悪夢と共に   作:あんノー

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第十五話

今私はミナモシティを拠点にしている。理由は送り火山が近いから。

 

ミナモデパートで買い物中にポケギアに着信が入る。その名前を見て、相手には待たせるけど、デパートの誰もいない喫煙所に入る。どこに目や耳があるかわからんからね。

 

 

 

もう見なくて済むようになって久しい他人の記憶。そこで私が知っているこの世界の流れ。この先の事件、いや災害を知っている身としては止めなければならない。いくら面倒くさくてもそれはする。

 

超古代ポケモンの復活を防ぐ一番の分岐点は、送り火山の二つの宝玉を護れればいい。ならばむしろ山から移動させた方がいい。ホウエンで一番安全な場所へ。

 

この地方で一番の戦力と、信頼出来るメンバーが揃っている場所と言えば、サイユウシティポケモンリーグだ。あそこならマグマ団、アクア団に全面戦争を仕掛けられても立てこもれる。

 

 

そう考えて私はホウエン四天王のフヨウちゃんに相談してみた。彼女は送り火山の宝玉を護る老夫婦の孫娘。マグマ団、アクア団についてもチャンピオンのダイゴさんから聞いているらしい。

 

フヨウちゃんは彼女の祖父祖母に聞いてくれたけど、ポケギアから返ってきた結果は……

 

 

『ヒナノごめーん!おばあちゃんがダメって……』

 

「ウーン……マジかー。ちなみにどして?しきたり云々なら正直通して欲しいんだけど」

 

そんな決め事を破った程度で災害防げるなら、眠らせてでも移送させるよ。ん?やってる事はマグマ団とアクア団と変わらないな。……たっ大義名分はあるよね。

 

『おくりびやまの山頂に二つの玉が揃っている事で二体を鎮めているらしいよ。揃っていても山から動かす事自体が刺激を与える可能性があるって』

 

「場所自体に意味があるのね……」

 

『ちなみにどう?マグマ団アクア団は宝玉について調べついてそう?』

 

「いやー、まだっぽいよ。今はそういう物がある程度くらいじゃないかなー」

 

アクア団の方は潜らせた鼠達が、まだ玉の在処を探していると連絡してきたし。ちなみに海の博物館で捕らえた団員の内、四人をバラバラに逃してアクア団に戻らせた。これにより情報の精度を僅かにでも上げるらしい。これはダイゴさんの案。

 

案の定、一人は音信不通、二人は同じ情報を、最後の一人は前二人と別の情報を寄越した。とりあえず最初の一人は今度ボコす。残り三人は誰が正しいかわからんけど、目安程度にはなる。

 

二人の内の一人が、私の事姐さんって呼び出したから多少信用できるんじゃない。呼び方に色々疑問つけたいんだけどさ。

 

マグマ団の方はこの前ハルカちゃんに呼ばれてえんとつ山でデートした時にボコって吐かせた。ハルカちゃんが順調に強くなっていて、私を呼ばなくても良かったんじゃないと思った。

 

 

私はデートする所が、テロ現場しか無いのか……。

 

 

 

『宝玉どーするの?時間の問題なんだよね?』

 

「私一人じゃ流石に厳しい……と言っても信頼出来て戦力になる人なんてそう都合良くいないよねー。皆四天王稼業あるし」

 

かと言っていつ来るかわからん連中の為にずっと山を見張るのはね。眠れないよそんな状況になったら。昔寝れない生活送ってたけども。

 

 

『ダイゴ君は他の事もあって難しいけど、ゲンジさんとプリムさんは、リーグ関係者にも内緒で動けるように調整してくれるみたい。本当はアタシが直接守るべきなんだけど……』

 

「流石にポケモンリーグが平常運転出来なくなったら不味いでしょ……ただ三人でもブラック企業顔負けだわー」

 

『手伝える事があればまた連絡して。いざと言う時はアタシもすぐに行くから!』

 

「ありがとーフヨウちゃん。こっちで何とか考えてみるよ」

 

 

 

通話を終えて、タバコに火をつけ一服。上を向いて、煙で円を作ってみる。んーこの人手不足はどうにかならんものか。

 

