エア・ギア【RTA風】   作:八知代

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10話 無限の空

 冬の大地。家の一室。裸の男と女。年若い二人はその肌と肌を重ね合わせて───

 

 

 なーんて調律シーンはカットカットカットォォォオオオ!するゲームの実況、はーじめーるよー!

 

 おぉ、2回目の調律でステータスぐいぐいあがりましたね。コツでもつかんだかな?(すっとぼけ)

 

 え、カットするなって?ごめんなさい。でもこのサイト、全年齢対象版なのよね。気になる人は直接プレイして、どうぞ。

 ……本当に調律してるだけですからね?まだスシ君は立派なチェリー君です。

 

 

 

 そんなわけで、昨日調律してもらいましたA.Tがこちらです(三分クッキング感)

 

 パッと見はサイズが大きくなったくらいしか変化が無いですね。ただ、中身はそこそこ変わっております。

 

 まず“紫電の道”で使う特殊なピアノ線をグローブに移してもらいました。足でピアノ線張るのくっそ面倒くさかったからよかったです(小並感)

 代わりにA.Tの発電ホイールとピアノ線を通電させるために、黒の不思議素材ピッチリタイツ(仮)を服の下に着用せねばならないことになりましたが!……どうにかならんのか!?(白目)

 

 もう一つは玉璽の核を組み込んだことです。というか、これが一番大事なことだったりするんですよねぇ。

 

 

 はい!というで、New A.T装備のスシ君がボッチで来たのは、昼間でも人気のない断崖絶壁です。

 

 何でこんなところに来たのかといいますと、無限の空(インフィニティ・アトモスフィア)を試すためです!

 

 必殺技=切り札といっても過言ではありません。だからボッチでこんな秘境に来る必要性があったんですね……シムカを撒くのに苦労しましたよ、本当に。

 

 

 よーし、それじゃー無限の空発動!

 

 

 ギュルルルルルルーーー!(玉璽稼動音)

 

 ドゴォォオオオンッ!(崖の一部が破壊される音)

 

 

 あ、これアカンわ(真顔)

 

 

 今の見ました?見ましたよね?…………ブ ラ ッ ク ホ ー ル じ ゃ な い か 。

 

 ブラックホールといえばアレです。原作では8本の“道”の玉璽(新森メンバー+リカ)を連結して発動された『疑似空の玉璽』の能力ですね。

 

 それをスシ君はいま、たった一人で発動させました。

 まあ“風”“炎”“棘”“牙”“雷”“轟”“石”の機能を一つのA.Tに搭載してて、それらを玉璽の核によって“(つむ)”いでいることで『疑似空の玉璽』と同じってガバ判定がくだされているのでしょう。

 

 

 とりあえず、素晴らしい切り札であることは事実です。使用はここぞ!って場面にしなくてはなりませんね。主にラスボスと戦うときとか……ね?

 

 

 今のスシ君の「持久力(スタミナ)」と玉璽への負担を考慮すると1日1回の使用が限界のようです。玉璽の方は今のところどうしようもないので、とりあえずスシ君をもっと鍛えなくてはなりませんね(お目目ぐるぐる)

 

 

 

 さてさて、調律と新しいA.Tの試走は終わりました。というわけでもう東京に帰りましょうか。

 

 とりあえずキリク達の家に戻ります。よし、二人とも居ますね。

 

 そんじゃ、ばいなら!

 

 

「だーめ。私はシイナのお願いを聞いてあげたんだから、今度はシイナが私のお願いを聞く番だよ」

 

 

 …………えっ。

 

 

「まだ時間に余裕はあるんでしょ?それに、今のシイナのA.Tならコッチに来たときよりも短い時間で帰れる筈だよ。私、頑張ったんだから」

 

 

 いえーい、とピースしてきやがりました。

 確かにいい仕事してますねぇ!(ヤケクソ)

 

 

「久々に会えたのに昨日はシムカと調律。今日は朝からA.Tの試走……僕は全然相手をしてもらえなくて、流石に少し淋しいのだが?」

 

 

〉〉確かに時間はある。しかし、家のことも心配だ……どうする?

 

 

 くっ、キリクまで乗っかってきました。

 

 むむむっ、シムカは「調律」のステータスの伸び的にあと1回か2回は調律してもらう必要がありますし、キリクもラスボスと敵対するためにもう少し仲良くしておきたい相手です……仕方ありません。

 

 

 今回だけだぞ!べっ、別に!付き合ってあげるのはお前達のためなんかじゃないんだからな!(様式美)

 

 

「100点の素晴らしい返事だ」

 

「シイナ、キリク!カニ食べにいこーよ、カニ!」

 

「あぁ、それなら良い所を知っている」

 

「ほーら。シイナ、行こ?」

 

 

 ドナドナドーナドーナー(以下略

 

 

 

 

 

 はーい。カニ食べたり、観光したり、夜遅くまでお喋りして寝て起きたら朝ですね。

 

 今度こそ!帰りましょう。

 

 

「うー……私もついていく!」

 

 

 ヤメロォ!(建前)マジでヤメロォ!(本音) ええい!しがみついてくるんじゃないっ!

