〉〉最近A.Tが足のサイズに合わない。自分自身のA.Tだというのに複雑すぎて、今の「調律」の技量では手におえない……そういえば前に海人が入院していた総合病院。巻上グループの系列だったか。巻上イネ、塔の中ではついぞ会うことはなかったが、彼女は調律ができたはず。シムカの居場所がわからない以上、彼女を頼るしか無さそうだ。
子供の成長は早いなぁ、と感慨深くなるゲームの実況、はーじまーるよー!
はい、スシ君の「調律」のステータスがクソザコゆえにこんな状況に陥っています。
正確に言えば、「調律」の低さとスシ君のA.Tの複雑さが合わさった結果、スシ君ではどうしようもないことになっているんですね。
はぁー、つっかえ。やめたら?
総合病院につきました。とはいえエロ巻貝が絶対ここにいるとは限らないので、出待ちとかは時間の無駄です。
当たって砕けて、どうぞ。
病院内の案内係に声をかけ、巻上イネがいるか尋ねます。
おっ、どうやらいるらしいですね。案内係の女性は明らかに此方を不審者を見るような目で見てきますが気にしません。
おら、早く連絡しろよ!
「えっと、許可が降りましたのでご案内します……」
連れてこられたのは院長室ですね。流石にまだ院長では無いものの、我が物顔で陣取ってるとは……恐れ入ります。
「入ってちょうだい」
かしこまり!
あっ!ウンコ頭に2つも乗っけてる人がいる!(煽り)
「さて、データではあなたのことは知っていたけど直接会うのははじめてね。わざわざ私に会いに来たのだから自己紹介は不要でしょう……それで、いったい私になんのご用かしら脱走者さん?」
A.Tを調整してくださいオナシャス!
おやおや?彼女は頭を抱えてしまいましたね。何ででしょうか?すごく分かりやすくいったのに。
「さっきの嫌味、伝わらなかったかしら……自分達から逃げ出しておいて、そのお願いはちょっと図々しいんじゃない?」
センセンシャル!いや、でもね?そこをなんとかね?イネさんオナシャス!(再)
「はぁ……頭上げなさいよ。まったく、スピに言われてなかったら突っ返してやるのに」
へ?ホモがなんですって?(難聴)
「『もしシイナが頼ってくるようなことがあったらよろしく頼むよ』……あんな優しい笑顔でこんなこと言われたら頷くしかないじゃない!」
スピのモノマネ全然似てない(辛辣)
というか、かなりの熱量でそんなことを言い出すから思わず「そうだな」とスシ君同意しちゃったじゃなですか。
ところでスピは今どこに?
うわぁ……質問しただけであからさまに嫌そうな顔をしてますよ、このエロ巻貝。
「あなたにだけは絶対教えないわ!!……だいたい何でライバルが男なのよ、ありえない」
やっぱり(スピは)ホモじゃないか!!(歓喜)
「はぁ……でも、私があなたのA.Tをイジるのはナシよ。あのコを怒らせたくないからね。はい、コレ」
紙に何かを書くと、無造作に此方に渡してきましたね。書かれているのは……北海道の住所ですね。
「シムカとキリクが拠点としている場所よ」
もしかして全員の場所を把握してます?
まさか!空達の居場所も知ってたり!?
「いいえ、あくまで把握しているのはどこかに定住している重力子だけよ」
ま、でしょうね。ちなみにそいつらを連れ戻そうとは思わないんですかね?
「思わないわ。連れ戻そうとすればかなりの被害を被るでしょうからね……あなたたちはお金と時間をかけただけあって、研究成果としては素晴らしいものだったわ。でもね……逆にいえばお金と時間があればあなたたちは作れる。だから無理に連れ戻す必要は無いってことよ」
〉〉彼女の瞳に温度はない。ただ淡々と事実を語るのみ。あぁ、どこか感じていた違和感の正体がようやくわかった。ミカンとリンゴとシラウメは俺達と同じなのか。
「そうよ。便宜上、天空の塔で育ったあなたたちを第一世代、その後の継続された研究で生まれた子達を第二世代と呼んでいるわ」
〉〉A.Tは本来、ロスト・エネルギー問題を解決するためのものだったはず……こんな人の命を軽んじるような研究に成り下がってまで続ける意味があるのか?
