東方千年探 ~魔理沙のはじめての文通~   作:ふーてんもどき

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今更だけど。オリキャラ注意です。魔理沙の家族関係とか捏造しまくってますが堪忍してください。


五話

 

 

 人里の大通りには様々な店が連なり、いつも客で賑わっている。その中でも特に目を引く立派な屋敷の一つに『霧雨店』と書かれた看板を掲げている店がある。

 

 主に古道具を扱っている雑貨屋で、里の人間が何か道具を調達しようと思ったら真っ先にこの店の名前が挙がるほど豊富な品揃えが売りだ。

 創業は幻想郷が成立するよりも前、江戸時代の末期頃からで、人里でも屈指の歴史を持つ老舗である。現当主の男はすでに経営を息子に託しており、その息子は気立てのいい嫁に支えられながらしっかりと仕事をこなしている。

 

 常に開け放してある玄関から店の中に入ると、天井に着くほど高い棚がずらりと並んでいるのが目に入る。棚ごとに区分された商品はキレイに陳列され、どれも客が手に取って品を確かめられるようになっている。高いところにある品物は、頼めば店員が梯子で上って取ってくれる。

 土間とはいえ汚い印象はなく、店の隅々まで清潔感がある。朝晩と使用人が掃除を頑張っている賜物だ。

 

 店の奥にある襖の先は応接間などになっており、さらにその奥は霧雨家の生活の場が広がっている。中庭もある邸宅で、何人かの使用人を抱えているので炊事場は大きく、部屋の数も両手の指では数えきれない。

 

 二階に上がると一転して豪華さは鳴りを潜め、霧雨家の家族の部屋に続く襖がいくつかあるだけの、質素な廊下が伸びているのみである。

 

 廊下を進んだ一番奥、西南に位置する部屋にはそこにだけ、日本家屋にふさわしくないベッドが置かれている。

 

 ベッドの上には女性がいて、上半身を起こして静かに窓の外を眺めていた。

 

 外にはまだ霧雨邸の敷地が続いており、大きな栗の木が目立つ庭がある。花はすでに散った後で、深緑の葉が生い茂り風に揺れる。女性はどこか感慨にふけるようにその木をずっと見つめていた。

 

「入るぞ」

 

 ふいに、襖の向こうから声がした。愛想のない男の声だった。

 

 女性が「どうぞ」と言うと襖が開き、手にお盆を持った男が入ってくる。

 

 年配の男だった。

 堀の深い人相は険しく親しみやすさなどないが、代わりに気品と威厳を感じさせる。白髪の多い金髪が艶めいているのは椿油で撫でつけているからだろう。眼光鋭いその目に、仄かに青色が混じっていることから、西洋人の血が流れていることが分かる。

 

「気分は」

 

 男はそう言いながらベッドの横にある机にお盆を置いた。湯呑一杯の水と、懐紙に盛られた飲み薬が乗っている。

 

「ありがとう。今日は風が気持ちいいですね」

 

 女性は自分の夫である男にお礼を言い、薬を飲んだ。水も飲み干して一息つくと、また栗の木の方を向く。

 

 男も一緒になってそれを見つめた。たいへん大きな木で、てっ辺は霧雨邸の屋根の高さとそう変わらない。

 

「もう十六年目になるか」

 

「あら、覚えてらしたの」

 

「俺が植えたものだ」

 

 女性が「ふふふ」と上品に笑う。その口調にはからっているような趣があったが、嫌味は欠片も無く、顔にも温かな微笑みが浮かんでいる。

 

「魔理沙はよくあそこまで上っていましたね」

 

 女性が自分の目線と同じくらいの高さにある枝を指さす。

 

「九歳の頃、あいつはそれで足を折っている」

 

 男がぶっきらぼうに言うと、女性はおかしそうに笑った。

 

「良いじゃありませんか。三カ月も経てば、また元気に木登りしてたんですから」

 

「あいつは学習せんのだ」

 

「そうかしら」

 

