら反射率、組成を調べたが、分かったのはこんな物質を現人類では知り得ない。と言うことだけだった

 

それにミゼルがわざわざ身に着けていた。と言うことは何か、重要な意味があるのだろうと仮説を立てているが、それは分からぬまま

 

タイニーオービットに持ち込むことも考えたがミゼルの持つ技術はセト50の爆発でほぼ全てロストテクノロジー化している。そこに明確なミゼル産と思われるコレらが表に出れば面倒な事になるのは想像に難くない

 

(・・・取り敢えず誰にも言わずに保管、悪さしそうならアブソリュートゼロの的だな)

(いいんですか?)

(現状何も分からん。ただの石かもな。ただ家にあるものでは傷も付かなかった、多分強度はブラックダイアモンドは超える可能性が高い)

 

鉄ヤスリで傷付かないので機龍のスタンフィールインゴット用加工機械を使ったが一向に傷が入らない。この時点でなんかおかしい

 

(表に出す理由もない。インテリアにでもしてやろう。しかし、アレは一体・・・)

 

石を取り敢えずジュラルミンケースに入れて放置し半日前を思い出しながらバンの家に向かう

 

 

 

 

 

──半日程前、グランドスフィア内部───

 

バン、ヒロ、ラン、スルガが跳んだ直後にセト50のカウントダウンが終了、信管が作動しセト50は起爆した

。あまりの眩しさに目を開けることすら出来ずに瞼を固く閉ざし、衝撃に備える

 

周囲が閃光に包まれた。あまりの眩しさに腕でも目を覆う。が、それでも閃光は人体を透過し多分骨であろう影を・・・無意識的に発動したオーバーセンスとオーバーロードが3つに割れるなにかを視させた

 

5秒、10秒と眩しい状態は続く。やがて、視界は闇へと転じた。気付けば何か尻もちを付いている

 

目を開ける。目の前にシャルナックムーンが居る。その隣にはA・アーサー、そしてシャルナックがいる

 

「ルナ、ヒノ・・・また助けられちまったな」

 

 

ほか3人も助けに来たLBXを見て安心している。本気で死を覚悟しただけに脱力は大きいようだ

 

やがて閃光は消え、何時も通りの青天を仰ぎ、四人を包む小型グランドスフィアは落下を始めた

そう。爆発で起きたありとあらゆるエネルギーの流れの中だったから落ちなかっただけであり、爆発が収まれば重力には抗えず落ちる

 

叫ぶ3人、自分だけでも助かるため動くスルガ

が、衝撃は無い。自由落下で起こるありとあらゆる衝撃を全て吸収したらしい

地面に落ち、グランドスフィアが解除された

 

そして、スルガは見る。跡形も残っていないミゼルトラウザーと未だ健在のグランドスフィア

人類はミゼルとの戦いに勝利したのだ。未来を掴むことが出来たのだ

 

「帰ろう。愛する人達の所へ」

 

朝日が昇り、スルガはダックシャトルに向けて歩みを進める

 

(ソルジャー、機龍、シャルナック、お疲れさん。色々無茶振りして悪かったな)

(なに、今に始まった事では無い。気にするな)

(これで何も無ければ暫く休めますね)

(ああ。一月ほどダラダラと行きたい所だが・・・俺がやらかした後始末をせにゃならん。当分休む暇は無いぞ)

 

「ねえ、スルガ、あれ何?」

「どしたラン・・・なんだこれ?」

 

そこに在るのは黒い球体、空中に浮遊している。が、地面に陰は無い

 

「まさかミゼルの!」

「流石にあの爆発の中じゃ流石の損傷付きミゼルオーレギオンでも持たん。陰もないし、そもそも物体なのか?」

 

そう言い、足元にある小石を拾い、投げ込む

そうすると球体の中に吸い込まれ、波紋が広がる

波紋は色を帯び始める。と言うより、鏡か?

 

(ッ!?)

 

その中に写っているのは《河白スルガ》だが、今のスルガの顔色は驚愕に染まっている。しかし球体の先は静かにこちらを覗いているだけ

本能が理解する。これは己であり己でない。これは残しておいては不味いものだ

 

「機龍!撃て!」

 

機龍がメーサーを照射、しかし命中寸前で最初から何も無かったかのように消える

 

(スルガ、どうした?)

