悪夢と共に   作:あんノー

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第十六話

古代塚から姿を見せるレジスチル。封印から目覚めてすぐだからか、その動きはとても緩慢だ。まだ、私達を敵と認識していないのかもしれない。

 

 

対峙して感じる今までに無い違和感。目から入る情報とこれまでの経験が食い違い、頭がバグっているみたいだ。

 

自分は本当にポケモンと向き合っているのか。これは本当に生き物なのか。見れば見るほど、過去に見てきたポケモン達との違いで感覚が狂いそうになる。

 

無機物っぽいポケモンはそれこそいくらでもいたが、まだ生き物らしさを感じることが出来た。そもそも違和感など感じ無い。だが、このレジスチルは生き物でなく、機械を相手にしている気分だ。なんかこう……違う。

 

もしかしたらこの違和感が古代の人が恐れた原因とか?

 

 

いやそんな考察している場合じゃない。ウチの子達が指示を待っている。でも、私の中で何が正解か答えが出ない。

 

 

とりあえず流石に捕まえるには弱らせるしかないよね。偶に仲良くなって自らボールに入ってくれるポケモンや、私のダークライの様にボールに抵抗しないポケモンもいるけど……レジスチルが友好的かどうかもわからんし。

 

ボールに抵抗するポケモンを捕まえるには弱らせて、状態異常にするのが定石。私だったら眠らせるのが一番なんだけど……

 

 

 

コレ……寝るのかな〜?

 

 

悪夢……見れる?

 

 

 

 

戸惑っている間にレジスチルは私達を向いて、体の中央にある七つの赤い点を不規則に点滅させている。……その点滅の意味は?挨拶とか?それとも観察?威嚇とは思えないし……いや、威嚇なのか?

 

 

「よし、わからん!とりあえず挨拶代わりにダークホール」

 

 

人生初、バトル中に思考を投げた。とりあえず色々してみて様子を見よう。

 

おはようございます!そしておやすみなさい!

 

 

 

ダークホールはいとも簡単に直撃した。避ける素振りも見せなかった。鋼鉄の体を闇が包み込む。闇が晴れるとそこには変わらぬレジスチルの姿がある。特に動いたりはしない。

 

 

 

「……寝てる?」

 

 

 

いつもならここで皆かかれー!って指示できるんだけど。レジスチルが今どういう状態なのか自分にはさっぱり。鳴き声も上げないし微動だにもしないんだけど、中央の赤い点は先程と変わらず不規則に点滅してるのよね。

 

 

 

少しの沈黙を置いて、レジスチルに変化が起きる。点滅が激しくなり始めたのだ。この様子を見るに先程の状態は普通のポケモンで言うねむり状態なのではないだろうか。今の激しい点滅を見ていると、先程のゆっくりとした点滅は機械のスリープモードの様にも見えなくもない。

 

 

仮に先程の沈黙状態が眠っているにしても、封印から目覚めたばかりの影響だろうか、その時間はかなり短い。ダメージを与え、疲労させ、拘束状態まで持っていきたいが……まぁ、ボチボチいきますか。

 

 

「まずは様子見。サザンドラ、かえんほうしゃでフルアタック」

 

 

三つの口全てから業火が放出される。相手は鋼タイプ。この子のかえんほうしゃなら相当効くはず。レジスチルは微動だにしない。そのまま炎に包まれた。

 

 

炎が晴れると、そこには何事も無かったかのように佇むレジスチルがいた。ひたすら私たちに向けて赤い点を点滅させている。

 

効いていないのか?レジスチルは確かに防御も特防も高いポケモンだ。だがウチのサザンドラが弱点を突いて、ダメージが無いなんてありえない。効いてはいるが、それが表情や仕草が無いため目に見えないのだろう。そうでなきゃやってられない。

 

 

 

レジスチルが鋼の巨体に似合わない細い腕を、体の正面に持ってくる。そこにエネルギーが集まっていく。はかいこうせんの構えだ。

 

