═打ち上げ施設═════
スルガは今、気絶したルナを人質に取るガーダインと対峙していた。脇にはアランウォーゼンとビショップ、そして風摩キリトだ
ここで見たのは頭に浮かんだのと全く同じ光景、スルガの力もまたオーバーロードなのが確定してしまった
「よう。初めましてだなぁガーダイン?平和記念演説のお前は爆笑物だったぜ」
「お前が河白スルガか。貴様のお陰で計画が大きく狂った。だが、最後は私の勝ちだ。おっと、LBXはピタリとも動かすなよ?私が死ねばどちらにせよこの娘の命は無い」
ガーダインはゆっくりとルナの頭に拳銃を突き付けたまま後ずさり、ロケットの扉のほうへ、後ろではビショップがロケットの扉を開けていた
「貴様の事だ。第2第3の仕掛けが作動させられる前に行くとしよう」
「おいおい、大丈夫か?コントロールセンターは無傷だぜ?」
「その程度、今すぐ破壊出来る用意は出来ている」
アランウォーゼンがポケットから何かのスイッチを取り出し押し込む。こちらからは特に何も確認出来ないが?
「これでこの基地の管制能力は無くなった。これで別れだ」
ビショップがスモークを焚く。そして扉の閉まる音
「おいスルガ!お前ならあの扉位破壊出来んだろ?」
「出来る。けどやれない。今のガーダインには安堵の中にかなり焦りの表情が見えた。追い詰めたらルナが危ない。それにロケットなんて下手に壊したら中の固形燃料が爆発して全員まとめて御陀仏だ」
「ルナを守ると大口叩いた割には随分弱気じゃねえか?それでも河白スルガか!」
「それでルナが死んだら意味がない。それにルナの首、スレイブプレイヤーにつけられてるのと同じ首輪が付いてた。無理に取り返したらどうなるか分かったもんじゃない。それこそ廃人にでもなられたら・・・」
スルガなりに色々考えた。だが最後の最後でガーダインに出し抜かれてしまったのだ
だが考える時間はそう長く続かない。ロケットのメインエンジンが点火された。急いで離れなければ焼け死ぬ
「皆、一旦安全な所に逃げるぞ!」
近くに合った部屋に滑り込み何を逃れた。しかしスルガは諦めていない。再び機龍に移りエンジンの暴熱風の中、飛んでいくロケットを追跡する
『こちらキリュウ、オーロット!ガーダインが人質連れて高跳びしやがった!』
《なんだと!?・・・なに?ふざけるな!人質が・・・クソッ了解。こちら管制機オーロットより全機、あのロケットを・・・破壊せよ》
『はぁ!?オーロット、なに言ってる!』
《上からの命令だ・・・》
『我が身可愛いに保身に走るか。糞政治家共め・・・』
パラダイスが軍事衛星で、それがミスミステロリストに奪われれば世界的にA国の立場が無くなるからか・・・後で社会的に始末してやる!
機龍が加速中のロケットに追い付いた。しかし地上から打ち上げられたミサイルが複数迫っている
『ええいッ!』
機龍のレールガンがロケットに迫る対空ミサイルを破壊、迫る戦闘機には誘導弾で牽制し攻撃を妨害
《キリュウ!何をしている!》
『俺は世界の事なんざ、自分の事なんざどうでも良い!恋人を!ルナを守るのが俺の戦いだ!』
やがて機龍はロケットの加速に追い付けなくなり、ロケット大気圏を超えては飛び去った
═国防基地内、どこか═════
スルガは今、監禁されていた
理由考えなくても明白だろう
「・・・・・・・・・」
─ロケット発射の後─────
「あっ、スルガ・・・あれ?ルナは?」
「人質としてガーダインに連れ去られた・・・完全にしてやられたよ」
「スルガさん・・・」
「檜山、コントロールセンターの方は?」
「管制のためのコンピューターが木っ端微塵に爆破された。全員外に居たから怪我人が居ないのが幸いだな」
みんなの表情は暗い
「コブラ、NICS本部に連絡を。ガーダインを追いかける」
「でも、何か手があるの?」
「アミ、思い出せカイオス長官が言ってた打ち上げ施設の中にNICSがマスドライバーがあると言ってたろ?ダックシャトルに専用の改造をして使うと言ってた奴。それを使えば追いかけられるんじゃないか?」
「つまり、僕達も宇宙に行くと言うことですね?」
「行ければ・・・な。最悪俺の意識と機龍とソルジャー、シャルナックだけでも打ち上げて貰えばパラダイスはのレーザー砲位は破壊できる」
《皆、聞こえているか?》
カイオス長官だ。早速とばかりに山野博士が話を進める
《ガーダインがルナ君を人質に宇宙へ逃げたか》
「ええ。今すぐ追いかければパラダイスに到着する前に追い付けるかもしれません」
《それは・・・無理だ。改造には3日は掛かる。今すぐは追いかけられない》
「ならば今すぐにでも取り掛かれますか?」
《ああ。今すぐ準備させる。それと、スルガ君だが》
「なんですか?」
《私もルナ君との関係は理解している・・・責任をなるだけ軽くなるよう働き掛けよう》
「いえ、構いませんよ・・・多分パラダイスの事を隠してた政治家共に揉み消されて終わりです。それにカイオス長官の立場も悪くなりかねない。全て終わった後じっくり強烈に面白可笑しくお返ししますよ」
