ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
いよいよライザーとのレーティングゲームです。ここまで本当に長かった……

それから、レジェンドとサーガも機体に乗ります。ファイターではなくスーツの方ですが。『一人の人間として戦う』為です。
中の人的にレジェンドの方はゲテモノ機体かと思われますが普通の機体ですよ!見た目は。
ガンブレモバイルにてレジェンドの方は完成しました。後はサーガの方だ……


それでは本編どうぞ。


ゲーム開始、始動!新生オカルト研究部

 レーティングゲーム当日の夜、オカルト研究部のメンバーは各々師より賜った衣装を纏い、旧校舎の部室にスタンバイしていた。ちなみにカナエの場合は専用の日輪刀だったのでいつもの鬼殺隊の制服(柱用の羽織付き)だ。

 

 

「朱乃のはカナエの服に似てるわね。羽織の下が和洋違いって感じかしら」

 

「そうねー私は『柱』だったから羽織あったし、卯ノ花先生は隊長だったから羽織があったみたいよ。そういう意味でも似てるかも」

 

「部長は落ち着いた感じですね。もう一着貰ってましたけど、そっちは?」

 

「あっちだとライザーが興奮しそうで……」

 

 

何せハリベルのやつの色違いだ。一誠には刺激が強いだろうし、あのライザーもやましい事を考えないとは言い切れない。

 

 

「あの……やっぱり背中スースーします」

 

「……黒歌がすぐに着せたかったのはこれが理由ね」

 

「あらあら……確かに動きやすそうではありますわ」

 

 

白音が着ている刑戦装束……傍から見ればドスケベ衣装と思われてもしょうがない。あの技の使用を前提とした装束の為、肩から先と背中の布地が無いのだ。

 

 

「似合ってるぜ小猫ちゃん!」

 

「……イッセー先輩、道着と同じで顔が真っ赤です。鼻血は出てませんけど」

 

 

キリッと決めながらサムズアップしているイッセー。しかしまさに『赤』龍帝。鼻血こそ出て無いが耐えているのか指先まで真っ赤である。良くぞここまで煩悩を抑えられるようになったものだ。

 

 

「イッセーもよく似合ってるわ。合宿で一番レベルアップ出来たのはイッセーとカナエの二強ね」

 

「ありがとうございます部長!今日はあいつらだけじゃなくて、部長達も驚かせるやつ引っさげてきましたから!」

 

「ふふ、期待してるわよイッセー」

 

 

ここまで自信有りげに言うのだ。あの二人も認めたそれは相当なものだろう。

 

 

「ていうか木場から強キャラ臭半端ないんだけど。お前何したらそんな風になるんだ?」

 

「最初はジェント先生や乱菊先生も驚いてたんだ。僕自身もこうなると思わなかったし……でも今はしっくり来るんだ」

 

「裕斗先輩、何か知り過ぎませんでした?強くなれる理由とか」

 

「無惨コロス」

 

『カナエ(先輩)(さん)!?』

 

 

何故かカナエが縁壱と初めて遭遇した時の状態になった。なお、レーティングゲームの前にカナエも含め、全員が名前で呼ばれる事になった。修行合宿で連帯感が生まれたからなのだろうか。

 

 

「アーシアの服はなんかこう……シスター服から一転して神秘的な感じになったよな」

 

「ホントにファンタジー物の巫女みたいだね」

 

「……いいなぁ、アーシアちゃん」

 

「えへへ……」

 

 

レジェンドお手製だという『光神の巫女』装束を着てご満悦なアーシアと、それを羨むカナエ。いっそ自分のこの服もアレンジしてもらおうかと考えていると、ルミナシアが現れた。

 

 

「皆さん、準備はよろしいですか?開始十分前です」

 

「確か矢的先生のおかげでこれが終わったら一日お休みよね?あまり寝ないままだと学業に響くもの。……あ、そういえば私あの方に家庭教師してもらってそっちは大丈夫だった」

 

「カナエ、全然緊張してないわね……」

 