「バンギラス、ブラッキー皆の前へ。他の皆は攻撃準備」

 

はかいこうせんの様な強い攻撃は反動がある。その為受けて立つのでは無く、避けてその隙を突くのが理想的だ。

 

普段は何処に攻撃するかを相手トレーナーやポケモンの視線で判断してから避けるのだが、レジスチルには目が無い。何処に撃とうとしているかが体の向きでしか判断出来ない。射線が絞りきれないのだ。

 

 

ならば五匹がバラバラになるよりも、受けが強い二匹に前で壁役を任せる。そして二匹の後ろに他二匹、ダークライはバンギラスの傍でダークホールを構える。

 

アブソルはブラッキーの後ろでつじぎりを、サザンドラはバンギラスの後ろで、先程とは手を変え、だいちのちからのフルアタックを準備する。ダークライはバンギラスの傍で、攻撃役二匹のサポート。ダークホールで少しでも硬直時間を伸ばす気だ。ダークライは撃った後、すぐにバンギラスの影に潜めば大丈夫。

 

 

 

普通の野生ポケモンとは桁違いの熱量がバンギラスを目掛けて放たれる。同時にウチの子達もそれぞれ動き出す。

 

標的にされたバンギラスは重心を低く踏ん張り、こらえる構えに入る。

 

ダークライははかいこうせんが放たれるタイミングでダークホールを撃ち、そのままバンギラスの影へ避難した。

 

狙われなかったブラッキーはその場でバク転の様に飛び、後ろのアブソルにバトンタッチ。その際にバンギラスの前にひかりのかべを張る。

 

アブソルはブラッキーと入れ替わり、ダークホールを追いかける形でレジスチルに肉薄する。

 

サザンドラもレジスチルの地面に意識を向けているようだ。

 

 

 

 

結果としてひかりのかべで勢いを殺されたはかいこうせんを、バンギラスはその体で受けきった。

 

レジスチルは反動から解放された直後に眠らされ、再び無防備状態に。アブソルが眠りに入っただろうレジスチルに急接近。そのまますれ違いざまに角でつじぎりを正面の赤い点に入れる。その直後に地面から吹き上がったエネルギーの柱に飲み込まれた。

 

 

 

 

しかし、レジスチルは倒れない。よろめく様子も無く、鋼の体には傷一つ無かった。アブソルの切りつけた赤い点の一つにヒビが入っているだけ。あそこは急所なのかもしれない。そこだけ点滅しなくなった。

 

 

 

点滅が一際激しくなり、バンギラスの後ろのサザンドラを注視する。視線は無いが明らかに意識を向けているのが誰にでもわかる。だってなんか赤くて細い赤外線レーザーのようなものが赤い点から照射され、バンギラスの背後に浮かぶサザンドラとレジスチルを結んでいるからだ。ロックオンされてるねコレは。

 

そして次ははかいこうせんでは無く、電撃を正面に準備し始めた。でんじほうを撃つつもりのようだ。

 

 

 

バンギラスはその射線を防ぐ為に立ち位置を移動。ブラッキーはバンギラスに近寄り防壁の準備を始める。

 

その間、他の三匹にそれぞれ攻撃を指示し、でんじほうを止めようとしたがレジスチルは気にも留めていない。そのままチャージを終えて発射に移る。

 

そのタイミングで先程と同じ様に攻撃を受ける体勢に入ったのだが、肝心のでんじほうは明後日の方向に発射された。ロックオンまでしたのにいったい何故?

