ルナとヒノにミゼルとの結託がバレた翌日はお互いの戦闘詳報を元に友好的な対策を練るためにオオミヤの臨時防衛隊基地に集まっていた
シーカーの面々はスルガのみの出席だった
会議には一部防衛隊員や何故か議員連中も出席していてアカシとエンペラーは肩身が狭そうだ。それにアミの姿もある。なおスルガは何時も通りどこ吹く風である
「で?まず俺に対する文句から聞こうか」
議員数名が怒号を放つ。思わず耳をふさいだ
十秒ほど続き1名が周りを制止、手を挙げて落ち着き話し始める
「では私から、代表して・・・これから人々が戻るための街一角を完全に更地にした件について、どう説明をもらえるのか?」
「まずアレはアテナス、ファーストケース救助の為の致し方ない被害、そう言った報告書は上げた筈だが?」
「ミゼレムとやってることが何ら変わらないじゃないか!」
「あの場にゃ大型ミゼレムがかなり居た。良かったな。放っておいたらアテナスごともっと広い範囲が更地だっただろうよ」
言い投げた言葉に怒号が続く
全く反省の色を見せない男、河白スルガ
「防衛隊からも言わせてもらう。あの場に確認されたミゼレムの総量、内訳を資料に纏めさせてもらった。彼の言い方は問題だが確かに放っておけばアテナスどころか防衛ラインすら余裕で食い破られる戦力だ。あの場で撃破出来なければ市民が犠牲になる可能性が高い」
「それでもやり過ぎだと思うけど」
「私たちもあの状況でスルガさんのアレが無ければ逃げられませんでした」
(ふむ、アテナスと防衛隊は俺の味方になってくれるっぽいな。なら・・・)
「数の暴力質の支配、ミゼレムは人類相手にどちらも持っている。ここでLBCSを使った対応策の基礎を早く完成させなければここ以外の場所がトキオシティと同じ末路を辿る。それでもいいのか?」
飛行型のミゼレムを持っているのに頑なにトキオシティから大きく離れて破壊活動をする事が何故か無いのだ。ソレが今だけなのか、これからもなのかが分からない
そしてもし、そうなれば話は日本だけの話じゃ無くなる。言外にここで足引っ張ったら真っ先に槍玉に上げる。そうひしひしと感じられた
「アテナスをミゼレムから見て一番の脅威に成長させる。必然的にそこに戦力も集中、結果的に避難所を襲撃するミゼレムも減る。長期的に見れば被害は少なくなると思うけどなぁ」
お前らこないだトキオシティごと空爆して殲滅する議論してたの知ってんぞ。ま、出来ねえと思うけど
と付け足してスルガの発言は終わる。そしてスルガの発言を聞いて議員連中の顔が赤からまっ白へと変わった。スルガの情報網を舐めてはいけない
周りの人間の顔が強張ったり、信じられない物をみる目になったりする
表沙汰になれば自分達の身が一気に破滅する爆弾を突きつけられ黙るしか無かった
「話は以上か?ならご退出を、ここから先は機密事項なので」
防衛隊の上層部がそう促しまともな足取りを繕いつつ部屋を出ていった
「ふぅ、誰に喧嘩売ってるかこれで分かっただろ」
「相変わらずだな。して、さっきの話、証拠はあるのか?」
「ある。隠し撮りだけどね。んじゃ本題シーカーからの戦闘詳報出しますよい」
画面に映されたのはFrameArmorが遭遇したミゼレムとその撃破手段(オーバードウェポン以外)を纏めたもの。そこから導きだされた鉄換算の装甲強度、それを破るための攻撃力
そしてミゼレムの編成と編成毎の戦術行動等を(ミゼルが)纏めたもの
「堅実も堅実、機動力特化や防御力特化、両方織り交ぜて装甲で足止めて機動力で奇襲強襲、忘れた頃に航空型からの攻撃、流石は機械だ。なかなか連携力が一定から落ちん。だが機械、超短期での火力集中で撃滅みたいな想定外を持ち出すと一時的に連携が取れなくなって烏合の衆と化す」
「アテナスからもこれを、大方スルガと同じだが撤退する時の追撃がかなり激しい。初めから損耗を気にしていないんだろう。だがこれからLBCSとの戦闘を記録、学習されればされる程形勢は不利に傾く。それなら・・・」
