ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
ライザーとの決戦前にサーガの神衛隊絡みのエピソードを前後編でお送りします。
救済案考えてたら結果やたら長くなった……!
それでは本編をどうぞ。
これは、黒歌がレジェンド一家入りして間もない頃の話である。
惑星レジェンド。光の三超神の一柱たるレジェンドが創り出した自身の名を冠する巨大な惑星。
地球の約60倍程の大きさと、地球同様に四季が存在する。
そんな惑星レジェンドの中でも有名なのは、中央大陸に存在しレジェンド自身が住まう『光神殿』がある中枢巨大都市『クリスタルシティ』、惑星上はその丁度裏側に位置し後輩のサーガが住まう海上未来都市『アクアエデン』の二大都市。
なお、別荘としてそれぞれレジェンドが浮遊大陸、サーガが
海底都市にも居を構えている。
各々の眷属とも言える『伝説九極天』や『神衛隊』の居住地があるのも基本は各光神の本拠地か別荘地のどちらかだ。
最高峰の技術や広大な天然自然に加え、何より様々な理由で多種多様な種族や存在が互いの文化を尊重し『一つの家族』として一致団結して手を取り合い生きている事が最たる特徴である。
そしてレジェンドは今、鬼灯と共にある者の家に向かっている。オーフィスらはまだダイブハンガーに慣れていない黒歌の案内役をしてもらう為に残ってもらったので今回はレジェンドのみの帰還になる。それもかなり特殊な理由だ。
「すみませんレジェンド様。なにぶん私が独断で決めるわけにもいかない事態だったので。もう片方は東方不敗さんが手伝って下さるとの事ですから、こちらを頼ませて頂きました」
「気にするな、寧ろちゃんと言ってくれて助かる。まあ、こんな事が起きれば縁壱が驚くのも無理はない……マジでこうして鬼灯みたく報連相しっかりしろよアイツら。
毎回毎回事後承諾多すぎなんだよ……!」
「心中お察しします……私が居ないからってサボってたら脳天カチ割るぞ
同僚と派遣先の上司への愚痴のタイミングが一緒である。さすが主従関係なく仲のいい二人。
そんな事を考えながら目的の家―縁壱の家に着いた。九極天だけあって巨大な屋敷であり、使用人も多い。
「あら、レジェンド様に鬼灯様!さすがお時間にズレもなくピッタリですね!」
「久しぶりだな、うた。お前が直接出迎えてくれるとは」
「うたさん御無沙汰しています。縁壱さんは既に?」
「はい、お二人をお待ちしています。何というか空気が重くて……あ、不穏とか悪いとかじゃなくて、あの人も困惑してるというか」
「だろうな……ん?」
二人を出迎えてくれた継国縁壱の妻『うた』と話しているとまるで縁壱を小さくしたような子供が赤子をあやしながら小走りでやって来た。
「レジェンド様、鬼灯様、お久しぶりでございます!」
「お〜うたと同じく久しぶりだな。大きくなったな
「お久しぶりです、縁次さん。元気な挨拶でよろしい。かなでさんもすくすくと育ってるようで、もうすっかりお兄さんですね」
「はい!」
駆け寄って来たのはうた同様、かつての世界では鬼に殺され産まれる事なく世を去った縁壱とうたの子供、継国縁次と妹のかなで。
レジェンドが保護した時にはまだ妊婦のままだったので産まれておらず、縁壱がかの現象によって『弾かれた』事でこちらに来て再会した後に産まれたのが縁次だ。縁壱は無事出産にも立ち会う事が出来、号泣しながら喜んだという。
その後、生活面を含め様々な面倒を見てくれたレジェンドに恩義を感じた縁壱は九極天入りしたので、実は彼は九極天の中では比較的新顔なのである。
「父上に御用事ですか?」
「ああ、そうだぞ。アレ?この場合は縁壱に用事で良いのか?」
「良いんじゃないですか?縁壱さんと
首を傾げる縁次と、すやすやと眠っているかなで。とりあえずうたがレジェンドと鬼灯を案内している間はついて来た。縁次レジェンドの戦いや鬼灯による地獄講座なんかを聞いて目を輝かせている。いや、後者はなんか違くね?