 

「攻撃が今になって効いてきた?……おん?」

 

 

なんという事でしょう。明後日の方向に飛ばされたはずのでんじほうが大きな弧を描いてサザンドラに迫っているではありませんか。コレではひかりのかべもバンギラスも防ぐ事が出来ない。

 

「ホーミングとか嘘でしょ!」

 

でんじほうはサザンドラの横っ腹目掛けて飛来する。ここで動いたのはこのパーティーのベテランであるブラッキー。すぐさま自身をまもるで包み、サザンドラを庇うようにでんじほうの前に躍り出る。

 

「ごめんブラッキー!バンギラス!レジスチルを押さえ込むよ!」

 

ブラッキーがでんじほうをその身に受け、瀕死間近に。しかし、タダでは終わらないのがウチのアイドル。最後に特性のシンクロでレジスチルにもでんじほうでの痺れを共有させる。

 

その痺れと、アブソル、ダークライ、サザンドラの攻撃によってその場に釘付けにされたレジスチルの前にバンギラスが辿り着く。そのまま二体は組み合った。

 

組み合うと同時にレジスチルの体から赤い蒸気のようなものが吹き上がる。この状態になるワザを自分は知っている。そしてバンギラスもそのワザは使えるのだ。

 

「バンギラスばかぢから!」

 

二匹共が全身の力を振り絞り組み合う。共に重量級のポケモンの力較べに、地面に放射状のヒビが走り、その場が窪み始める。お互いに拮抗している様に見えるが、コレではバンギラスは先に倒れてしまう。かくとうタイプはバンギラスが受けるには最も苦手なタイプだ。

 

だからこそ正々堂々と力較べなんかしていられない。レジスチルとバンギラスの優劣を注意深く判断する。そしてレジスチルの体が痺れ、バンギラスが僅かに優勢になった瞬間に叫んだ。

 

「けたぐり!」

 

バンギラスがレジスチルの足を引っ掛けて転ばせる。超重量のレジスチルが大きな地響きと共に尻餅をつく。バランスを崩したレジスチルをバンギラスが上から押さえつける。

 

 

しかし、これ以上はバンギラスは耐えられない。軽減したとはいえ、はかいこうせんを受けた上に、最も苦手なタイプのワザを受け止めた。ならばもう後は残りの子に任せる。

 

「バンギラス戻って!サザンドラはバンギラスの代わりに押さえ込むよ!のしかかってかみつく!アブソルはサイコキネシスで動きを封じて!」

 

バンギラスがボールに戻る。レジスチルがその隙に立ち上がろうとするも、アブソルの念力で動きが抑えられ、そのまま飛来したサザンドラが両腕の顎で、レジスチルの細い両腕に体重をかけながら噛みつく。歯は通っていないようだが、拘束にはコレで十分。

 

レジスチルもいまさっきのばかぢからで力を使い果たしているようだ。

 

「ダークライ、ひたすら眠らせて」

 

ダークライが拘束されたレジスチルに近づいて、体の中央の赤い点に手をかざす。そこからさいみんじゅつをひたすら送っている。

 

最初は催眠を振り払い抵抗もしていたが、徐々にその抵抗は弱まっていく。最後には赤い点から光が消えて、完全に眠りに落ちた。私も近寄って見てみると、眠りに落ちたと言うよりは機能停止という表現が正しいのかもしれない。

 

エニシダさんの経費だからと奮発購入した、ハイパーボールを投げる。ボールには抵抗していたが、何とか収まり任務完了。私は伝説のポケモンレジスチルをゲットした。

 

 

「いやー凄い!流石はヒナノ君だ」

 

今回の捕獲劇の功労者、バンギラスとブラッキーに薬を使ってあげていると、エニシダさんが近づいてくる。その手にはビデオカメラが。おい、撮影は聞いてない。盗撮だ!人権侵害だ!

