監獄長との戦いは一方的だった。
最初は鎖から逃れようとしたが、監獄長は俺を囲うように鎖を放ち、それに気をとられている間に本命として一本の鎖を高速で射出されて捕らえられた。
「放出系の個性持ちは、個性にかまけて動きが鈍いというありがちな弱点があるが、このように極めれば動かずに制圧するのも容易い。
それと放出系の個性は圧縮により火力や速さを高める事も出来る故、改めて確認してから挑む事を推奨する。」
言われた事は知識として知ってはいたが、実際に体験すると訳が違う。
監獄長の場合、圧縮による効果は射出速度の上昇のみだがその練度が凄まじい。
速度だけで言えばグラディエーターの踏み込み並みではないだろうか。
それに放出系の個性は放出した物質や現象を操れないという欠点があるが、放出する角度や勢い、わずかな体の動きで手足のように鎖を操ってきた。
それに今回監獄長は一歩も動かずに鎖を放つだけだったが、自身に鎖を巻き付けて鎧の様にしたり、鎖の鉄球を振り回したり等近接でも普通にヤバい。
「…監獄長って生前捕まえられなかった人います?」
「AFOのみである。」
5分逃げられる気がしない。
今の所、Plus Ultra、グラディエーター、監獄長の三人と相手にしたが、五分間逃げる事はPlus Ultra以外クリア出来てない。
一応今回の訓練は個性のタイプに対応して逃げられるようにするための訓練で、三人は異形、対人、放出系の敵を想定だ。
環境次第では耐えられる可能性があるが、やはり武器なしで無個性が抗うには厳しいものがあると再確認出来た。
そして、最後は設置系の個性を担当するテレポンなんだが、場所は森の中だ。
想定は敵陣ど真ん中と言った感じだろう。
休憩を終えて、森の中を進む。
「ふっふっふ!
見てましたよ~監獄長との戦い。
動きはそこそこですが、やはり実践の経験値が足りないですね。」
声が聞こえても場所が分からない。
そして声をかけてきた時点で既にテレポンの陣地という事だ。
会話の相手をせずにきた道を急いで戻ろう。
「おや、逃げれると思います?」
おかしい、いくら走っても森が続いている。
そろそろ浜辺が見えてきてもいい頃だが一向に見えて来ない。
…そういう事か。
「はぁはぁ…いつ飛ばした?」
「しばらく森を歩いた所です。」
テレポンの転移はラグとか暗転がない。
不意打ちで似た場所に飛ばされたら気付く事が出来ないのか。
森の中で地面のマーキングは分からないし、テレポンの姿も見えない。
「これが相手の領域に入るという事です。
敵は確実に殺すために逃げることなど許すはずもありません。
ちなみに扉間君が止まらなければ既に死んでますよ。
周りを良くみてください。」
テレポンに言われて周りを確認すると、俺の胸元ギリギリで何かが光に反射していた。
「…これはやり過ぎだろう。」
胸元だけではない、良く見渡して見るとそこら中に糸が張り巡らされていた。
しかも地面を気にしてると気づけない位置にある。
地面に落ちている石を糸に投げつけると、蔓で出来た罠が作動した、片足釣りにされるタイプだ。
糸の配置もわざと隙間を作って誘導しようとしてるし嫌らしい事この上ない。
「あの先に進むとどうなるんだ?」
「お、気づきましたか。
そうですね~、死なないと思いますよ!」
これでもレベル低い方なんだろうな、俺でも誘導に気づけるレベルだし。
「今こうやって会話していますが、実際に敵も自分の領域でヒーローを待ち受ける場合は大々的お喋りというか一方的に語りかけてくる事が良くあります。
言動に注意すれば攻略のヒントになったりする場合がありますので敢えて相手をして時間稼ぎもありですね。
取り敢えず五分経ったのでクリアとしましょう。」
そう言って目の前にテレポンが飛んでくる。
「本番は10分からです。
今回はあくまでも敵の領域に入った場合の話。
次回からは罠を学ぶという意味でも私の罠を攻略してもらいます。
ちなみに、罠にかかって自力で解けない場合はおかず一品貰いますので。」
じゃ、別荘に戻りましょうか、と言ってテレポンと俺は別荘へと飛んだ。
訓練展開を巻いていくぅ!
四人の実力を描写する目的だったけど、難しい。