悪夢と共に   作:あんノー

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第十一話

タイマン勝負に誘われ、リザードンに乗り夜空を翔ける。元々の約束はシングルバトルだったので願ったり叶ったりと言ったところだ。

 

木々を見下ろせる位の高度で止まり相手を待つ。そして俺たちの視界に入ってくる、夜闇に紛れる様な漆黒のポケモン。同じ高さに並ぶと静かに佇み、こちらを見つめている。

 

ダークライ、あの人のエースポケモンだ。四天王時代に作られた彼女の通り名、悪夢を見せる幻のポケモン。

 

シルフカンパニーでは多くのポケモンとロケット団を無力化していた。ダークホールと呼ばれる黒い玉に当たればそれで終わり。

 

 

お互いに動きは見せない。リザードンは仕掛けたくてたまらないみたいだが、今は我慢して欲しい。このポケモン相手に迂闊に動けば、自分達はバトルすらさせて貰えずにベッドの上だ。

 

 

空中に出て時間にして十数秒、月明かりが雲によって隠された。ダークライの姿が更に夜の闇に溶けた瞬間、それを合図に相手は行動を開始した。でんこうせっかでこちらに肉薄する。

 

速度ゼロからいきなりのトップスピードでの接近。だが、驚きはない。七バッジ目のジムリーダー、カツラの本気のウインディと戦った時だ。まるで消えるような速度での仕掛け方に翻弄された。

 

試合後にでんこうせっかを超えたしんそくと呼ばれるワザだと聞いた。それに比べればまだ目で捉えられる範囲。

 

「リザードン回避だ」

 

 

リザードンが大きく羽ばたき、その場から更に上に離れる。こちらの動きに合わせてダークライも直角に進行方向を変える。その両の手には黒いエネルギーが集まっていた。

 

リザードンの背中を右の手で軽く叩き、左手で回避する方向を指示する。自分達を追いかけているダークライを確認すると、あくのはどうを発射する寸前だった。

 

「振り向いてかえんほうしゃ!」

 

リザードンの口から炎が噴射される。それはあくのはどうとぶつかり合い、衝撃を周囲に散らす。

 

「つばさでうつ」

 

かえんほうしゃを撃ち終えたリザードンにすぐさま行動を促す。しかし攻撃後の隙を向こうも狙っていたのか、相手もダークホールを飛ばしてきた。

 

バラバラに発射される五個の黒い玉。当たれば一巻の終わり。俺の目は冴えていた。すぐに抜けれる空間を導き、リザードンに伝える。僅かな行動で回避出来た為、ダークライとの距離が一気に詰まる。

 

そのまま突っ込もうとした時、ダークライの姿がリザードンを囲むように増える。かげぶんしんだ。

 

「突撃中止!ねっぷう!」

 

リザードンが羽ばたきによって周囲に熱気を飛ばす。火の粉が煌めく風が増えたダークライに流れると、残像は全て消えた。

 

 

いない?!一体どこに。

 

 

その時月が雲から顔を出し、再び光を注ぎ始める。しかし俺達にはその月光が届かなかった。

 

「上だ!」

 

月を背に、下にいる俺たちへ向けて黒い玉を連射するダークライ。リザードンは急加速し、その場を離脱する。

 

 

 

その後もお互いに縦横無尽に空中を飛び交い、攻撃と回避を繰り返していく。

 

 

そして遂に俺達はダークライに傷をつける事に成功した。

 

 

と言ってもまもるで軽減された上でのかすり傷。むしろこちらの油断を誘うために、敢えて受けたかの様にも見えた。だが、それにはもう引っかからない。

 

こういった駆け引きはジムリーダー、キョウで散々学ばされた。さすが忍者を自称するだけはある。

 

 

ダークライが地上の戦闘が終わったのを確認すると、あの人の元へ降下していく。指示を求めに行ったのか。俺達もその後を追い、地上へ降りる。

 

下では彼女のバンギラスが戦闘を終えているが、おそらくバトルに介入はしてこないだろう。彼女にとってコレは、四天王に挑む俺たちへの警告や激励の為のレッスンなのだから。

 

 

 

「おや、珍しいね。私の指示が必要?」

 

彼女の傍に降り立つダークライ。リザードンも地表に降り立ち、俺は背から飛び降りた。

 