「そうとしか思えん」

 

 それから二人はしばらく無言となり、部屋には静寂が訪れた。

 

 蝉の鳴き声と小鳥のさえずりが聞こえる。乾いた夏の風が、草や木の匂いと共に窓から吹き込んでくる。目を瞑って胸いっぱいに深呼吸する妻の様子を、男は横目で見つめていた。

 

 口を開き、静謐を破ったのは女性の方からだった。

 

「あっという間でしたね。魔理沙が出て行って、もう五年」

 

 女性の独り言のような呟きに、男は無言で話の続きを待つ。

 魔理沙が子供の頃によく登っていたという枝は他と比べて太く、ところどころから細枝を伸ばしてたくさんの緑葉を茂らせている。それが風にあおられ、太陽の光を反射してつやつやと光って見えた。

 

「あの子はきっと多くのことを学んでいます。ええ、きっと…………」

 

 女性——もとい魔理沙の母親はそう言った。

 

 

 

 

 

 

「ねえ魔理沙。あんたン家は客にお茶の一杯も出してくれないの」

 

「うん」

 

「私、勝手に淹れちゃうわよ?」

 

「うん」

 

「何種類かあるけど、どの茶葉なら使っていいのよ」

 

「うん」

 

 上の空で返事をする魔理沙に霊夢は呆れて「もう」と言う。

 無縁塚でメッセージボトルを拾ってからずっと、魔理沙はこの調子だった。霊夢が「なに拾ったの」とか「付いて行っていい?」などと聞いてもまるで糠に釘である。

 

 それで魔法の森にある魔理沙の家まで一緒に来たものの、魔理沙は早々に二階へ上がってしまった。さすがの霊夢も人の寝室に勝手に入るわけにもいかず、階段の下から声をかけるしかない。

 時たま、魔理沙は二階から降りてきては本を探してうろうろし、何冊か持ってまた上に引っ込んでしまう。その時にお茶の催促をしてみたものの、やはり「うん」としか言わなかった。

 

 明らかにおかしい友人の様子に「あのガラス瓶は何だったのかしら」と頭を悩ませる霊夢だった。

 

「あ、降りてきた」

 

 魔理沙が屋根裏の階段をのそのそと降りてくる。猫背で明らかに疲れているみたいだが、その顔は真剣そのものである。まるで何かに突き動かされるように、目が徹夜明けのごとくぎらぎらと輝いている。

 

 テーブルに肘をつきながらジッと見てくる霊夢の横を通り過ぎ、本棚にしまってある書物を片っ端から開いてはパラパラとめくっていく。目的のものが無かったのか、今度はテーブルの上に積まれている本や、床に散らばっているのを読み始める。

 しばらくして一冊の魔術書を抱え、再び二階の屋根裏部屋に戻っていった。

 

 その一部始終を見ていた霊夢は、もう我慢の限界と言うように立ち上がり、上へ向かって呼びかけた。

 

「私もそっち行くわよー」

 

 声を張ってそう言うと案の定、小さく「うん」と答えるのが聞こえてくる。

 

 許可が出たことに霊夢は満足し、ろくに掃除もされていない埃っぽい屋根裏に上がった。

 

 

 魔理沙は文机に向かい、何やら熱心に書いていた。まだ昼だというのにランタンで手元を殊更明るくしている。机の端やベッドの上には一階から持って行った本が乱雑に置かれており、ちょくちょく何かを参照するように読んでは書いて、読んでは書いてを繰り返す。

 

 やがて書き上がったのか、しばらく手を止めてうんうんと呻る。

 どうも気に入らなかったらしく、書いた紙をくしゃくしゃに丸めてしまった。屑籠からは同じように丸めた紙が雪崩のように零れ落ちており、その上に魔理沙の放った紙が新たに追加された。

 

 そうしてまた何か書き始めるのかと思えば、今度は一枚の紙切れをじいっと見つめたまま動かない。

 