ジムリーダーに協力要請……ダメだ。ぶっちゃけ日常的にはジムリーダーの方が忙しい。

 

警察や一般トレーナーに協力してもらう……実力も信用もない。警察も動きバレてるなら無理。

 

ハルカちゃんに助っ人お願い……ダメだダメだ。それしないって決めてるじゃん。呼ばれたら行くけど呼ぶのは違う。

 

「あー……詰んだ?送り火山生活始まっちゃう?」

 

 

 

住み込みかー……今からエナジードリンク買いまくって準備しとくかなー。

 

またポケギアがなる。名前が表示されない。私が登録してない番号。

 

「……もしもし」

 

『やぁ初めまして!私はエニシダという者だ。この番号はヒナノ君で合っているかな?』

 

 

実力も信用もある人達いたーーー!!

 

 

『おーい……もしもーし』

 

「あぁはい、ヒナノです。ところで何処で私の番号を?」

 

『四天王のカゲツ君から聞いていたんだ。今少し時間良いかい?』

 

何勝手に人の番号渡してるんだあいつは。まぁそのお陰で助っ人閃いたんだけど。

 

「大丈夫です」

 

『ありがとう。用件は二つ。一つは今私が進めているバトルフロンティアプロジェクトのフロンティアブレーンにスカウトしたい』

 

「え?私ですか?」

 

『そう!シンオウの悪夢と呼ばれた君に、私の作る施設で楽しいバトルを見せて欲しいんだ!』

 

「……すみませんがお断りします」

 

助っ人頼むにはフロンティアブレーンを受け入れた方が早いんだろうけど。私の進路もう決まっているというか、キクノ師匠の跡継いで四天王に戻るって約束しているし。

 

『そうか……なら今日の所は諦めよう』

 

わー今後もしつこい勧誘来る。四天王とフロンティアブレーンの兼任……?いやー無理無理。体が三つないと持たないよ……いや、三人全員寝るか。

 

『もう一つの件だ。むしろこちらの方が本命でね』

 

うわ……断りにくいやつだ。ていうか次は断れない。私も助っ人頼まないといけないし。

 

『あるポケモンの捕獲をお願いしたい』

 

「捕獲……ですか?」

 

『実はだね。世界的冒険家のジンダイ君を知っているかい?

 

彼もフロンティアブレーンにスカウトしてね。スカウトの条件が、ホウエン地方にある遺跡の冒険援助。そしてその遺跡攻略によって目覚めるポケモンを使ってフロンティアブレーンを勤めたいというものなんだ』

 

ん?遺跡攻略によって目覚めるポケモン。それにジンダイさんのフロンティアブレーンとしての手持ちって言えば……

 

『その目覚めるポケモンは伝説のポケモン!

 

レジロック!レジアイス!レジスチル!

 

それを世紀の冒険家、ジンダイが操るポケモンバトル!!

 

見てみたいとは……思わないか?!!!』

 

ポケギアからバクオングのハイパーボイスが轟いた。この熱量の人が金と権力を持ったら、あんな施設作っちゃうわそりゃ。

 

『君にはこの内の一体を捕まえて欲しい。もちろん協力してくれたならその分の報酬は払うよ』

 

はい、ロン。その言葉を待ってました。むしろ言ってくれて助かった。

 

「わかりました。私で良ければ協力します。早速で悪いのですが、報酬の件でお願いしたい事が」

 

『うん、何だい?』

 

「今、ホウエン地方にフロンティアブレーンとなる人物は何人いますか?」

 

『三人だ。既に海底の遺跡へと向かっているジンダイ君。あとは遺跡の分析解析に協力してもらっているネジキ君。そしてバトルの天才リラ君だ』

 

ジンダイさんは既におふれの石室を攻略している。捕獲が成功して伝説のポケモンが三匹もいれば相当な戦力となる。

 

ネジキ君は遺跡攻略に呼ばれたのか。本来は別の地方のフロンティアブレーンだったはずだ。

 

そして何よりタワータイクーンのリラちゃん。バトルをこよなく愛するエニシダさんをして天才と言わしめている。頼りにならないわけが無い。

 

 

「まどろっこしいのは面倒なんでストレートに言いますね。その三人の力を借りたいんです」

 

『……マグマ団、アクア団かい?』

 

