ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。コカビエル戦です。
前回や前々回より短くなったとはいえ、想像以上に尺が伸びたのでガイの変身はさらに次回に持ち越しになってしまいました。ファンの方々申し訳ないです。

次回は流石にこれより短くなる……と、思う。ただかなり派手な戦いになるのでもしかしたら同じくらいの尺になるかも。


それでは本編をどうぞ。


明かされる真実、ターンX起動

 バルパー・ガリレイは原型留めぬ屍となり、フリード・セルゼンもエクスカリバーと両眼を失い虫の息。

残るはコカビエルのみ。

三日月の駆る桁外れの戦闘力を持ったバルバトスや、随一の戦闘経験を持つガイ、二つの呼吸法を扱うカナエを始め凄まじい戦力差にさしものコカビエルも苦い表情をしている。とりわけ、変身という切り札を残しているガイと未だ底知れぬ力を秘めているバルバトスは極めて厄介だ。

 

 

(あの聞かぬ名の聖剣を持つ男はこちらが隙さえ見せなければ打つ手はある。問題はあの機械人形だ)

 

 

コカビエルは視線をバルバトスへと向ける。相手を屠る事に一切の躊躇いが無く、超絶無比の攻撃力と予想外の防御力、加えて異常な速度で反応する機動性。トドメがあまりに特異な武装の数々。この場で最も危険なのは間違いなくこの機体とパイロットだ。

 

 

「さて、後はお前だけだな」

 

「ふん、バルパーにせよフリードにせよ最終的にはいなくても別に構わん。元々は一人でも成功する予定だったのだからな」

 

「……そういう割には巌勝さんに翼、斬り落とされてるじゃん」

 

 

三日月の言葉にコカビエルは青筋を浮かべる。直接見たわけではなくとも、三日月にはコカビエルの翼が少ない理由が巌勝である事を確信している。まだ訓練中だった巌勝が駆るアストレイレッドフレームの刀捌きを見ており、生身ならばそれを遥かに上回る事ぐらい目に見えて明らかだからだ。

 

 

「しかも魔方陣は三日月さんのバルバトスが木っ端☆微塵にしちゃったものね」

 

 

カナエがさらに追撃。☆マークがさらにコカビエルの苛立ちを加速させる。相変わらず挑発のポイントが絶妙だ。

だが、事実として町は壊滅させられないだろう。魔法関係も力づく(しかも鈍器)で爆砕するバルバトスはやはり規格外の一角。

 

 

「確かに貴様は強いだろう。だがこれだけの実力者を前にいつまでもその余裕が通じると思うな!」

 

 

デュランダルの切っ先をコカビエルへ向けてゼノヴィアが咆える。その通りだ。かつてのリアス達であれば遊びながらでも勝てたであろうが、今やそれぞれが尊敬出来る師の下で飛躍的な成長を遂げた。正直勝てるかどうか危うい。どうする?と思考を張り巡らそうとするが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい……折角ファーさんとギアさんがくれた物をこんなに早く壊したのか?子供じゃあるまいし、少しは大事に扱ってほしかったぜ」

 

『『!?』』

 

「しかも全部ときたもんだ……ま〜た俺が大目玉くらうじゃないか。ギアさんは優しいけどファーさんは厳しいんだぜ?勘弁してくれよ、新しい扉開いちゃうだろ」

 

 

 

 

 

愚痴らしき軽口を叩きながら突如として現れたのは、廃教会で巌勝を足止めすべく残った堕天使の男だった。

 

 

「なっ……悪魔のような、六枚羽……!!」

 

「アイツが噂の堕天使です、部長!」

 

「お、ちゃんと合流出来たのか。中々運が良いな」

 

「てめえ!巌勝さんはどうした!!」

 

「ああ、あの反則じみた強さの侍か」

 

 

堕天使の男は笑みを崩さぬまま懐から林檎を取り出して一口齧り、悩むように目を伏せる。

 

 

「う〜ん……教えても良いんだけど、そうだな……」

 

 

一拍置いてふむ、と何か納得したように頷いたと思えばとんでもない事をリアスや朱乃、カナエらを見回して言い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教える替わりに、俺と姦淫しないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「はァ!?」」」」」

 

 

女性陣は真っ赤になり、男性陣は「何言ってんのコイツ」的な表情になった。一誠はリアスにそんな事を言う堕天使にキレかかってるし、コカビエルすら呆気にとられている。

 

 

「さ、どうだい?」

 

「いきなり何を言い出すのよ!?」

 

「そうだ!テメエに部長の初めては渡さねぇ!!」

 

「そのと……アレ!?一誠なんか違……え?違わない?え?」

 

「落ち着けタイガ!お前にはまだ早い!」

 

「そういうお前にもまだ早いぞフーマ!」

 

 

さり気なく一誠の発言に同意しそうになったタイガは思い直してみるが今だに混乱している。ウルトラ族の年齢が基本的に数千〜数万歳なので忘れがちだが、地球人換算するとタイガはまだ十五歳前後なのだ。つまり色々ピュアである。

 

 

「私やアーシアちゃんの初めてはあの方にあげるって決めて(ぶしゅっ!!)

