悪夢と共に   作:あんノー

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第十四話

「ウップ……うぅぅぅ……」

 

「ヒナノさん……大丈夫ですか」

 

いかん……威厳が、お姉さんとしての威厳が口から出そう。せめてハルカちゃんの前では吐いてたまるものか。

 

こんな感じで船の手すりに掴まっている元四天王です。私は今ハギ老人の船でムロタウンからカイナシティへ移動中。

 

色々な地方へ行ったり旅してたけど、小型船は初めて乗るんだよね。小型船で行ける距離ってウチの子達がいるからあんまり乗り物使わないし。

 

 

で……見ての通り酷い船酔いでグロッキー。スピード出すとこんなに揺れるのかと思い知らされている。フェリーなら余裕だったんだけど……正直舐めてたね。これでも私、港町出身なんだけどさ。

 

今からでもサザンドラに乗り換えようかな。いや、今は動くべきじゃない。意識を胃と喉に集中しなければ。……なんでもなおしって船酔いに効くかな。

 

 

 

何でこんな思いしながら船に乗っているかというと、ハルカちゃんの護衛。彼女には私もカイナシティに行くからついでに乗せてもらうって言ってるけど、ハギ老人には護衛の件は説明済み。

 

ちなみにハルカちゃんには私やダイゴさんが元四天王、チャンピオンだって事も伝えてない。彼女にはそんな事気にせず自由に旅をしてもらいたいのだ。

 

 

で、そんな護衛係は今や護衛対象に介護されている。トホホ……全く情けないね。

 

 

 

 

 

「着きましたよ!ヒナノさん」

 

「……………ほぇ?…………着いた?」

 

「はい、肩貸しましょうか?」

 

「……お願い」

 

ハルカちゃんに肩を貸してもらい、影から出てきたダークライに背中をさすられながら何とか上陸。やった……私は威厳をたれながさなかったぞ。私は耐えたんだ。……今の姿に威厳もクソもないか。

 

 

船着場から一先ず近くの海の家に避難した。このデジャブ感凄いね。ハルカちゃんが海の家のおじさんに許可もらって横になる。扇風機の優しい風が心地良い。

 

 

しばらくそこで横たわっていると、ハルカちゃんが近くに戻って来た。その手にはケースに入った大量の瓶を持っている。

 

「店の人にサイコソーダ貰っちゃいました!ヒナノさんも飲みますか?」

 

「ん?貰ったの?」

 

「はい!他の客の人とバトルしたらお礼だって沢山くれました!」

 

凄い元気だね。今の私にバトルしろって言われたら、ウチの子達にお任せするしかない。まぁ、それで大抵済んじゃうけど。ウチの子達優秀だし。

 

 

ありがたく一本譲ってもらい、サイコソーダを少しずつ飲む。なんだろう気持ち少しスッキリした。これなら歩くくらいはできそう。ハルカちゃんの旅の足止めとかしたくないし、さっさと目的果たしますか。

 

「サイコソーダありがとう。待たせちゃってごめんね。じゃあその荷物渡しに行こっか」

 

 

 

 

 

 

 

私はハルカ。つい最近旅に出たばかりの新米ポケモントレーナーです。

 

新米と言ってももう二つもバッジを獲得できたんです。少し自分やポケモン達にも自信が付いてきました。

 

旅の目標は七つのバッジを集めて、本気のお父さんと戦う事。お父さんはトウカシティでノーマルタイプのジムリーダーをしています。凄く強い人で私の憧れです。

 

 

今は石の洞窟で助けて貰った旅のトレーナーのヒナノさんと一緒です。ヒナノさんは色んな地方を旅したらしくて、先輩トレーナーとしての話を聞かせて貰えました。……船では苦しんでましたけど。

 

 

 

そんな私たちは今……とてもヤバそうな人達に囲まれています。

 

 

 

カイナシティの海の博物館という場所で、デボンコーポレーションのツワブキ社長から預かった荷物をクスノキ館長に手渡そうとした時でした。

 

急に博物館に多くのアクア団がポケモンと共に入ってきました。そのままヒナノさんとクスノキ館長さんと一緒に囲まれています。アクア団の目的は私が手に持つ荷物のようです。

 

 

 

私は敵意を持つ多くの人とポケモンにどうしようかと思っていると、隣にいたヒナノさんが私の肩を手で引き、入れ替わる様に前に出ました。

 

 

「ふむ……意外と少なかったね」

 

「……ヒナノさん?」

 

