個性が「穢土転生」な件   作:ボリビア

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ちょっと書きたくなった。


ある晴れた日

 現在の公安には決して表に出てはいけないデータが一つある。

 通称『タラント』、殻木の個性研究データと国の個性届けを元に作られたそれは将来生まれてくる子供の敵適性を予測するシステムである。

 『人格が個性に引っ張られる。』という前提の下に開発されたシステムで、個性の内容から人に積極的に害をなす可能性が高い個性を測るシステムでもある。

 将来の敵適性を測るシステムが表に出れば大問題だが、上手く活用すれば凶悪敵の発生を抑止出来る。

 両親の個性が平凡でも、組み合わせによっては凶悪な個性が子供に発現する可能性がある。

 タラントは夫婦を対象に将来的に生まれてくる個性のパターンを算出し、敵適性の高い個性が無いか判断するのだ。

 敵適性の高い子供が生まれる可能性があれば、準監視対象となり、敵適性の高い子供が生まれれば要監視対象として扱われる。

 要監視対象であれば、子育てを公安によって監視されてネグレクトや暴力等があれば即刻介入し、敵に傾かないようにあの手この手を尽くす。

 要するに、第二のトガちゃんが育たないようにする為に『タラント』は活用されている。

 

(けど、完璧じゃない。)

 

 そもそもの親の届けが違う場合や、突然変異によって系統とは全く違う個性が発現してしまう場合がある。

 こちらが把握した時には既に虐待が致命的なレベルになっていたり、子供の個性が暴走したりしてしまう事もある。

 

「だから、俺がいるわけだけど。」

 

 路地裏。

 賑やかな町並みから外れて、配管の走る細いビルとビルの間を進む。

 日の入らない暗黒地帯はお世辞にも衛生的とは言えず、沼地のような空気が漂う。

 表の賑やかな町並みと並んで一瞬、人間社会の縮図に見えてしまう位には最悪な所だ。

 ピチャリ、ピチャリとぬかるんだ地面を進み、ビルの壁に囲まれた行き止まりに彼はいた。

 汚れきった体を丸めて、何処かで手にいれた残飯を貪っている姿は獣にしか見えないが、彼は子供だ。

 

「おい、そんなものよりこっちを食え。」

 

 びくり、と体を震わせて此方に振り返る。

 怯えていた。

 

「話をする前に、食事をしよう。

 旨いものを食べるんだ。」

 

 持ってきた紙袋をそっと近くに置く。

 中身は皆大好きなカレーだ。

 臭いで少年も気づいたが、警戒してか動かない。

 

「食べるまで動かないぞ。」

 

 よいしょと座って少年が食べるのを待つ。

 

「冷めても旨いが、温かい方が旨いぞ。

 俺も食べるか。」

 

 懐から同じ袋を取り出して昼食のカレーを食べる。

 カツカレーだ。

 取り敢えず、カツを一口。

 うん、旨い。

 我ながら完璧だ。

 続けてカレーを一口。

 甘口で具材の旨味を楽しめる。

 そして、カツとカレーを一緒に食べる。

 旨い。

 やはり、この組み合わせは最高だ。

 

「…ゴクリ。」

 

 味わっていると、少年が物欲しそうな目をしている。

 

「同じのが其処に入っている。

 君のはカツが二枚乗っている。

 旨いぞ。」

 

 我慢の限界が来たのか、恐る恐る紙袋に手を伸ばして、カレーを食べ始める。

 

「コラ、ゆっくり食べろよ。」

 

 掻き込む様に食べるので注意すると、ゆっくり食べ始めたのでこの子は良い子なのが改めて分かった。

 

「よし、食事を終えたらご馳走さまだ。」

 

「…ごちそうさまでした。」

 

 手のひらを合わせて、食事が終わった。

 

「さて、話をしよう。」

 

「君の名前は◯◯だね?」

 

 コクリ、と少年は頷く。

 

「簡単に言うと、俺は君を助けに来た。」

 

「…ヒーロー?」

 

「かもな。」

 

 ヒーローと名乗る気には未だになれない。

 

「とりあえず、ここ出ないか?

 鼻が曲がりそうだ。」

 

「…ダメ!」

 

 少年に近付いて抱き上げようとした瞬間、少年の個性が発現した。

 『個性 腐敗』

 有機物を発酵させる個性を突然変異で発現した少年は母親を腐敗させて生まれてきた。

 どこぞの神話みたいな話だが個性社会では割とある。

 少年の個性は突然変異なのだから父親とも母親とも違う。

 父親は亡き母親の浮気を疑い、子を愛せなくなった。

 親戚からも親を殺して生まれた子だと言われ味方はいなかった。

 そして、ある日酒乱となった父親の暴力の最中、個性が暴走した。

 父親と家を腐らせて逃走して今に至る。

 少年は俺も父親と同じように腐らせてしまうと必死に個性を抑えようとしている。

 

「大丈夫だよ。」

 

 塵は腐らない。

 穢土転生体となったトゥワイスの個性で増やした人間は塵で構成されるようになった。

 つまり、俺は千手扉間のコピー体である。

 保護する子供は大体、対人特化なので死んでしまうが、これなら問題ない。

 

「世界は広いだろ?」

 

 何ともない体をアピールして安心させる。

 俺の何ともない姿に呆然として、泣き出し抱き着いてくるので抱き返す。

 今度は嬉し涙だと思いたい。

 ああ、今日も良い天気だ。 

 

 

 

 

 

 




十年後の主人公の主な仕事。
凶悪敵になりそうな子供の監視とかケアとか個性が突然変異して家庭環境がヤバい子供の保護とかしている。
保護した子供は雄英に作らせた孤児院に預けたりしてる。
後はたまに表に出すと面倒くさい敵組織潰している。
トゥワイスボディ万歳。

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