悪夢と共に   作:あんノー

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第七話

「そんなわけで始まってまいりました。ロケット団によるヤマブキシティ占領。シロナさん……事件です!」

 

『アナタはその事件現場でなにをしているのよ……』

 

私は最近買ったポケギアでシロナと電話している。向こうは今シンオウポケモンリーグらしい。

 

彼女とは私が放浪しているためあまり会うことは無いが、私がシンオウに帰った時や、彼女がたまたま私と近い所に来る時に会う約束をしている。

 

ちなみに彼女の家も別荘も家凸はした。感想はシロナらしい部屋だったとだけ。私にはあの惨状を言葉にする程の語彙力が無い。……大切な資料が服と共に床に転がっているのはどうかと思う。

 

前に電話した時は、ゴヨウが新四天王として就任した事を話したかなー。遂にキクノ師匠第三四天王に。まだ暑苦しいのと、虫少年は来てないっぽい。

 

「いや……シロナが言ったんじゃない。近況教えてって」

 

『言ったけどそんな状況で実況しろとは一言も言ってないわ!』

 

「文面よりも声を伝えた方が良いかなと思いました。後悔も反省もしていません」

 

『この場にキクノさん呼ぶわよ』

 

「シロナの控え室に私以外の人呼べるわけないじゃん。笑わせないでよ」

 

『ぐっ!……なら、私がキクノさんの控え室に通話したまま行くわ』

 

「マジですみませんでした!」

 

キクノ師匠にこんな通話聞かれたら、シンオウ帰れない。帰ったらまた瞳の奥が笑ってない怖い笑顔でしごかれてしまう。

 

 

 

 

「すまないが、そろそろ話を進めてもいいかな?ヒナノ君」

 

渋い声が私の耳に届く。私のそばにいる男性が話しかけてきた。

 

この人の本名は知らない。周りの人からは捜査官とか呼ばれるけど、私にはコードネーム、ハンサムと自分を示した。

 

彼とは数日前にクチバシティで出会った。私の事を知っていたらしく、捜査に協力して欲しいとお願いされた。

 

何の捜査を行っているのか尋ねると、案の定ポケモンマフィアのボスとの事。まぁどうせ行く所同じだろうと思って了承した。

 

タマムシシティのアジトから逃げたサカキを追っていたようだが、捜査が一転してテロ鎮圧に変化したという訳だ。私は心構えできていたけど、ハンサムさんは結構驚いてたね。

 

「あっすみません。シロナのせいで怒られたじゃん。切るねー」

 

『シンオウ帰ってきたら一発殴』ブツン

 

「さて、話を進めましょうか?」

 

声をワントーン落として、ハンサムさんの方を見る。

 

んー疑いの目というかなんというか。こんな視線少し前にも味わったなー。

 

「今更キリッとしてもダメだと思うが……いかん、話を戻そう。

 

今現在、ヤマブキシティに繋がる各道路、それぞれに部隊が待機している。我々はヤマブキシティのジムリーダーナツメ氏と連絡を取り、街の外と中から一斉に仕掛ける事になった」

 

「それで街中にロケット団の意識が向いた所で、私が占領の中心、シルフカンパニーに乗り込めば良いんですね?」

 

「あぁ、私が行こうかとも考えたが、さすがに四天王がいてくれるならそちらに任せる。私も部隊の指揮に専念できるからな。君が近い所にいてくれて本当に助かった」

 

「言っておきますけど、私は元四天王ですよ」

 

「知っている。ただ一度でも四天王の座にいたなら、その実力は十分だ。私もポケモンとの連携を高める為、何度かリーグに挑戦した事がある。四天王というのは皆化け物というのは重々承知しているさ」

 

この人の隣にいる警察帽を被ったグレッグル。進化していないというのに相当の練度だ。このグレッグルならリーグでも良い勝負ができるかもしれない。

 