「大丈夫大丈夫、私こういうの初めてじゃないからさ」

 

ヒナノさんの両の手には既にボールが用意されていて、そこから石の洞窟を共に歩いたアブソルとブラッキーが出てきました。そして、私を崖から引き上げてくれたダークライと呼ばれるポケモンが、ヒナノさんを護るように彼女の影から姿を現す。

 

 

「さてと、ちょっとばかし良い所見せようかな」

 

 

三匹対多数の状況で、ヒナノさんとポケモン達は押していました。後ろにいる私やクスノキ館長さんに流れる攻撃も防いでくれています。強い人だとは思っていたけど、こんなに凄い人だとは思ってもみませんでした。

 

 

「アブソル、慌てなくていいからね。狙いを定めて、確実に急所に当てて。ブラッキー、そのカバーを。後ろに私たちいること意識してね。ダークライ、いつものようによろしく」

 

 

アブソルの攻撃で相手のポケモンが一撃で動かなくなる。ブラッキーの防御や相殺によって、私たちには攻撃が届かない。ダークライがポケモンの攻撃を華麗に躱しながら、打ち返すように眠らせていく。

 

 

こんなバトルの経験は初めてです。多人数に襲われて、ポケモン人間関係無く攻撃に晒されています。でも、この人がいるならと、次第と恐怖は薄くなり勇気が湧いてきました。

 

 

……見てるだけじゃダメだ。私ももうポケモントレーナーなんだ。

 

 

覚悟を決めて、私もヒナノさんの隣に並ぶことにしました。

 

「私も戦います!」

 

ヒナノさんはコチラを見ることは無かった。それだけ目の前の状況処理に集中しているみたいです。ただ少し口元が笑った後、私にも指示を出してくれた。

 

「そっちの二人組任せたよ。危なくなったらすぐに下がってね。荷物を守る事が第一」

 

「わかりました!行くよワカシャモ!」

 

こんな状況ですが、ヒナノさんに任された事が少し嬉しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃ、もう終わってしまった」

 

ハルカちゃんの加勢後、すぐにアクア団を無力化した。今は全員悪夢の中。

 

それもダークライに注文して、あの壁画をモチーフにした悪夢。彼らの悲願が達成された夢の中だ。こうなると悪夢じゃないね。目的果たせてるんだから良い夢じゃないか。

 

「ハルカちゃん、後は私達が処理しておくからもう行っても良いよ」

 

「え?でも……」

 

「こんな連中に足止めされてないでさ、自由に旅をしてきなよ。ハルカちゃんくらいの年齢での冒険はかけがえのない経験になるからね」

 

「わかりました。色々ありがとうございました!」

 

「うん、また何かあったら連絡頂戴。私もしばらくホウエンにいるつもりだからね」

 

「はい!また会いましょう!」

 

ハルカちゃんに手を振り、海の博物館から見送る。彼女の姿が見えなくなった頃、ようやく警察が到着した。

 

「じゃあクスノキ館長、警察への説明は任せました」

 

「君はどうするんだい?」

 

「私も少しお話してくるので」

 

 

 

 

 

ポケモンやアクア団が雑多に寝ている所に戻る。その内のこのメンバーを率いていた人物をダークライに言い起こしてもらう。うなされていたその人は、いきなり起きて息を荒くする。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……、夢か」

 

「良いリアリティだったでしょう?私の相棒の作る悪夢は」

 

「貴様が見せたのか!あの地獄を!」

 

「地獄?何言ってるのさ。あれがあんた達の目的が達成した世界じゃないか」

 

「なっ?!」

 

「人間は死に絶え、文明は洗い流され、自然のバランスも壊れた。そして罪の無いポケモン達も消えていくけど、結果として海が増えた。うんうん、良かった良かった」

 

「違う!!」

 

 

動揺した目で私を睨んでくる。こちらも表情を崩さず、ただその男を見る。少しの間、その空間には他のアクア団の呻き声だけがポツリポツリと零れるだけだった。

 

起きている男の通信機から声がする。

 

私は手を出してそれを寄越すように無言で伝える。さすがにこの状況下で私に逆らえる訳はなく、男は乱雑にそれを投げた。

 

 

『パーツを奪うのにいつまでかかっている?』

 

「お宅の団員は全員地面でおねんねしてますよ」

 

やぁ初めまして。通りすがりの一般元四天王です。

 

『……若いな。君がトウカの森でも私の部下を返り討ちにした子供かな?』

 

「人違いですね。私はただの通りすがりですよ……アオギリさん」

 

『色々知っているようだな。なら我々の目的も知っているのだろう?』

 

「まぁ多少……世界を壊したい団体でしたっけ?」

 

『……どうやら誤解しているようだ。

 

海は全ての生き物にとってかけがえのない大切な場所。しかし人間は自分たちのエゴの為に、海を汚し、海を潰し……そんな大切な場所をどんどん破壊してきた。

 

それによって俺たち人間が苦しむのはまぁいい。しかしポケモン達はどうだ?