「リアスもでしょう?相手がフェニックスでなくて縁壱先生や卯ノ花先生だったらガチガチになってるわ」

 

『ごもっともです』

 

 

あんなのが揃って相手だとしたら終始汗が滝のように流れ出てるだろう。一人でも勝ち目が無いのに二人以上になったらどう考えても絶望しかない。

そんな彼女らの思いは露知らず、ルミナシアは何故ここまで落ち着いているのか不思議だった。少なくともリアスにとってライザーは格上のはず。この十日間の間に何があったというのか。

 

 

「開始時刻になりましたら、ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。転送先は戦闘用に構築された使い捨ての空間ですので、思う存分にどうぞ」

 

(レジェンド様のスパークレジェンド一発で簡単に消し飛びそうね)

 

 

あの技を実際目にしたカナエは思う。アレには無限だろうが夢幻だろうが果ては概念や因果律も無視して消滅させる、滅びの魔力の究極完成型とも言える技だ。にも関わらずその上があると言うのだから笑うしかない。

そしてさらにカナエは思う。

 

 

(あれ?もしかしてノア様がライトニングノア誤射しても消し飛ばないかしら)

 

 

かつてその誤射で夢幻(グレートレッド)が瀕死になりました。

改めて思い返せば技一つでも規格外過ぎる。カナエがそんな事を考えている間にもルミナシアの説明は続く。

 

 

「なお、今回のレーティングゲームはグレモリー家とフェニックス家、両家の皆様も別の場所からの中継でフィールドの様子をご覧になられます」

 

「七星剣のジェントさんとギルドガードのシックルさんを筆頭とするハンターズギルドの皆さんもというのを忘れずに」

 

 

ちゃんと聞いていたカナエによる補足が入る。実を言うと、修行組の師達はジェント達と一緒に、ダイブハンガー待機組は指令室のモニターで、レジェンド達は八坂と九重の屋敷でそれぞれ観戦している。オカルト研究部以外の者はまさかこれ程の人数に見られてるとは思うまい。

 

 

「それから、此度の一戦は魔王ルシファー様も拝見されます。お忘れなきように」

 

「……やはりお兄様も見ているのね」

 

「あ、やっぱりそういう関係だったのね」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

カナエの言葉にアーシア以外のオカルト研究部とルミナシアが一斉にカナエの方を向く。カナエは「予想通りね〜」と大して気にするでもなく、アーシアは何やら悩んでいる。

 

 

「カ……カナエは知ってたの?私のお兄様がその……」

 

「確証はなかったけど。だってあの遊郭入り浸ってそうなの、女性に困ってなさそうだし……爵位持ち程度でただの婚約者なら『代わりはいるんだぞ』とかも言うでしょうし、アレ。だとすると残ってるので一番有力なのがリアスの家系が優秀とか、特別な力があるとかそんな理由でしょ?後は最悪……身体目当て」

 

「ええ、まあ……そのとおりなんだけど」

 

「ぶっちゃけ家系云々より結局個人次第よ。どれだけ優秀な力でも磨く努力を怠ったりしたら自然と廃れるんだから。それに結婚に純血同士がどうこうよりお互いを尊重し支え合えるのが一番なのに。純血と言えど相手があの性悪七面鳥じゃ結ばれたりしてもロクな事にならないって普通は気付くでしょう?」

 

「カナエと友人になれてよかったわ」

 

 

何やらリアスとカナエの友情が更に深まったらしい。ガシッと両手で握手する二人はかつてないほど笑顔だった。

 

 

「やっぱりそうよね!裕福でも嫌々な結婚するよりは苦しくても好きな人と結婚したいわよね!ゼロからのスタートでも構わないわ!」

 

「その意気よリアス!身分とか種族とか関係なく心からお互いを大切に思えればあらゆる困難を乗り越えられるはず!」

 

「「目指せ愛のある結婚ッ!!」」

 

 

決戦前に二人揃って何か妙なテンションになっている。とりあえず魔王がリアスの兄とかそういうのはどうでも良くなったらしい。

 

 