「そっかー、彼らを認めたかー……わかった。これからは相手にだけ集中して良いよ。じゃあ、いこうか」

 

 

 

ダークライの動きのキレが先ほどとは違う。警戒や迷いといったものがすべて取り払われている。行動や作戦、相手の警戒の全てを彼女に託し、その指示に応えるために全力を尽くしている。

 

 

「リザードン!かえんほうしゃ、きあいだま」

 

リザードンが口からは炎を、両手の間ではエネルギーを滾らせる。それを眼下のダークライに向けて放出した。

 

「かえんほうしゃはただの牽制。きあいだまだけに注意して」

 

くそっその通りだ。……いい。ぞくぞくしてきた。自然と口角が上がる。

 

逸れたきあいだまが、地表で炸裂する。それを見て彼女は面倒くさそうな顔を浮かべた。

 

「うーわ、タイプ一致じゃないのに良いパワーしてるなー。ダークライかなしばり。その両腕貰っちゃおう」

 

リザードンの手が封じられたか。だが、かなしばりは超能力で動きを止めワザを封じる。僅かな時間とはいえポケモンの集中力をかなり使う。それこそ超能力を得意とするジムリーダーナツメのポケモンですら、一瞬の隙が必ず生まれる。

 

「フレアドライブ!」

 

「ダークライ分身を!」

 

ダークライが四体に増える。また、かげぶんしんか?いや、一体だけ影が濃い!

 

「リザードンそこだ!」

 

炎を纏った突進はダークライの体を確かに捉えた。だが、そのダークライは当たった瞬間に消えていった。まるで霞にぶつかったかの様だ。

 

手応えが無い?……まさかかげぶんしんの中にみがわりを?!

 

消えたダークライのいた下を見る。地面には未だに濃い影が揺らめいていた。

 

「ゴーストダイブ」

 

影から勢い良く現れるダークライ。リザードンは咄嗟にまもる体勢に入ったが、それすらすり抜けて痛烈な一撃が入る。

 

「じゃあおやすみー」

 

そのままゼロ距離でダークホールに包まれたリザードンは眠りに落ちた。

 

 

 

 

「ふいー、終わった終わった」

 

彼女はタバコを取り出すと、寝ているリザードンのしっぽに近づけ火をつける。おい……人のポケモンをライター代わりにすんな。

 

「ちなみに、四天王にもっとえげつない影ポケモン使いいるから。私とは年季が違うよ……あの人いくつ初見殺し持ってんのかねー」

 

煙を吐きながら他人事のように語る。つまりまだまだ実力も知識も経験も足りないって事か。

 

「……」

 

これが元四天王か。そしてこの人が言うドラゴン使いやパワーファイター、えげつない影ポケモン使い……面白い。セキエイ高原に行けばそいつらと思う存分バトルできる。

 

「楽しくなってきたじゃねぇか。なぁレッド」

 

「あぁ」

 

まだまだ上がゴロゴロいやがる。鍛え直してから挑戦するのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

おやおや、バトル終わって一瞬呆然としてたのにまた目をキラキラさせちゃって。眩しいったらありゃしないね。……シロナと戦った時、私もああいう目してたのかな。少なくともシロナはしてた。

 

一回心折ってみるつもりで戦ってたんだけどね。正直最初の二体倒されるとは思ってなかったし。

 

ていうかコレ、逆に火つけちゃったかなー。ごめんねーカンナ。後で電話しておこ。バトルジャンキーに火をつけて、そっちに投げたから後よろしくーってね。

 

はー……今でコレかー。数年後とか私戦って勝てるかなー。それはそれで楽しそうだけど。

 

 

「おいレッド!残った手持ちで俺と勝負しようぜ!もっと強くならなきゃいけねぇからな!」

 

グリーン少年何言い出してるの……。レッド少年も無言でボール構えない。

 

「コラコラ、今何時だと思ってるんだい。とっととポケモン回復させて寝なよー」

 

日付超えてるからね。寝ないと私みたいに背が伸びないぞー。それに君達、サカキの後に私でしょ。何でそんな元気なのさ。

 

二人が邪魔すんな的な表情で見てきやがった。こんのバトルジャンキー共め。よーし、大人のやり方を見せてあげよう。

 

