個性が「穢土転生」な件   作:ボリビア

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おひさしぶりです。


ある模範囚との会話 3

「…ッ!?」

 

 あまりに強い殺意に思わず反応し、応戦しようと反射で立ち上がる身体をグッと堪える。

 冷や汗が頬を垂れる中、首元に赤い羽根が添えられている事に気付いたからだ。

 完全に立ち上がった場合、頭が転がっていた。

 子供が大人を従える構図に引っ掛かりを覚えつつも自分を使っていた時代と何も変わらずの無垢な人間を利用して使い捨てていると思っての挑発は少年の異常性を顕にした。

 レディナガンも表と裏の両方の修羅場を潜り抜けてきた猛者である。

 並大抵の殺意では動じない彼女ですら思わず身体が動いてしまう殺意を少年が放っている事に驚愕を隠せなかった。

 

(藪蛇どころじゃない…!

 間違いなく、この少年がこの場の支配者!

 公安に何があった…!?)

 

 異常な殺意を持つ少年に従う公安ヒーローという絵面はレディナガンを大きく混乱させた。

 一体、どのような経緯があれば目の前の怪物が生まれるのか、否、公安は少年が怪物になるまでに何をしていたのか。

 少年が怪物にならなくてはならない最悪が起こっていたのか。

 レディナガンの中で疑問が幾つも湧いて来る。

 表情こそ鉄仮面を装って隠しているが、頭の中では状況を整理出来ていない。

 

「…失礼した。

 貴女の過去を考えれば、仕方ない発言だったな。」

 

「…理解して貰って悪いけど、発言も意味も取り消すつもりはないよ。」

 

 突然、殺意が霧散したかと思えば少年が真摯に頭を下げる。

 急な態度の変わり様に一瞬言葉に詰まったが平静を装って突き放す。

 

(この場に、私という犯罪者の前に立たせた時点で公安と何も変わらない。)

 

 混乱の最中であっても目の前の少年が怪物である可能性があっても、未成年を公安が利用している事実はレディナガンを冷静にさせた。 

 

「始めましてレディナガン。

 俺は千手扉間、今回の面接官を務めさせてもらう。

 それと、俺が今回面接を行うのは合格の場合に俺の部下として貴女を使うからだ。

 二人は俺の護衛だから気にするな。」

 

「…公安は正気?」

 

 思わず問いを漏らしながら、レディナガンは一番立場がマトモな公安であろうホークスに目線を向けると目線を合わせずに涼しい顔で受け流した。

 徹底的に護衛に徹するつもりであり、その態度で少年が言っている事は事実であると認めていた。

 

(公安と言えど、ありえないだろ。

 …いや、特例を敷く程の『個性』を少年が持っているって訳か。)

 

 公安に取り込んだ上で立場を与える程の個性。

 となれば、マトモな個性ではないと察しがついた。

 

(ま、どうでもいいか。)

 

 そこまで考えて、扉間についての考察をレディナガンは放棄した。

 彼女は公安に協力したくないし、現在のヒーロー社会に対して疑問を抱くが故に正義を持っていない。

 少年が自分と似た立場にあることに多少後ろ髪を引かれる思いが無くはないが、それでも彼女は社会に戻るつもりはない。

 

「正直言うと、俺は貴女を部下にしたくない。

 だが貴女を助けてくれという声を聞いた。

 だから此処に居る。」

 

 扉間は急にやる気をなくしたレディナガンに対して呆れるように本音をぶち撒けた。

 個人的にレディナガンが嫌いになったのと、生きてるくせに死人の様な振る舞いをしているのが気に入らなかった。

 だからさっさと話を終わらせようと面接の意図を教えたのだ。

 

「…公安が今更、どういうつもり?」

 

 助ける。

 この言葉にヒーローとして活躍していた過去が一瞬頭を過る。

 誰かを助けた事はある、だがその言葉が自分に向けられた事は無かった。

 扉間の本音とは裏腹に予想以上にレディナガンは食い付いてきた。

 

「簡単な話だ。

 貴女を助けたい人間がいて、ウチは公安の事情に精通してるヒーローを求めている。

 それだけの話だ。」

 

「そんな言葉で私を信用させて今度は誰を殺させるつもりだ?」

 

 レディナガンにとっては当たり前の返しに対して、扉間は溜息を吐いた。

 

「駆け引きは面倒だ。

 貴女を助けてほしいと願ったのは現公安委員長だ。」

 

 扉間は纏っていた雰囲気を捨てて、公安委員長の写真をレディナガンへと滑らせた。

 

(あっ…。)

 

 彼女の写真が目に映った瞬間、レディナガンは思い出した。

 私を見るたびに、顔を顰めていた女だった。

 

「当時から貴女を利用している事に納得がいかず、何度も抗議していたらしい。」

 

 自分がヒーローを騙る殺人者だから軽蔑されていると思っていた。

 公安の癖に私を軽蔑するのかと、感情を刺激していた存在だったが真実は違った。

 今、振り返るとあれは堪えていたのだ。

 私の顔を見るたびに悔恨の念を表にださないように。

 

「抗議の結果は左遷され、当時の公安委員長が君に殺されて次の公安委員長に上手く取り入り彼女は現在の公安委員長さ。

 公安は人手が足らず、彼女は権力がある。

 合法的に貴女を助けられる最後のチャンスが今だ。」

 

「だから?

 彼女が権力を持ったからなに?

 公安に人手が足りないからなに?

 利用されて、その結果として公安委員長を殺した女が外に出て良いと思ってるの?」

 

 扉間は冷静に彼女の反論を切り捨てた。

 

「国に騙された哀れな女で居たいなら構わん。」

 

「あ?」

 

 哀れな女。

 この一言に今度はレディナガンがキレた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




着地点見つけてないんですよね。
とりあえずレディナガンと主人公の相性は最悪です。
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