伝わる?このフィーリング?
あれから、資料をまとめ死柄木以前にテスト実験の可能性と、その可能性が高い事件、全員がある医師の支援の下に運営された施設出身である事をホークスに伝えた。
犯人の一人が死んでいる事にはあえて触れなかった。
向こうが必要だから提案してくるのと、一応公安の人間だが俺が進んで使用を提案するのは意味合いが少し変わる。
個性に呑まれていると思われる可能性は避けたい。
ホークスは俺の調べた内容を上層部に進言し、調査をする事を約束してくれた。
ホークスへの提案後に更に俺は殻木球大の援助している施設に関して、気になる点を探していた。
個性社会では、個人情報はかなり厳密に保護されている為、児童養護施設に入所した孤児の個性登録位しか閲覧は出来ない。
かなりの数の施設を援助していた為、10年前まで遡って孤児の記録は数百人に昇る。
(さて、どうやって見るか。)
始めに、施設に入る前に個性登録がされている子供を調べる。
AFOは優秀な個性を集める趣味がある。
登録される前の孤児なら、奪った後に登録すれば無個性として登録出来るが、既に個性登録済みの子供なら入所時点の記録と出所後の記録を比較すれば、個性を奪われたか判明するかもしれない。
あれから、数日かけて調べたが成果がでない。
優秀な個性、珍しい個性を中心に調べたが、全員里親が見つかったり、16になって出所した子供もその後に高校へと進学している。
比較的微妙な個性持ちや無個性の子供も調べたが全員が同じだ。
ならば、犯人達の入所した施設なら情報があるかと調べたが、此方も空振り。
(流石に登録済みの個性は奪えなかった?)
(此処まで成果がないということは、テスト説も間違っている?)
何かが引っ掛かる。
引っ掛かりが解消できたのは、殻木の支援を受けてない施設の子供達を調べていた時だった。
(何人かは出所後に敵になっているが、凶悪と呼べるものは少ない、せいぜい強盗くらいだ。後は、何人か住所不定になっているが、優秀な個性持ちではない…いや、そうか!行方不明!)
殻木の支援する施設の記録と比較する。
思った通り殻木の施設は綺麗すぎる、行方不明者はおらず、出所後の犯罪歴もない。
ホークスに報告し、何人かの現在の所在をホークス自身に調べてもらった。
結果は黒。
調べてもらった結果、引き取られた子供は里親すら存在せず、高校生に進学した子供や就職した子供は、在籍の記録が確認できなかった。
更なる調査の結果、施設側の職員は長期間の洗脳状態にある事が分かり、恐らく施設に入所した時点から一部の子供達は行方不明になっていた事が分かった。
公安委員会もこの事実は無視出来ず、警察を動かし一斉に施設を検挙した。
警察は殻木はあくまで出資者の一人であるため、今回の事件を結びつけるのは難しく任意の事情聴取しか出来なかった。
また、この事件とテスト実験説の報告を踏まえて、殺害された少年達に穢土転生の使用を行う命令が下った。
幸い、遺伝子情報は凶悪事件の為、検死の時に保存してあった。
恐らく、曾祖母の経験から俺の様な個性持ちが見つかった時の為に保存しておいたのだろう。
いつもの地下施設に赴き、ホークス立ち会いの下に行う。
「君の名前と個性は?」
「…毒島 腕甲、個性は毒手。」
「よし、情報通りだ。君は何処で教育を受けた?」
「真っ白な部屋、先生に教わった。」
「先生とは?何をしてくれた?」
「先生は先生、僕を助けてくれた。僕に気付かせてくれた。僕が一人なのに助けてくれないヒーローはいらないってこと。先生は教えてくれた、個性の使い方を戦いかたを。」
ホークスが質問していく、どのような教育を受けたか、先生の下にはどの位いたのかを、そして肝心な事を聞いた。
「先生とはAFOの事か?」
「そう。先生はAFOって呼ばれてるって先生言ってた。」
1500文字を目処に書いてます。
時系列は4月の終わりか5月の始め頃です。
体育祭とか主人公の精神衛生上見ちゃダメなので。