個性が「穢土転生」な件   作:ボリビア

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 トガちゃんの素敵なイラストが原作者のTwitterに上がってるので皆見てね!
 こっちのトガちゃんは独房行きだよ!


警告な件

 結論から言うと、証拠が出ない。

 泥花町の成り立ちやら、出版社やらを色々漁ったが幹部に繋がる証拠がない。

 泥花町の金の流れや、成り立ちに不審な点はあるが四ツ橋含む幹部に繋がる情報は出てこない。

 完全に徹底している。

 全員が狂信者に近いのだ、泥を被る事すら解放の為なら喜んで行うだろう。

 (方針を変えるべきか…。)

 証拠による異能解放軍を逮捕ではなく、奴等の計画が起こった場合の対策に切り替える。

 ここまで証拠が出ないなら、現状から未来を予測する形で奴等のテロ計画について話した方が良さそうだ。

 実際、デストロの本を売り出してるしネットでも何か工作してるし。

 公安の捜査力なら俺が気づけない事に気付くはずだ。

 早速上司に電話するか。

 

prrrr…

 

『貴方の方から電話するという事は敵連合について何か掴んだのでしょうか。』

 

「今回は別件です。

 デストロの本が再出版された件、知ってますか。」

 

『ええ、表現の自由はあるので何も言えませんが、少々頭の痛い事です。』

 

「再出版で気付いたのですが、自分がネットで参加していたコミュニティ覚えていますか。」

 

『ええ、あの件で既に数名が泥花町に向かい、調査中ですね。

 再出版と繋がりがあると?』

 

「彼らの思想はデストロの思想に近かった。

 それと、再出版された本に目を通したのですが、彼らの書き込みの方が古い言い回しを感じました。」

 

『貴方がデストロの本を読んだ事実に、頭痛を覚えますが続けて下さい。』

 

「所々、個性を異能と呼んでいたり、再出版された本に近い言い回しがあったりとまるで昔のデストロ本を熱心に読み込んでるみたいでした。

 それも複数人が。」

 

 デストロの本は出版された当時に圧力で直ぐに発禁されたから市場に出回った数は少ない。

 それなのに読み込んでいる奴等が泥花町に集まってるのだ。

 

『…つまり、泥花町にデストロの信奉者がいる可能性があると?』

 

「その可能性は高いかと。」

 

『それだけなら私に直接連絡してこないでしょう。

 まだあるのですね?』

 

「寧ろここからが本題です。

 AFOもオールマイトもいない不安定な時期にデストロの本が再出版された。

 これって合図だと思いませんか?

 あるいは、一般市民に自分達の思想を理解してもらう為の下地作り。

 実際売れているみたいですし。」

 

『近いうちにテロが起こると?

 少々飛躍しすぎかと思いますが。

 貴方の言い回しではまるで出版社もグルのように聞こえますが。』

 

「あの本をこの時期に再販出来るなんてどう考えてもグルと考えるべきです。

 それに、ネット上でも流れを作ろうとしている動きがあります。

 規模からしてかなり金も人も必要な工作もありますし、組織自体が社会にかなり溶け込んで準備してますね。」

 

『…はぁ。

 貴方の思うテロの目的と手段は?』

 

「目的はデストロの掲げた、現体制の破壊による異能を自由に使える社会の作成。

 手段は、主要都市への一斉攻撃による混乱とヒーロー制度の破壊、混乱の最中に政権を取るとかだと予想します。

 せっかく社会に溶け込んでいるのだから、出来るだけ土台は残して置きたい筈です。」

 

『確かに、今の社会体制は個性の抑圧という形をとっているのであり得ない話と一笑する事は出来ませんね。

 しかし、貴方の予想する計画なら既に政界にまで入り込んでいると言うこと、支持母体全員がテロ組織の一員と考えると数万人規模のテロ集団になりますよ。』

 

「あり得なくは無いでしょう、『個性の抑圧』は大小あれど全員が共有する個性社会唯一の不満です。

 何十年と勧誘と準備を進めれば可能です。

 個人的に一番危惧してるのは、彼らと敵連合が合流することです。

 彼等の目指す形は『支配』、正にAFOの再誕みたいなものです。

 AFOが見出だした死柄木というカリスマにあてられる可能性があります。」

 

『正に最悪の予想ですね。

 敵連合はヒーローと対等な力を手に入れる事になります。

 …わかりました、至急泥花町の監視レベルの引き上げとチームを作成して事に当たります。

 状況によっては此方から貴方を頼る場合があるので覚悟しておくように。』

 

「了解しました。」

 

 にしても、個性社会の共通の不満が『個性の抑圧』なんて皮肉も良いところだ。

 これで一応異能解放軍に対して警戒する事が出来る。

 後は公安の監視が上手く行けばテロを未然に防ぐ事も可能になるし、原作通りに進むなら、敵連合との対決時に漁夫の利が出来るかも知れない。

 異能解放軍は利用ではなく排除の為に敵連合と接触してたし、利用価値が下がろうと関係ないだろう。

 それに奴等は敵連合に嫉妬してる節がある、彼らは名前を世間に轟かせたのだ。

 長年地下活動してきた異能解放軍からしたら羨ましいだろう、それに彼等の起こした混乱を利用して革命を起こすのだ。

 後から歴史を書き換えるにしても敵連合はいない方が都合が良い。




色々考えた結果、異能解放軍の証明よりテロリストがいる可能性を公安に伝えた方がスマートだと思ったのでこうなりました。


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