 もう貴様の我が儘には屈しないぞ!

 

 

「シムカ、シイナを困らせるんじゃない」

 

「でもキリクぅ……」

 

「別に二度と会えないわけじゃないさ。そうだろう、シイナ?」

 

 

 キリクナイスぅ!

 

 

 結局、腰まわりに引っ付かれて2時間くらい駄々をこねられましたが、どうにか説得は成功しました。

 

 代わりに週に1回は連絡しなくちゃいけなくなったがな!……毎日という条件は意地で却下しました。シムカがすげぇむくれてますが無視します。

 

 

 なんやかんやで結構時間が押していますね。まあ、向こうに着くときには夜中でしょうから、人に見られないで丁度いいと言えば丁度いいのですが。

 

 

〉〉二人に別れを告げて家を出る。さぁ、急ごうか。

 

 

 というわけで全速力で帰ります。来た道をそのまま帰るだけなので114514倍速しますね。

 

 (少年爆走中)

 

 はい、着きました。114514倍速のため分かりにくかったと思いますがシムカの言う通り、行きの時より速かったですね。具体的に言うと3時間くらい速かったです。いい仕事してますねぇ!(素直)

 

 

 すでに夜ではありますが、日を跨ぐ前に帰ってこれて良かったです。たっだいまぁ~。

 

 

「お帰りなさい、シイナ。ご飯はいる?お風呂は?疲れてるならそのまま寝る?」

 

 

 リカ姉以外は寝てるようですね。数時間後にはバイトがあるのでシャワー浴びて寝ることにします。

 

 

「わかったわ……あぁそうだ、プレゼントありがとう」

 

 

 プレゼント?何のことですかね?

 たしかに北海道土産でカニを買って配達してもらうようにしましたが、流石にまだ届かないと思うのですが。

 

 

「あら?差出人の名前は無かったけど、中身がアレだったからてっきりシイナが贈ってくれたものだとばっかり……どうしよう、もう何回か使っちゃったし、そもそも誰に送り返せば良いのかもわからないわ」

 

 

 ……えっと、ちなみにナニが送られてきたのでせうか?

 

 

「ちょっと待ってて、イッキ達に見られないように部屋に置いてるの」

 

 

 なんだかなー、イヤな予感しかしないなー。

 

 

「お待たせ。コレなんだけど」

 

 

 …………コレ『棘の玉璽』じゃないですか、やだぁあ(白目)

 

 


 

「……っ」

 

「シイナ?」

 

 

 私が届いたものを見せると、シイナはひどく驚いた。

 

 この反応、やっぱりシイナからじゃないんだ。てっきり、一緒に走ろうってメッセージだと思ってたから……喜んで損しちゃった。

 

 

「……いつ、届いた」

 

「え?たしかシイナが出掛けた次の日のお昼頃だったかな。えっと、私てっきり貴方からだと思って……夜に走ってみたりしたんだけど大丈夫かしら?A.Tって高いんでしょ?何処かからお金要求されたりしないかしら?」

 

 

 私の心配をよそに、シイナは送られてきたA.Tから目を離さない。

 

 私の持つA.Tに、シイナはゆっくりと手を伸ばす。

 

 彼の指先がソレに触れた瞬間、苦しそうに小さく呟いた。

 

 

「ガゼ、ル」

 

 

 彼は静かに泣いていた。

 

 


 

「むぅ、振り返らないで行っちゃった」

 

「今のシイナには今のシイナの生活があるんだ、仕方ない。ほら、冷えるから早く中に戻るぞ」

 

 

 キリクは足早に家の中に戻っていった。

 

 たしかにココの冬は寒い。あぁ、でも。

 

 

「あったかかったなぁ……シイナ」

 

 

 両手で自分自身を抱きしめる。思い出すのは調律をした夜のこと。

 

 

 

 明かりを消した部屋にシイナと二人きりで、肌と肌を重ね合わせた。

 

 彼の音を聞いた。落ち着きのある、心地よいリズム。ずっとこうやって聞いていたいと思った。好き。

 

 身長が伸びていた。塔にいた頃は同じくらいだったのに、今日は少し見上げなければならなかった。シイナは成長期だから、これからもっともっと伸びるはず。好き。

 

 細くしなやかな筋肉がついていた。お昼、再会できた喜びで勢いよく抱きついたときもブレずに支えてくれた。好き。

 

 足のサイズが大きくなっていた。今まで窮屈だったね、私がピッタリのA.Tを作ってあげる。好き。

 

 絡ませた指は、私の指よりも長くて、少しゴツゴツしていた。ぎゅっと握ると、優しく握り返してくれた。好き。

 