ガーダインも取り逃がした。完全にしてやられた結果だ
情報共有を済ませた後中尉が口を開いた
「河白スルガ君、基地司令からの命令だ。君の身柄を拘束させてもらう。気持ちは察するがが君がしたことは私としても看破できない」
「でしょうね。で、どこに行く?刑務所?それとも・・・絞首台?」
「暫くこの基地で拘束する事になる。最終判断が下されるのは早くともこの事件に決着が付けられた後だろう」
「分かった。まだガーダインは捕まえてない。LBXを託すくらい良いだろ?」
「いや・・・それなら構わない」
スルガは自分のCCMやLBXの入ったバックをヒノに託す
「機龍まで?いいの?」
「そいつが俺の最強機だ。万が一没収されたら不味いし俺が外を出歩けるようになったら取りに行くよ。じゃあ暫しの別れだ」
スルガの手に手錠がかけられ、兵士に連行された。が最後、こちらから見えるギリギリの位置でヒノにスルガは悪い笑顔を見せた
─sideスルガ───────
この部屋は刑務所の牢屋が柵ではなく堅牢な壁かの違いしかない。最低限の洗面台と鉄パイプを組んで作られたベッド、洗面台、それとは別のところに付いている鏡はマジックミラー
四台の監視カメラが多数取り付けられ怪しい動きをすれば即座に警備が駆けつけてくるだろう
しかし目を閉じ顔を落とし壁に寄りかかって膝を片方立てた姿勢のまま座ったスルガは動かない。思わず監視担当が欠伸をするくらいには動かない
═NICS本部══════
─sideヒノ─────
今は本部の会議室に集まった。ダックシャトルは人を下ろし改造のためにマスドライバー施設へ回航されている
「スルガ君・・・」
本当に大丈夫だろうか、そんな思いがヒノの心を支配する。だが最後に見た悪い笑顔、間違いなくあれは大人しくする気の無い顔だ
「気持ちは分かるが、今は目先のことに集中しよう」
ジンの声で顔を上げる。そして、機龍がジンの目の前に浮遊する
「まさかスルガさん、その中に?」
「スルガなの?」
機龍は首を横に振る。そしてトリトーンを指差した
「トリトーン?」
「ジン!フルリンクシステムじゃない?スルガから何かメッセージを貰ってるのかも」
「成る程バン君、そう言うことか。トリトーン!フルリンクシステム起動」
トリトーンが動き出す。そして機龍もトリトーンの前に着地した
「十中八九あいつはこの状況で大人しく監禁されてる訳がねぇ。絶対ルナを助け出そうとするはずだ。なあ?仙道?」
「そうだが・・・郷田、奴は今LBXを持ってない。いくらあの船の時のような暴れっぷりを見せたとしても」
「生身一つで基地の警備を全て突破するのはいくらスルガ君とは言え不可能だ。今は我々でやることをならねばなるまい」
「でもパパ、彼はこういう時、常に私たちの考えの上にいた。きっと何か策を用意してるわよ」
「それはさて置き、だな。これからはダックシャトルの改造終了が終わり次第ガーダインの追跡にはいる。その間は情報収集と各自鍛練に励んでほしい。必ずルナ君を奪還しガーダインの計画を阻止するぞ!」
拓也が締めた。それから具体的な話を進めるなか、暫くしてジンが目を覚ます
「皆、スルガ君が伝言を残していた。『絶対に脱獄して共に行く』と、それと機龍本人?からスルガの存在は忘れても大丈夫、だそうだ。どうせ自分で脱獄してくると」
「機龍が?LBXがそう言っていたのか?」
「スルガのLBXは特別じゃ。それにしても放っておけとは信頼されておるのう」
「あと、自分は誰にも使われる気は無いそうだ。だが戦闘には参加してくれるらしい。頼もしい限りだ」
機龍もなんだかんだスルガ君の事信用してるのかな?
それにしてもあの悪い笑顔・・・まるでイタズラに成功した子供のような感じだったなぁ
会議は解散・・・がヒノだけジンに呼び止められた
「少し、外に行こう。気持ちの整理を付けるのも休息の内だ」
「うん。分かった」
═近くの公園══════
「いきなり済まないな」
「大丈夫さ。スルガ君は僕に何を言っていたんだい?」
「君にしか話すなと、機龍とスルガのメッセージに念を押されたよ。スルガ君はいつでも脱獄出来るらしい」
「え?そんなに早くかい?」
「どうもそのようだ。トリックは企業秘密らしいが・・・彼の事だ。もう僕らの回りに、もしかしたら宇宙に先回りして居るかもしれないな」
あの顔は脱獄手段を思い付いた顔だった?でも何か僕の勘が違うって言ってるんだよなぁ
「僕もバン君達もスルガ君が大人しくしているとは微塵とも思わない。むしろあの基地を破壊し尽くして出てきても可笑しくないと想っているよ」
「そうだね。彼はルナちゃんを助け出すまで滅茶苦茶するだろう」
「それと本部でとある怪物を作っていたらしい。それの使用権限は既に君のCCMに転送されているようだ」
「そんなの来たっけ?」
「僕からはこれで終わりだ。そうだ、近くでLBXの大会があるらしい。行かないか?」
外に出たついでにLBXのストリートバトルに飛び入り参加したヒノであった