昼前、魔理沙は紅魔館に向かっていた。寝間着から普段の服に着替え、その上に文が着ていたような雨合羽を身に付けている。日常的に空を飛ぶ彼女たちにとって合羽は必須だった。ちなみに魔理沙は合羽の他にゴーグルを着用する。香霖堂で霖之助に勧められて買ったものだ。高速で飛んでも雨が目に入らず、大変重宝する。
霧の湖は妖怪の山の麓にあり、その辺り一帯はたいてい昼間になると霧が立ち込める湿地帯である。通常、霧というのは気温が下がってこそ発生するものだが、何故か気温のピークとなる昼時に出やすいというあべこべな状態がいかにも幻想郷らしい。昨晩から雨が降っていて気温に変化があまりないため、今はそれほど濃い霧は出ていない。
しばらく飛ぶと、木々の間に聳え立つ深紅の洋館が魔理沙の目に映った。周囲を高い塀で囲み巨大な時計塔まで有する絢爛さであるにも関わらず、窓が一つも無く、血を塗り付けたようなおどろおどろしい色の外壁が薄気味悪さを演出している。人里離れた湖畔に佇むそれは、吸血鬼の居城としてこれ以上は無いほどふさわしいと言えるだろう。
箒の柄を下に向けてすいと下降し、魔理沙は紅魔館の正門前に降り立った。屋根付きの正門の側には一人の女性が立っている。名を紅美鈴という。この屋敷の門番だ。見た目は完全に人間のそれだが、彼女も射命丸文や八雲紫などと同じようにれっきとした妖怪である。
美鈴はだいたい寝ている。門番なのに寝ている。今もそうだ。本人も「立ったまま寝るのが特技です」などと憚らず宣う体たらくだ。彼女は妖怪でありながら武術の達人でもあるという呼び声が高い。不動明王のように毅然と立ちながら堂々と寝こける様はなるほど、たしかに凄まじい達人ぶりであった。
「おい美鈴。起きろよ」
魔理沙がそう言うと、美鈴は鼻ちょうちんを膨らませた。恐ろしく無礼な返答に魔理沙は怒りを通り越して呆れ、実力行使に出た。とは言っても、箒で美鈴の肩を軽く小突いただけだが。
その瞬間、美鈴はカッと目を開いた。直前まで寝ていたのが嘘だったのかと思えるほど機敏に動き、蛇のように腕を箒の柄に絡ませる。そして足払いをかけるべく姿勢を低くし————。
「あれ?」
「あれ、じゃねえよ」
完全に目を覚ました美鈴は、反射的に技をかけようとしたのが人ではなく何の変哲もない箒だったことに気付いてポカンとする。もしも魔理沙が彼女を起こすために直接触れていたら、問答無用で関節技を極められていただろう。
「魔理沙さんじゃないですか。それにしても何故私が魔理沙さんの箒を?」
「予防策。いいから返してくれ」
「はあ、なんだかすみません」
箒を返してもらった魔理沙は柄に傷みがないかを確認する。
「門番やってるのに寝るのはどうなんだよ」
「あはは、よく言われます」
「よく言われちゃダメだろ」
「今日は雨ですからね。雨音を聞いていたらなんだか眠くなってしまうんです」
「前は晴れていたら温かくて眠たくなるとか言ってなかったか。しかも冬の日に」
「森羅万象、これ全て睡眠に通ずるのです」
美鈴はとぼけたことを言いながらも、重厚な木の門を押し開けた。門の向こうには噴水付きの庭が広がり、その先に紅魔館の立派な玄関扉が見える。
「パチュリー様から、魔理沙さんが来たら通すように言われています。どうぞお通り下さい」
「はいよ。じゃあ遠慮なく」
ひと悶着あったものの、すんなり通してもらえたことに魔理沙は気を良くする。そうして門をくぐろうとした時、美鈴が小声で耳打ちしてきた。
「パチュリー様から直々の呼び出しなんて、いったい何をやらかしたんです?」
「やらかしたのは前提かよ。借りてた本を返しに来ただけだよ」
「一大事じゃないですか」
「一大事なのかよ」
