─防衛隊基地内 体育館特設会場─────
ファーストケースであるアテナスと特殊部隊FrameArmorの演習戦
アミは同期数人とディスプレイを眺めて会敵を待っていた
(スルガはバイクに跨りマント被って単独行動、あの迅雷とか言ってた子以外はロボットに乗って高速移動、それにしてもあの子達、タイニーオービットで姿を見た気がするわね。スルガが見繕った装甲娘なの?)
画面の向こうで各々動くフレームアームズガールを見てそんな事を考える中、両者は少し移動、アテナスは固まって南方に移動、クノイチは本隊の西方で偵察をしている。当然FA轟雷には気が付いており、積極的には仕掛けずに距離を取る形、いつもの指揮トラックは自分達を先行する形で走らせ囮扱いだ
ステルスに心得があるクノイチ以外はレーダーを警戒してLBCSを纏わず行動していた
「アテナスは指揮車でスルガを釣り出す気だろうな。対して河白スルガは・・・大将首一本狙いか」
「それだけとも思えないけど、あ。近付いてるわね」
(それにしてもこのルール、あいつ、いや、流石にそれはしないわよね)
アミの中に可能性が一つ過ぎる。迅雷と本隊の位置が近い
─Side スルガ─────
「ソルジャー、そろそろmap中央だな。進行方向1,4,10に向けて画像誘導ミサイル発射、迅雷も見つけてないとしたら南か東か、動いてないかのどれかだ。分かりやすい揺さぶりをかける」
『む?スルガ、新しいタイヤ痕だ。アテナスの指揮トラックのタイヤ痕と一致する』
「付近に足跡は?」
『いや、暫く雨が降ってない。雑多な足跡が多くそこまでは』
「了解・・・迅雷、タイヤ痕を追え。罠には十分警戒しろ」
『承知』
「他のオーダーは・・・周りに他のタイヤ痕は無いか?両脇の道を確認して欲しい」
『請け負った』
(スルガ、4時のミサイルカメラが指揮車を捉えた。現在、被弾!墜落する)
「ミサイルか?」
(多分狙撃だ)
「ハンターか?迅雷、レーダーに反応は?ヒノ達は進路5時に移動速度は控え目に。急いでアテナスの出立地に行く」
『いや、何もないぞ。建物の中か影かで映らない角度が多い』
「分かった。しかしLBCS無しで当てたのか?それともクノイチ?前者ならアカシだが、何故?撃つのは存在の露呈、いやオートタレット?なんの欺瞞工作だ?」
スルガはバイクを速度重視に、モーターが唸りを上げて一気に加速する
─Sideアカシ──────
「凄い!隊長一発で命中です!?」
「ありがとうハンター。これでスルガは思考の坩堝に嵌る」
対物狙撃銃のスコープから目を離したアカシがスポッターをしてくれたハンターを労う。レーダーの捕捉を嫌った対空狙撃
「クノイチ、中央のロボット達の動きはどう?」
『やっぱ撃ち落としたの不味かったんじゃね?真っ直ぐ来てんぞ』
「ミサイルが一発って事は多分陽動、隠れられてれば当たらない。スルガはそう考えてると思う。だから敢えて落として混乱させる。移動速度は?」
『あー・・・さっきと比べて遅いな小走りって感じ。人数に増減なし、いや、ルナが居ないな』
「ミサイルが落とされたから。多分スタート地点とmap中央上を迅雷かルナ君が確認してるんじゃないかな」
「隊長、こちらから仕掛けますか?」
「そろそろコソコソしてるのも飽きてきたしねー、思いっ切り動きたいなぁ」
「私は楽でいいけろね。で?隊長さんはどうするろら?」
「こちらから強襲する。リボン、直衛をお願いね」
「よっし、任せなさい!スルガ以外なら返り討ちにしてやるわ」
彼女もまた、訓練生時代にスルガに鍛え(トラウマを植え付け)られた1人、実力は並ではない
「クノイチはそのままロボットの監視、指揮車を多分ギリギリロボットから捕捉できる距離を走らせる。そこで食いつけば奇襲、食い付かなかったら指揮車とハンターで挑発して強襲。けどスルガの場所が分からないのが恐ろしい」
「あのロボットの中じゃないの?今ミゼレム相手に人が乗ってない物って駄目じゃない?」
「この場だけのオートパイロットか、僕も知らない向こうの事務員さんが乗ってるとも考え付いてしまうのがスルガの恐ろしい所だ。盤外戦術はスルガの十八番、ミゼルとの頭脳戦に真っ向から挑んできた彼の実力は僕も未知数だよ」
