悪夢と共に   作:あんノー

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第六話

どうも皆さん。一般トレーナーのヒナノです。

 

16歳でシンオウ地方を飛び立ち、カントー地方、ジョウト地方、ホウエン地方、遠く離れたイッシュ地方などなど色々回って来ました。いやー、行く先行く先で、観光とあくタイプ探しと、惰眠を貪る生活です。

 

お金のある実質無職って良いね。自由万歳。

 

ゲームの中だったらこういうキャラいそう。各シリーズ何処かで寝ていてて、ねむる関係のワザを教えてくれるいつもの人的な立ち位置で。……うん、わざマシンでいいか。

 

 

 

 

さて、私は今カントー地方は12番道路、シオンタウン、セキチクシティ、クチバシティを結ぶ桟橋、通称サイレントブリッジでお昼寝中です。釣り人が水中のポケモンを驚かさないように、静かにしている事からそう呼ばれているらしい。

 

ガチ寝するといまだに嫌な人生歩まされる体質なので、毎日ダークライに悪夢で上書きしてもらってます。しかし、今それをすると横のカビゴンまで悪夢へようこそなので、目を瞑ってウトウトしてるレベルです。

 

 

うちのアイドル、ブラッキーも私の膝ですやすやと眠っています。一応この子、万が一の護身用で出してるんだけどね。こんなに静かで、ポカポカ陽気だと眠たくなるのは凄いわかるから許してる。

 

 

 

 

 

私が再びカントー地方に来た理由は、ロケット団なる組織が活動を活発化させたから。あっ別に正義を成すとかそんな気概はあまりありません。他の組織とかでもそうだけど、あくタイプのポケモンだからって平然と悪事に使う事はイラッとくるけど。あくタイプのポケモンにもポリシーとか、譲れない一線とかはある。

 

 

ロケット団が活発に動いてるって事は、カントー地方の何処かに若きリビングレジェンド、つまりレッドがいるかもしれない。会えたらいいなみたいな希望を抱いてカントー地方にやって来ました。ゲームとは違って一つの地方って広いから、会えるかどうかわからんけどね。

 

シオンタウンのポケモンタワー占領事件が数日前に解決したから、もしかしたらこっち来るかなーって。もしかしたらサイクリングロードの前のカビゴンの方に行くのかな。

 

 

何故こんな未来予知ストーカー紛いのことやってるかと言うと、主人公に巻き込まれたら面白いかなーっていう浅はかな理由。単純に会ってみたいっていうのもあるかも。

 

原作のキャラってやっぱり強いのよね。個人的に将来の四天王とかジムリーダーにあった事あるけど、シロナみたいな輝きを持つ人何人かいるし。ちなみにこれから会うかもしれない各シリーズの主人公、私より十も歳下。……お姉さんムーブしなきゃダメ?

 

 

おん?誰か近づいてくる。ここはカビゴンの通行止めだぞー。通りたければポケモンの笛持ってきなさい。もしくはなみのりしてください。

 

ありゃ?足音が引き返さないな。もしかして私にあんなことやこんな事をする気かな。それには全力で抵抗させてもらうけど。

 

 

寝ぼけた目を擦りながら目を開けると、何だこの人、みたいな目で私を見つめる赤い少年と、足元にピカチュウがいた。私もこんな状況で初めましてになるとは思っていなかったよ。

 

んーこの時はなんて言えば良いのかな……あぁアレでいいか。

 

「おーす、未来のレジェンド」

 

「……」

 

「何か返事をくれよ少年。お姉さん悲しいんだけど」

 

原作でもガチの無口だけど、本当にそうなの?それは生きて行けなくない。

 

「後ろのカビゴン……アンタのか?」

 

「あっ返事くれた……この子は野生だよ。数日前からここで爆睡中。相当腹いっぱいに食べたんだねー。幸せそうに寝てるのにつられて私もウトウトしてたってわけ」

 

 

 

そう聞くと赤い少年はバッグから笛を取り出す。こんな幸せそうに寝ている子を起こすのは可哀想になってくるが、まぁ正直言って通行の邪魔だし仕方ないよね。

 

「ねえねえ、少年。名前教えてくれない?」

 

「……レッド」

 

「私はヒナノ。よろしくね」

 

「……」

 

うん、そっかー。軽く頷くだけかー。

 

言葉のキャッチボールしようよー。グリーン助けてー超気まずいんだけどー。これじゃあ無口キャラじゃなくて、コミュ障キャラだよ。私の中のレジェンドレッドさん返してよー。

 

私の心の叫びは届かず、レッド少年はカビゴンに向けてポケモンの笛を演奏する。失敗したりしないかな……盛大に笑ってあげるのに。まぁ普通に綺麗に演奏してました。練習でもしてきたのかな。

 

 

カビゴンが目を覚ます。横になった状態から首だけを回し私たちを見た。その瞳に映るのは怒り。そりゃそうだよね。誰だって無理に起こされたら、ブチ切れるよね。

 

山のような巨体がゆっくりと立ち上がる。その一歩一歩で桟橋が揺れ、嫌な音を立てながら軋む。

 

「あちらさんだいぶお怒りみたいだけど……」

 

「……捕まえる」

 

「サポートいる?」

 

「一人でいい」

 

「むぅ、つれないなぁ……」

 

ピカチュウはやる気満々でほっぺたの電気袋をバチバチと鳴らす。

 

立ち上がったカビゴンのその巨体が大きく飛び上がる。その巨体でピカチュウを押しつぶそうとする。前のめりに倒れて桟橋が揺れる。桟橋ミシミシ言ってるけど大丈夫かな。

 

ピカチュウはヒラリと躱し、全身に電気を纏う。そのままのしかかろうとした巨体に対して突撃する。

 