「私に言われても困るわ。でもまぁ、あえて言うなら人の歪んだ欲望には限りがないってことでしょ」
まあ、スシ君もその欲にまみれた研究によって生まれ生かされた存在ですからね。何も言えませんわ。
「スピに言われたから、もう少しだけ手助けしてあげる。あなたの家に速達で一通りのパーツを送っとくわ。あのコの腕ならそれでどうにでもなるはずよ」
ありがとナス!スピによろしく言っといてくれよな!
「絶対にイヤッ!!」
はい、院長室を追いだされたので家に帰ります。
それにしてもなんだかたらい回しにされた気分です。いいじゃんかよ~、減るもんじゃないんだからお前がやってくれよ~(棒読み)
はぁぁぁ(クソデカため息) 仕方ないですね。北海道に行く準備をしましょう。
なにも冬じゃなくてもいいのに!冬の北海道とかくっそ寒いやんけ!(激おこ)
さてさてエロ巻貝からの荷物が届きました。あとはバイト先に……そうですね、3日ほど休みをもらいましょう。「君がいないと困るよぉ!」という職場の嘆きは無視です。
突然こんなことを言っても許されるのは、ゲームの中なのとスシ君が超がつくほど優秀だからです。現実では真似しないようにしましょう(白目)
リカ姉にも家を空けることを伝えます。今は冬休み期間中ですので、笑顔で了承してくれましたね。ものわかりのいい子は好きですよ(ニッコリ)
エロ巻貝からもらったパーツ、いつぞや南博士から渡された玉璽の核、地図、携帯、財布等を詰め込んだリュックを背負います。
全速力で駆け抜けるため、人や車などの障害物の少ない夜中に出発しましょう。
「いってらっしゃい」
〉〉リカに片手を挙げてこたえる。さぁ、行こう。
チキチキ!スシ君の北海道まで(移動費)0円で行けるかなツアー!!ドンドンドンドンパフパフー
はい、飛行機に乗らないゾ。
スシ君の睡眠時間は犠牲になったのだ、ステータス上げのな。
流石に一直線に行って山の中突っ切って行くよりも、整備された高速道路(の端とか仕切りの上)を走った方が早いんでそうしていきます。サービスエリアもあるしね!
え?3日しか休みとってないけど行けるのかって?
そりゃあ、もちのロンですよ!スシ君は影分身できるほどのスピード出せますし、スタミナお化けですからグイグイ行きます!
それじゃーイクゾー!デッデッデデデデ!カーン
(倍速)
BGMは「天国と地獄」です。
深夜にコレ聞きながら爆走するとか……んんっーエクスタシー!!
(倍速)
…………ありゃ、尺足りませんでしたか。じゃあ次は「クシコス・ポスト」ですね!(あふれる運動会感)
〉〉夜通し走り続けてようやくここまで来た。すでに日は登り、人々が活動を始めている。あとは海を渡るだけ。
すでに青函トンネルを通る鉄道が動いているので、迷惑をかけないように走りましょう。走ること自体が迷惑という正論は無視します(クズ)
ここまで来るのに比べたら、トンネルなんてあっという間でしたね。
北海道にたどり着きましたので、目的の場所へは地図とにらめっこしたり、通りすがりの人に聞いたりしましょう……え?グー○ルマップ?まだねーよ(憤怒)
さてさて到着しましたね。少し人里離れたところにある年期のはいった一軒家です。とりあえずインターホンを鳴らしましょうか
──バンッ!