 

「……コレで依頼達成ですね」

 

レジスチルの入ったハイパーボールをエニシダさんに渡す。勝手に撮られてたのでジト目を忘れずに。

 

「うん、確かに。コレでジンダイ君の使用ポケモン三匹の捕獲は完了だ」

 

「私が最後ですか?」

 

「君が捕まえるのと同じタイミングでリラ君も連絡をくれてね。ネジキ君はその少し前かな。君やリラ君はこのレジスチル達に最初は違和感を持って接していたと思う。見ているだけの私もそうだったしね。

 

ネジキ君は自前の調査・分析マシーンで表される数字を通してレジロックと向かい合っていたはずだから、そこの違いじゃないかな?」

 

 

バトル好きの人だけあって、私が最初戸惑っている事はわかっていたらしい。これまでに様々なトレーナーをよく見てきているのだろう。逆に数字を通してポケモンを見るというのはよくわからない。他人の記憶にある、ポケモンの数値は現実とは違うだろうし。

 

「じゃあ、皆をミナモシティに集合させるよ。ジンダイ君はしばらく探検明けで休む時間がいるけど、リラ君とネジキ君はすぐに呼び寄せるよ。

 

えっと、君への個人的な報酬はまだ保留でいいんだっけ?それなりの額を用意したつもりなんだけど」

 

「はい、何事も無く終わったら遠慮無く貰います」

 

何事も無いように頑張るけどもしもの時は、ね。いざと言う時の保険は必要だ。想定される被害額に比べれば微々たるものだけど復興支援の為に回すべきだ。

 

被害額というのは、ダイゴさんが天気研究所で得たシミュレーション結果。それがメールで送られてきたのだ。グラードン、カイオーガどちらかでも目覚めれば街単位で被害が出る。被害額は私が見た事も無い数字だ。

 

 

「マグマ団も、アクア団もコレを知った上でやるのかねぇ……」

 

メールの被害額の下には、別の数字も並んでいた。それはシミュレーションによって想定された、ホウエン地方で行方不明・死亡となる人とポケモンの数だった。




9日で目標の3話/5話。いいペースじゃないか。出来はともかく。

数名の方にメッセージボックスに直接応援コメいただけて大変嬉しかったです。そしてここでまとめての返事となる事をお許し下さい。感想も見させていただいています。執筆の励みになっています。

いつも誤字報告本当にありがとうございます。自分焦ってたりすると酷いね。人名ミスってたりして。本当に感謝しています。


さて、何とか描ききれたレジスチル戦。完全にリンチになってしまった。頭の中でレジスチルは固定砲台となってしまった。……想像力が足りないよ。




では〜いつもの。メッセージボックスに寄せられた意見も入ってます。

Q、ダツラじゃなくてネジキなんや
A、この後の展開的にポケモンを数字で見れる人が欲しかった。その構想を使うかは未定。

Q、主人公へのレジスチル捕獲報酬無いの?
A、わすれてた……今回でちょこっと記載

Q、レジ系あるある
A、自分はおふれのせきしつBGM苦手。レジ戦はしゅき

Q、ブラッキー壁張りすぎでは?
A、ワンパターンやなーとは思ってるけど、描写的にも能力的にも便利過ぎ。

Q、嫌がるレジスチルをバンギラスが無理やり押し倒して……
A、ニッチな層過ぎるだろ……

Q、ばかぢからの描写
A、NARUTOの八門遁甲より

Q、実際にレジ系は寝るのか?
A、知らん。ゲームでは寝る

Q、メガシンカ無いけどカロスのトレーナーとか出ない?
A、今のところ思い付いてない。多分カルネ辺りは出しやすそうではある。

Q、ifの話(アニポケだったら、ポケスペだったら)
A、両方共に虫食い状態で、下手に手をつけたくない。要素は貰う。

Q、レッド達のその後、主人公の家族とかのその後は?
A、多分書く、主人公家族は下手したら流すかもしれない。



現在、頭の中やストックとして小話とかを書き溜めています。本編に使用したり、本編で出せなかったものは1話完結として出すかもしれません。ですが、とりあえず本編を最優先でやります。

どんな形でも完結まで行くんだ……過去の失敗(失踪からのSS消去)を繰り返してはいけない。
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