 

「お前ら聞いとくが何か視えたか?」

「俺も何も、いきなり消えたけど」

「なんかミネルバ?っぽい服、甲冑?を着てたアタシ、だと思う」

「えっと、何かパーカーみたいな格好をした僕・・・かな?あれ」

「スルガは何か見えたの?」

「俺自身だ。だが違う。決定的に何かが違う。何か、見てはいけないものを見たような、そんな感じがする。俺は忘れる、この事は」

 

スルガはこの事を頭の奥底に封印する。

完全に怯え上がったスルガを見て他3人もコレが厄の塊であることを察してそっと記憶の奥底に押し込め、今は黙って足を動かす

 

ミゼルトラウザーの完全消失が確認、グランドスフィアが解除され、こちらに向かってくる人影が見えた

 

「大丈夫かー?」

「おーい!スルガー!」

「あ!みなさーん!」

 

ヒロとランが駆け出す。それに釣られバンとスルガも走り出した

 

なんにせよスルガは激闘を制して、帰ってこられたのだ

 

 

 

 

 

 

──バンの家─────

 

「お邪魔しまーす」

「遅えぞスルガ!」

「あ、スルガおかえり。はいこれスルガの。最近あんまり食べて無かったし、まだ体つき完全に戻ってないでしょ?いっぱい食べなきゃ」

「そうだよ。僕らの中で一番動いてたのはスルガ、君だろう?」

「流石にこの量は・・・」

 

スルガに渡されたのは二人前どころの量じゃない山盛りカレー、具材もたっぷりだ

 

「あら?恋人が貴方の事想って作ったのよ?それを食べられないって、ねぇ?」

 

山野真理絵からそう揶揄われ、既に食べ始めているバンと郷田からもそうだそうだと野次が飛ぶ。全員ニヤついてる

内心(コイツら・・・)と思いながらそのままテーブルに付く

無言で少し手を合わせ、食べ始める

随分と、懐かしさを覚える味だった

 

(覚えてるようで、よくわからない。この味は・・・)

「ソレ、貴方のお母さんのレシピよ」

「!どうりで、懐かしさを覚える」

「私達が家片付けてる時に古いノートを見つけたんだ。その中に料理のレシピが書いてあってさ」

「真理絵さんに教えを請いながら少しづつ勉強してたんだ」

「二人とも、良いお嫁さんに成れるわよ。スルガ君、二人の事、絶対幸せにしなさいよ。そうじゃないと私が許さないんだから」

「何に変えても必ず幸せにしますよ」

 

そう啖呵を切る。そう言うとルナとヒノがスルガの隣に座り、食事が始まる

 

「スルガ、これからどうするのさ?」

「ん~、取り敢えずミゼルの後始末付けてから考えるかなあ。その場その場で興味の方向でなんかするよ」

「どんな事するかは、あまり聞かない方が良さそうだね」

「おいスルガ、程々にしとけよ?色々心配かけてんだから」

 

既に食べ終えたらしい郷田ニキが呆れた顔で前に座る

 

「レックスからも頼まれてんだ。これ以上悪事を働かないよう釘打っといてくれってな」

「え?ヤダ。ただでさえストレス溜め込んだんだから発散したい。まだやらかし足りないんじゃい!」

「なら私達で連れ回そうか?日本全国津々浦々と。色々行きたいところあるしさぁ」

「僕も無事を家族に伝えたいし、他の家族にもスルガの事紹介したいな」

「なら三人でイギリス旅行だね!」

 

そんな話をする内にスルガのCCMが鳴る

 

『はい河白です・・・はい、お?・・・ありがとうございます。明日の昼頃行きますね』

「誰から?」

「決戦前に行った喫茶店のマスターから。俺の忘れもんだとさ。明日タイニーオービット行くついでに取りに行くわ」

「なんか早速悪い事しようとしてない?」

「いや、それがねぇ、俺がやったタイニーオービットの要塞化を解除してくれって話が来ちゃってさ。ちょっと対人、対LBX、対大型兵器用のトラップ仕込んであるだけなのに」

 

過去起きたイノベーターによる侵攻を全自動余裕で殲滅できる。と言えば罠の規模と数の想像は十分付くだろうか?