そして部屋の前に着くと軽く会釈してうたと縁次、かなでは離れて行った。込み入った話になるだろうからと。心遣いの出来る嫁と子供達である。
「遅くなってすまんな。入るぞ、縁壱」
「失礼します、縁壱さん」
「……レジェンド様、鬼灯殿」
部屋の中に入ると縁壱と、間を空けるようにしてもう一人……縁壱によく似た男が俯きながら正座していた。
継国
かつて
何より縁壱の実の兄だった。
どうやら縁壱同様に死した後に弾かれて【エリア】を超えたらしいのだが、転移してきた場所がよりによって継国家の前でしかも人間の頃の姿に戻っていた為、どうすればいいか分からずに立ち竦んでいた所を偶々通りかかった鬼灯に保護されて、一時は鬼灯の家にいたのだが……
「それで、そいつが弾かれて来た奴か」
「ええ。保護当初は私の家に連れ帰ったんですが、事情が事情なのでそのままにし続けるのもなんですし。土壇場で逃げたりせずちゃんと継国家に訪問したのは少し驚きましたが」
「そこ考慮してなかったんかい。まあ、結果良ければというやつだな、良しとするか。それで、縁壱に似ているから予想はつくが」
「継国巌勝……私の実兄です。向こうで最期に出会い刃を交えた時は……鬼でした」
「……」
三人の会話に俯いたまま黙っている巌勝。
すると鬼灯がレジェンドに一束の書類を差し出した。
「レジェンド様、浄瑠璃鏡から得られた彼の過去……向こう側での生を纏めたものです」
「助かる。縁壱やそいつの様子を見るに自分からは話し辛いだろうしな」
物凄い勢いでペラペラと捲りながらも全て頭に入れているレジェンド。鬼灯としてはこのスペックの一割でも閻魔大王に欲しいと思っている。どれだけ仕事が捗るやら。
ふむ、と書類を見終えて一息入れるとそれを鬼灯に返して巌勝を見る。
「弟である縁壱への劣等感や嫉妬心などを抱えつつ、修行に励んで痣を発現させるもそれが原因で寿命が短くなる事に耐えられず鬼になったと。色々省いたが大体この辺りが動機か」
「……ああ」
漸く、ここにきて巌勝が口を開いた。短くだが。
「鬼となった跡の罪状とかなんだがな。ぶっちゃけどうでもいい」
「「!?」」
この言葉に巌勝どころか縁壱も驚きの表情を向ける。二人が何かを言う前にと鬼灯が理由を話す。
「本来なら鬼としての巌勝さんを裁くのはあちらの【エリア】がする事です。鬼のまま此方に来たのなら考えますが、人間に戻っているようですし、参考にするとすれば人間の頃の記録です」
「鬼灯の言う通りだ。鬼でも人間でもこちらに来ようが扱いが変わらないとしたらそいつは―」
「「仕事を増やしまくりそうなこの鬼舞辻無惨とかいうバカ野郎一択」」
レジェンドと鬼灯がハモる。どうやら巌勝の過去に出てきた分だけでも相当やらかしているらしい。鬼灯なんか特別に無惨の事を纏めた部分の書類を手の甲でベシベシと叩いて額に青筋まで浮かんでいた。
「こちとら最近変わった現象が起こってるせいで色々立て込んでんのに何だコイツのしでかした事は。ホントこっちの【エリア】にいなくて良かったわマジで。間違いなく地獄行きで、しかもこれの罰にほぼ確実に一人、手練を付きっ切りで付けなきゃならないレベルって明らかに効率悪化が目に見えてるだろ。なあ、鬼灯?」
「レジェンド様の言う通りですよ。巌勝さんの過去を纏める筈なのにやたら無惨という鬼は出てくるんですよね。なんでお前が出て来るんだと。もうこれ鬼になってからの巌勝さんの罪はイコール無惨の罪でいいんじゃないかって思いましたよ本当に。ったく何が『私は決して間違えない』だパワハラ上司め」
あまりの饒舌っぷりに縁壱と巌勝は若干引き気味だ。
割と普通に暮らしてるようでいても超弩級の忙しさを誇る二人は如何に効率良く仕事を片付けられるか日々思案しながら職務をこなしているのだが、その努力を(主に拘束される的な意味で)木っ端微塵にされそうな奴には怒りを露わにする。
巌勝一人でこれだから、本人の過去なんぞ確認したらそれだけで何日消化させられるやら。罪状書かれた書類がどれだけ分厚くなるか考えたくもない鬼灯と、幾ら読むのが早くても確認する気すら失せるだろうと思うレジェンド。
「まあキチガイ無惨はこの際置いといてだな」
((キチガイ無惨!?))