「ご存知でしたか。その二つの組織が狙っている物があります。その守護にどうか力を貸して下さい」

 

『わかった。三人に話をつけてみよう』

 

「え?そんなあっさり?」

 

『実は色々ダイゴ君達から聞いているし、頼まれてもいるんだよ。マグマ団アクア団の目的とか、それによって世界がどうなるのかとか。阻止しないとバトルフロンティア出来ないからね。当然協力させて貰うよ』

 

「ありがとうございます」

 

送り火山住み込み生活何とか阻止。それに心強い味方も手に入れた。コレで迎え撃てるかな。

 

 

 

 

 

そんなわけでやって来ました120番道路は古代塚。まさか聞いて数日中に行くことになるとは。

 

ちなみにどうして私が選ばれたのかと言うと、本来はもう一人フロンティアブレーンが来る予定だったが急用で来れなくなり、実力と急遽都合を合わせられる人という事で白羽の矢が立ったらしい。

 

 

「ここで合ってるんですか?」

 

「うんここだ。間違いない」

 

何故かエニシダさんが付いてきた。理由は私の捕獲を見たいかららしい。やっぱりスカウト諦めてないのね。捕獲用に用意した大量のボールと薬が入ったバッグを地面に置いてその建造物を見る。

 

なんて言うかピラミッドみたいな感じだ。と言っても綺麗に整形はされてなくて、ゴツゴツした印象を受ける。そして入口は何処にも無い。

 

「ヒナノ君、こっち来て」

 

古代塚をぐるぐる見回っていると、エニシダさんから呼ばれた。彼はポケナビとポケギアを手に誰かと連絡しているようだ。

 

「リラ君、ネジキ君。到着したかい?」

 

「はい、エニシダオーナー。ボクは指示された小島に到着しました」

 

「こちらネジキ。砂漠遺跡にとうちゃーく」

 

ジンダイさんは今頃キナギタウン近くの海底遺跡、おふれの石室を攻略中。当然通信は出来ない。

 

攻略と言っても一度行って戻って来ているらしい。そこで持ち帰った遺跡の謎をネジキ君達と解明して、今回は答え合わせに向かっている。

 

だから私達は、ジンダイさんが再び遺跡の最奥にたどり着く時間に合わせて、それぞれの持ち場にやって来た。

 

「オーケー。もうそろそろ約束の時間だ。手筈通り頼むよ」

 

「わかりました」

 

「りょーかいっ!」

 

 

 

 

「さて、ヒナノ君。待ち時間に君には遺跡で見つかったものでも伝えようかな。

 

キナギタウン近海の海底遺跡、おふれの石室にはここや他二つの遺跡の鍵を開ける古代の機構があった。しかもその機構が現代となった今でも生きているから驚きだよ。

 

まぁ、その機構の仕組み自体は今後の調査で解明しないといけないらしいけどね。

 

 

そして過去から未来に向けたメッセージも遺されていたんだ。

 

わたしたちわ この あなで くらし せいかつ し そして いきて きた

 

すべてわ ぽけもんの おかげだ

 

だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた

 

 

……こわかったのだ」

 

 

 

今立っている地面が小刻みに震え始める。私はエニシダさんから離れウチの子達をボールから呼び出す。ブラッキーもバンギラスもサザンドラもただならぬ雰囲気に警戒している。

 

 

ゆーき ある ものよ

 

きぼーに みちた ものよ

 

 

ダークライは落ち着いているが、危険感知能力が一際高いアブソルはソワソワしているようだ。アブソルの頭を軽く撫で安心させる。

 

地響きが大きくなっていく。同時に何処にも隙間の無かった古代塚の一部に、ヒビが拡がっていき、最後には壁が崩れ落ちた。

 

 

 

とびらを あけよ

 

 

古代塚が開かれる。その奥には円形に光り輝く七つの赤い点。そして崩壊音に混じるおよそ生き物とは思えない鳴き声。

 

 

そこに えいえんの ぽけもんが いる

 

 

私達の前に野生のレジスチルが現れた。




レレレジジジギガガガ
ギガギガフンフンガガガガガガ!!


レジ系の都市伝説とか読み漁ってたあの頃の思い出。
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