A組が来たときはその時に考えよう、今は彼らみたいにバカンスを満喫したい。
グラディエーターは自分の個性を使い、沖で文字通りの海中散歩をしている。
呼吸は要らないし、目に海水が染みなくてとても楽しいらしい。
Plus Ultraはひたすら泳いでいる、無限の体力で生前の記録を越えたいらしい。
カロリは今昼飯の準備をしてくれている。
料理が趣味らしく公安パワーで揃えた海の幸を前にワクワクしていた。
テレポンは水着に着替えてるのに泳がず崩れ落ちている、砂を感じたいのだろう。
そういえば個性の成長というか穢土転生体の再生について服をON/OFF出来るようになった。
テレポンが水着を着たいと駄々をこねたので試してみたらいけた。
ちなみにグラディエーターの素顔は黒髪イケメンだった。
カロリから料理が出来たと声をかけられたので全員砂浜から泊まっているコテージに移動する。
カロリの料理は絶品だった。
個性を生かして食材毎に最適な熱量を加えて焼いたから全てが旨い。
テレポン以外が旨い旨いと食べ進む。
ちなみに、三人とも消化出来ない事を伝えてある。
「ふむ?テレポン君は何故食べないのだ?我々は消化は出来ないが味を楽しめる、勿体無い気持ちは少しあるが我々に用意された食事を消化されないとは言え残すことも失礼だよ?」
Plus Ultraが教師らしい物言いでテレポンを諭すように質問した。
テレポンはとても食べたそうにしてるが、手が伸びない。
「もしかして、海産物ダメか?ならこの後ステーキも焼くからそっちならどうだ?」
カロリも心配してステーキの提案をしてくる。
テレポンもステーキの単語を聞いて、目が『食べたい!』と告げてくる。
「まぁ、彼女なりのポリシーとかあるかも知れませんし。」
グラディエーターの配慮に、テレポンはグッと我慢を強めた。
「もしかして、まだ配管を気にしているのか?」
俺の質問に睨み付ける事で返答してくる。
三人が「配管?」と首を傾げているので、無言であの時の記憶を見せる。
三者三様の反応を見せた。
Plus Ultraは、まるで教え子を眺めるような慈愛の目でテレポンを見た。
グラディエーターは残念な者を見るようにテレポンを見た。
カロリは大爆笑している。
三人の反応を、というかカロリの大爆笑を見てばらした事に気づいたのだろう。
「ばらしましたね!扉間君!あー!もう良いです!」
「いや、量考えれば済む話だろ。」
全員にバレた事で吹っ切れたのか、俺達以上の勢いで食べ始めた。
「ちくしょう!旨い!カロリさん!ステーキを早く!」
食べるのは構わないが良く噛めよ。
その日の午後、砂浜でテレポンを見た人間はいなかった。
こんな感じで最初の3日間はバカンスを楽しんでいのだが、四日目の朝。
「強化合宿の始まりである!!」
朝食時にPlus Ultraが突然宣言し始めた。
他の三人が驚いていない辺り話し合って決めたのだろう。
「わしらは不死身だが、扉間君は生身!わしらが24時間不眠不休で護衛をするが世の中に完璧など存在しない!故に扉間君を鍛え、最低限の危機に立ち回る力が必要である!」
ぐうの音も出ない。
こうして、バカンスは終わり真夏の強化合宿へと変貌した。
それから一日のスケジュールはこんな感じに変わった。
午前中は六時に起きて朝食前の砂浜ランニング、朝食後は各種筋肉を鍛えるためのサーキットトレーニング、昼食後は一時間の休憩の後にひたすらグラディエーターとテレポンとの実戦練習、夕食後は柔軟を行い9時就寝。
午前中の監督はPlus Ultra、生前教師だった為指導はしっかりしてるが熱血だ。
午後はテレポンから逮捕術を習い、グラディエーターからはグラディエーター独自の格闘技を習う。
グラディエーターから習う格闘技は急所を狙う容赦ない技で、本番では『初撃で敵の動きを止めて、逃走の時間を稼げ。』と言われた。
カロリは食事や飲料のサポートと柔軟の補助を行う。
地味だが非常に有り難かった。
筋トレに最適な栄養素を兼ね備えた旨い飯と柔軟の際に筋肉を温めてほぐしてくれたりと今回の合宿でMVPを送るならカロリだろう。
そんな合宿を行って三週間が経過して、ホークスから帰っておいでと連絡がきた。
没ネタ
食事にて
「いや~、やっぱり勿体無いじゃないですか!あっ!私から出てきたモノを「言わせねえよ!」
A組フラグ出したけど、今って時系列考えると入寮行脚中なんですよね…
なのでA組は来ないです!冒頭の主人公の考えはバカンスでボケてるって事で!