「それに四天王でもヒナノ君、君だったからなお良かった。君は眠らせるスペシャリストと聞いている。民間人や建物に大きな被害を出さず、敵を無力化出来ることはとてもありがたい」

 

それは確かに。私なら鎮圧の為に誤射でも寝て悪夢を見るだけだが、これが某ドラゴン使いさんなら誤射で飛んでくるのははかいこうせんだ。四天王で誤射するような人はいないが、万が一という可能性はある。

 

「周りに無関係な人がいるなら眠らせますけど、ロケット団だけなら命とらなければ構いませんよね?」

 

「話を聞けるくらいにはしといてくれよ」

 

 

 

「捜査官、そろそろ約束の時間です」

 

「わかった……総員!突入準備!」

 

 

周囲が慌ただしくなる。私も準備しますかね。

 

「捜査官!」

 

「何事だ?!」

 

「ロケット団に潜入中の捜査員からの連絡です!シルフカンパニーで少年がロケット団と戦闘中との事」

 

「なっ?!まさか例の?」

 

「はい!タマムシシティアジトで目撃された赤い服の少年です」

 

「あららー、出遅れちゃった」

 

レッド少年動きが早いねー。でついに暴れ始めちゃったかー。……もう、ほっといても良いんじゃないかな?

 

「アジトの強襲はともかく、今回はロケット団総動員の大規模テロだぞ!なんて無茶を……」

 

「あーハンサムさん、多分その少年はしばらく大丈夫だから。それより私たちも早いとこ行きましょう」

 

「あぁ、そうだな……総員!ヤマブキシティを解放せよ!」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 

 

 

 

街の至る所で大捕物が始まる。戦闘音、悲鳴を上げながら人が大きく動き出す。そんな中私は決められたルートを通って街の中央、シルフカンパニーまでやってきた。

 

大都会ヤマブキシティにそびえ立つ大企業シルフカンパニー。その社員用出入口に辿り着くと、ロケット団の姿をした潜入捜査員が出てきた。

 

「ヒナノ様ですね。話は伺っています。こちらへ」

 

入ると既に三人のロケット団がのびていた。

 

「これはあなたが?」

 

「えぇ、完全に味方だと認識していましたからね。簡単にCQCで持っていけましたよ」

 

ポケモンも使わせず、肉弾戦闘で気絶させたのか。国際警察って怖い。

 

捜査員に案内されて、シルフカンパニー内を進む。目指すは社員が集められている所と、レッド少年の所。彼一人ならスニーキングで行けるのだろうが、私というど素人がいる為見つかる事も当然ある。

 

「ん……誰だ?!」

 

私は見つけられたロケット団を指でさす。その瞬間、間髪入れずに私の影からダークライが飛び出し、ダークホールでロケット団員を眠らせる。

 

「お見事……ですがすぐに別の巡回があの下っ端を見つけます。急ぎましょう」

 

 

 

 

ロケット団員と遭遇してはダークライ、もしくは捜査員さんのスニーキングCQCで眠らせていく。そしてようやくエレベーターの前まで到着した。

 

そこで捜査員さんに通信が入る。ロケット団員に支給されている連絡手段らしい。

 

『こちら大会議室!例の子供が暴れて手がつけられない!手の空いてる者は応援に来てくれ!数で押し切る!』

 

「大会議室はこのエレベーターから行けます。準備は良いですか?」

 

「えぇ、いつでもどうぞ」

 

「では……『こちら社員用出入口担当!二名を見張りに残し、応援に向かう!現在1階エレベーター前!』」

 

『了解!』

 

「途中の階でロケット団が乗ってくるかもしれません。その時は」

 

「すぐに眠らせますので大丈夫です。目的の階でも同様に眠らせるので、捜査員さんはそのまま社員さん達の救出へ。同時に大会議室にロケット団員をどんどん集めてください……片っ端から引き受けます」

 

「ですが肝心のサカキは……」

 