「あのぅ……どうして悪魔の皆さんがそういう体系になったとかは説明しなくても良いんでしょうか?」

 

「大丈夫よアーシアちゃん。レイブラッド事変で正規の魔王の皆さんが亡くなって、いないとマズいし仕方ないから能力の優れてる面子で代わりを務めましょう的な事になったのは理解してるわ。別の小説とかでも度々説明されてるし

 

『カナエ(さん)(先輩)最後メタい!!』

 

 

この状況でもこんな事を言えるあたり、やはり彼女もレジェンド一家であった。あの家族は加速しまくるボケとツッコミが日常茶飯事だ。

性格的にアーシアはともかく、カナエを含め他のレジェンド一家にとって悪魔の種族事情とかはどうでもいい。ゴーデスや根源的破滅招来体、そしてそれら以外にも存在するであろう脅威の方がよっぽど問題だ。悪魔であるグレイフィアでさえそう感じている。

 

 

「そろそろ開始時刻です。皆さん、魔方陣の方へ。なお、転送後はゲーム終了まで再度魔方陣で転移する事が出来なくなります。お気をつけて」

 

 

ルミナシアの案内で魔方陣へと移動すると紋様が別の物へと変化し、ルミナシア曰く戦闘フィールドへと転送される。

 

 

 

 

 リアスらオカルト研究部が転移してきたのは旧校舎の部室……を模した場所。どうやら駒王学園そのものを戦闘フィールドとして疑似空間に構築したようだ。

 

 

(……何かしら。アーシアちゃんを救出しに行った時のような感覚。堕天使のそれではないし……嫌な予感がするわね)

 

 

何か違和感を感じたカナエだが、今は漸く始まるレーティングゲームに集中する。そしてルミナシアによるアナウンスが流れた。

 

 

『皆様、この度グレモリー家・フェニックス家のレーティングゲームの審判役を担うことになりました、グレモリー家の使用人ルミナシア・ルキフグスでございます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名の元、ご両家の戦いを見守らせて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します』

 

 

その後続けてされた説明によると、オカルト研究部側は旧校舎のこの部室、ライザー側は新校舎の生徒会室が『本陣』となり、兵士(ポーン)のプロモーションを行う場合は本陣周辺まで赴く必要があるとの事。

 

 

(正直、今の戦力を考えるとプロモーションとやらを行われても十分対処出来るわね。問題は十分に戦闘出来る『時間』。リアス達も分かっているとは思うけど……やはり短期間で爆発的に成長出来た代わりに、その反動でまだ体力回復が完全じゃない。文字通り万全ならいざ知らず、今の状態では時間をかければ不利になる)

 

 

当然というべきか、修行密度と成長速度に対して休息の度合いが圧倒的に少なく、最初からハイペースで戦うとおそらく終盤……下手したらそこまで持たないかもしれない。

フェニックスお得意の不死能力を駆使して持久戦となったらいくら成長したオカ研メンバーでも厳しいだろう。

 

これに対処する策は二つ。一つは一気に畳み掛ける速攻戦術。今のオカ研メンバーならば可能だが、そう簡単にいくとも思えない。最初から総出でライザーの元へ向かってもこちら側の本陣まで接近し、女王へプロモーションした兵士との挟み撃ちに合う可能性もある。

となれば残るはもう一つ。少数精鋭で可能な限り敵の数を減らし『切り札』を温存してライザーとの直接対決を狙う方法だ。自分達が行うならこちらだろう。個々の戦力が充実した今のオカ研メンバーだからこそ可能な戦法。

カナエがそんな事を考えていると朱乃から全員へイヤホンマイク型の通信機が配布された。

 

 

「戦場ではこれを使って味方同士のやり取りをするわ。大切に扱って頂戴」

 

「アーシアちゃん、縛道の一つに広域連絡術あったわよね。それは使える?」

 

「えと、七十七番の『天挺空羅』ですよね。なんとかそれなら使えます。詠唱必要ですけど……」

 

「十分よ。いざとなったらそれでね。通信機器が使えない事態が起こったらでいいから」

 

「はい!」

 

