ダンボール戦機 絶対零度の闘士   作:超甲形巡洋艦

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理性のある化物

═futurehope号CIC══════

 

キィン!

 

四人の耳に飛び込んできた何かが弾かれる音、音をしたほうを見るが何もいない

 

三秒程後にワイバーンの悲鳴が聞こえてくる。それと同時に少し離れた場所に叩き付けられていた。そして鉄棒が飛来しそのままコアに突き刺さる

 

四人とも飛来した方向を見るも何も居ない

 

「一体何が起こったの?」

「キラードロイドを瞬殺しやがった・・・」

「誰がこれを?」

「多分、機龍とスルガだと思う。確証は無いけどそんな気がする」

 

 

ルナはCICの外へ出てXF-05との闘いに混じった。そして目にしたのは破壊を振り撒く赤い目をした化物だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─CIC前通路、同刻─────

 

XF-05の群れを徐々に削っていき残り4/3程

 

 

《ヒロ!聞こえる?》

「母さん、どうしたの?」

《警備の兵士がそっちに向かってる。逃げて!》

「なんだと!?」

 

 

前にはLBXの群、後ろには完全武装の兵士達

ほぼ袋小路だ

マスターコマンダーの指令でインビット・F9機が兵士の迎撃に向かう

 

 

「オーバードウェポンならこの通路崩落させられんじゃねえのか?」

「破壊に適したものはルナ君が持っている。それに無人機が人の迎撃に出た以上こちらも押し返されかねない!」

 

 

拓也とコブラが拳銃を取り出しいつでも撃てるように待機。そこら中から銃声やら破裂音が鳴り響く中、ついにインビット・Fが接敵し戦闘を開始した

 

 

が、オメガダイン側もいつまでもスルガとLBXにビリビリさせられている訳では無い。グレネードを織り込んだ投網を用意されインビット・Fが用意に突破を許してしまう

 

 

「コブラ、来るぞ!」

「ちくしょう!こんなことは専門外なんだがな!」

 

 

通路の奥から兵士が短機関銃を構えて出てくる。角に隠れながら拳銃で牽制、撃破を免れたインビット・F三機が残りの兵士相手に奮闘

 

 

そして兵士が突撃を仕掛けてくる。防弾チョッキなどを着こんだ兵士に対して拳銃では効果は薄かった

がしかし天井に亀裂が入り爆発、一部が崩落し突撃の足を止める

爆煙が晴れる暇無く次々打撃音と銃声、兵士の悲鳴や絶叫らしき声が聞こえてくる。立ち尽くすコブラと拓也

一体何が起こっているのだろうか?やがてすべての音が全て途切れる

 

 

 

 

═side???═════

何かが違う。だが今はそれで良い

 

 

「───君!!」

 

 

何か言ってる。けど今は関係ない。───には関係ない

───が拘束を切った。行かなければ

 

 

ダックシャトルの扉を開け機外に出る。雨が打ち付ける甲板に出る。───が慣れない───の体を駆りハッチから一人と一機が同時に船内に滑り込む。

 

 

 

──────

 

 

 

そして船内に飛び込んだ矢先に隔壁が閉じる。───が扉を破壊し少しづつ進む。そして兵士に出くわした

すかさず短機関銃を構える。───が誘導弾を発射し突撃、兵士が投網を投げるがメーサーブレードで切り裂き誘導弾を短機関銃に直撃させ破壊

 

 

敵、攻撃してくる。撃破して更に奥へ・・・殺すな、かどうすればいい・・・死なない程度

 

 

短機関銃を即座に捨て発砲された拳銃弾を視て避けながら───が走り出す

───が既に兵士の中で大暴れ、尻尾で殴り肋骨をへし折って意識を刈り取る

普通に顔面を殴り倒し後頭部を壁に打ち付けて脳震盪を引き起こす

各々の拳銃を狙い再び誘導弾を斉射し破壊

怯んだ奴の腕を尻尾で殴り粉砕骨折

 

──も兵士の顔をひっ掴み膝に顔面を勢い良くぶつけて鼻の骨を陥没させ次の兵士を殴り気絶

服の上から腕の一部を服ごと千切り腹を蹴り上げ壁に叩き付けて失神させる

拳銃を失いCQCを仕掛けてくる兵士の腕を引き込み背負い投げ、もう一人ぶつけて溝尾に踵落とし肋骨骨折、もう一人には口に含んだ血肉を吐き捨て足を踏み折り戦意喪失

 

 

こうして化物はたった二匹で完全武装の警備兵を無傷で撃破した。怪我人を連れて撤退するのには目をくれず先に進む

 

