個性が「穢土転生」な件   作:ボリビア

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ラビリスタは月末実装見たいですね!
実装当日に自慢してなかったら察してください。



潜入な件

 この世界の近代史をちょっと深く勉強していれば誰でも知ってる事だが、ヒーロー以外にも個性使用を認められていた職業が過去にあったのだ

 個性社会黎明期の刑務所は地獄だった。

 今より個性に対する理解もなければ設備もないため、刑務所や監獄は毎日個性によるトラブルに見舞われ、その対応を行う刑務官や囚人の怪我が多数発生し、機能不全に陥る刑務所が多発した。

 この事実を重く受け止めた国は、監守や刑務官に鎮圧を目的とした個性使用を認める事にしたのだ。

 今は個性に対応した設備が充実しているため、個性使用は原則行ってないが、法律自体はひっそりと残っている。

 いきなり何を言い出すのだと思ったかもしれないが、まぁつまりそう言うことだ。

 

(なるほど、確かに監獄向きだな。)

 

 上司からプロフィールを確認して、新しく用意された施設で脳無を元に穢土転生を行った。

 棺が開き現れた男は長身で背筋を真っ直ぐに伸ばし、警官の正装の上から黒いコートを着ている。

 警察帽から見える髪色は黒く、顔の彫りも深く眼差しは冷たい。

 厳格な性格が伝わってくる。

 取り敢えず、個性の使用と動きを封じて此方の今の状況を念じて送る。

 

「整理出来たら、協力してくれるかどうか答えてください。」

 

暫くの間、静寂が訪れる。

やがて向こうの口が開いた。

 

「…少年よ、貴君の口から改めて聞きたい。

 貴君は何のために私を使役する。」

 

「使役と言えば、使役になるか…。

 何のためと言われれば、俺の我が儘の為だ。

 知ってしまった悲劇、知らなかった悲劇から誰かを救いたい。

 そのために貴方の力を借りたい。」

 

 向こうは下を見るように、俺は見上げるように目を向ける。

 目線が会ったまま、沈黙が流れる。

 

「いいだろう、貴君が正義を持つ限り従おう。」

 

「ええ、よろしくお願いします。

 初代タルタロス監獄長 黒縄 鎖縛さん。」

 

 ここまでが数日前の話。

 今は俺達は網走監獄の前にいる。

 グラディエーターとカロリ、そして監獄長も呼び出して作戦会議を行っている。

 ちなみに監獄長という呼び名は最初は名字で呼ぼうとしたらテレポンがブーたれて色々あって本人の了承の元、監獄長という呼び名に収まった。

 

「改めて網走監獄は異常事態にあると考えて良いんですかね。」

 

「その通りだ。

 平時ならばいかなる催しがあろうと警備は必ずいなければならない。」

 

「カロリさん、熱源は?」

 

「地上の建物内には確認出来ねぇな。

 地下については此処からじゃ確認出来ねぇから中に入るしかなさそうだ。

 それと、地面の熱の感じから穴を掘った可能性は無さそうだ。」

 

 建物は一見無傷で穴を掘って内部に侵入もなしか。

 

「可能性としては、転移系の個性か洗脳系の個性、あるいは内通者か。」

 

 転移系の個性は割りと希少だし、都合良く敵連合に加入するとは思えない。

 

「此方の知る規則のままなら、全ての監獄の扉は担当者二人一組の承認が必要だ。

 規則として担当は毎日全員が出勤後にランダムに選ばれる。

 例外として監獄長と副長のみが緊急時の対応として片方の代理として全ての扉にアクセス出来るが、その場合自動的に警察とヒーローに通知が行く手筈になっている。

 それに、外部に繋がる扉は全て内側からしか開ける事が出来ない仕組みのはずだ。」

 

 監獄長の意見を聞いて、改めて網走監獄を確認する。

 建物から伸びるアンテナ類が破壊されている様には見えない。

 それに、到着してから暫く立つがヒーローや警察が来る気配はない。

 

「扉は壊されてないし、アンテナも無事。

 そしてヒーローや警察がやってこないとなると、計画的な犯行と考えていいでしょう。

 問題なのは一つの可能性を除いて敵連合の仕業とは思えない事です。」

 

「貴君はAFOの信奉者が内部にいると?」

 

「貴方の立場なら考えたくないのは分かりますが、あり得なくはないでしょう。

 公安ではリストを元に粛々と対応を取ってますが、リストに漏れた人間もいる可能性はあります。

 まあ、可能性的には敵連合と手を組んだ組織と考えるべきでしょう。」

 

 取り敢えず、異常事態で中の人間が悲劇に見舞われてる可能性が高いし、敵連合抜きにしても行動するしかない。

 

「取り敢えず、既に公安に異常事態である事は連絡済みです。

 ただ、到着を待って行動しては悲劇に間に合わない可能性があるので内部に侵入します。

 テレポン頼んだ。」

 

 テレポンの個性と専用銃を使えば、高い塀なんか関係なく内部に潜入出来る。

 

(人影も気配もなし。

 全員呼びますね。)

 

 そして今のテレポンなら複数人の転移も可能である。

 一瞬で全員が塀の向こう側に移る。

 事前に渡された資料通りなら監視室があるはずだ。

 斥候としてテレポンが先行し、俺の周りを四人が固めて移動する。

 

「電源が落ちてるな。」

 

 監視室はもぬけの殻で、争った形跡がない。

 それに全てのカメラが止まっていた。

 電源を付けても砂嵐が映るだけで、どうやら入念にこわされているらしい。

 

「取り敢えず一階部分の捜索を、カロリさんは地下の熱源をお願いします。」

 

「扉間君の護衛は私がしますね。」

 

 取り敢えずテレポンが俺の護衛に就いて各自で捜索を開始する事にした。




というわけで新キャラの職業は『黎明期の監守』でした。
技術的というか個性に対応した牢屋って結構ハイテクだと思うので、黎明期は監守とかが個性で対応してると考えてこういう形になりました。
グラディエーターと被る気がするが真面目系です。
個性についてはまた今度で。

ちなみに身長は190cmの予定

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