 霊夢がふと窓際を見ると、ガラス瓶が置かれている。魔理沙が無縁塚で拾って、大事そうに抱えて持って帰ったものだった。

 

「時空移動……いや並行世界っていう可能性も……けど送り返してきたのにはどう説明をつければ…………」

 

 何事かをぶつぶつと呟き思考に耽っている魔理沙の背後に、霊夢がこっそりと忍び寄る。

 

 そして肩越しに、魔理沙が広げている紙切れを盗み見た。

 

 

 

 

 

 

拝啓

霧雨魔理沙様

 

 お返事を下さり、ありがとうございます。あなたの心のこもった優しいお手紙は、しっかりと読ませていただきました。夢を見ているような気持ちだと書かれていましたが、私もまさにそのような心地でこの文を書いています。

 

 しかし本当に不思議なことがあるものですね。私は、自分の流したメッセージボトルが未来で読まれることはあっても、まさか過去に行ってしまうとは考えてもみませんでした。あまりに突飛なことで、思わず笑ってしまったほどです。

 

 失礼。笑ったというのは霧雨さんの手紙の内容をおかしく思ったわけではなく、ただ、そんな奇跡のようなことが起こるのだなと、愉快な気持ちになったのです。だって普通ならありえないでしょう。

 

 でも信じる他にないのだから、苦笑の一つも出るというものです。

 

 私があなたの手紙の入ったガラス瓶を見つけたのは、海岸の波打ち際でした。

 これがまず、本来はありえないことです。私が一年も前に流したメッセージボトルの返事が、再び海を漂って返って来るなんて起こり得ることではありません。それこそ、霧雨さんが言うように幻想郷という不思議な世界の力がはたらいたのだと考える方が、まだ納得がいきます。

 

 それに霧雨さんが当たり前のように書いていた『森』や『山』といったものが、こちらにはもう存在しないことが何よりの証拠となります。

 

 きっと、驚かれるかもしれませんね。

 私にとっては当然のことなのですが、こちらの世界(千年後の未来と言う方が正しいでしょうか)では既に植物のほとんどは絶滅しています。虫というのも、私は学校で習って知っているくらいのもので、実物を見たことはありません。

 

 このような理由で、私は幻想郷という世界や、メッセージボトルがタイムスリップしたことを信じたいと思います。千年もの時代のズレがあるなら、転送ポストなどといった物を霧雨さんが知らないことにも説明が付きますしね。

 

 さて、ここまで長々と書きましたが、実を言うと私のいる千年後の未来というのは、それほど楽しい世界ではありません。どこを見ても背の高い人工物ばかりで、先ほども述べたように自然なんて全く残っていない。地面はほとんど舗装されてしまっているし、私がメッセージボトルを流した海もすっかり汚染されていて、もう生き物が住める環境ではありません。

 空だって、分厚いスモッグがかかっているので、いつも灰色で殺風景なものです。

 

 そんな有様ですから、霧雨さんのご期待に添えるかは怪しいところです。

 けど私としては、霧雨さんのお話をとても楽しみにしています。私の生まれ育った時代では、学校の先生だって本物の森を見たことのある人はいませんでした。世界政府(元は国連というのでしょうか)が厳重に管理している富裕層のためのビオトープがあり、実在する森はそのくらいでしたからね。そのビオトープも、今はもうどこにも存在しないと思いますが。

 

 もし良かったら、あなたの身近にある自然の景色がどのようなものなのか、教えてはもらえませんか。霧雨さんの書かれていた『虫よけの香』というもののこと。空は本当は青いのだと聞きますが、それはどんな青さなんだろうと、想像も出来ないことがたくさんあります。

 

 まだまだ書き足りないですが、そろそろ便箋も埋まってきましたので、今回はこれくらいにしておきます。

 最後に、こちらの体のことまでお気遣いいただきありがとうございます。私も霧雨さんが毎日を健やかに過ごされていることを願っています。

 

敬具

西暦××××年〇月△日

八柳誠四郎

 

 

 

 

 