『隊長!ロボットからミサイルだ。数は4、2本が指揮車に向かって、もう2本は・・・丁度隊長達の方だ!』
「見つかった!?」
──Side防衛隊基地────
戦況解説と実況がまだお互いに発見はしていないと語る
「解説の方、襲撃側はファーストケースの痕跡を辿っている用ですが?」
「はい。いま襲撃側は囮に食いつき掛けてる状態にあります。ですが私が無線通信を聞いている所かなり迷っていますね。先程の誘導弾の撃墜でかなり行動が縛られています。思考の誘導が上手いですね」
戦況ではスルガがアテナスのスタート地点を確認していた所、ヒノ達と囮の指揮車、アテナス本隊との距離も縮まっている
「現状では主導権を握るのはアテナスですね。あれ?襲撃のナイトメアが見えませんね」
「どうやらルナさんがいつの間にやらロボットに乗り込んでいます。本当にいつの間に?まあいいか。通信を聞く限りアテナスはルナさんが消えたのには気が付いたようですが隠密行動だと判断した「おうっと!ミサイル発射ァ!このコース、目標は囮の指揮車かぁ?」
「いえ、半分はアテナスの隊長の所です。迅雷が隊長が乗る高機動車の予想進路と速度を割り出したようです。恐らく大まかにこの辺、と言う感じですが・・・狙いは正確です。アテナスはここで選択を迫られます。安全の為に撃ち落とすか、影に隠れてやり過ごすか、さらなる欺瞞のために指揮車のミサイルを落とすか」
画面の中ではハンターがLBCSを纏いスティンガーミサイルで自分たちに降りかかるミサイルを迎撃する。迎撃行動、指揮車の方に向かったミサイルのカメラが迎撃に撃ち上げられたスティンガーミサイルを指揮車を目標にしていたミサイルのカメラが捉え、進路を変えた
「そういう事か!」
無線でスルガに伝えられたのはスティンガーミサイルの発射座標、轟雷から六発のミサイルが発射、そしてヒノ、FAg轟雷、スティレットがFA轟雷から発射されるミサイルに搭乗して強襲をかける。そして自身もビルの隙間を縫い走り出した
─Sideスルガ─────
「迅雷、座標の割り出し、凄く助かった。賭けはこちらの勝ちだ」
『発見されてると思い込ませて迎撃させる。分が悪いと思ったが』
「追加の注文だ。迅雷、ヒノが強襲する直前にペイントボムで陣形を引っ掻き回せ。んで退け」
『承知』
流石にヒノの方が早いが俺も迅雷となら直ぐ合流できる。二人で隊長を襲撃しよう・・おっと、厳しそうだな
近くのビルの中から金属光沢、体を傾けて短期間の掃射を躱す
「おいおい、奇襲にしちゃあ随分手緩いなぁ?」
一切速度を落とさず大きな交差点を右折、ビルの中からクノイチが飛び出し、追跡してくる
「クッソ、しくじった!」
「Dフィールド定格出力展開、スモーク散布。ルナ、こっちにクノイチが来た」
さらにスルガが何個がグレネードを真上に投げて起爆、クノイチを爆破しようと試みる
しかし短機関銃警戒で蛇行や右左折を繰り返しているため無差別爆撃の中でも小回りの利くクノイチに距離を詰められる
─Sideヒノ─────
『行くわよ!』
先行していたミサイル2発が起爆し一瞬3人の姿を隠す
そして煙を抜けると黒インクに塗れたアテナスの面々が居る。スルガに内心そこまでやるか、と思いつつ
ミサイルから飛び降りブースターで姿勢を保ち着地、そのままエンペラーに斬りかかる
『迅雷、そこに誰がいる?』
「アキレス、エンペラー、ジョーカー、レッドリボンだ」
『了解・・・FA轟雷にハンターの予想潜伏地点を洗い出させた。気を付けろよー。ルナ、今誰も轟雷見てないから隠れてハンターか隊長を探して襲撃してくれ。俺もそっち向かってるから』
『ん。分かった〜』
『それとソルジャーも急行、バルカンでヒノ達の援護を頼むぜ』
「流石です。ヒノさん!」
グレネードから顔を背けてインクを避けたエンペラーがヒノと打ち合う
そしてスティレットのハンドガトリングの掃射がアキレスへと撃ち込まれ防御姿勢に動きを止めたそこに轟雷が突撃、別方向からアサルトライフルを撃ち始める
「うっ、動くに動けない」
「しっかりするのよアキレス!」
リボンが轟雷に仕掛けてその後ろからジョーカーが鎌を振るう
「バカリボン!そのまま前衛任せるのら!」
「はあっ!」
「ごめん!助かった!」