「例の少年にお任せします。元四天王の目から見ても、十分な実力者と知っているので。もちろん私も片付けたら追いかけますよ」

 

「……わかりました。では行きましょう」

 

 

エレベーターが上がる。途中乗ってくるロケット団員を眠らせては扉を閉めてさらに上の大会議室を目指す。ワンフロア全てが大きな会議場となっていて、ある意味バトルには都合のいい場所らしい。

 

『眠らされている団員を複数確認!子供以外にも侵入者がいるぞ!』

 

『こちら1階巡回班!社員用出入口の奴ら全員のびてやがる!侵入者は今さっきの通信の奴だ!』

 

「バレてしまいましたか……如何なさいます?」

 

「んー問題ないですね。奇襲できるか出来ないかの違いで、結果は変わらないんで良いんじゃないですか。……アブソル、ブラッキー」

 

私はモンスターボールを二つ放る。エレベーター内に美しい体毛を持つ白いアブソルと、我らがアイドルブラッキーが登場する。

 

アブソルは私が乗りやすい様に屈み、私はブラッキーを抱えて跨った。

 

「よっこらしょっと……」

 

わ〜モフモフ〜……危ない口から出そうになった。この場面でシリアスぶっ壊す様な言葉は流石にね。一応、元四天王としての肩書きでここにいるから。

 

「ダークライ、ダークホール準備。アブソル、一気に少年の元へ。ブラッキー、防御サポートは任せた」

 

三匹がそれぞれに頷く。私の手がアブソルの背中をモフモフしているのは生理現象だ。きっとそうに違いない。

 

「……まもなく到着します」

 

 

 

エレベーターが到着する。待ち構えていたのは大勢のポケモンによる遠距離攻撃。ブラッキーはその飛来する攻撃を識別し、それに合わせた防壁を展開する。ひかりのかべがエレベーターの出入口を防いだ。

 

私はタイミングを測る。攻撃の一瞬の隙間。ひかりのかべを解除し、ダークライがダークホールを飛ばせるその瞬間を。

 

「今!」

 

ひかりのかべが空気に溶けるように消えていき、そのタイミングでダークホールがエレベーター内から発射される。ダークホールを追いかける様にアブソルも駆け出した。

 

前方のポケモンとロケット団員が悪夢に捕らわれる。前方の敵勢力が軒並み倒れた事により、大会議室の中央で大量のロケット団員に囲まれたレッド少年を発見する。ピカチュウ、リザードン、カビゴンを出して、四面楚歌の状態だった。連戦してたのかだいぶ消耗してるようだ。

 

寝ているポケモンやロケット団員を飛び越えレッド少年の元へ。同時に二つのモンスターボールを左右に投擲する。

 

「やぁ、少年!久しぶりだね。バッジ集め進んでる?」

 

「今それどころじゃ……」

 

「大丈夫、大丈夫。だって……こっから先はただの蹂躙だから」

 

先程投げたボールから二匹が飛び出す。私が旅して出会った新しい家族。出会った時は小さかった二匹も、今ではこんなにも大きくなりました。

 

ジョウト地方にて出会ったヨーギラスだった、鎧ポケモンのバンギラス。

 

イッシュ地方にて出会ったモノズだった、凶暴ポケモンのサザンドラ。

 

 

ちなみに私が乗ってるアブソルはホウエン地方の出身だ。

 

それに加え昔からのブラッキーと私の相棒ダークライ。今の旅メンバー、勢揃いだ。

 

周り確認して、ロケット団しかいなかったから少々派手にやっても良いよね。ハンサムさんには言質とってるし。

 

 

「さぁ!御用だ御用だ大捕物だ!」

 




評価お気に入り、モチベ保てる……ありがてぇ。

一話でサクッと終わらせるはずだったんだがなぁ。

私は何回ムゲンダイナにフィラのみを投げつければ良いんだ……
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