「電撃戦、先に致命傷を与えて一心不乱に徹底的に根切りする。サーバーは物理破壊だな」
「それと河白君、君が乗っているフレームアームズ、轟雷はどうかね?」
「あー、まぁ、使えてますが、他で使えるかと言われると・・・火力支援が関の山、それもフレームアームズでやるより同じ特殊弾薬を使った榴弾砲かロケット弾を使ったほうが安く上がるでしょうね。小型に張り付かれたら何も出来ずに狩られます。ぶっちゃけ指揮だけならアテナスの方式が最適解感ありますね。装甲娘の休憩場所にもなりますし、自分らは色々特殊な部隊なんでどうにかなってる感じです」
「ふむ、やはり事前の予想は覆らなかったか」
「コストも凄いんで対ミゼレム向きでは無いですわ。まあ、不整地踏破能力は凄いんで災害時輸送やらコンテナ背負わせて臨時病院仮設させたりできるかもですね。その辺に期待で研究だけは続けてます。んで、アテナスはどう?何度か実戦経験して、各々の様子とか。あの大型共相手にアキレスが固まってた事は聞いたけど」
「今は落ち着いている。他のメンバーも怖がっていたが君から渡されていたデータの方が数倍怖かったとあまり変調はないな」
「メンタルケアはしっかりとな。防衛隊の方はセカンドケースの選定、どうなってます?」
「まだ動き出した所だ。アテナス並みの技量を持つ装甲娘はまだまだ居ない。それこそそこのアミ君がトップ層だが」
「ふーん、アミ、後で模擬戦しようぜ。実戦チームと育成中の練度差、実感しときたい」
「えぇ。受けて立つわ」
「そういや他の面子の行方って知ってる?特にジェシカとアスカとラン」
「私も分からないわ。ジェシカはファイアースィーツで訓練受けてみたいよ。ランとアスカは、多分ジンが立てる装甲娘を養成する専門機関に入るんじゃないかしら?」
「ほーん、それは愉しみだ。ならよう、アカシ、お前ン所とも一回やり合ってみたいんだよな」
「なら施設を開けるか。ここに居る装甲娘達にも実戦部隊はどういうものか、いい刺激になるだろう」
「あ、ここでやる?」(シュミレーターを良いことに外道戦法しようとしてた)
「アカシさん、頼んでも?」
「ええ。喜んで務めさせてもらいます」
「私も、手加減無しで行かせて頂きます」
「んじゃ、俺も外道戦法封じて行きますか。んじゃ家の連中呼ぶ間にアミと試合だな」
して、アミは追加でエンペラーとの再戦を約束しつつ、先にスルガとアミ(LBCS)の試合、見物と言うか、見取り稽古と言う形でここで訓練している装甲娘達が集められる。スルガの教え子達、ミゼレムが出現してから装甲娘に志願した新人が大半で実戦部隊とはどういうものか、百聞は一見にしかずだ
「んじゃアミ、LBCSの性能素のままだな?」
「本当に良いのね?怪我しても知らないわよ?」
「お前程度にやられる?笑わせる。まぁ、防具程度は用意しますかね。簡易Dフィールド展開」
簡易Dフィールド、簡易とは言いつつLBCS用Dフィールドの初期試作型、値段はお察し。稼働の条件や飽和上限が低く、ミゼレム相手には使えたものではない。スルガは装甲娘達を鍛えるのに使っていた(まあ、なんかあった時多少の掠り傷で済む)
それとスルガの持ち物は木刀と模擬弾装填の拳銃そして上限数不明の各種模擬爆弾、地雷、ガムテープ
2人は適当にサイコロを振り出た目の階から行動開始だ。お互いの開始地点及び場所は知らされない。が、5分に一度、どのフロアに居るかは通知される
場所は避難して無人となった市街地のフィールド、その中のそこそこ大きなビル一棟、2人のインカメラと各所に設置されたカメラが映像を他に届けている
視点をアカシに、アテナスの隊長に移す
「隊長はこの勝負、どう見られますか?」
「そうだな・・」
対面での対面試合でもスルガが勝利するだろう。だがビルの中での遭遇戦、索敵面はLBCSを使うアミ君に圧倒的な分がある