「ダークライ」

 

ダークライが二人分のダークホールを用意する。私は頑張っていつも以上の笑顔だ。さっ、とっととポケモンセンター戻れ。

 

「……トキワ戻るか」

 

「あぁ、寝るか」

 

うんうん、子供は素直が一番だよ。

 

二人はトキワシティに向けて歩み出す。何故か競い気味に。早歩きから、遂には走り出した。そんなにライバルって負けたくないもんなの。そんな所は子供だなー。ポケモンに関しては大人顔負けなのにね。

 

 

あっ……置いていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

さて、未来のレジェンド達と離れた私は、現在海の上。カントー地方を離れ、フェリーでホウエン地方のミナモシティを目指している。まぁ、もうじき着くんだけど。

 

私は今、甲板で近づいてきたミナモシティを見ている。船着き場までもう少しといったところだ。ポケギアで連絡する。

 

「おーい、着いたよー」

 

『待ってましたぜ!歓迎の準備はバッチリっす』

 

 

はい?……歓迎?

 

いや、行くよーって言ったら、迎えに行くって言うから連絡したんだけど。歓迎は聞いてないぞ。そんな面倒な事しなくてもいいのに。

 

フェリーの下船口から一歩出て全てを察した。というか見えた。

 

 

「「「「姐さん!お久しぶりっす!」」」」

 

 

待ち合わせの人物が、大勢の子分共引き連れて待ってやがる。おい、その横断幕やめろ。なんだその『姐さんおかえり。ようこそホウエンへ』って。

 

フェリーから完全に降り、まっすぐとその集団に歩いていく。その間頭真っ白。考えるのも面倒臭い状況だ。

 

集団の前に立つ、頭が特徴的な待ち合わせ相手に話しかける。

 

「ねぇ……私聞いてないんだけど」

 

「姐さんがコッチ来るっていうんで、集合させましたぜ」

 

「……私頼んだっけ?」

 

「姐さんの為ならこの位は当然ですぜ!」

 

「目立ちすぎでしょうが……まず人数多いし、なんか横断幕作ってるし……ていうか待ち合わせ相手が四天王の時点で目立ちすぎか。その頭も目立ってるしね」

 

私を待っていたのは、ホウエン四天王の一人。私と同じあくタイプ使いのカゲツ。そしてそのカゲツの不良時代の子分達だ。

 

 

 

え、関係性?あくタイプ使って何を勘違いしたのか、集団でトレーナーをいびってたバカ共をぶちのめしただけだよ。私を狙う時点でお察しだよね。

 

 

 

そのリーダー張ってたカゲツはさすがに強かったんだけどさ、意地で完膚無きまでにぶちのめしたよね。

 

 

そしたらなんか子分共々更生して、今じゃ四天王だもんね。わかってたけど。

 

後ろの子分達はブリーダーになったり、レンジャーになったり、フレンドリーショップの制服着てたり、ポケモンセンターのお姉さんになってたり……今昼間なんだけど。はよ職場もどりなさい。

 

「よーし野郎共!!今日は俺の奢りだ!飲むぞーーー!!」

 

「「「わーーー!!」」」

 

 

さよなら……今日のマスターランクコンテストのチケット。最前列だったんだけどね。この空気で私出ていくのは無理だよ。




ようやくバトルから逃げ出せる……日常書く方が全然楽

先に言っておきます。このSSの世界はメガシンカが無い世界線でいきます。さんざん迷いましたが、この方がスッキリしそう。メガシンカ無くてもゲンシカイキとかはしちゃうのだろうか……?

このSSの正史
FRRG ≒Em →HGSS ≒Pt→BW→BW2……
※メガシンカの無い世界線


Q、主人公の名前
A、師匠のキクノばあちゃんと併せてヒナギクとなるからですね。ヒナノシャクジョウとかあったのか……それも採用しようそうしよう。

Q、大人が子どもたちに600族2匹にダークライ……大人汚い
A、大人だからねぇ……( ˙-˙ )

Q、ゲーム的なメタで考えるとサザンドラは最低64レベルに対して、ワタルのカイリューは赤緑なら62…ホントに半端なりゅうせいぐんでござるか?
A、ほら、ゲーチスさんとかいたやん
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