 

笑顔で「よろしい!」とカナエがアーシアに頷くと同時にルミナシアから校内放送で宣言される。

 

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それではゲームスタートです』

 

 

 レーティングゲーム開始後にまず行うのは作戦会議……なのだが、今のオカルト研究部なら大抵の事は対処出来てしまうが故に作戦というより方針の確認である。

 

 

「さてと、本来なら地図を確認しながら会議……と言いたいんだけど、ざっと見る限り皆相当レベルアップ出来ている以上、それを見ないまま作戦を立てると返って各々の戦略を狭める事になるわね。かといってここで披露してもらっても万が一監視されていないとも限らないし……」

 

「監視は大丈夫よ。いるとしたら観客ぐらいね」

 

「観客……あ、そういう事ね。どちらにしても私達の作戦……いえ、方針はただ一つ。『カナエに可能な限り休息を取らせてライザーとの直接戦闘まで持ち込む』これに尽きるわ」

 

「……あれ?」

 

 

どうやら自身の知らぬ間に行動方針は決定していたらしく、カナエ以外は皆頷いている。リアスはカナエに向き直って言う。

 

 

「ごめんなさい。いざという時に貴女に任せ切るような作戦で。本来ならゲームを受けた私自ら決着をつけるべきなのに……」

 

「え?私はただ既にそういう方針だって知らなかったから唖然としてただけで最初から性悪七面鳥は私が引導を渡す気だったんだけど

 

「「「「「「あれ?」」」」」」

 

 

さっきと反応が真逆になった。リアスは結局カナエ任せな事に良心の呵責なんかもあったのだが。

 

 

「リアスが気にする事じゃないわ。というか私も喧嘩ふっかけたし、そのつもりで修行してたんだし」

 

「そう……私一人で勝手に気負っていたのね。だったらこの場合は『ありがとう』よね」

 

 

いつも通りなカナエに安堵したのもあったのだろう、リアスは穏やかな笑顔になり、改めて作戦を説明する。

 

 

「それじゃ、改めて作戦会議しましょう。最終的な目標は他から邪魔が入らないようにしてカナエとライザーの一騎討ちまで持ち込む事。その為なら、いざとなれば私も前線に出るわ」

 

「でも、あくまで予想外の事態が起きた場合。それまでは基本的に部長はアーシアさん、カナエと共にここに待機ですわ。アーシアさんとカナエは駒の特性がありませんし、カナエは先の通り最後の切り札、そしてアーシアさんは元々後方支援型ですから」

 

「つまり序盤から中盤にかけては俺と木場、それから小猫ちゃんが軸になるってわけですね」

 

「ええ。厳しいとは思うけど頼んだわよ、三人とも」

 

 

一誠、裕斗、小猫の三人は頷く。そこに迷いはない。

 

 

「おそらく相手の女王も早い段階で仕掛けてくると思います。そちらは私が引き受けますわ」

 

「お願いね、朱乃」

 

「……なんかもどかしいわね。皆がさあ頑張ろうって時に私だけ休むの」

 

「大丈夫よ。その分最後には大働きしてもらうから」

 

 

最後の最後で全員分の期待がのしかかってくるからある意味カナエが一番大変とも言えるのだが。

 

 

「本陣周辺には森があるわ。それから重要なのはこの旧校舎に近い体育館。最初は森にトラップを仕掛けて体育館を制圧しようと考えたのだけれど」

 

「では森には僕が。進入されてもトラップ無しで制圧できますし、そのままそちらから進軍します」

 

「裕斗、一人でいけるの?」

 

「はい。というか今の僕は得物が得物なので、単独行動の方が味方を巻き込まずに済むんです。あ、別に二人が力不足とかではなくて、イッセー君も小猫ちゃんも前衛型、それも格闘主体の接近戦に特化してるのであの大きさだとどうしても僕の方が位置調整する事になって全力が出せないんですよ」

 

「てことは木場の創った新しい剣ってかなりデカいんだな。もし俺や小猫ちゃんが銃とか弓とか持ってたら大丈夫だったのか?」

 

