個性が「穢土転生」な件   作:ボリビア

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要望の一部に答えてホークス。


保護目的でスカウトした未成年が俺より早い件(前半)

sideホークス

 

 最初に千手扉間の情報を見たときに思ったのは『危険』だという事だ。 

 個性自体も危険極まりないが、既に小動物を実験体にしている。

 彼の中で命が軽い存在になっている懸念があった。

 更に調査の結果、個性を偽っている事も含めて大分個性による欲求で歪みかけているという報告もある。

 

 (恐らく、このまま公安が干渉せずに放置すると、最悪な形で一線を越える。)

 

 ホークスは公安としてもヒーローとしても彼を保護する必要があると判断して自ら接触を提案した。

 そして、直にあって扉間君がかなり危険なレベルにあると判断して半ば脅しに近い形で説得を試みた。

 ただ、その時に向こうから此方を上司にするように求められたのは意外だったが。

 自分の中に、個性を使う大義がないと話してくれた時点でヒーローとして彼を支える必要があると感じたのはよく覚えている。

 そして自分が上司になり、何度か個性を使ってもらったが規格外と言わざるを得なかった。

 はっきりとした嘘偽りのない証言を得られる事だけでも反則だが、扉間君の言葉が正しければスタミナ無限回復の不死身な存在でもあるわけだ。

 実物を見て改めて扉間君が不死身の兵隊という力に溺れてしまう懸念を感じた為、証言を取る事以外は許さなかったが生前の情報を嘘偽り無く話させるのは反則だとも感じた。

 生かすより殺した方が確実な証言を取れるなんて皮肉にも程がある。

 扉間君が規格外なのは個性だけではなかった。

 本人との話し合いの結果もあるが、将来的に公安で働いてもらう計画でもあったので、部下として機密性の低い事件の書類仕事を任したら、まさかステインの個性を暴くとは!

 これには流石に驚いた。

 ヒーロー全体に共有出来たお陰で次の襲撃の時に被害が殆ど無くステインを捕らえる事が出来たが、ある問題が発生した。

 第二のAFOの可能性が公安内部で懸念として膨れ上がったのだ。

 元々、個性が規格外で首輪をつけるべきという主張があったが、そこにステインの個性を暴く推理力が判明した為、第二のAFOという懸念が生まれた。

 正直、自分も彼は危険だと考えた事がある。

 個性だけなら、此方が誘導する形で操る事が出来たけど、彼は単純に質が高かった。

 危険極まりない個性と頭脳、第二のAFOになり得るかもしれないと考えるのが公安として正しい警戒だとは思う。

 けどヒーローとしては違う、その可能性は周りに誰もいない場合の話だ。

 まだ彼は道を踏み外していない。

 個性に飲まれないようにケアをしながら、ヒーローとして人としての正道を歩めるように大人が導けば彼はAFOではなく、社会を支える重要な存在になる。

 だから公安の一部がキナ臭い時に、彼に一人護衛としてヒーローを呼び出してもらった。

 瞬身ヒーローテレポン、彼女は俺が子供の頃から活躍してたヒーローで性格はアホみたいに明るい。

 彼女が側にいて道を踏み外す事があれば、もはやそれは運命か何かだと諦めよう。

 それに彼女の個性ならいざという時に扉間君を逃がすことが出来る。

 俺は政治に関しては正直苦手だが、俺の上司なら上手くやれるはずだ。

 それまでは、彼の意見を積極的に採用する形で事件を解決し公安に必要な存在としての功績を固める。

 そのはずだったのだが。

 

(結局、ステインの次がAFOで間に合わなかった訳だけど。)

 

 閲覧できるレベルを上げた途端にAFOの生存と協力者、さらには後継者計画を暴くとは思わなかった。

 半信半疑な人間もいたが、実際に扉間君の指摘に従って調査したら黒に近いグレーレベルで確証が得られた。

 これには公安も一丸となって事に当たった。

 病院の監視、逮捕時の罪状の整理、想定される被害を減らすための可能な限りの工作。

 もはや、功績なんてレベルでは片付けられない、個性の問題さえ無ければ英雄と称えられてもおかしくない成果だ。

 だが、神野の悪夢と呼ばれる悲劇の日に事件は起こった。 

 前から扉間君を危険視していた公安の一人がAFOに接触し刺客を差し向けさせたのだ。

 AFOは既に計画が変更出来ないギリギリの段階で知らせた辺り、公安としての正義で動いたのだろう。

 俺も、病院周辺で待機していた時は驚いた。

 急にテレポンさんが扉間君の両親をつれて飛んできたのだ。

 襲撃されたとの報告を聞いて、テレポンさんに急いで俺を飛ばしてもらったら、何とかギリギリの所で初めて彼を助けられた。

 その後は、功績を残せなかった場合に『扉間君最終兵器案』として備えていたヒーローの遺伝子情報と脳無を使って何とかあの化け物を逮捕する事が出来た。

 

 (というか、あれで死ななかった化け物が可笑しいと思う。)

 

 あの化け物は現在も生きている。

 身分証も存在しないが、所持品のラジカセからAFOの部下である事は確定だし秘密裏に死刑にする事が決まっている。

 

 (問題なのは化け物を殺す方法がわからない事らしいが、そこは総力を上げて頑張ってくださいとしかいえんわ。)

 




前半後半に分けます。
とりあえず、出会いから神野まで。
ホークスとしては個性以外の価値を示して生存させようとしたら、いきなり裏ボスの存在引っ張りあげてきて困った。

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