 

ガコォン・・・ウィィィィン

 

 

扉が開いた。障害物の無い二匹時折出てくる兵士を蹂躙しつつ進撃速度を上げる

 

 

船内を駆けずり回る内に下の階から二人の集音器官に戦闘音が聞こえた。何かを察知した───が誘導弾を三斉射し次々と床の一点に叩き付ける

その穴には入らずダクトへ、───はその穴に飛び込む

 

 

 

 

 

═futurehope号CIC═════

 

ダクト内を飛行中に何かが視えた。誰かが何かに貫かれる映像、急ぐ

 

 

自分の速度は音速を突破した。だが周りの景色はスローモーションのようにはっきり捕らえられる

 

 

ダクトから出るとゆっくり伸びる赤い軌跡が浮かぶ。弾道だ

赤い軌跡、先端の未来位置に飛翔、体を回して尻尾で弾き軌道を反らす。そして弾道から発射点を特定し空中で方向転換、そこに突っ込む

 

 

キラードロイド、そう認識した瞬間には勢いそのまま顔面を殴り付けていた

 

 

ワイバーンが悲鳴をあげる。その隙に尻尾を掴んで降り回しぶん投げた。その後近くの鉄棒を適度な長さに折ってキラードロイドに投擲、コアを貫いた

 

 

そして外での戦闘を察知しまたダクトに飛び込み外の敵LBXの掃除を始める

 

 

 

 

═CIC前、廊下════sideルナ

 

煙が晴れる。ルナの目に写ったのは床や壁に伏している兵士、天井からゆっくりと降りてくる赤目機龍、兵士の返り血に濡れたスルガだった

 

 

「スルガ・・・なの?」

 

 

ルナの目をスルガの冷徹な視線が貫く

 

 

「ルナ!心配なのは分かるが出てくるな。今のあいつは明らかにまともじゃねえ」

 

 

コブラの拳銃を握る手に力が入る。それを見てか機龍とは臨戦態勢にスルガは頬をひきつらせ歯を露出させた

 

 

「ッ!コブラ、今すぐ拳銃を置け。ゆっくりだ」

「宇崎の旦那・・・そう言うことか」

 

 

二人が拳銃を床に起き両手を頭の横へ上げる

 

 

「おい、あれはなんなんだ・・・」

「スルガ・・・なのか?」

「freaks・・・」

 

 

あまりの惨状にCICに居る奴以外が全員が息を飲んだ

 

 

「違う。アレらはスルガでも機龍でもない別のナニカだよ」 

 

 

こんな暴力に走る事は無い。機龍も様子がおかしい

それにあんな冷たいのはスルガじゃない。それだけははっきりと言える

 

 

「スルガでもねえ機龍でもねえってどう言うことだ?」

「少しファンタジックな話しになるけど別のナニカに取り憑かれてる気がするんだ。でもスルガはたしかに居るはず、なら」

 

 

河白スルガを引き摺り出せるかもしれない。だがどうすればいい?

 

言葉で説得?いや、今のアレに言葉が通じるか分かんない。なら、実力行使、でもどうする?・・・フルリンクシステム・・・同じコンピューターにアクセス出来たなら、スルガにコンタクト出来るかも、どこからアクセスする?それで私も無事で済むか・・・でも可能性があるなら

 

 

「皆、お願いがあるの。スルガを元に戻すのを手伝って」

「何とかなるのか?」

「うん。私もフルリンクシステムを使って直接スルガを引き摺り出す。私の呼び掛けなら絶対に答えてくれる」

「だがそれじゃあルナが危険過ぎるぞ。何かあったら俺は里奈に顔向け出来ない!」

「少しでも可能性があるなら、やる。だから手伝って」

「よし!良いだろう。俺達はどうすればいい?」

「ありがとう師匠。まず機龍を止めてほしい。スルガは今CCM無しで操作してる。そんなことが出来るのはフルリンクシステムくらいだよ。だから私も機龍を経由してスルガを起こす」

「き、機龍ってあの銀の奴だろ?さっきの見ただろ?あんな化物倒せるのか!」

「世界チャンピオンがうだうだ弱音吐くな!倒せる倒せねえの話しじゃねえ。倒すんだ!」

「はい!今度は僕達がスルガさんを助ける番です」

「ああ。行くぞ!」

 

 

シャルナックとソルジャーDがスルガの方に走り、こちらを向く

スルガは右手だけをこちらに付き出す。この二機もスルガのLBX、つまり、受けて立つのサイン

 

 

「スルガ!たたき起こしたげるから覚悟してね!」

 

 

 

 


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