「うん、ある程度離れた位置から攻撃出来るのならその方法をとってくれれば大丈夫なんだ。僕以外に一人なら割と間合いを考えられるけど、二人以上でしかも屋内となると満足に動けそうにないし、イッセー君と小猫ちゃんの方がバランス良く攻撃力と機動力が確保出来ると思う」

 

 

どうやら裕斗の得物が大きい為、動きが制限される場所で多人数行動がしにくいらしく、森の方から裕斗、体育館からイッセーと小猫が進軍する事になった。朱乃はどちらかに現れるであろうライザーの女王の相手をする為にスタンバイする。

 

 

「それからね、カナエ。貴女には最後以外、序盤に一仕事だけお願いしたいの」

 

「ん?何、リアス」

 

 

リアスはカナエに作戦を伝え、カナエはふんふんと頷き了承する。カナエが了承した事で他のメンバーにもその内容を伝えると若干驚かれはしたものの、すぐに納得してくれた。そしてリアスによる号令が発せられる。

 

 

「さて、準備は良いかしら?私の可愛い下僕達にカナエ、アーシア。ここまで来たらもう引き返せないし、そのつもりもない。相手はフェニックス家でも有望視されている才児ライザー・フェニックス。さあ、消し飛ばしてあげましょう!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「皆さん、頑張って下さい!」

 

「それじゃ……私も頼まれた一仕事の準備するわね、リアス」

 

「ええ、たぶん向こうは貴女に対して対策を取ってるだろうから……」

 

「気をつけて、でしょ?その為にこのお仕事は派手にやりましょう♪」

 

 

他のメンバーが駆け出した後に、新しくなった日輪刀を抱えてるんるんと出て行くカナエにリアスは思った。

 

巻き込まれたライザーの眷属はご愁傷様、と。

 

 

 

 

 イッセーと小猫は既に体育館へと到達していた。小猫はかなり早く到着していたし、イッセーも息切れ一つしていない。どちらも修行の賜物だ。

 

 

「こういうのは基本裏口に回って……が定石なんだけどさ。正直さっきから監視されてるよな」

 

「はい。そのくせ仕掛けてきません。黒歌姉様や夜一姉様なら即座に攻撃してきます」

 

「師匠や先輩なら体育館を中からぶっ壊しながら仕掛けてくるぜ、きっと。どうせ監視されてるなら遠慮なんかいらないよな!」

 

「同感です……!」

 

 

イッセーと小猫は体育館の扉の前に立ち、扉を思いきり蹴り『飛ばした』。

 

 

「オラァァァァァ!!」「はっ!!」

 

 

ドガッシャアァァァン!!!

 

 

『っ!!??』

 

 

まさか正面から来るどころか扉を飛ばして先制攻撃してくるとは思わず、中で待ち構えていたライザーの兵士(ポーン)三名と戦車(ルーク)一名は飛んで来た扉を間一髪回避した。

 

 

「やっぱり気付かれてたな。全員こっちに正面向いてたし」

 

「っ……やってくれるじゃない!」

 

「……カナエ先輩に仕掛けようとしてシックルさんに妨害されて他の眷属と一緒に吹き飛ばされた人」

 

 

小猫曰く吹っ飛ばされた人―ミラはあまりに具体的すぎる説明にプルプルと震えていた。つまり小猫にとってはもはやその他大勢レベルでしかない、そう言われたようなものだ。

 

 

「もう怒ったわ!泣いて謝っても許さないし二人揃って覚悟しなさい!」

 

「上等!小猫ちゃん、こっちの三人は引き受けた!そっちのチャイナ服は頼む!」

 

「……了解です。もし負けたらゲン師範にお仕置きしてもらいます」

 

「そりゃ勘弁だぜ!」

 

 

軽口を叩く一誠は三対一という不利な状況でも笑ったままだ。ほんの十日前には考えられなかっただろう。立ち向かえても必死の表情だったはず。

 

 

「何を根拠にそんな自信満々なのか知らないけど、とっとと倒してそちらの王を取らせてもらうわ!」

 

「やってみろよ」

 

 

まるで自身を指導したレイトのように不敵に笑いながら短く言い放つと、双子がチェーンソーを起動させながら突っ込んで来た。

 

 

「「解体しまーす♪」」

 

 

普通に考えれば恐怖しかないのだが、後半になって一気に力をつけた一誠は冷静だった。

 

 

(先輩や師匠に教わった。武器に頼りすぎるなと。だけど、武器を使うなとは言ってない。だったら!)

