屋上で佇む男、一成の前に現れたのは一人の教師だった。
「ごめんなさい、あなたとは付き合えません……だとよ」
一成はそれを聞いて「なるほど」と思い、そしてそのまま屋上を出ていった。
「というかお前!他校の生徒だろうが!?屋上も締切のはずなのにおかしいだろ!」
激昂する教師を完全に無視して一成はため息をついていた。これで通算99回目の振られ方をしていたのである。彼の心は「さすがにやり方がまずいのか…」という感情でいっぱいになっていた。
そして帰路につく彼はいままでの告白人生を振り返っていた。
彼は、高校生になると自動的にハーレムを作れると考えていた。33歳になる従兄弟のニートの人が「JKはすばらしいぞ。すぐ落とせるし、ヤりまくれるのだ」と言っていたのを聞いて「それはすばらしい!」と思ったからだ。その後そのクソニートはボコボコにひっぱたかれていたが、一成にとってはそんなものはどうでもよかった。「この男ですらハーレムを作れるのだから、自分はそのハーレムの3倍ぐらいすごいハーレムを作れるはずだ」と確信してしまったのである。
しかし事実は小説よりも奇なりという。彼は男子校に入ってしまったのである。
なぜ男子校に入ってしまったのか、彼は自分でも不思議でならない。彼の将来のことを考えた親から、偏差値が低くない(それほど高くもない)高校を勧められて、大して将来のことを考えていなかった彼はそれをそのまま「おっ、じゃあここ受けますわ」と受けた結果がこれだった。
「男子校だったのか」と気づいたときには入学していた。
彼はこれを「陰謀」だとして親に猛抗議したが、親は「あ?男子校でハーレム作ればいいじゃねえか」と取り付く島もなかった。
そのため彼は、道でナンパしたり、SNSでナンパしたりして、JKに声をかけていたが、あまり良い方向に進むことはなかった。
もう彼は挫折しかけていたのだった。
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彼には親友と呼べる存在がいた。34歳の従兄弟のニートの人である。
彼はそのニートに相談することにした。
「にいちゃん、俺、全然モテないんだ」
するとニートはこう言う。
「そりゃそうさ。おまえはかっこよくないしな」
「つまり男は顔なのか?」
「それは違う。顔じゃねえ。気高き精神や優美な気品がおまえにはないんだ。そうだな……いいか、男はな、ハードボイルドだ!」
「……?」
「ハードボイルドっていうのはな、硬派なやつのことだ。ナンパなんかしない。女のケツを追っかけることもしない。変に口数多くしゃべることもしない」
「つまりハードボイルドになればモテるのか」
「かーっ、これだから若いやつはダメなんだ。モテようとしてハードボイルドになろうとしたらそれはもうハードボイルドじゃねえ。ハードボイルドはモテるが、モテようとしてハードボイルドになることはできない」
「……?」
「いいか!男はな…!「うるせえぞテメエ!!!!!!!」ハードボイルドだ……」
階下から声が聞こえてニートの声は遮られてしまった。
その後、階段をドスドス登る音が聞こえてきた。「ニート、怒られのマーチ」である。一成は、自分も巻き込まれないうちにはやめに退散することにした。
「ハード……ボイルドか……」
一成はそのまま家に帰って寝た。