アキレスが復帰、轟雷に食って掛かる
スティレットがジョーカーにハンドガトリングで牽制
『迅雷、クノイチ落とせそうだし隊長を捜索』
『承知』
─Sideスルガ─────
バイクを乗り捨てることでクノイチを不意打ちスモークの中で木刀の切っ先が額を捉える
「おいおい、今は実戦チームと認められた部隊の元リーダー相手に言ってくれるじゃねえか」
「一丁前に悔しやがりやがって半人前、悔しいなら一太刀位当ててみぃや」
スモークの中での攻防、LBCSと人間の身体スペックの違いはどうにもならず、持久戦に持ち込まれたら流石に負ける
なので短期決戦一択。拳銃型のワイヤーガンを使い鞭の要領でクノイチを絡め取る
そして、巻き付いて一瞬動きが止まったクノイチを思いっ切り引っ張った
そこそこ鍛え筋肉が付いているスルガ、ついこの間まで一般人だった少女+ストライダーフレームのLBCS
装備抜きでもスルガの体重の方が重い
クノイチは踏ん張りコダチでワイヤーを切断する。しかし顔を前に戻すと目の前に木刀の切っ先が迫っていた
ほんの一瞬、ワイヤーに意識を向けた隙を突いてスルガは突進していた
そして、ゴッと鈍い音を立ててクノイチのDフィールドが動作、だが
(クノイチ、判定戦闘不能!)
審判たちの判断により戦闘継続不可能の旗が上がった
「あー、まじかー!まだ勝てねぇか!」
「実戦出力なら兎も角、演習戦ではまだ負けてやれねえな」
風がスモークを全て吹き流しスルガはバイクで走り去る
「クノイチ撃破」
(ソルジャー、そっちどう?)
(済まんスティレットとやられた。レッドリボンとジョーカーは撃破、後はルナがハンターを襲撃、手負いで逃げられて追跡中。隊長は行方不明だ)
「ルナ、ハンターはどう逃げてる?」
『大雑把に北東かな』
「了解。迅雷、見てる限りアキレス達の動きはリアルタイムで指示を受けてるようだったか?それとも一つの目的を達するように動いてたか?」
『そこまではわからないな』
「じゃあインクを投げ込んだ時どうだった?視界のない中エンペラー以外で反撃した奴は居たか?」
『それは見受けられなかったな』
なら隊長は戦場を見てるわけじゃない。何処か近い場所で隠れてる。クノイチもリアルタイムで指示受けてる感じじゃなかったし多分指揮があったらもっとこっちが崩れてる。なら
「迅雷、多分map左下の角だ。移動手段は防衛隊の高機動車、武器は狙撃銃か持っててもアサルトライフルと拳銃。見つけ次第撃破、足を奪って狩りに行くぞ」
─隊長Side─────
『すまねえ隊長、やられちまった』
「いや、良くやってくれた。ハンター、そっちは逃げ切れそう?」
『厳しいですぅ、罠仕掛けても全部避けられますしなんでそんなに勘鋭いんですかぁ』
まあ、日常的に即死トラップの設置を多数見ているからだろうか
しかし状況は厳しい。アキレスとエンペラーは互角でハンターは逃走に専念している。こっちの援護は望めない。それに恐らくこっちに来ているスルガと迅雷と言う装甲娘、車は既に乗り捨てたがあまり距離は空いていない
近くの建物の3f大部屋の机の影に隠れてはいる。スルガの目は誤魔化せるだろうが迅雷の目がどれだけ良いか(サーモグラフィー等を装備しているか)だろうな
しかし、こんな不利な条件の勝負を何故スルガは受けた?
そう。今更ながらこのルール、FrameArmorにとってガン不利なのである
最悪隊長が何処かに隠れ続けられればそれでアテナスの勝利、フィールドも広く手掛かりも無し。普段のスルガならクソゲーと匙を投げそうだが
「エンペラー、そっちはどうだ?」
『やはり手強いです。すみません。応答の余裕が、ハッ!セイッ!』
「頼んだよ」
少し窓の外を見るが、特に何も居ない。が、上から恐らく着地音、居る
息を殺した。拳銃を握る手に力が入る
スルガの五感だけなら何とかなる。上にいるのが迅雷ならば、今直ぐに逃げたほうが良い
一応屋上と階段にセットしたマイクにはトットットッと小さな足音以外の音は入ってこない
「・・・」
足音が消える。止まったか、ここを離れたか
そして、突如部屋の中から煙が発生する
「!?」
急ぎ口を隠して部屋から離脱、煙を吸い込む前に逃げられた
(催涙ガスか?なんて物を使ってくれる)
バリンッ!