〉〉鳴らす前に扉が勢いよく開き、人影が飛び出してきた。白い肌に白いワンピース、桃色の長い髪。足下は裸足……よほど急いで出てきたのだろう。灰色の瞳は大きく見開かれている。
「シ、イナ……?」
〉〉久しぶり、シムカ。
「シイナ!」
〉〉そう言って勢いよく抱きついてきたシムカを受け止める。背中に回された腕は力強かった。
「えっと……久しぶりだね、シイナ」
「そうだなキリク。会えて嬉しいよ」
「僕も嬉しいよ……それよりシムカ」
「なに?」
「シイナに会えて嬉しいのはわかる。だけどそろそろ離れたらどうだ?家の中にも入れないじゃないか」
「むぅ」
明らかに不満そうな顔をしながら腕を離す───と同時にシイナの左腕にしがみついた。一分一秒たりとも離れないと無言で主張してくる。
「まぁ、特に問題ないからいいんじゃないか?」
「……君が良いなら構わないが」
とりあえず、家の居間に案内する。
「そこに座ってくれ。シムカ、お茶を……いや、やっぱり僕がやる」
3人ぶんのお茶を用意して戻る。
「それにしてもインターホンを鳴らす前によく出てこれたな。キリク、これお土産」
「家の周りには監視カメラを何台か設置していてね。人が来るとそこのモニターに映るようになってるんだ。一応、僕達は逃亡者なわけだからね。へぇ、東京バナナか……あまり遠くには行かなかったんだな」
「ちょっとした縁でな、とある家族のところに居候させてもらってるんだ」
「そうか……シイナが変わったのはその人たちのおかげかな?」
「変わった?」
「あぁ。表情が豊かになった。良い変化だ」
「……そう、かもな」
やはり変わった。塔にいた頃ではこんな照れ笑いなんて絶対に見られなかったはずだ。
シイナの腕にへばりついているシムカは複雑そうにしている。
少しわかる気がする。彼の変化が嬉しい反面、その変化をもたらしたのが自分で無いことが悔しいのだろう。
「ところで、どうしてここが?」
「巻上イネに聞いた」
思わず天を仰ぐ。把握されてたのか。
「別に連れ戻す気は無いらしいぞ」
「あっ……そう、なのか」
つまり、ヤツらにとって僕たちはそこまで執着するような存在ではないということか。
……僕たちは必死にここまで逃げてきたというのに、相手からはその程度の存在であるということを知り、少し複雑な気持ちになる。
「それで、イネに聞いてまでここへ来た理由は?」
「そんなの私に会いたくて来たに決まってるでしょ。ね、シイナ?」
「まあ、あながち間違いではないな」
「……」
自分で言っておいて、肯定されたら照れるのか……否定されると思ってたんだろうな。
我が妹は予想外のことに弱いらしい。
「A.Tのサイズが合わなくなってきてな。自分でどうにかしようと思ったんだが……今の俺の力量では手に余るんだ。シムカ、助けてくれ」
「もちろん!」
素晴らしい即答をみた。シイナに頼られたのがよほど嬉しいらしい。
「でも、SCもないし道具もないよ」
「パーツや道具の類いは巻上イネにもらったが……さすがにSCは無いな。どちらにせよ高性能コンピューターの解析システムでもない限り、あれは無意味だしな」
「えっと……じゃあ、調律どうしよっか。私は全然裸でも構わないけど、シイナもそれでいい?」
……僕は一体何を見せられているんだ?
とりあえず、やることもないのでお土産のお菓子とお茶に手をつける……渋めに淹れてきたのになぁ。
「調整だけでいいんだが……調律も必要か?」
「当たり前じゃない!足のサイズ合わなくなったってことは、前に調律したときとシイナは変わってるってことなんだよ。今のシイナに最適なA.Tにするには調律は必須」
「……わかった。シムカがやりやすいように頼む」
「うん。まかせて」
シムカは艶やかに微笑む。それは兄である僕から見てもひどく魅力的な笑顔だった。
……。
「……あー、えっと……僕は外に出てるよ」
「なに想像してるの?キリクのむっつり」
僕はむっつりじゃない!
(好きな人だから)恥ずかしくないもん!
(家族みたいな相手だから)恥ずかしくないもん!
うーん、この……