魔理沙は表情を固くした。返却する以上、呪いで死ぬことは無いにせよどんな罰則を与えられるか分かったものではない。最低限いつでも逃げ出せるように身構えておこうと心に決める。しかしそんな魔理沙よりも顔を青くした美鈴が懇願するように言った。
「あの、私が寝てたことは言わないでくださいね。ね?」
魔理沙は無視して紅魔館に入っていった。
〇
「こんにちは、魔理沙」
魔理沙が書庫——その規模は図書館と言って差し支えないが——に入ると部屋の真ん中でソファに座っている女性が声をかけてきた。抑揚のない、囁くような声。彼女の前には巨大な文机が置かれていて、その上には本が山と積まれている。女性は挨拶をしたものの読んでいる本から目を離さず、顔を上げる素振りも無い。
「よっ、パチュリー。相変わらず愛想無いなあ」
「魔女に愛想は必要ないわ」
ページをめくる速度が異様に速い。あれで本当に内容が頭に入っているのかと思いつつ、魔理沙は書庫を見渡した。
ドーム状の天井は高く、巨大なシャンデリアが提げられている。今パチュリーが腰かけている文机を中心に、見上げるほど背の高い本棚が蜘蛛の巣を張るように並び立ち、そのいずれにも隙間なく本が収められている。大理石の床は魔理沙が歩くたびにコツコツと固い音を鳴らした。
「約束のものは?」
「ちゃんと持ってきたぜ。まったく、こんなことであんな回りくどい脅しなんかかけて…………」
魔理沙は文句を言いながら鞄の中を漁り、パチュリーから借りていた数冊の本を机にどんと乗せる。どれも一目で高級と分かる立派な装丁の魔術書だ。
その内の幾つかは、今朝まで魔理沙が時間魔法の参考資料にしていた和訳本である。裏表紙を見れば羽ペンで『
魔術書は英語やラテン語、もしくはギリシャ語で書かれているものが大半を占める。それにも関わらず紅魔館の書庫には同じ内容の本でも和訳、中国語訳されているものが幾つもある。そのほとんどはパチュリーが手ずから翻訳したものだった。
パチュリー曰く「本は読まれるからこそ価値がある」とのことだ。他者をほとんど顧みないはずの彼女だが、幻想郷の誰であっても書庫の本を手に取ることが出来るよう配慮しており、頼めば快く貸し出してくれる。惜しむらくは、魔理沙のような変わり者でもない限り、吸血鬼の根城である紅魔館にわざわざ難解な本を借りに来る者がいないということか。
返ってきた本を前にして、ようやくパチュリーは読書を止めて顔を上げた。魔理沙が積んだ本を上から順に取って、流し見するようにパラパラとめくる。
「数は揃っているわね」
「そりゃもちろん」
「落書きもしていないようね」
「私を何だと思ってるんだ?」
ほどなくして確認作業を終えたパチュリーはさっさと読書に戻ってしまった。この書庫には時計が無く、分厚い壁に守られているので雨の音すら聞こえない。完全に無音の空間に、本をめくる乾いた音だけがやけに大きく聞こえる。
あまりに素っ気ない対応に魔理沙は呆然とした後、焦った様子で口を開いた。
「お、おいおい。呪いはどうなったんだよ」
「呪い?」
「小包に仕込んでたあの赤い光! 本はちゃんと返したんだから忘れずに解除してくれなきゃ困るぜ」
魔理沙の言葉に一瞬考えこんだパチュリーだったが、ややあって「ああ、あれ」と言う。
「あれは、嘘」
「は?」
「光を浴びせただけで命を奪えるほど強力な効果を持つ呪いなんてあるわけないでしょう。しかも特定条件を付けた自立可動式。呪術はそんなに簡易的なものではないし便利でもないわ。あれはただ、箱を開けたら赤く発光するようにしただけ」
パチュリーは一息にそう説明し、何事もなかったかのように再び本に向き直る。対する魔理沙は開いた口が塞がらない。恨み言の一つを言おうにも相手があまりに泰然としているので気勢を削がれる。