いつもの彼ならビルごと倒壊させるだろうが
「アミ君有利だろう。LBCSを纏うアミ君の方が機動力、索敵能力も高い。何でも有りならスルガが勝つだろうが、多分ある程度セーブする・・・筈だ」
「勝負の流れは大体、アミさんから仕掛ける形になるでしょうね」
ビルは十三階立てで横にも広い一般的なテナントビル、通路はリング状になっておりその中央にエレベーターやトイレ、外側に事務所等がある
その他非常階段、非常エレベーターがある
一階、二階のみ広いホールの用になっていてスルガは屋上、アミは六階からのスタートだった。
画面では音を立てずに移動するアミと、どこか真っ暗な空間を移動しているらしいスルガが居る
「エレベーターシャフトか。確かに普段扉が閉まっているシャフトなら見えずに移動できる。スルガ、どんな罠を仕込むつもりだ?」
「アミさんは、スルガさんを探してるようですね。ただ、互いの位置は分かってないでしょう。5分してからが本番ですね」
そして、スルガは13.12.11階にガチ罠やイタズラを仕込みながら10階へ
アミはスルガを探して8階に居る。そしてお互いのフロア開示、スルガは自分の居る廊下の前後にアイスマインを投げて設置、アミは手頃な窓から跳躍、10階へと直行、直ぐに中央の廊下へと飛び込んでくる
そして、対面、あからさまな地雷に突っかかるアミではない
何かを言ってスルガは手持ち煙幕を廊下にばら撒いた。スルガのインカメラが白に染まり移動しているのは分かるが?
アミは廊下のもう片方へと走り出す。逃げたスルガを迎撃するようだ
「今のは彼女の失策だな。パンドラの機動力なら地雷も起爆前に走り抜けられた・・・いや、そう動くのも計算の中?」
「ですがタイミングを読んだ上で完璧に起爆するとか、やりそうですね」
そして、スルガはまだ煙幕の中、少し走ってアミが動き出した音を聞き、戻る
自分の前にウォールマインを二枚、スタンマインをセット、アミの来る方へと発砲
「待ちの構えですか?ですが拳銃では、いえ、まさか!?」
「そんな使い方を!?」
LBCSに補助された動体視力、反射能力なら数発の拳銃程度避けるのは容易い。だがウォールマインは近いただけで起爆する
スルガはテナント部屋へと避難、そして直後にウォールマインが、廊下を塞ぐ壁ではなく、二列の迸る業火となり、通路全体焼き尽くした
そして、少し離れた壁を木刀片手に爆散させウォールマインで焼けた廊下にスルガお手製スタン閃光手榴弾を放り込み起爆そしてアミを強襲
一時的にLBCSの目を潰してスルガがアミの首を捉える
『そこまで!勝者河白スルガ!』
カメラに向けて無言のガッツポーズ
─この後──────
「教え子達には使わず終わった爆弾結界with閃光手榴弾を添えて。正面から勝っても面白みに欠けるからちょっと工夫してみた。頭は回るが思考を読まれちゃ意味が無い」
「うぅー、負けたぁー!実力見たいって言ってたくせにアレってどうなのよ!」
「実力見たいのは嘘じゃねえよ。そこから思考誘導は始めてたのさ。ケヒヒッww」
悪魔のような笑い。手加減はしたが容赦してやるとは思ってすらいない
スルガの教え子達はガッツリ、スルガの評価をまともじゃない方に変えるのだった
そしてFrameArmorの面々と合流し、暫くしてアテナス、ファーストケースとの試合が開始される。装甲娘達には別口の新規開発技術の実証部隊との説明がされた
演習のルールは襲守別れた襲撃戦、勝利条件は共通の相手の全滅
攻撃側の勝利条件は隊長の撃破
防衛側の勝利条件、一時間の経過
尚、FrameArmorは防衛側に置くと完全に罠だけで封殺(スルガがイキイキ)しかねないと言うことで襲撃担当へ、更に大掛かりな爆弾のトラップ使用禁止、無線通信からの位置の割り出し等を言い渡された。いい加減正々堂々戦えということである
不服気味である
mapは今のビルがあった市街地、ざっくり3キロ四方のフィールドだ