「お前はどうしたい、継国巌勝」
「……!?」
目の前の男はなんと言った?どうしたい、だと?
巌勝は困惑していた。自分が鬼だったと、過去に何をしたかも知って尚、何故そんな事を聞いてくる。
「私としても精々所属組織を裏切ったりとかその際当時の組織の首を持って行ったとかは戦国時代ではよくある事だし、ぶっちゃけ別の【エリア】の人間が過去にしでかした事はこっちで問題起こしてない限り裁いたりしたくないんですよ。浄瑠璃鏡以外にも手続きとか色々面倒くさいんで」
「本当にぶっちゃけましたね鬼灯殿!?」
「事実ですし」
実際面倒なのだ。レジェンドを介してノアやキングに連絡を取り、そこから更にそれぞれ地獄……この場合出身地からして日本地獄に確認取ったりと手間が半端ない上、レジェンド曰く「この二人に緊急時以外関わると確実にどうでもいい面倒事も追加される」との事。
【エリア】統括で奔走している最高位の光神と九極天随一の忙しさを誇る鬼神は、そんな手間のかかる事は出来る限りしたくないのである。
「まあ少なからず罰は受けてもらうけどな。ふーむ……縁壱の道場の師範代として後進の育成に尽力する事、これでいいか」
「ですね。ちゃんと自分の事も包み隠さず話す事、これも追加しましょう」
「結構いい感じに収まったな。で、改めて聞くがお前はどうしたい」
「……何故、そこまで私に慈悲をかける?私は……」
巌勝がそう言いかけた時……
「終わった事でいつまでもウダウダ悩んでんじゃねえ!!」
スパーン!!
両手で思いっきり襖を開けた男……いや、漢がいた。青い髪、真っ赤なマントに特徴的なグラサン。腰に刀を差し、模様のような入れ墨が入っている鍛え抜かれた上半身裸で腕組みして仁王立ちしている初見にして絶大なインパクトを誇るこの漢。
「ようカミナ、相変わらずだな。って事はサーガも到着したか」
「おぉう、レジェンドの旦那!それに鬼灯さんよ!そっちも元気そうだな!」
「ええ、それなりに。そちらも変わらず賑やかで」
「いつでも俺らしさを失わねえ!それがカミナ様だぜ!」
グラサンに指を当てキュピーンと光らせながら笑うカミナ。新たな人物の登場に巌勝はさらに困惑した。
ウルトラマンサーガ直属の護衛部隊にしてレジェンドの伝説九極天と対を成す【レジェンドエリア】最強部隊『神衛隊』の第一分隊『紅蓮』団長。それがカミナである。
シモンが団長を務める第二分隊『螺巌』とは二つで一つの団であり、合わせて『超次元グレン団』とも称される。
巌勝に対して更にカミナは言い放つ。
「おうおうおうおう!ここを開ける前に聞こえたがよ、こっちの天辺にいる旦那とその右腕が別にいいって言ってんだ!グダグダウジウジしてないで気持ち切り替えて前に進んだらどうだ!?」
「そう簡単に進めるものか……私は……」
「おいお前、名前は?」
「……継国巌勝だ」
「つーことは巌勝ってのが名前か。んじゃ、巌勝……」
名前を確認すると、深呼吸してカミナはある行動に出た。
「歯ァ食いしばれぇぇぇ!!!」
バキィィィィィッ!!!