 平常時より少しだけ速い心音、なのに表情は一切崩れていない。黒い瞳に浮かぶ十字、いつもは目立つからと消しているらしいけど、我が儘を言って表に出してもらった。少しでもお揃いのものがあると嬉しい。

 目が合うと彼の目尻が少し下がった。好き。

 

 声変わりして少し低くなった声。調律が終わったあとに「ありがとう」って耳元で囁かれたときは、正直ゾクゾクした。好き。

 

 彼の下腹部については……あまり深く考えないようにした。ソレのあるがままを機械的に認識した。じゃないと調律ができなくなるから。

 お願い一つこなせなかったら、シイナに嫌われるかもしれない。いや、シイナは優しいから嫌ったりしないかな。

 どちらにせよ、今はまだその時じゃない。私だって女の子なんだから、はじめては彼の方から情熱的に求めてほしいのだ……あまりに遅いようだと待ちきれなくて迫っちゃう可能性が無いとは言えないけどね。

 

 

「でも、ちょっと予想外かも」

 

 

 昨日の夜。三人でカニを食べたり、シイナに北海道を案内したあと、家の一室で夜遅くまでお喋りした時のことが頭をよぎる。

 

 話題は塔を出てからのこと。外に出て初めて見たものの感動を語るキリクとシイナは、ちょっと子供っぽくて微笑ましかった。

 

 

 私たち二人の生活について話したあとは、シイナの生活について。

 

 塔にいたあの先生がシイナのお母さんだったと聞いたとき、キリクは気まずげに目線を下に向けた。

 私たちには親がいない。親を亡くしたシイナに何て声をかければ良いかわからなかったのだ。

 

 「知ってたよ」と私が言ったのはそんな暗い空気を変えるため。実際、二人とも驚いてたから作戦は成功した。

 黙ってたことを謝ると、シイナは「問題ない」と許してくれた。好き。

 

 

 ───いろいろあって、子供四人だけで住んでいる家に厄介になってるんだ。みんな年下なんだけど良い子ばかりでさ。

 

 

 少し自慢気に話すシイナ。今まで見たことも無いような表情をさせた、見知らぬ家族にちょっと嫉妬した。

 でも、これはまだいいよ。

 

 

 ───シラウメはまだ1歳で、すごく可愛い。そろそろ単語も話し出す頃だと思うから、それが楽しみなんだ。

 

 

 これもいい。娘の成長を見守るお父さんみたいな優しさが溢れてて、むしろ好き。

 

 

 ───イツキとリンゴはどちらも5歳で、いつも二人一緒に遊んでるんだ。リンゴは思いやりのある子でね、家事の手伝いをしてくれるから凄く助かってる。イツキはヤンチャでね、目を離すとすぐに何処かに行ってしまうんだ。子供は風の子ってのを体現したような子で、見てて飽きない。

 

 

 これもいい。キリクなんかよりよっぽどお兄ちゃんしてる。

 

 

 ───ミカンは8歳で小学2年生なんだ。運動神経もあるし、頭も悪くない。下の子達の世話を任せたり、家事の手伝いをさせたり、何だかんだと頼りにさせてもらってる……結構苦労をかけてる気がしてきた。少しお土産を増やすか。

 

 

 まあ、これもいい。妹思いの良いお兄ちゃんだ。

 

 

 問題は次。

 

 

 ───リカは俺の一つ下なんだけど、凄いよ。四人の子供を養うなんて容易じゃない、ましてや自分自身も子供なのにだ。人として尊敬するし、そんな彼女を支えたいと思ったんだ。

 

 

 大切にしてるのがよくわかった。直視していたくなくて、思わず視線を下にそらした。

 

 「好きなのか?」とストレートに聞いたキリクをぶん殴りたいと思った私は悪くない。

 その質問にたいして、こともなげに「好きだよ」というシイナの返答に頭を揺さぶられ、思考が全部吹き飛んでいった。

 

 「じゃあ、シムカは?」「好きだよ」

 

 吹き飛んだ思考が即座に戻ってくる。もしかして、と思って私からも質問を投げかけた。

 

 「ミカンちゃんは?」「好きだよ」「イツキくんは?」「好きだよ」「リンゴちゃんは?シラウメちゃんは?」「どっちも好きだよ」「キリクは?」「好きだけど……さっきからいったい何なんだ?」

 

 どうやらシイナの好きは細分化されていないらしかった。

 

 

 

「シイナはまだまだお子様だね」

 

 

 あの時の困惑したシイナの顔を思い出して、小さく笑う。

 

 さて、本格的に寒くなってきた。そろそろ家の中に戻ろう。

 

 

「今は隣にいるのを許してあげる。今だけ、ね」

 

 

 シイナに女として愛してもらうのは私だよ。

 

 顔も知らない彼女に宣戦布告した。

 




 スシ君の玉璽はSkylinkに接続して全てのA.Tを制御できる訳じゃないから、やっぱり空の玉璽の劣化版なんですよね。


 それはそれとして……いっぱいちゅき♡
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