バレたと判断しこの場から立ち去ろうとした。が廊下の窓が割れそこから迅雷が飛び込んでくる
「お命、頂戴!」
─スルガSide──────
スルガの端末にメッセージが届く。迅雷からだ
(怪しい電波を掴んだ。音声信号だと思う)
「電波?」
『迅雷、発生源を特定、建物の中なら建物までで良い』
(承知)
そして、迅雷がその建物を見つけ出す。スルガに座標のメッセージが入り、バイクを降りてその建物へと急行していた。
(ここか。音声信号なら警戒用の盗聴器の類だろうな。一応ルールには無線通信からの割り出しは禁止されてたが、ただのマイクの電波を辿るなとは言われてねえな。それにルールにも抜け穴だらけだ)
スルガは自分の体に装着されている予備グレネードの残量をみる。十分だろう
建物は三階建、居るとしたら逃走経路の関係で二階か?
『迅雷、わざと音を立てて屋上に降りろ。んで足音はギリギリ聞こえるくらいで歩き回る。出来るか?』
(うむ。やってみせよう)
スルガが外からサーモグラフィーを構えるが、建物の内部に居るのか位置が掴めない
ならば、炙り出す
(今屋上に来た。例の電波もかなり近い)
『りょーかい、なら廊下の窓の直上にワイヤー仕込んでくれ。2階に強襲準備を整えろ。静かに手早く頼むぜ。その建物を調べたがテナント用の大きな一室とそれ以外は廊下や小部屋だ。隠れるリスクが一番少ないのは大部屋、炙り出すから仕留めてくれ』
(心得た。仕込み完了、いつでも行ける)
『了解!』
スルガが2階の割れた窓に数個の催涙弾を投げ込んだ
それと同時に自身もビルへ突入、拳銃と木刀とスタングレネードと共に階段を駆け上る。そしてガラスを割る音が聞こえた
「やってくれるっ!」
隊長がクナイの投擲を寸で躱し踵を返す。しかしそこには階段を登ってきたスルガ
「首置いてけぇ!」
愛用のスタングレネードを二つ投げる。
隊長は走りながら拳銃でスルガを狙う。その後ろから迅雷がすさまじい瞬発力で隊長の背に迫る
(ま、それくらい持ってるよな)
拳銃を見て階段に身を隠す。グレネードが起爆した。
そして、直ぐ後に別の爆発音
「なっ!」
(ん?)
迅雷が落とされていた
「僕にも秘密の隠し球くらいあるんだよ」
「クレイモアの改造品だろ!」
隊長との一騎打ち、互いに位置が近い。スルガは木刀を振るう
ほぼ現役軍人のアカシとシーカーに混ざり鍛えているとはいえ互角条件では勝ちの目は薄い。それに相手は大人、外道戦法では心は折れまい
今一度、攻撃側勝利条件を確認しよう。隊長の撃破と全滅、こちらの敗北条件は全滅か一定時間の経過。そう。指揮官の生死が問われるのは防衛側のみなのだ
逆に考えるんだ。(命)あげちゃってもいいさ。と
ここでの、この演習で勝つ最善手
スルガ の だいばくはつ
スルガがこの場で手持ちの模擬グレネード全てを起爆、模擬爆弾とはいえ凄まじい風圧が飛び交う
Dフィールドを持つ2人は特に怪我はないが審判員から
《河白スルガ、及びアカシリョウゾウ爆死判定、よって、隊長の撃破によりFrameArmorの勝利》
==だいばくはつへの反応集=========
アミ 無言で額に手を当ててあーあ。やると思った顔をしている
訓練生大多数 ドン引き。ミゼルと戦ったレジェンドに夢を見る乙女たちも多い。笑いながら自爆するのはあまりにもギャップが酷すぎる
現役防衛隊員達 同じくドン引き。まさか世界を救った英雄の一人が自爆特攻するとは思わない
アカシ 事態を飲み込めず茫然自失、事態を正しく認識し掴みかかるがルール上問題ないの一点張りに遭う
ルナとヒノ 今回は真面目に戦うと信じていたがやはりスルガはスルガだった
遠くから見てるアランウォーゼンとレックス
ルールの穴に気がついていたし仕留めれるなら間違いなくやると確信していた
アテナスの面々 自分達は必死こいて戦ったのにこんなギャグみたいな戦闘終結で負けとかふざけんな
スルガ本人 一回やりたかったんだよねコレとのコメント。すごく楽しかった様子だ。こいつほんと救えねな