悪夢と共に   作:あんノー

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第四話

ついに挑戦することになったシンオウポケモンリーグ。

 

ポケモン図鑑と最初のポケモンを手に冒険に出て、八つのジムを巡ってようやくここまで来た。私と私のポケモン達の一つの目標であり夢。

 

 

「四天王の準備が整いました。ご案内いたします」

 

 

係の人に案内され、あるゲートの前まで辿り着く。

 

「最後の確認です。ここを超えると最後まで勝ち抜くか、負けるまで外に出る事はできません。それでもシンオウポケモンリーグに挑みますか?」

 

覚悟を問われ、手が震える。

 

ポケモンリーグに挑んだ者が心を折られるというのはよく聞く話だ。先程四天王に敗退したトレーナーの姿が脳裏に浮かぶ。まるで魂を抜かれた様に、人の肩を借りて何とかゲートの奥から戻ってきた。

 

自分も負けてああなるのではないか。あの状態になって私は立ち上がれるのか。そう考えて返答の言葉が出ない。

 

「何人ものトレーナーがこのゲートを潜り、そして満身創痍で戻ってきました……覚悟が定まらないのでしたら引き返す事をおすすめします」

 

引き返す……今の私にはその言葉が酷く甘美に聞こえた。今じゃなくても良いのではないか。もっと鍛えてからでも遅くは無い。そんな考えが徐々に大きくなってくる。

 

 

私が弱気になっていると、私のポケモンたちがボールから勝手に飛び出てきた。

 

「あなたたち?!」

 

ミカルゲ、ロズレイド、トゲキッス、ルカリオ、ミロカロスそしてガブリアス。これまで苦楽を共にした仲間達が、何も言わずにただ私を見つめている。

 

「そうね……私が私を、そしてそれ以上にあなたたちを信じないとね」

 

どんな困難にぶつかってもこの仲間たちと乗り越えてきた。弱い自分自身に打ち勝って前に進んできた。

 

それはここでも変わらない。

 

 

「良い表情になりました。私も安心して送り出せます。……ではもう一度確認を。あなたはシンオウポケモンリーグに挑みますか?」

 

今度はすぐに自信のこもった声で返答できた。

 

「えぇ、もちろん」

 

「よろしい!シンオウ地方全てのジムバッジを持つトレーナーよ。その力をここでも発揮し、栄光を勝ち取ってみせよ!」

 

 

 

 

バトルフィールドまで伸びる通路を進む。そして頭で最初に戦う四天王の情報を整理する。四天王はそれぞれ有名なトレーナーなので、調べたり聞くことでどんなトレーナーかくらいは掴むことができた。

 

 

第一四天王、あくタイプのエキスパートであるヒナノ。

 

相手を眠らせる戦術を好み、悪夢を見せて戦闘不能にする事からシンオウの悪夢と呼ばれて、多くのトレーナーの挑戦を挫いてきた少女。その通り名に偽り無く、彼女が四天王に就任してから第一四天王から先に進めた者がいないという恐るべき実績を持つ。年齢的には私とほとんど変わらない筈なのに、シンオウのトップにいる実力者だ。

 

 

彼女の就任時は色々注目されていた。

 

まず若すぎる事。十二歳での四天王就任はシンオウポケモンリーグでは最年少記録だ。

 

そして第四四天王の弟子である事。一つのポケモンリーグに師弟が揃うのはどこの地方でも聞いたことが無い。四天王キクノの指導力にも注目が集まった。

 

同時に四天王就任はコネではないかという噂も立った。若すぎることもそれを助長したのだろう。実力が全ての四天王において有り得るわけが無い話なのだが、噂というのは面白おかしく改変されて伝わっていく。

 

その結果、一時期は四天王を倒したという実績が欲しい挑戦者が殺到したそうだが、そんな考えのトレーナーは今頃ポケモンと一緒に心が折れているのだろう。

 

 

四天王ヒナノのエースポケモンはダークライという幻のポケモン。

 

彼女の通り名に相応しい悪夢を見せる能力を持つポケモンらしい。幻のポケモンという事と、彼女がダークライを使用した試合が少ない為、それ以上の事はあまりわからなかった。

 

 

 

通路の終わりが見える。そこで今一度ポケモン達を全て出し、皆にカゴのみを持たせていく。こんなのはほんの気休めにしかならないのだろう。こんな対策で攻略できるなら私の前に誰かが突破している。

 