「ぐはあああっ!!」
「兄上!?カミナ殿!?」
思いっきりカミナが巌勝の左頬をぶん殴った。さすがにこれには縁壱も驚きを隠せない。続けざまにカミナは叫ぶ。
「ちったあ頭が冷えたかこのバカ野郎!裏切っただの鬼だっただの関係なくお前の弟のコイツが歩み寄ろうってんのに屁理屈並べて逃げてんじゃねえよ!!」
「逃げるだと……!何も知らぬ貴様に何が……!」
「知るか!!そもそも俺はお前の事を名前しか知らねえ!!」
「!!」
「俺が名前しか知らねえ奴が、過去に何をしてようが俺には知ったこっちゃねえし関係ねえ!見ねえ聞かねえ問い詰めねえ!大事なのは
目茶苦茶だが、何か心に響くものがある。そう巌勝だけでなく縁壱も感じた時、レジェンドと鬼灯もカミナの援護に入った。
「縁壱さんはかつて忌み子と言われていたそうですね。そしてそんな中、巌勝さんは縁壱さんを気にかけてあげていた、思いやりのある子供だった」
「「!!」」
「お?」
「それだけでなく、縁壱に対して嫉妬や劣等感はあれど鬼になる前に自ら縁壱に危害を加えたりはしなかったようだな。縁壱をこき下ろすような真似はせず、逆に己に発破をかける材料として修行に精を出した。よくある陥れたりとかはなく、ただひたすら己を高める事で対抗しようとした。ここら辺は個人的に好印象だ」
「おお?」
レジェンドと鬼灯の言葉にカミナは表情を緩めた。つまり卑怯な手段を取らず、己の実力のみで才ある弟の縁壱に勝とうと必死に努力を重ねていたのだ。しかし、当時痣が発言したは良いものの結果寿命が短くなり、修行を続けても縁壱を超える前に死んでしまう事に絶望した為、無惨の誘惑に負けて鬼となった。もし痣が発言しても短命にならなければ鬼にはならなかったかもしれない。
「何にせよ、このままでは埒が明かんな。質問先を変えるか。巌勝ではなく、縁壱。お前はどうしたい」
「私は……」
突然の質問に驚く事もなく、落ち着いて縁壱は答える。自身の希望を。
「私は、出来るならもう一度兄上と共に在りたいと思います」
「縁壱……!?」
「兄上……確かに向こう側での私達は道を違えました。しかし、それをこちら側に来てまで引きずる必要はありません」
縁壱はカミナに殴られて吹っ飛んだ巌勝の傍に寄り、目線を合わせるように屈む。
「私は忘れていません。兄上が幼少期、自分の事を顧みず私を大切にしてくれた事を。そして、兄上は私になりたかったそうですが……その必要はありません」
「何……?」
「兄上が私になったら、私は誰を兄上と呼べば良いのですか?」
この言葉に巌勝は目を見開いた。縁壱は既に自分に怒りも恨みも感じてはいない。
「こちら側で私は『家庭』を持ち、たくさんの『家族』を得ました。しかし―」
かつてと変わらぬ、穏やかな笑顔で縁壱は巌勝へと告げる。
「私の兄は継国巌勝……兄上唯一人です」
その言葉に巌勝はずっと堪えていたものが溢れた。嗚咽を漏らし、涙を流しながらも縁壱に言えなかった事を伝える。
「済まなかった……!私が、私の意志が弱かったばかりに……!」
「私が兄上を追い詰めてしまったというのもあります。兄上だけのせいではありません」
「だが!」
「もう良いだろう。折角和解出来たのに変に堂々巡りしてまた拗れたら全部水の泡だ」
レジェンドが巌勝の頑固さに苦笑しながらも強制的に切り上げた。漸くわだかまりが無くなったのに態々ぶり返させる必要もない。
二人が静かになったのを見計らったかのようなタイミングで、新たに一人やって来た。
「カミナ、声が門の外まで聞こえてこの家の者が驚いていたぞ」
「よう、サーガの大将!そりゃあ思いっきし叫んだからな!」
現れたのはレジェンドの後輩にして同じく最高位の光神であるサーガ。カミナにとっては直属の上司に当たる。
「やっと来たか。お前が遅れるとは珍しいな」
「……先輩の九極天の一人『
「「すいませんでした」」