しかし再び静寂に支配されては敵わないのでどうにか話を続けようとする。此方から常に話題を振り続けないといけないのが、この大魔女との会話の難点であった。
「じゃあ文も呪いはかかってないのか?」
パチュリーの盗撮写真を悪用すれば焼き鳥になる呪いをかけられていた鴉天狗のことを思い出しながら魔理沙は聞いた。幻想郷最速の名が泣きそうなほどヨロヨロと情けなく去っていく背中が印象的だった。
「あの子のは半分嘘で、半分は本当。呪いはあの小包でなく、私の写真を撮った瞬間に自動でかかるようにしておいたわ。焼き鳥にはならないけど、相応の罰は受けてもらうことになるわね」
「ちなみにどんな写真撮られたんだ?」
「…………」
魔理沙の一歩踏み込んだ質問をパチュリーは華麗にスルーした。大抵の問いかけには機械的に答えてくれる彼女がわざわざ黙秘権を行使するとは、よほど言いたくないことのようだ。
またもや話題が打ち切られた魔理沙はどう本題を切り出そうかと悩んだ末、意を決した。端からパチュリーを相手に談笑する気などなかったし、魔理沙自身がもともと迂遠な前置きをするのは好かない性格だ。
「話は変わるんだけどさ」
そう言った魔理沙の声は若干固かった。努めて平静さを装っていることを感じさせる声色だった。
「魔法の研究の相談に乗って欲しいんだけど…………」
雑談をしている間にも本を読み終えてしまい、積んである中から新たな一冊を取ろうとしていたパチュリーの手が止まった。魔力を宿したアメジストのような瞳が魔理沙を見つめる。相変わらずの無表情ではあるが彼女にしては珍しく、意外なものを見る目つきをしている。
「内容次第ね。私も全てに精通しているわけではないから」
「それは、その」
話を促されても、魔理沙は言いにくそうに口籠る。パチュリーは呆れたようにまた読書を再開しようとする。それが魔理沙を急かす何よりもの圧力だった。
「じ、時間だよ。私、未来に行きたいんだ!」
それはこの広大な書庫の蔵書をほとんど網羅しているパチュリー・ノーレッジをして、興味を惹かれるものだったらしい。開きかけた本を閉じ、彼女は今度こそ魔理沙に向き合った。
「未来へ? 何故」
「理由、言わなくちゃダメか?」
「大切なことよ。何かを成す時には必ずふさわしい理由がある。いわゆる因果関係ね。魔法という分野においては殊更重要。そのくらいは、あなたも知っているでしょう」
魔法使いとは云わば研究者であり、発明家だ。科学とは方向こそ異なれど、この世の法則を論理立てて解釈し、己が技術に落とし込むという本質は変わらない。その中でもパチュリーは大変な理論家であり、そんな彼女にじいっと見つめられながら動機を問われては、さしもの魔理沙も煙に巻こうという気は起きなかった。
「た、助けたい奴がいるんだよ。そんだけ」
最低限の情報だったが、それで一応納得はしたのかパチュリーは深く追及して来なかった。「そう」と言って口元に手を当て、しばらく考え込む。脳内検索をかけているのだ。知識や記憶はよく海に例えられるが、彼女の場合はまさしく大海そのものと言っていい容量を誇っている。吸収したほとんどの知識は無意識下に定着し、必要に応じて引き出しを開けるように取り出される。
やがてパチュリーはついと魔理沙に視線を戻して口を開いた。
「残念だけど、私では力になれそうにないわ」
「うーん。そっかあ」
ある程度の予測はしていたのか、魔理沙の声に落胆の色は少ない。しかし魔法使いとして遥か高みにいるパチュリーなら或いは、という思いが大きかったのも事実で、内心では途方に暮れていた。次に打てる手としては、この紅魔館にある魔術書から時間に関する本を一通り貸してもらうことだが、延滞常習犯である自分にそこまで快く本を貸し出してくれるのかという問題がある。
