あれから暫くして、レディナガンとの面談の日程が決まった。
現在、護衛としてホークスとテレポンの3人で向かっている。
場所はタルタロスではなく、公安の施設の一つを使用するらしい。
タルタロスから犯罪者を移送して大丈夫なのかとホークスに確認したら、本来レディナガンの罪で考えると別の刑務所でも良いらしい。
タルタロスは国家転覆や大量殺人等の個人で社会を脅かすヤバい奴らを封じる為のものであり、レディナガンの場合は模範囚であり元公安のゴミ処理係という公安にとってスキャンダラスな存在ではあるが対外的には一人しか殺してない。
仮に今回の面談が失敗に終わってもタルタロスではない別の刑務所に送られる事が決まっている。
「後、今のタルタロスにはAFOがいるからね。
扉間君を近付かせる訳には行かないし。」
万が一、俺の終の住処になる可能性があるので一度くらいは見学したかったが残念だ。
「いやーにしても、扉間君が応じるなんて偉いですねー!」
「…撫でるな。」
「払わない辺り、満更でもないんでしょーこのこのー!
ぎゃー、腕がありえない方向にー!」
テレポンに見透かされているが、俺自身かのレディナガンへの関心はない。
公安委員長から助けを求められなきゃ断った案件だ。
レディナガンの経歴や殺害の動機からして、『個性が有用だから公安で監視を付けて未成年を働かせている公安』なんて許せる筈がない。
彼女の精神鑑定の結果からして善良なヒーロー的精神を持っているから俺自身に危害を加えないだろうが公安と公安が維持してる現社会を憎む可能性は大いにある。
(なのに、俺に会わせた上で復帰させるって、変な期待持たれてんのかねー。
まあ、善良なヒーローからしたら俺という存在と公安の在り方は認められないだろうけどさ。)
公安ヒーローだからある程度、割り切れるとは思いたいけど。
「はぁ…」
「あれ、意外と不安な感じ?」
「不安でしょ。
彼女からしたら俺はある意味、被害者二代目ですからね。」
「じゃあ、直接君を勧誘した俺は大犯罪者だ。」
「ホークスの事だから俺を勧誘する前から真っ黒でしょ。」
「まあね!」
個性社会という名の個人主義を中心とした社会を真っ当に運営等出来るはずがない。
緑色の胎児の誕生から今日まで、社会を揺るがす個性持ちや団体は数多く生まれては、社会維持の為に処分されて来た。平和の象徴が居た時代に活動していたレディナガン自身がその証明だ。
「さて、この扉の先に彼女が待っている。」
扉の前には雑談をしながらたどり着いた。
「最後に確認だけど、どのような結果になっても扉間君に責任はない。
交渉が決裂して塀の向こうに戻ることになっても、彼女がどのような理由であれ、私情で人を殺した事実は覆せない。
この面談そのものが特例措置なんだ。」
「分かってますよ。
俺だって最初は無理矢理巻き込まれた身ですが、今は自分なりに覚悟決めて今の立場に居るつもりなんで。
まあ、失敗したくは無いですけど。」
彼女が俺に対して何を言おうが、オールマイトと会話したあの日から覚悟は出来ている。
「そっか。
なら安心だ、じゃあ中へ行こう。」
「…あのー、いい感じに話を進めるのはいいんですか、その前に腕治してくれません?」
ああ、忘れてた。
テレポンの蝶結びを治してから、扉を開ける前に深呼吸を一つ。
これから行うのは交渉だ。
交渉で大事なのは常に冷静になる事。
相手は公安アンチの元ヒーロー。
確実にこちらを煽ってくるだろうが、冷静に受け流してカウンターを決めるのがクールなやり方だ。
改めて、心を落ち着けてから扉を開ける。
中にはテーブルが一つ。
そして向かい合うように席が2つ。
扉から反対側の片方の席には手枷が嵌められた、一人の女性が座っていた。
女性は俺は見るやいなや、侮蔑の表情でホークスとテレポンを見た。
「はっ、子供を使うなんて相変わらずのようだね。」
俺の後ろに立つ二人を公安の人間だと思ったのだろう。
早速、煽ってきたがここは冷静に一つ。
「ホークスはともかく彼女は俺個人の繋がりだ。
次彼女を侮辱したら、ブチ殺すぞ糞アマ。」
言い訳をすると主人公にとってナガンは至極どうでも良い存在。
周りが良い人で身内を直接侮辱される機会が無かったしまだ高校生活の年齢。
なので身内への攻撃に対する沸点は馬鹿みたいに低い。
自身への侮辱は個性的にしゃーなしと割り切ってる模様。