「ボルテッカー」

 

倒れ込んだカビゴンにピカチュウが突っ込む。カビゴンはその後立ち上がる事が出来なかった。そのままレッドはカビゴンに向けてモンスターボールを投げる。

 

カチッ!カチッ!カチッ!……ポン!と。

 

 

カビゴンはモンスターボールに納まった。

 

桟橋に転がるそれを拾おうとレッドが屈んだ時、ちょうど横から水飛沫が上がる。水を撒き散らしながら現れたのは、ギャラドスだった。

 

バトルの音、特にカビゴンの衝撃に気づいたのか驚いたのか、怒りを露わにして飛び出してきた。

 

この世界、野生のポケモンと出会ってポケモンバトルというのは、警戒していればの話だ。野生のポケモンはトレーナーがボールからポケモンを出すのなど待ってくれない。そして律儀にポケモンだけなど狙ってくれない。この場合、狙われるのは力の無い人間だ。

 

レッドもピカチュウも油断していた。正直言って私も手持ちを出せていなかったら危なかったかもしれない。こんな事があるからこそ、護身用に用意していたのだ。

 

「ブラッキー!サイコキネシス!」

 

ギャラドスの顎がレッドの頭に食らいつく寸前でピタリと止まる。ブラッキーの送る念力が、ギャラドスの自由を完全に奪った。

 

タイプ一致では無いとはいえ、野生に負けるほど甘い育てかたはしていない。そのまま強制的に水中に沈めると、さっきの怒りは一転、急いで逃げていった。

 

「ポケモンもトレーナーも、獲物を食らう時が一番無防備ってね」

 

「……」

 

レッドは深く帽子を被り直し、目を隠す。だが、たまに見える瞳からは私に対する興味をヒシヒシと感じる。

 

「アンタ……何者だ?」

 

「おや?そんな目の色変えてどうしたのよ」

 

「アンタのポケモン……前に戦ったジムリーダー以上だった」

 

「そりゃあ、ジムリーダーは相手の持ってるバッジ数によってポケモンを使い分けるからね。そういう事もあるんじゃない?」

 

ジムリーダーは挑戦者に合わせて実力を合わせる。それが四天王との大きな違いだろう。彼らはトレーナーの壁になる事よりも、トレーナーを育て導く事に重きを置いている人々だ。だからこそジムという名前をとっている。

 

彼らも本気で戦えば、人によっては四天王レベル。中にはチャンピオンレベルの人もいる。

 

対して四天王、チャンピオンは憧れであり頂き。育てるよりも絶対的な強さを示す者だ。当然、常に本気のメンバーで戦っている。

 

「いや、俺はジムチャレンジの後に本気で戦ってもらっている。まだ勝利したことは無いけど」

 

わーお、なんてバトルジャンキー。バッジを手に入れるだけじゃ飽き足らず、本気のジムリーダーと戦っているとは。なるほど……これはレジェンドと呼ばれる筈だ。勝負に対してこんな貪欲なトレーナーはあまり見ない。

 

「ポケモンを見る目はあるつもりだ。アンタは今までの誰よりも強い。そのブラッキーを見ただけでわかる」

 

「急に饒舌だね。なるほど無口じゃなくて、バトル以外あまり興味が無い感じか」

 

「俺とバトルしてくれ」

 

闘志を漲らせるレッドの横で、ピカチュウが再び電撃を滾らせている。私から見れば完全に似た者同士。このトレーナーだからこそこのピカチュウか。

 

もちろん返答は……

 

「やだ」

 

「なっ?!」

 

「今ジムバッジ何個持ってる?」

 

「……4つ」

 

「さすがに全てのバッジを手に入れる事が条件かなー」

 

ジムリーダーは自分以外の七つのバッジ持ってる挑戦者には、ほぼ本気出してるからね。本気のジムリーダーに勝ったくらいなら構わないけど、プライベートマッチで勝ったと言われても、結局バッジが無ければ証明する事が出来ない。

 

それにリビングレジェンドのレッドと戦いたいわけで、発展途上の彼と戦っても、それってどうなの感が私の中で凄い。

 

「……」

 

めちゃくちゃ疑いの目向けられてる。今さっき私のポケモン褒めてたじゃん。

 

「信じてないよね、その目は」

 

「ポケモンは信じれるけどアンタは信じれない」

 

「あぁ!なるほどー。自分でも納得だわー」

 

私の態度を信じれなくても、うちの子見て信じてくれるならそれでいいや。自分の事は言えばわかるしね。

 

「んじゃ、ネタばらし。改めまして私はヒナノ。シンオウ地方ポケモンリーグ元四天王のヒナノだよ」

 

「四天王?!」

 

「そそ、元だけどねー。だからジムリーダーと違って、手加減用のポケモン持ってないんだよね。手加減する気もあんまり無いんだけどさ」

 

私のポケモンは皆が皆私の自慢の子たち。ベストメンバーも控えの子でもそれは変わらない。正直、控えのメンバーでも今のレッドには余裕を持って勝てる自信はある。

 

「てなわけで、八バッジ集めて四天王の挑戦権を手に入れたらバトルしようよ」

 

「……わかった」

 

渋々と言った感じだ。いきなり四天王と言われてもやっぱり信じれないよね。

 

「まぁもう少しで一緒に戦う事になるだろうからそれまで我慢してね。そこで実力は証明してあげるからさ」

 

 

私と未来のリビングレジェンドとの出会いはこんな感じだった。その後は彼とは別れて、その事件が起こるのをブラブラしながら待った。

 

さて、いざ行かんヤマブキシティ!




評価バー色ついた!こんな作品にありがとう。

Q、各シリーズの時系列は
A、どっかのサイトで見かけたのを基準に調整してます。
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