 

「八柳、誠四郎…………」

 

 思わず最後まで読み切った霊夢が、ぽつりと差出人の名前を呟いた。

 

 それに反応して、魔理沙が急に振り向いた。バッと勢いよく、霊夢が体をそらして避けなければぶつかっていたほどの慌てぶりだった。

 

 魔理沙はようやく霊夢がそばにいることを認識したようで、巫女服姿の友人を見つめながら何か言いたげに口をパクパクと動かしている。

 しかし言葉にならない。顔も赤くなったり青くなったりとまるで百面相である。長い付き合いの中でも見たことがないほどの魔理沙の混乱っぷりに、霊夢はやや申し訳なさそうな表情をする。

 

「…………み、見た?」

 

 ようやく魔理沙が声に出した。霊夢がこくりと頷く。

 

「ど、どれくらい?」

 

「あー、えっと。全部」

 

 そう言うと同時に、魔理沙の顔が耳まで赤くなった。次の瞬間には苦虫を噛みつぶしたような表情になり、机に突っ伏して「わあああ!」と羞恥に身もだえる。

 

 その背中を霊夢がポンポンと叩いた。

 

「ごめんごめん。あんたがずっと机にかじり付いているもんだから気になって。まさか手紙だとは思わなかったの。ね、許して」

 

 霊夢がそうやって宥めると、魔理沙は顔を伏せたまま言った。

 

「じゃあ、なんで全部読んだんだよ」

 

「え、うーんとね…………つい、勢いで?」

 

 言い訳が思いつかなかったのだろう。悪びれつつも開き直った霊夢の答えに、魔理沙はそれはもう大きなため息を吐いて「もうやだ」と消え入りそうな泣き言をこぼしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 魔理沙が機嫌を直すのにだいぶん時間がかかり、気付けば陽も沈みかけていた。霊夢の必死の説得の甲斐もあってどうにか落ち着いた魔理沙は「とりあえず晩飯を作る」と言って台所に入っていった。どうやら霊夢の分も用意してくれるらしい。

 

 霊夢がその辺に落ちている本を流し読みしながら待っていると、やがて良い匂いが漂い始めた。

 しばらくして、鍋掴みをした魔理沙が湯気の立つ鍋を持ってきて、散らかっていた物を適当にどかしたテーブルの真ん中にドンと置いた。

 

 中を覗き込むと、キノコがどっさり煮えていて、その間にぽつぽつと山菜の姿が見える。神社で話していた時に森で採ったキノコくらいしか食料がないと言っていたのは本当らしかった。しかもそれらが一つの鍋でただ雑然と煮込まれているのだから、なおさら野性味が強調されている。

 

 これがうら若き乙女の食事かと言いたげな霊夢に「なんだよ。文句あっかよ」と魔理沙がぶっきらぼうに言う。

 

「文句なんてないけどさ」

 

 霊夢は言いながら自分のぶんの鍋をお椀によそい「いただきます」と手を合わせた。

 

「うわ、めっちゃ美味いわね、これ」

 

「そうだろ」

 

 干したキノコと山菜がたっぷりの汁物は当たり前に美味しかった。出汁が濃く、味噌もいい塩梅だった。

 

「これで白米があれば良いのにね。あとお肉」

 

「贅沢言うなよな」

 

「お米を買うお金もないの?」

 

「だからそろそろ無縁塚で一稼ぎしようかなって思ってたんだって」

 

 自分で無縁塚という言葉を口にし、魔理沙はハッとしたように箸を止めた。さっきの、霊夢に手紙を見られたことを思い出したのだろう。

 

 霊夢はそんな魔理沙を見つつ少しばかり思案し、腰を据えて話すことにした。

 

「さっきの手紙なんだけどさ。魔理沙って文通してるの?」

 

 そう聞くと、魔理沙はたいへん形容しがたい表情を浮かべる。

 

「あ、ごめん。言いにくいなら別にいいけど」

 