自分の眷属とも言える直属の部下、及び同僚のやらかしにレジェンドと鬼灯が揃って綺麗な土下座を見せた。よく見ると縁壱もやってるし、その光景を巌勝は汗を垂らしハテナマークを飛ばしながら見ている。
先程までの雰囲気が台無しだ。この際、サーガの天然質問はスルーしておく。
「この度は俺の部下が迷惑をお掛けしました」
「同僚の無礼を謹んで謝罪させていただきます」
「いや、先輩も鬼灯もそこまでしなくても……」
突然の出来事にサーガはあたふたするが、事態を別の意味で重く見た二人はその対処に乗り出す事にした。
「……レジェンド様、これ以上被害が拡大する前に彼女の元に行って自ら抑止力となった方がよろしいかと。サーガ様もいらっしゃった事ですし、巌勝さんへは私から説明しますので」
「すまん、鬼灯。とりあえず束も引っ張って来る事になりそうだが……『娘』も含めてな」
「そういえばレジェンド様、束さんに言われたのか彼女から『御父様』と呼ばれてましたね。すぐに呼び方元通りでしたが」
「まあ、あの子は助けてからずっとこっちで暮らしてたし……東方不敗が持ち帰った、宇宙世紀だっけ?そこのスペースコロニーの情報を元に創造した俺製のスペースコロニーを気に入ってすぐそこに別荘建てたくらい束と同じ宇宙好きだ。束を初めて宇宙へ連れて行った俺を単純に尊敬してるってとこだろ」
「それだけではないと思いますが、今その事はいいでしょう。頼みましたよ、レジェンド様」
「ああ。サーガ、カミナ、一旦俺は席を外す。後は任せるぞ。そして……巌勝ゥ!!」
「はいっ!?」
またいきなり声をかけられた巌勝はビクッとしつつ敬語になって返事をした。
「サーガやカミナの厚意を無駄にするなよ!今度こそ幸せになりやがれコノヤロー!!」
「おぉい!?最後口調変わってんぞ旦那ァ!?」
カミナのツッコミを背に、束を目指し爆走していくレジェンド。
彼をよく知る鬼灯やサーガはいつも通りだと頷いているが、こういう姿のレジェンドをあまり見ない縁壱や会ったばかりの巌勝はポカンとしており、カミナは先述の通り若干混乱している。
「束さんに関してはこれで解決として、後は巌勝さんです。まあ、私やレジェンド様の要件は先程申し上げた罰というか贖罪の件なのでもう済んでますし、本題はこちらのサーガ様とカミナさんがお話しします。私は立会人という事で、縁壱さんは巌勝さんの身内という立場でお話しをお聞き下さい」
「……?どういう事です、鬼灯殿」
「御心配なさらずとも悪い話ではないですよ。寧ろ逆です」
改めて五人は座り直す。カミナはどっかり胡座をかいたが、サーガは鬼灯らと同様に正座。レジェンドといいやけに和文化に通じている光神達である。
「では自己紹介からさせてもらう。俺はウルトラマンサーガ。この【レジェンドエリア】の光神の一人だ。先程までいた先輩……ウルトラマンレジェンドの後輩という立場にあたる」
「そういや自己紹介まだだったな。すっかり忘れてたぜ。つーわけで!サーガの大将直属の最強無敵の大軍団!『神衛隊』第一分隊『紅蓮』及び超次元グレン団の不撓不屈の鬼リーダー!!カミナ様とは俺の事だ!!」
「彼の言った鬼というはそちらの意味とは違うのでご安心下さい。ちなみに私は鬼神ですので」
次々と出て来る情報について行けない巌勝に、縁壱が助け舟を出す。
「兄上、我々の世界の鬼とこちらの鬼は違うのです。こちらでは鬼は地獄で働く獄卒が主だそうで、鬼灯殿はそれを束ねる立場におられるのです」
「派遣先ですけどね。実際はレジェンド様直属ですし」
巌勝は思った……束ねる?派遣先?働く?こちらの鬼は種族なのかそれとも職業なのか?いや、獄卒が職業か。
「……給金は出てるのか?」
「そこですか兄上!?」
「ありますよ」
「あんたも律儀に答えんのかよ!?」
気のせいか既に巌勝が馴染んできているように見える。
「それから……こちらがサーガ様と、その護衛を務めるカミナ殿。サーガ様は自称完全生命体の無惨と違って本物の神様です」
「無惨様の表現に棘があるのはいいとして、本物の神?」
