探索の結果分かった事は、記録上今日出勤の人間は全員来ていること、地下監獄の換気機能は生きていると言うことだ。
しかし、看守用の6Fへの直通エレベーターは破壊されていた。
また、地下へ向かう扉、各階を繋ぐ扉も計器上は破壊されてなく、犯人は監視カメラだけ破壊したようだ。
やはり何があったか分からない以上、下に潜るしか無さそうだ。
「取り敢えず、テレポンは俺を拠点まで戻してくれ。
それと誰か一人、これからやって来るであろうヒーローや警察への説明が必要だから1Fで待機してもらいたい。」
「なら俺が待機しよう。
階層のある建物だと生前以下の戦力になる可能性があるからな。」
俺が残ろうと考えたが、異能解放軍を考えると警察やヒーローと接触するのは不味いと思い、俺は拠点にてサポートに。
グラディエーターは連絡員として1Fに残り、後の四人で地下に侵入する事になった。
「じゃあ、飛ばしますね。」
テレポンが俺に触れて北海道の拠点に飛ばす。
拠点はまだ仮拠点だが、札幌の雑居ビルを拠点にした。
…殺風景な部屋に飛んだと思ったが、何故か炬燵があり炬燵の上に土鍋とカニが置いてあった。
一人でカニしゃぶを楽しんでいたらしい。
一通りの安全を確保し、取り敢えず炬燵に入りテレポンと視覚を共有する。
四人は既に地下への扉も壊して中へと進んでいる。
先頭に監獄長、中列にカロリとテレポン、Plus Ultraが後衛に回り進むようだ。
地下一階は無個性の犯罪者が多く、戦闘向けの敵はいないはずだ。
「おい!
誰か入ってきたぞ!」
「誰でもいいから助けてくれ!」
取り敢えず、地下一階の囚人は無事みたいだ。
俺達の侵入に対して扉に近付いて
最初に四人を見つけて声を上げた男に監獄長は近づく。
「番号と何があったか報告しろ。」
「はい!
囚人番号114514、鈴木太郎です!
朝8時頃に突然、監守長殿と副長殿が外部の者と看守や医者なんかを全員連れ立って降りてきました!
その後昼を過ぎても誰も戻ってきていません!」
「外部の人間の特徴を伝えろ。」
「はい!
体が手だらけの男と、火傷まみれの男、義手をした仮面の男、トカゲのような男です!」
彼の言い分が正しければ監守長と副長はどうやらAFOの信奉者らしい。
事前の資料では網走監獄の長は『恫喝』という支配系の個性だが効果時間が短いはず。
いくらドーピングしてもここまで長時間の支配はあり得ない。
副長に関しても届け出上は無個性だがAFOに個性を与えられている可能性がある、そっちが操っているのか?
相手は支配系の個性持ちか。
彼らに効果がなければ良いが。
原作でも、幻術で支配権を奪われるという設定があるが描写が最高レベルの瞳術による幻術なので下限が分からない。
(取り敢えず敵が支配系の個性持ちなら注意してください。)
四人の警戒レベルが上がる。
「…度しがたい。
看守の長たる者達が敵となり、しかもAFOの信奉者だと…!
更正が必要だ、厳罰が必要だ。」
一人激怒していた。
監獄長の性格というか生前の事を考えたら無理もない。
監獄長の最後はとある敵を護送中にAFOが敵の個性目当てに護送車を襲撃、監獄長はその場の全員を守り死亡したのだ。
取り敢えず、囚人達には後から別にヒーローや警察が来ることを伝えて先に進もう。
どうやら地下二階の囚人達も無事なようだ。
彼らにも話聞くと地下一階の時と同じ証言だった。
さらに、敵連合と監守長の会話を聞いた囚人曰く、どうやら地下13階に用があるらしい。
13階の囚人は凶悪な単独犯かヤバい組織犯罪のボスしかいない。
(敵連合の目的が13階だと分かりましたが、何か意見ありますか?)
「一つある。
奴等が看守全員を連れていった理由だ。
私の時代ではタルタロス独自のルールだったが、特定の囚人に関しては牢を開けるには全員の認証がいる。」
「つまり、連れていかれた看守達だけなら最下層にたどり着くまで無事という事ですね。」
「彼らが地下に潜ってから既に1時間経過している!
我々が急げば間に合うかもしれん!」
「敵もバカじゃねえ、次の階から囚人どもが待ち構えてるぜ。
それと、6Fに何人か集まってるみたいだな、看守以外のスタッフかもしれねぇ。」
カロリの熱感知を確認する。
確かに、地下3F以降の熱源が規則正しく並んでおらず自由に動き回ってる。
「他の職員の安否が気になる。
先を急ごう。」
監獄長の言う通りだ。
それに途中に出てくる囚人達も彼なら問題ない。
Plus Ultraの拳で3階への扉が吹き飛び、監獄長が一人中に入る。
一瞬、ぶっ飛んだ扉にびびったようだが囚人達は一斉に監獄長に飛びかかる。
各々が個性を暴力に利用して襲いかかってくる。
プロヒーローでも対処できる者は武闘派ヒーローの一部くらいだろう。
「眠るがいい、一切捕縛」
監獄長に届く次の瞬間、監獄長の体から囚人達に向かって鎖が伸びる。
鎖の激流とも呼べる量の鎖が監獄長から伸びて、襲いかかってきた囚人の後ろにいたもの、襲撃に参加せず開け放たれた牢屋にいたもの全てを縛り上げた。
ただ、縛り上げるだけではない。
鎖から逃れようとしていた囚人達から力が抜けていき体力が低い者から気絶していく。
「捕縛完了、解除する。」
余計な鎖は監獄長の中に戻っていき、残ったのは分離した鎖で縛られ気絶した囚人達だけになった。
これが監獄長の個性『黒鎖』、体から放出した黒い鎖は人体を縛り上げて体力を奪う。
まさに鎮圧に特化した個性だ。
という訳でプロフィール
名前 黒縄 鎖縛
身長 190cm
あだ名 監獄長
個性 黒鎖
全身から黒い鎖を伸ばす事が出来る。
人体に触れた場合縛り上げて体力を奪い気絶させる。
伸ばした鎖は分離させる事も出来るが切り離した分の血肉を消費する。鎖自体の強度は普通の鋼鉄くらいなので巻き付けて打撃戦とかも可能。
生前の活躍
生前はタルタロスの監獄長。
個性黎明期は牢屋が個性に対応していないため、囚人鎮圧を目的に監守達は個性の使用が認められていた。最初にして最後のタルタロス内で発生した全囚人による暴動を一人で鎮圧した実力者。最期はとある凶悪敵を護送中に個性目当てで襲撃したAFOと交戦、護送対象や他のスタッフを守りきり殉職。
備考
鉄面、厳格、真面目。
要約
チェーンで拘束、体力デバフ