 

 

一誠は扉を蹴り飛ばした時に散乱したであろう物の中から、モップを手に取り双子の足元に勢いよく投げつけた。

 

 

「そらよっ!」

 

「「え?わ…わわわっ!?」」

 

 

バランスを崩して転ぶ双子。文字通り倒しただけなので再起不能になったわけではないが、それでいい。一先ず狙いはミラという棍を使う少女だ。

そのミラは棍を振り回しながら飛び掛かってくるが……

 

 

「はあああっ!」

 

「よっしゃあ狙い通りぃ!!」

 

「!?」

 

 

一誠はいとも簡単に右手でそれを掴んで脇に抱え込み固定する。そして棍ごと引っ張り、ミラの顔面に裏拳を叩き込み、腹を蹴飛ばす。

 

 

「ディヤァァァ!!」

 

「がふうっ!?」

 

 

師匠であるゲンの如き掛け声と共に繰り出された強烈な一撃を腹に受け、ミラは堪らず棍を離しながら吹き飛ばされる。またも再起不能ではない。しかし一誠の真の狙いはミラの持つこの棍だったのだ。チェーンソーに対抗する為に使う気だが、それもほんの一瞬でいい。

 

 

「ちょっと借りてくぜ!すぐに返すからな!」

 

「さっきはよくも!」

 

「今度こそ解体するんだから!」

 

 

双子が再び並走しながらチェーンソーを正面に向けつつ床に着けながら向かって来る。一誠にとっては絶好のタイミングだ。元よりチェーンソーの破壊など考えてはいない。

一誠は棍を突き出して先端がギリギリ双子の持つチェーンソーの間に棍が入るようにする。図にすると丁度『川』という字の真ん中が棍だ。そして思い切り左右のチェーンソーの軸の部分に打ち付けた。

 

 

「ぅおらァァァ!!」

 

 

ガァン!!ガァン!!

 

 

「「ふぇ!?あ、うわわっ!!」」

 

 

まさかの戦法に二回目のバランス崩れを起こす。その隙を見逃さず一誠は棍を棒高跳びの要領で使い双子の頭上へと跳躍する。そして師であるゲンから伝授された技を繰り出した。かつて、レッドギラスとブラックギラスを屠ったあの技を。

 

 

「喰らいやがれ!師匠直伝!!

 

 きりもみキィィィック!!!」

 

 

ドガァ!!バゴォン!!

 

 

「うぎぃっ!!」「あぐぅぅ!!」

 

 

レオがギラス兄弟に放った時のような首を刎ねたりは出来ないが、それでも凄まじい威力なのは変わりなく双子はそのまま床に叩きつけられ、意識を失うと光の粒子になって消えた。

 

 

『ライザー様の兵士(ポーン)二名、再起不能(リタイア)

 

「ッしゃあ!」

 

 

伝授された技を決められた事に喜びつつも再び構えて臨戦態勢を取る一誠に対し、ミラは唖然としていた。今のは明らかに戦い慣れた動きだ。十日前に見た時は素人丸出しで悪魔になりたてだったはずの目の前の男は、この短期間で紛れも無い『戦士』へと成長を遂げている。

ハッとして頭を振るい、自身の得物を取り返すべく一誠へと向かって行く。

 

 

「このっ……!私の武器を返しなさい!!」

 

「いいぜ、ほらよ」

 

「えっ!?」

 

 

ポイッと弧を描くように棍はミラの手元へと投げられた。チェーンソーを使う双子を倒したから不要になったと油断してるのか知らないが、これを手にしたらすぐに反撃してやる。そう思いながらしっかりと棍を掴む。

 

 

 

 

 

……が、油断していたのは彼女の方だった。

 

 

 

 

 

「イヤァァァァァ!!」

 

 

ゴベキィッ!!!