それはいいのか……と思っているサーガ。
巌勝の疑問に対して縁壱は細かく説明しており、巌勝は頷きつつ聞いている。一通り説明し終わったようで、二人は再度サーガとカミナの方へ向き直った。
「ここがどういう所かは大まかに理解出来たが……」
「それで構わない。さらに踏み込んだ詳細は徐々に教えていく事になる」
「……教えていく?」
「そっから先は俺が話してやる!」
カミナはサーガから会話を引き継ぐと、いきなり爆弾発言をぶちかました。
「まどろっこしいのは苦手だから単刀直入に言うぜ。おい巌勝、お前
「「……は?」」
「だーかーらー!仕事面でお前の面倒を見てやるってんだよ!神衛隊、それも超次元グレン団!しかもだぞ!?俺の『紅蓮』の方でだ!どうだ!?」
ドヤ顔で言い放つカミナに巌勝や縁壱は困惑する。確かに現状から栄転ともいえる、サーガ直属の部隊への分隊長自らの勧誘。おそらくは目の前にいるサーガや、先程出て行ったレジェンドも関与しているだろう。
「魅力的な提案ではあるが……私は縁壱がやっているという道場で師範代をしろと……」
「掛け持ちでいいだろ。普段は道場の師範代、しかぁし!その正体は【エリア】に轟く超次元グレン団の一員である!とかイカしてんじゃねえか!!」
「レジェンド様からは巌勝さん本人が承諾するならカミナさんやサーガ様の要望を優先しても構わないと事伝を預かってますので、そちらの返答次第です」
「本来ならお前は弟の縁壱と同じく先輩の九極天へ属するのが最良かもしれない。しかし、九極の座は埋まっている上、全く同じ道では事前に鬼灯より渡された資料から察するにかつてのような劣等感などに苛まれる可能性もある」
サーガの意見はもっともだ。特に後半に関してはもしそうなれば折角和解出来たものがまた崩れ落ちるという事も十分に有り得る。
「だからよ、弟の縁壱は旦那を護る!兄貴のお前は俺達と一緒に大将を護る!旦那んトコは個人個人で動いてるがよ、俺らは一つのデカい『家族』で動いてる!……まあ家族っていやぁこの星に住んでる連中皆がそうなんだけどな。ともかく!旦那んトコと大将のトコじゃやる事もやり方も違うって事だ!同じなのは護るって部分だけだぜ!」
「護る、部分だけ……」
「歩み方は違えど、道が交わる事があっても決してぶつかり合う事は無い。それこそ、離れていても心を共にする事が出来る。隣にいなくても何処かで、同じ志を持って戦っている」
そう……その通りだ。自分は縁壱ではない。争うわけではないのなら、同じ道を歩かねばならぬわけでもない。
そして何より今度は、別々の道を歩めど悲しい別れになるわけではないのだ。
既に巌勝の心は決まっている。それを見透すかのように縁壱は後押しする。
「兄上」
「……縁壱」
「兄上の思う通りになさって下さい。今度こそ、たとえ離れても心と目指す場所は一つです」
「ああ、そうだな……カミナ殿」
今までと売って変わり、カミナに向けた巌勝の表情は穏やかなものになっていた。もう迷いはない。
「先程の言葉、偽りはないか」
「当たり前だ!取り消せなんて言う訳ねえだろ!」
「そうか……というわけだ縁壱。普段は道場で師範代をさせてもらえるらしい」
「「……へ?」」
そう縁壱に告げた巌勝は、カミナに倣ってドヤ顔をしている。鬼灯も「確かに掛け持ちと言ってましたね」と納得し、サーガもふっと笑った。これにはカミナも大笑いし、縁壱も釣られて笑ってしまう。
「ははは!!何だよそっちかよ!変に身構えちまっただろ!いいぜいいぜ、やりたい事は我慢しねえ!ウチの団員らしいじゃねえか、なあ!」
笑いつつもバシバシと巌勝の背中を叩きながら了承するカミナ。それを振り払ったりせず受け入れながら、巌勝は縁壱に告げる。
「すまんな縁壱。どうやら鬼だった頃の欲深さが変なところで出たようだ」
「そんな欲なら大歓迎ですよ、兄上。となると住まいはどうすればいいか……」