─FrameArmor出発地点────
「んじゃ、隊長らしく作戦でも建てるか。攻防とは言え相手の首は隠れるし移動する。事前ルールに隊長の撃破ってあるから指揮車は囮に使い潰すかもしれん。戦闘正面人数では六人の向こうが上、出来れば索敵に迅雷を割きたいから四人とFA轟雷、それに狙撃手のハンターも居る。崩すには条件が中々悪い」
「それで、スルガはどうするの?」
「ソルジャーに轟雷の操作を任せて隠れて指揮を取りつつ、俺も偵察に回る」
いざとなれば天気が晴れ時々爆弾になるだろう
「アカシさんを狙うんだよね?」
「んー、まあ、流石にね。殲滅狙ってもいいけど、頭数向うのが多いし」
「手段は?」
「生身か指揮車に居るかで変える。生身なら天誅、指揮車なら指揮車ごと爆破する。狙いに行くのは多分スティ子、迅雷、ルナか俺だろうな。多分一人で落とせるだろう」
「でも誰かは隊長の側にいるんじゃない?LBCS解除してたらレーダーには映らないし」
「あー、居るとしたらリボンか・・・クノイチ、援護兼ねたハンター、エンペラーとアキレスが前線張らんとは思えんし、かと言ってジョーカーも護衛向きじゃない。3人、何かあるか?」
あえて考えさせてみようか。どの程度育っているかだな
「隊長、こういう時は大体本隊の近くに護衛対象を置きますよね?」
「定石だな。隊長の戦闘能力はLBCS相手に勝ちを狙えるレベルじゃないし」
「生身で勝ち狙えるあんたがおかしいのよ。そうねぇ、アテナスにはあたしみたいに飛べる装甲娘は居ないわ。制空権はこっちのものね。でもハンターの狙撃やミサイルが怖いわね。足の速い迅雷か射程の長い轟雷に抑えてもらいたい所ね」
FrameArmorには明確な狙撃手が居ない。やろうと思えばヒノ以外はこなせるが、特化にはまだ敵わない
「うむ。私も部隊の目として十全に動こう。だが一つだけ気になるのが向こうはスルガがどう動いていると考えているかだ」
「迅雷、その心は?」
「指揮系統の破壊は混乱を呼ぶ。フレームアームズが出撃するならその中に居ると考えるのが道理、最初から隠密行動を前提に動かれていたら?」
「ふむ・・・アカシならあり得る。上手く思考を固定化させられれば良いんだが」
「あ。ならいっその事スルガさんが前線張るのはどうですか?」
「あー、敢えて?でもフレームアームズの無人運用は時勢的にバレたく無いんだよなぁ」
「いっその事全員バラバラに動くかい?各個撃破が怖いけど」
ヒノが中々に思い切ったことを言う。確かにルナとヒノならエンペラー1人程度なら突破出来るが2人以上は組み合わせ次第か?
「いや、やっぱある程度纏まろう。陣形はヒノ、ルナ、轟雷、スティ子の四人で、ソルジャー、もといFA轟雷と迅雷と俺は離れて連携取りつつ索敵と撹乱、隊長の暗殺を狙う。んで地図がこれで互いの開始地点は対角の場所からスタート、当たり前だがフレームアームズは目立つ。隠れることなんざほぼ不可能、ヒノ、前線指揮は任せる」
「うん。拝命した。方針は決まってるかな?」
「基本俺と迅雷で索敵、見つけた相手の撃破がメインと考えてくれ。ただハンターからの狙撃、クノイチ、ジョーカーからの奇襲は要注意だ。ソルジャー、今回滑腔砲は降ろして肩には誘導ミサイルと12.7mmガトリングを積んでくれ。ハンターを見つけたら遠慮なくぶっ放して良い。移動経路は少し円弧を描きつつ横断する」
「スルガ、索敵の方針は?」
「んー、基本レーダー見てかな。あまりにも映ってなかったら生身で行動してるって事だし、迅雷はDフィールドを作動させずにステルスモードで行動、大体左右の斜め前方を隠れて移動、見つけたらソルジャーに映像を転送してくれ。俺が見て破壊か放置か判断する。そして俺は確実に仕留めれる時以外姿を隠し続けて生身の奇襲と言う択を押し付け続ける。常に思考の何処かに俺の影がチラツキ続けるぜ。質問は?・・・なさそうだな。よし。FrameArmor、出陣だ!」