ポケモンたちを再びボールに戻し、遂に通路を抜ける。建造物の中にあるとは思えない程に、天井は高く広大なフィールド。こんなのが四天王一人につき一つ設置されているとは、改めてポケモンリーグの偉大さを理解させられる。

 

 

そして私から見て向かい側の通路の奥から越えるべき壁がやってきた。そのままお互いに声が聞こえるくらいの距離まで近づく。

 

向かい合って少し沈黙が流れる。その間も四天王ヒナノは私をじっとみていた。観察されるような、値踏みされているような感じだ。

 

「やぁ、遂にここまで来たね。ポケモンリーグへようこそ。私はあくタイプ使いのヒナノ。四天王の一人として歓迎するよ。ぜひ良い悪夢を見ていってね」

 

ぜひ良い悪夢をか……上等!

 

「その悪夢を打ち破って、あなたの不敗戦績に私たちが黒星を付けてあげる!」

 

 

「「勝負!」」

 

お互いに初めのモンスターボールを手に取り、フィールドに繰り出す。

 

「「いけミカルゲ!!」」

 

同じポケモンが互いのモンスターボールから飛び出た。同じポケモンなら勝負を左右するのはトレーナーの実力。

 

「あくのはどう!」

 

「シャドーボール!」

 

フィールドの中央でぶつかったワザが衝撃を撒き散らす。ミカルゲの出力は拮抗していると見ていい。

 

私の人生において一二を争う最高のポケモンバトルが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミカルゲとミカルゲは互いに相打ち。シロナの手持ちで相性的にキツいルカリオはドンカラスが身を呈して体力を削り、ヘルガーがトドメを刺した。

 

しかしそのヘルガーもミロカロスの前に倒れる。続いたブラッキーが苦心の末眠らせる事に成功し、私の代名詞であるあくむによって戦闘不能に陥った。

 

ブラッキーがその後トゲキッスとの戦闘を続けているが……

 

「ブラッキー、でんじほう!」

 

「トゲキッス、エアスラッシュ!」

 

ブラッキーの放つ電撃とトゲキッスの風の刃がスレスレで交差する。電撃はトゲキッスの翼を掠めるだけ。風の刃はブラッキーに確かに直撃した。

 

ブラッキーはそのまま崩れ落ちた。だが、トゲキッスも満足に飛ぶ事が出来ずゆらゆらと地に足をつけた。ダメージはあまり入らなかったが、掠っただけとは言え電撃を浴び、体が麻痺したのだろう。

 

ミロカロスとも戦い消耗した状態で、当てるのが難しいでんじほうはかなりの賭けだったが、ブラッキーは見事に応えて仕事をしてくれた。

 

「お疲れ様ブラッキー。よく頑張ってくれたね」

 

ブラッキーだけじゃない。他の子たちもこの場所で戦い続け相当強くなっている。今なら四天王の下克上もできるのではないかというくらいだ。

 

それでも四天王としての戦いで初めて負け越している。

 

向こうは残り三匹、トゲキッスは除いても万全な状態の二匹。しかも、その中にはシロナのエースポケモンであるガブリアスが控えている。

 

対してこちらは残り一匹。だが、こちらも私の絶対のエース。

 

それにしてもよくもまぁこれだけのポケモンをバランス良く、それでいてトップクラスの練度に仕上げられるものだ。それも私のように師の元ならともかく、冒険の中で自身とポケモンだけでこれ程までに強くなれるのかと尊敬の念を抱く。

 

うん、このバトル終わったら勝っても負けても旅をしてみようかな。シンオウだけでなく、色んな地方に行ってみるのもいいかもしれない。もう十分に私に格は付いたはずだ。四天王じゃなくなっても、ダークライと引き離されるような事はないだろう。

 

これからの事を考えているが、まだ負ける気は無い。どうせなら未来のチャンピオン相手に勝ち逃げでもしてみようか。

 

 

人生で初めて手に持ったモンスターボールを軽く宙に放った。

 

「さて、久しぶりの出番だよ。ダークライ!!」

 

ボールから出たダークライはそのまま私の意思を汲んで行動する。体が痺れているトゲキッスに、命じるまでも無くれいとうビームを放った。現実でも悪夢でも一緒にいるからこその以心伝心だ。

 

トゲキッスは避けようとしたが、体が痺れ満足に回避行動もとることが出来ず、れいとうビームで氷漬けになり戦闘不能になった。

 