魔理沙がそう考えて黙りこくっていると、パチュリーは意外にも話を続けてきた。
「そもそも魔法で時間を操るのは無理があるわ。少なくとも、私の知る限りではね」
「無理があるって、魔力量が足りないとか?」
「いいえ。もっと根本的な問題」
時間という概念に干渉する魔法。言うなれば世界の摂理に逆らう禁忌の技術だ。必要とされる魔力量は、弾幕ごっこで撃ち合うような光弾の比ではないだろう。その辺りのことは魔理沙も考えてはいたが、パチュリーはもっと別のところに問題があると言う。
「魔法は言うなれば巨大な学問大系。その歴史は少なく見積もっても古代メソポタミアまで遡るわ。様々な分野に枝分かれしていく中で当然、時間を操ろうとする者もたくさん現れた。連綿と研究は受け継がれ、そして現代に至り、魔法史は一つの結論を出している」
すなわち、魔法による時間移動は不可能である、と。
遥か紀元前から研究され尽くした結果、その定説が生まれたのだとパチュリーは言う。その言葉には魔法史に精通する彼女だからこそ持たせられる重みが備わっていた。
いくら若く向こう見ずな魔理沙でも、何千何万という年月の積み重ねがどれほどの意味を持つのか分からないわけではない。ぐっと押し黙ってしまう。
しかし口をつぐんだのも一瞬のこと。歴史がいくら無理だと否定したところで、諦められる性格をしてもいなかった。
「今までに無いんなら、これから作ればいいだろ」
「たしかに、普通なら私もそう言いたいところだけれど」
パチュリーは魔理沙が今しがた返却した魔術書の一冊を手に取り、その古めかしい厚手の表紙を撫でる。彼女が漏らした小さなため息には、魔理沙の無知に対する憐憫が仄かに含まれていた。
「魔法の行使は私たちが生きるこの世界の摂理に則ることを原則とする。それは貴女も知っているでしょう」
魔法使いならば、見習いだろうが駆け出しだろうが知っているべき初歩の初歩。空を飛ぶことも、火を吹くことも、水を凍らせることも、全ては自然現象の範疇にある。パチュリーが扱う七曜の魔法がその最たるものだ。精霊を通じて行使される彼女の専門魔法は自然摂理の模倣といっても過言ではない。七つの
魔法では世界を変えられない。魔法では、時を超えることはできない。
パチュリーはその当たり前すぎるが故に見落とされがちな事実を、噛んで含めるように説明した。
魔理沙は悔しそうに唇を噛んで俯く。その表情は、パチュリーの話を受け入れざるを得ない魔法使いの端くれとしての諦念と、魔法の万能性を信仰している少女の無垢な意地がせめぎ合っているようだった。
「でも……紫は行ったんだ。だから私だって……」
「なんですって? 紫って、あの八雲紫が?」
やるせない魔理沙の呟きにパチュリーが反応する。
魔理沙は紫が何故、どうやって未来へ渡ったのかを、自分の憶測のもとに話した。その過程で未来にいる人間と手紙のやり取りが出来ることも話さざるを得なかった。
それで何か新たな可能性が切り開けないものかと一縷の望みを託したが、話を聞きながら吟味するように考え込んでいたパチュリーはややあって首を横に振った。
「あの大妖怪の能力なら決して不可能ではないのかもしれないけど……それでも魔法に転用するのは限りなく不可能に近いでしょうね」
「なんでさ」
「境界を操るという力が異質すぎることと、そんな能力を駆使しても特定の場所にしか行けないみたいだというのが、主な要因よ」