 長い間、魔理沙はうんうんと悩み、やがて何か割り切ったのか「まあ言いづらいといえば、そうだけど」と前置きをして話に乗った。

 

「文通って言っていいのかな。まだそんな何回もやり取りしたわけじゃないし。そもそも、本当に向こうと連絡取り合えるかもはっきりしないしさ」

 

「八柳さん、だっけ」

 

 魔理沙が小さく頷く。いつになくしおらしい様子の友人を、霊夢は物珍し気に見つめる。

 

「まあ彼がどんな人かは知らないし、魔理沙もまだよく知ってはいないんだろうけど。いくつか気になることもあったのよね。巫女として」

 

「気になること?」

 

「あの手紙が未来から来たって、マジなの?」

 

 核心を突いた質問だった。魔理沙は少し考えて「分からない」と答えた。「まあ、そうよね」と霊夢。

 

 それから魔理沙は鍋をつつきながら、ぽつぽつと今回のことを語り始めた。

 

 最初に無縁塚でメッセージボトルを拾ったこと。冗談のつもりで返事を書いたこと。そして自分が書いた手紙が消えていて、時間が経って無縁塚を調べてみたら、今度は向こうからの新しい手紙が届いていたということ。

 それらの要点を掻い摘んで話して聞かせた。もちろん魔理沙自身が書いた手紙の内容や、本当は冗談ではなく弔いのつもりだったということなどは伏せておく。文通のことが露呈しても尚、一番恥ずかしい部分を隠し通したいが故の密かな抵抗だった。

 

「で、巫女として気になることってのはなんだよ」

 

 魔理沙がそう聞くと、霊夢は「さっき言った通り」と返す。

 

「前例が無いのよ。外の世界から無縁塚に色んな物が流れてくるのは当たり前のことだけどさ。でもそんだけ大きな時代の差があって、しかもこっちから向こうにも特定の物を送れるなんて、聞いたことも無いわ」

 

「返事を書くな、とか言わないよな?」

 

 霊夢の言葉に思うところがあったのか、魔理沙は食い気味にそう言った。

 

「言わないわよ、そんなこと。理屈がよく分からないってだけで、別に異変ってわけでもないみたいだし。気にはなるけど、とやかく言うつもりは無いから」

 

 「そっか」と魔理沙が安心したように言う。

 

 それからはお互い普段のように軽い口調に戻り、気楽な調子で話を続けた。

 時間旅行の方法だとか、もし過去に行けるならどの時代に行って何をするだとか、そんなことばかり議論している内に、大量にあった鍋の具も食い尽くした。残り汁に入れるものは無いかと荒廃した台所を探してみたところ素麺が見つかったので、それを煮込んで〆にした。

 

 そうやって汁の一滴まで味わっていると、ふと魔理沙の食べる手が止まった。さっきまで「カンブリア紀に行ってアノマロカリスを鍋にする」などと豪語していたのが嘘のように沈黙する。霊夢が怪訝そうに覗き込むと同時、魔理沙はパッと顔を上げて叫んだ。

 

「そうだそうだ、その手があった!」

 

「な、なに。どうしたの急に」

 

 引き気味の霊夢に詰め寄るように、魔理沙が身を乗り出す。我に妙案ありといった感じで、爛々と輝かしいばかりの笑顔を浮かべている。

 

「紫だよ、紫。あいつ幻想郷と外の世界を簡単に行き来できるし、外から人間連れてくることもあるらしいじゃん」

 

 そこまで聞いて、霊夢は魔理沙の考え付いた内容のおおよそを理解した。

 

 大妖怪・八雲紫の異能である『境界を操る程度の能力』。

 結界をすり抜け、幻想郷と外の世界とを自由に行き来できるそれを用いて、未来に行けないかと考えたのだろう。はたまた、手紙の彼を幻想郷に招待する気なのか。

 

 どちらにせよ突飛なことを思い付く、と半ば呆れる霊夢に、魔理沙は時間旅行の計画を滔々と語り始めた。

 


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