 

海を奪われる事で住む場所を失うポケモン。新たな命を育むことが出来なくなったポケモン。罪の無いポケモン達が苦しむ世界……間違っているとは思わないか?

 

我々アクア団はそんな世界を変える……いや、元に戻す為に動いている。』

 

「女の子一人相手に集団リンチしようとした団体が、そんな大層な理想を叶えられますかね?」

 

私いなかったらハルカちゃん泣いてるよこれ。傷でもつけようものなら、それこそセンリさんブチ切れると思うけど。ケッキングも怠けないんじゃないかな。……それは強すぎるか。

 

『小さな事を気にしては大望は果たせんよ。まぁいい、若い君が我々の理想を理解するには時間がかかるだろう。

 

今回は手を引こう。所詮ただのパーツだ。時間と金さえあれば我々で用意出来る。だが、この先も活動の邪魔をするならタダじゃ済まさない。その事をよく覚えていることだ』

 

 

 

通信は途切れた。その機械をアクア団の男に投げ返す。

 

「あんたのリーダーさんは世界を壊す気満々みたいだね」

 

「……あの夢の通りになるとは限らない」

 

「なるよ。あのポケモンを人の身で操ろうだなんてできるわけが無い」

 

「方法はある」

 

「お探しの宝玉かい?」

 

「……なっ何故それを知っている?!」

 

「他にも色々知ってるよー。なんならお宅らよりも知ってる。その上で言ってるんだから。

 

あんたらの理想は良いよ。多くの人が持っている思いだ。だけど徐々に積み上げていくもんであって、一朝一夕でやるもんじゃない。反動でどれだけの被害が出ると思ってるのさ。それが私が見せた悪夢だよ。

 

あんたは世界を滅ぼしたいの?」

 

「俺は……ポケモン達の為に……」

 

「本当にポケモンの為を思うならとっとと活動変えて欲しいけどね」

 

「アオギリさんは止められない……あの人にはそれだけする理由がある」

 

「別にあんたに止めてもらおうなんてこれっぽっちも思ってないよ……あっ良いこと考えた。あんた逃がしてあげるからアクア団の動き教えて頂戴よ」

 

アクア団に戻ったところでこの人に居場所があるかはわからんけどね。任務失敗の上、部下を見捨てて逃亡。……二、三人くらい一緒に逃がしてやるか。

 

その上で私にやられたって言ったら許されるかな。まぁ見張られる様になっても別に不都合は無いか。二つの玉を守るだけだし。

 

「そんな事警察が許すわけが無い」

 

「それが多分何とかなるのよねー。はー権力って凄いわー」

 

となれば早速電話だ。チャンピオンならどうにかするでしょ。この数人逮捕した所で、アクア団には代わりはいくらでもいるもの。こちらの息が掛かった人を入れる方が恩恵ありそうだしね。




遅くなりましたね。スマン!あんなこんなでちょいと忙しくなってきた。
おのれゲーチス!チートポケモンとか使うなや!アクロマのBGMと髪型は偉大である←忙しさの一因

最低でも週に一回……いや月に5回……くらいは出すと思う。多分きっとmaybe。

Q、バンギラスなみのり使えるで
A、一部のトレーナーが嫌がるバンギラスに無理矢理……なんて酷い事を

Q、アオギリ性格変わってね?
A、ORASじゃないよEmの口調にしてる。思想はORAS借りてるけど

Q、もしハルカの柔肌に傷をつけたら
A、ブチ切れセンリさんと、特性がはりきりになったケッキング達が襲いかかってくる。

Q、通りすがりの一般元四天王
A、様々なシリーズにランダムエンカウントし、主人公にバトルを仕掛けてきたり見守ってくれる人。大抵ストーリーの四天王に挑む前までには出没する。一部ポケモンのレベルは四天王を超えてたりする。負けても目の前が真っ暗にならない。
なお、どんなイベントが発生するかもランダムなので、RTA勢にとっては最大の敵である。
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