 

 

「ぶげっ!!??」

 

 

丁度棍を返すように投げるのと同時に、一誠はミラの手元へと棍が戻るタイミングを測って駆け出しており、彼女が棍を手にしたと同時に顎を思いっきり蹴り上げたのだ。ミラは当然勢いよく後ろへ倒れ込み後頭部を強打し、失神。先の双子同様に光の粒子になって消える。

 

 

『ライザー様の兵士一名、再起不能』

 

「よぉし三人倒したぜ!」

 

 

気付いているだろうが、一誠はまだ神器を展開さえしていない。神器無しでも既にこれだけの戦闘が行える程、一誠は大きく成長していた。

 

 

 

 

 一方、小猫はチャイナ服の『戦車』を一人で相手にしている。相手はかなり息切れしているが、小猫は全く無傷かつ普段通り。両手を見ながら握ったり開いたりして、軽く「よし」と頷くと改めて向き直る。

 

 

「慣らしは十分。お手伝いありがとうございました」

 

「慣らし……ですって?」

 

「姉様達に言われました。『実戦では気分が高揚したりして修行と勝手が違うから、まず戦場ではいつも通りに出来るようになれ』と。漸くいつも通りの感覚が掴めたので」

 

 

小猫は静かに構えると同時に仙術を発動。ぴょこんと猫耳と尻尾が出て来る。

 

 

「次で決めさせてもらいます」

 

「……!けど、一対一なら!」

 

「それで有利なの、私です」

 

 

小猫は相手が動き出す前に、夜一から習った歩法『瞬歩』で相手の懐へ一瞬で飛び込む。そして単純かつ重い一撃―正拳突きをライザーの『戦車』の腹にブチ込んだ。

 

 

「えい」

 

 

ドゴォウッ!!!

 

 

「ごぶうっ!!」

 

 

バガァァァン!!!

 

 

可愛らしい掛け声と裏腹に凶悪な威力の鉄拳をモロに喰らった『戦車』は体育館の壁をブチ抜きながらド派手に外へ吹っ飛び、そのまま地面に叩きつけられると先の三人同様に消えていった。

 

 

『ライザー様の戦車一名、再起不能』

 

「……夜一姉様じゃなくて良かったと思って下さい。あの人だったら文字通りお腹に穴が出来てました」

 

「え、夜一さんてそんな事出来たのか?」

 

「昔、面倒を見た人が身の程知らずな無茶しでかしたらしくて、それを止める為に傷口に思いっきり手刀で眠剤を体内に直接叩き込んだそうです。ブッスリと」

 

「何それスゲー怖いんだけど」

 

「私も最終調整でやられました」

 

「おいィィィ!?聞きたくない事が聞こえちゃったよ!!」

 

 

どうやら小猫も無理やらかしてたようで、最後の最後で強制的に休ませられたらしい。休ませ方がバイオレンス極まりないが。

ともあれ、初戦は一誠と小猫のタッグの圧勝。その後、この体育館にある事をすべく二人は準備する。

 

 そして同じ頃、森の方では……

 

 

「ひっ……いやあぁぁぁ!!」

 

 

一人の兵士がその場から仲間の元へ逃げ出した。一人では太刀打ちすら出来ないと踏んで、援軍を呼ぶ為に。しかし、それこそが彼の狙い。

 

 

「なるほど、あっちか……」

 

 

ゆっくりと歩を進めるのは、とんでもない得物を手にしたリアスの『騎士(ナイト)』木場裕斗だった。

 

 

 

〈続く〉




次回は裕斗と朱乃の活躍回(予定)です。
アズレンでも信濃がウチにも来てくれたんでテンション維持出来てる間にスピンオフ作品でもやろうかな……だいぶ先になるけど。

月末前にあと一、二回は更新出来るかな?


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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