 

「対ベクター用に結構凝ったからなぁ。全部外すとなるとどれだけ掛かるかなぁ・・・無人機総出で外すかぁ」

「スルガ、今更だけどコレ、ありがとうございます。これが無かったら私は一緒に戦い抜けたかどうか」

 

ランが来て、スルガの前にイプシロンΔ零を置く

 

「別に礼は要らんよ。これも持ってな」

「いや、イプシロンΔ零、スルガに返したい」

「返すも何も、お前に作ったもんだぞ?」

「確かに、慣れたら凄く扱いやすかったし、とっても心強かった。でも、皆の想いが詰まったこのLBXは、無闇に使っちゃいけない気がする」

 

ランなりに考えたのだろう。人類で生み出した希望のLBX、それを使う意味を

 

「ふーん、そういう事なら、モスボール処理でもして封印しとくか?」

「もすぼーる?」

「ヘイジン!モスボール処理について解説して」

「僕を検索エンジン扱いしてないか?まあいい。モスボール処理は簡単に言えば不活性化、長期的な保管措置だ。LBXならバッテリーを取り出してグリスの清掃、後はどこまでするかだな」

「そそ。細かいの省略してヘリウムの中にでも入れとく。で?良いか?」

「うん。お願いします!」

「そんじゃ任せとけ」

「了解、ついでに他は?」

「僕は・・・皆の想いが込められたこのLBXは困ってる人を助けるのに使います!」

「俺はLBXの絆の力を体現したコイツと一緒にLBXの楽しさを広めていくよ」

 

覚悟の形は三者三様、だけれどよく考えて出した結論、スルガはそれに応えるだけだ

そして、日は完全に沈み程なく解散の時間だ

 

 

 

 

 

─スルガ家────

 

スルガ、ルナ、ヒノは帰宅した。と言いつつ夕飯はご馳走になったのであまりやる事は多くない

風呂に入り、LBXのメンテナンスが終わる頃にルナに後から抱き着かれた

 

 

「寂しくなったか?ルナ」

「んー?そんな感じー」

「そ。ほれほれ。かわいい奴め〜」

「くすぐったいよー」

「あ、二人ともここに居たんだ」

「おー、ヒノも来てよ。俺も甘えたい気分だ」

「なら、布団に入ろうよ。良い時間だし3人一緒に寝落ちも悪くないでしょ?」

 

時計の長針もまっすぐ立ち掛けている

疲労も溜まっているし、眠気も増していた

 

「そうだな。寝るか」

 

三人で布団に潜り、スルガは即座に睡眠状態へと誘われた。ずっと働き詰めだったのだ、無理も無い。穏やかな寝息を立てるスルガを見て

 

「「頑張ったね/お疲れ様、スルガ」」

「ここ最近仮眠しか取ってなかったしねぇ、強がってただけでやっぱり疲れてんじゃん」

「確かにね。明日から体力と精の付く料理でも作ってあげようか」

「だね・・・ねえ、ルナ」

「どうしたの?」

「スルガってさ、僕の事、好いてくれてるのかな?」

「んー・・・それは分かんない。私と同じくらい大切にしてるのは間違い無い。大切にする方向が違うだけなんじゃないかなって」

「方向?」

「うん。私は心肺機能が生まれつき弱くて、オプティマのお陰でここまで動けてるんだ」

 

スルガ自身も医師免許は持たないもののオプティマのことに関してはルナに何かあるかもしれないのでガチ勉強済である

 

「そういう事情もあってね、スルガは特に今回みたいな時、私と離れたがらないんだ。エジプトとか最初の方のゴーストジャックを止めに行く。間違いなくスルガとしては取りたくない手なんだよ」

「でもヒノちゃん相手の様子見てるとあんまり単独、いや、離れて動くって事に私程の不安を持ってないっぽいんだよね」

「というと・・・信頼されてる?」

「うん。腕も立つし、剣術に関してはスルガが教わってる位だしね。でも二、一で分かれるときはより危険な方に一人で突っ込んで無茶苦茶してきっちり帰ってくるんだよ」

「スルガはスルガなりに僕を頼ってくれてるんだ・・・あんまり実感無いなぁ」

「危険なことは自分だけで済ませようとするからねぇ、悪い癖だよ」

 

そう言ってルナはスルガの頬を強めにぐにぐにし始めた

 

「ちょっ、起こすのは」

「大丈夫、このくらいじゃ起きないよ。うりうり〜」

「うゅ、むくぅ・・・zzz」

 

二人は寝てるスルガにイタズラを始めた。だが二人も疲れていたことには変わらず直ぐに寝入ってしまう

 

子供達の戦いは、ミゼル事変は終わった。

何も無ければ後はスルガがコソコソしたり大体大人達の責任取りに奔走する時間だ

 

 

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