 

シロナが次のポケモンを投げる。出てくると同時にダークライは手にダークホールを用意していた。

 

「いけ!ロズレイド!」

 

「ダークホール」

 

既にワザの準備を終えていたダークライは、出てきたばかりのロズレイドに、間髪を容れずにダークホールを放ち眠りへと誘う。が、直撃した筈のロズレイドは眠らずに両手の花束をダークライに向けている。はいはい、カゴのみカゴのみ。

 

「リーフストーム!」

 

「かげぶんしんで躱して!」

 

瞬時に増えたダークライの残像を、葉っぱの嵐が飲み込んでいく。本体への被弾は無い。

 

「ダークライ、今度は広範囲にダークホールを」

 

ダークライが両手から幾つものダークホールを発射する。躱すのは難しく、当たればそのままあくむとナイトメアの餌食。シロナとロズレイドがとった行動は、ダークホールを全弾相殺する事だった。

 

「タネマシンガン!」

 

ロズレイドの両の花束から弾が溢れ出る。それはダークホールとぶつかり、その場で眠りの空間を広げる。黒い球状の空間が幾つも連なり、黒い壁の様になる。……それを狙っていた。ダークライもそれをわかって既に動き出している。

 

「今よ!さいみんじゅつ」

 

ダークライは撃ち終わりの隙をつき、ロズレイドに素早く肉薄する。そのままロズレイドの首を掴み宙に持ち上げ、目で暗示を掛ける。そのままロズレイドは眠りについた。

 

眠らせる手段は一つではない。もちろん当たれば眠るダークホールとは違い、暗示の為の距離や条件はあるがそれも使いようだ。そして眠ってしまえばあとはこっちのもの。

 

「ダークライ、あくむ」

 

ロズレイドは首を掴まれ、持ち上げられた状態のまま、悪夢にうなされ暴れるようにもがきだす。しかししばらくするともがきは小さくなっていき、そのまま魂が抜けたように動かなくなり戦闘不能となった。

 

「いってガブリアス!」

 

来た。シロナのエースポケモン。

 

エース対エース。だが、こちらは時間制限つきだ。

 

ダークライはそんな素振りを見せなかったが、一瞬だけ体を強ばらせた。それはロズレイドに暗示を確実に仕掛ける為、掴み上げた時。おそらくはあの瞬間にロズレイドの花束の中にある、どくのトゲに刺されてしまったのだろう。

 

ゲームならばただの毒なのだが、現実にはポケモンの毒は種族や個体によって効果が変わる。ロズレイドの場合は図鑑表記だとこう説明されている。

 

両手の 毒の 成分は それぞれ 違う 種類だが どっちを 刺されても 死にかける。

 

このままでは瀕死まっしぐら、という訳で時間が無い。が、あのガブリアス相手に焦りは禁物。おそらくダークライは急所にでも当たってしまえば一発で戦闘不能。毒の進行度合いでは普通の攻撃でもアウトかもしれない。

 

そんな暴力的な強さを感じる。ドラゴンタイプの恐ろしい所だ。

 

ガブリアスとダークライが睨み合う。私もシロナもお互いの様子を伺っている。

 

私はガブリアスの一発を、シロナはダークライのれいとうビームを警戒している。おそらくあのガブリアスもカゴのみ持ち。今から二度も眠らせるには時間が足りないし、一発目の隙を突かれて戦闘不能だ。

 

 

でも……私とダークライなら眠らせて倒したいよね。




書き溜め終了。

Q、バトルはしょりすぎでは
A、詳しく書くよりもサクッと書いて物語を進めたい派

Q、カゴのみ嫌ならヘルガーの夢特性きんちょうかん使えば?
A、書き終わってから気付いたんや……

Q、道具とかは使えんの?
A、道具使う時って相手は律儀に待つのだろうか?タイム的な仕組みがあるのかな?流れ断ち切られるのも嫌なのでカット。

Q、シロナって今何歳?
A、私の設定では、……ん?誰だ?!何をする?!あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……

Q、個体値、努力値等
A、あー……うん、概念は知ってる。詳しい事は有識者におまかせする。

ガラルで私もあくタイプ縛りで爆走中。さらばだヒバニー。ガオガエンかゲッコウガに生まれ変わってから来てくれ。イーブイ乱獲したり、オーロンゲ先輩探したり……ただ今ソードで出ないヨーギラスをマジカル交換で奇跡祈り中。
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