「こんな事もあろうかと、レジェンド様と私で考えた一軒家をカタログ化してきました。いずれも転移用スターゲート付きなので神衛隊としての任務を始め急な用事にも即座に対応可能。まずは手に取って見て下さい」
「「「準備良すぎ!!??」」」
「……この家、良いな」
仕事の出来る男、鬼灯。事前に用意していた自作カタログを取り出してセールスマンのような台詞を言いながら勧め始める。カミナと継国兄弟はツッコむが、サーガは早速中身を見始めていた。
「……出来れば、この街を可能な限り見渡せる場所がいい。遺骨は無くとも、墓の一つくらいは作ってやらねばな」
「兄上、それは……」
「誓いの為だ。私に関わり命を落とした全ての者への。墓一つで纏めるのは正直どうかと思うが」
「でしたら丁度良い場所が一ヶ所だけ空いてますよ。街から少し離れた高台ですが、周りに自然も多く、何よりこのクリスタルシティが一望出来ます。土地の広さも問題ありません」
「では、そこで頼む。縁壱と再び歩む事になったこの世界の、この街を……母上らが見えるよう墓は大きく建てねばな」
そう言って遠くを見る巌勝に、縁壱も亡き母の事を思い出した。
「だったらよ、デカい墓だけじゃねえ。お前もデカい事をしてお袋さんにお前が見えるようにすりゃあいい!」
「カミナ殿……」
カミナは立ち上がって天を指差しながら続ける。
「兄弟揃ってデカい事成し遂げて、【エリア】を跨いでようがそんなモン関係なくお前らが見えるくらい、お前ら自身が輝きゃいいんだよ!天に輝く星のようにな!!」
―本当に、この男は―
一々心に響く言葉を発してくれる。巌勝は素直にそう思った。無惨の誘惑とは違う、正に『漢のカリスマ』とも言うべき堂々かつ豪胆な言動はリーダーと呼ぶに相応しい。
「……そうだな。そうなる為に一つだけ、気にかかっている事があるのだが……」
「あ、寿命なら気にしなくても大丈夫ですよ。この星に保護された時点で少なからずレジェンド様やサーガ様の光気を浴びてますので、最低でも数十万年は生きられますから」
「……はあ!?」
「痣者で寿命が減っても人間の時同様に何十年でしょう。またぶっちゃけますが私ら九極天や神衛隊の皆さんは不老で不死……かもしくは超寿ですし。長寿でなく超寿です。ここ重要ですからよく憶えておいて下さいね」
巌勝の懸念……短命云々もあっさり解決した。これにはさすがの巌勝も笑うしかない。
そんな巌勝の肩を組みながら、カミナは表裏のない真っ直ぐな笑顔を向ける。
「つーわけだ!これから長い長い……あれ、俺らの場合は永いの方が良いのか?ともかくそんな付き合いになるんだ!よろしく頼むぜ、兄弟!!」
「兄弟……?」
「縁壱みたいに血の繋がりじゃねえ。ソウルの兄弟!魂のブラザーってヤツだ!!」
「つまり義兄弟という事だな」
「そうそうそれ!よっし!あとはオルガの奴もちゃんと説得出来てりゃ良いけどな!」
また聞いた事の無い名前が出て来たが、おそらくは神衛隊絡みの人物だろう。カミナが巌勝を迎え入れたように、その人物も誰かを迎え入れる気だと巌勝が推測すると、縁壱が口を開く。
「では兄上、カミナ殿、鬼灯殿、そしてサーガ様、道場の方へ。もう交渉が終わったか、それともまだその最中かは分かりませんが」
「ん?縁壱、お前の道場にいるのか」
「ええ。何でも護る為の拳で人を殺めた罪滅ぼしとして、拳を封印して私の剣術道場で師範代を務めてくれています。殺めたのも剣術道場の者達だったようで……」
「その者の名は?」
「はい、名は
―
〈後編へ続く〉
兄上、まさかの超次元グレン団入り。
新たな九極天は天災兔でした。その養女も一緒です。本作では白い束さんなので御安心を。
ウルトラマンと機動兵器の共闘とあらば活躍の場は多いハズ……
次回は狛治さんと……な回です。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
-
真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)