前回のステイン個性解明の件から最近ホークスに意見を求められる事が増えてきた。
未成年なのでそこまでの期待はされてないが、事件で引っ掛かる事があるとモノは試しと聞いてくる。
原作で出てこない事件は原作知識を生かせないが、サイコパス的な犯人が多いからか、前世で読んだり、見たことのあるミステリー作品の知識が役に立った事がある。
そういえば、前にホークスに伝えた行方不明者の個性による偏りについてだが、あの後公安委員会の専門家が改めて分析した結果、再生持ちと同時期にシンプルで使いやすい個性が統計的に無視出来ないレベルで偏りがある事が判明したらしく、公安委員会全体が慌ただしい。
この反応からみて、どうやら公安委員会の中でAFOが死んでいない可能性が強まっているようだ。
この介入がよい方向に向けば良いが。
4月9日にマスコミによる不法侵入騒ぎが雄英であった。俺は昼のニュースで見たが、公安委員会にも報告が来たみたいだ。
それから数日後、襲撃事件が発生した。
襲撃事態は原作通りに解決したが、襲撃発生から連日連夜マスコミが雄英の管理体制について報道している、中にはオールマイト赴任直後と相まって赴任そのものを問題視しているマスコミもいる。
オールマイトが雄英で教師を出来るのは、オールマイトが怪我をしていると世間が知らないからだ。
彼なら何処へいようと日本中に直ぐに飛んでいけるから、世間は容認している。
もし、オールマイトが衰えていると知られれば容認はされないだろう。
まあ、オールマイトの話はどうでもいい。
問題は脳無だ。
現在、いつもの地下施設で脳無から見つかった複数の遺伝子から穢土転生を試みる為に公安の施設で遺伝子の培養と分別を行っている。
それぞれの遺伝子を必要量確保するのに時間がかかるらしく、一月後にはある程度確保出来るらしい。
チンピラに関しては黒霧と呼ばれる奴に雇われたり、雄英を襲撃出来ると聞いて応じたり様々だ。
なので、暫くはいつも通りホークスの報告書の整理が主な仕事になる。
一応、ホークスに今回の事件の目的について質問された。
「扉間君は今回の犯人どう思う?主犯の内一人は子供じみた性格でもう一人は保護者みたいだったって事だけど。」
「実際に見た訳じゃないので断言は出来ませんが、彼らは実行犯であって計画を用意したのは別にいると思います。彼らが用意したチンピラを従える器量が、二人にあるようには思えません。」
「俺も概ね同じ考え。目的は何だと思う?」
「目的は…威力偵察と実習ですかね。証言では何度か先生という単語を犯人は呼んでいましたし、崩壊持ちは典型的な子供大人で、生徒だとするとオールマイトの実力を見て学ぶ、あるいは憎悪を強めるとかですかね。実際にオールマイトに罵声を浴びせてます。
子供は良くも悪くも純粋です。そこに悪意を植え付けられれば相当凶悪な敵になるでしょう。」
「…実習ね、ありがとう参考にする。」
一応、ホークスには黒幕が育成している可能性を伝えた。成長する可能性は危険度が上がると考えれば公安委員会も対応を強める可能性がある。
そして、ホークスに意見した時に気付いた事がある、育成についてだ。
果たして、死柄木が最初の教え子だったのか。
普通、大事な実験は何回かテストを行ってから本実験を行う。
次のAFOを育てる実験をぶっつけ本番でするだろうか?
もしかしたら、過去に実験をしている可能性がある?
早速、データベースで過去の事件を調べる。
期間はオールマイトと戦った年以降、比較的若い敵でヒーロー等に憎悪を向けた事件。
調べると複数の事件が見つかった。
どれも犯人は未成年で家族関係が劣悪で孤児となり、児童養護施設に入所している。
その後施設を出た後、犯行を犯している。
別々の施設だが、どの施設もAFOの協力者である殻木球大の援助で運営されている。
しかも、個性登録と明らかに異なる個性になっている犯人も中にはいる。
彼らがテストの為に使った人間だろう。
一つ一つの事件を調べると、幸いな事に一件だけ被疑者が死亡している事が分かった。
実験の前段階として絶対テストしてると思うんですよね。