今、幻想郷と千年後の未来は非常にか細く曖昧模糊とした縁によって繋がっている。パチュリーの見立てとしては、紫の異能をしてさえその縁を辿るのが精一杯で、自由自在にあらゆる時間軸を移動できるわけではない。魔理沙か誠四郎、どちらか一方に何かあれば、おそらく簡単に縁は切れてしまい、未来へ行くことは全く不可能になるだろう。
パチュリーの説明を聞きながら、魔理沙は苦虫を噛み潰した顔になった。勉強漬けだったこの一週間の努力が無駄になっただけでなく、全幅の信頼を寄せていた魔法の限界を思い知らされた彼女の口惜しさは計り知れない。しかし魔理沙の表情にはそれでも諦めきれない執念の色があった。
パチュリーは俯いている魔理沙の顔を見ながら一瞬、ふっと表情を和らげた。それは彼女をよく知る紅魔館の主人でも分からないような微細な変化だった。
「それにしても貴女、ひどい顔ね。寝不足?」
「え、ああ、うん。ちょっとな」
魔理沙がやや無意識に自分の目元を擦る。
「人間の体は不便よね。睡眠や食事をとらなければいけないし、寿命は短いし」
「まあ、確かに。やっぱり私も早く捨虫の術覚えた方がいいのかな」
「それは貴女が悩んで決めることだわ」
パチュリーはそう言って立ち上がった。机の端に置いてあった短い杖を持ち、ついと振れば机の上の本が一斉に浮き上がり、各々が収まるべき本棚へ飛んでいく。そうしてあっという間に片付けは済んでしまった。
次に杖をもう一振りすると風が外行きの服を運んでくる。パチュリーは今まで着ていたゆったりとしたローブを脱ぎ、何処からともなく魔法で持ってきた外套の袖に腕を通す。腰部分にホルダーがあり、そこに杖を携える。
「なに、どっか行くの?」
突然、余所行きの格好になったパチュリーに魔理沙は戸惑う。
「時間になったから、ちょっと地底までね。仕事を依頼されているの」
パチュリーは簡潔にそう答えて歩き出した。時計も無いのにどうやって時間を把握しているんだ、と魔理沙は不思議に思いつつその場に突っ立ってパチュリーの背中を見送る。しかし数歩進んだところでパチュリーは振り向き、魔理沙に付いて来るよう言った。
「魔理沙、あなたも来なさい。そんな状態じゃ何事も満足に出来ないわ。温泉にでも入って疲れをとるべきよ」
パチュリーが行こうとしている地底は、旧地獄とも呼ばれている。その名の通り、かつては亡者の魂が集い、裁きを受けていた場所だ。そこにある元灼熱地獄地区では、地熱を利用した温泉が設営されている。もともとは地獄だというのに今では温泉街としてすっかり定着し魑魅魍魎が楽しげに行き交う娯楽施設と化している、なんとも気の抜ける経緯を持つ土地である。
唐突な誘いに「なんで」だの「でも」だのと渋る魔理沙に、パチュリーは「いいから」と手招きをした。
「今、ミニ八卦炉は持ってきているかしら」
聞かれて、魔理沙は懐にしまってあった八角形の香炉を取り出して見せる。パチュリーが「よし」と頷く。
「ついでに私の仕事も手伝ってちょうだい。その八卦炉が役に立つかもしれないのよ」
「な、なんで私がそんなことしなきゃなんないんだよ」
「本の返却期限の遅延料、とでも言えば納得してもらえる?」
魔理沙の一見もっともに思える反論を、パチュリーがばっさりと切り捨てた。苦々しい顔をする魔理沙に「お給料はちゃんと出すから」と、何処となく楽しそうなパチュリー。
「それに、あなたにとっても悪くない経験になるはずよ」
これで断って今度こそ変な呪いをかけられたり、本を貸してもらえなくなったりしたら堪らない。
魔理沙は仕方がないと項垂れて大魔女の申し出に従い、トボトボと紅魔館を後にしたのだった。
美鈴のパートはストーリー上不必要だった。でも美鈴好きだから入れてしまった。あと外から見た紅魔館のビジュアルや、雨合羽を着た魔理沙を少しでも書きたかったという理由もあったり。