 

「はわあああ!?カナエさん、また鼻血が!!」

 

 

妄想逞しい割に耐性が無いカナエである。結婚してから大丈夫なのこの子。アーシア、この場で初めて回復するのが鼻血の治療とは如何なるものか。そして……

 

 

「姦淫って何?」

 

『別に知らなくていいから!!』

 

 

タイガと同等に三日月は分かっていなかった。いや、知らなくても問題は無いというか、三日月はそのままでいてほしい。割と切実に。

 

 

「貴様……いい加減にしろ!いつまで巫山戯れば気が済むのだ!!」

 

「……やれやれ、コッチは結構マジだったんだけどな。ま、いいか。それじゃ、君達が気にしているあの月の侍だが……」

 

 

肩を竦めた男が告げた言葉は衝撃的なものだった。

 

 

「『鬼』に魂でも喰われているんじゃないかな」

 

「……え?」

 

 

小さく言葉を発したのはカナエだった。鬼に魂を喰われる?そもそも、鬼?色々な事が頭を駆け巡る。

 

 

「これからの事も踏まえてちょっと変わった『鬼』を呼び出してね。その鬼達には鬼から採れた素材で作られた武器でしかダメージさえ与えられないみたいでさ、例外はもちろんあるだろうが……如何にチートじみた戦闘力が有ろうと攻撃が効かなければ勝利はあり得ないだろう?」

 

「そ……そんな……」

 

「……」

 

 

アーシアは仲良くなったばかりの巌勝が最悪の事態になってしまった事を想像してしまい、泣きそうになっている。ガイは堕天使の男を睨みつけたまま険しい表情を崩さない。そこで、一誠がいつの間にか禁手化しており堕天使の男に突撃した。

 

 

「この野郎ォォォォォ!!!」

 

「ッ!!駄目だ、よせっ!!」

 

「うおおおおお!!」

 

「なるほど、怖気付かないのは良い」

 

 

既に数回倍化を行った拳が堕天使の男に繰り出される。傍から見ても当たればただでは済まないだろう。これには男も回避行動に移る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そう誰もが思っていたが……

 

 

 

 

 

バスンッ!!

 

 

 

 

 

『!?』

 

「ただ、喧嘩するなら相手は選ぼうぜ?特異点」

 

 

 

 

 

ベキャアァァァッ!!

 

 

 

 

 

「ぐあああああっ!!」

 

『イッセー(君)(さん)(先輩)!!』

 

 

禁手を発動した一撃を平然と掌で受け止め、逆に一誠の纏った赤龍帝の鎧を腹に拳一発叩き込んだだけで完全粉砕してしまった。常識外れの一撃を貰った一誠はダメージのあまりそのまま身動きを取れぬまま落下するが、間一髪ガイと裕斗に助けられる。

 

 

「う……ぐ……くそ……!」

 

「喋らず安静にしてろ。今ハッキリした。あの堕天使はコカビエル()()()よりよっぽど強い……!」

 

 

ガイのこの言葉にコカビエルは火がついた。確かに底知れぬ何かはあるが、六枚羽程度の新入りにこれ以上大きな顔はさせられない。

 

 

「新入りィ!!これ以上貴様は手を出すな!!コイツらは俺の獲物だ!!」

 

「手を出すな、って言われても俺は降り掛かる火の粉を払っただけだろ。それにアンタ一人でそこのデカいの含めて相手出来るのか?」

 

「くっ……そっちは貴様がどうにかしろ!」

 

「ハァ……こんなんばっかりだな。ホント損な役回りだよ。ま、どうせまともにやり合う気はないし、君はこいつらとでも遊んでてくれ」

 

 

面倒な相手を押し付けてくるコカビエルに呆れながら、堕天使の男はバルバトスの方を向くとパチンと指を鳴らす。

すると、魔方陣が出現しその魔方陣から奇怪な存在が無数に現れた。堕天使らしき黒い翼、真っ白な身体に鉄の仮面で顔を隠した赤子のようなもの。その手には弓矢や剣など武器を手にしている。

 

 

「な……何よあれ!?」

 

「泣き声……いや、あれは掛け声なのか!?」

 

「不気味にも程がありますわ……!」

 

 

リアスらはおろかガイ達ウルトラマンも驚きを隠せない。堕天使の様ではあるがその風貌はまるでモンスターだ。

 

 

「エグリゴリって言ってね。所謂雑兵みたいなもんだ。というわけで君は暫くこいつらの相手をしててくれ。なに、強さ自体は大した事ないから」

 

「オギャアオギャア!」

 

「こいつら、うっとおしい……!」

 

 

バルバトスに群がるエグリゴリという存在達。しかし男の言葉通り大して戦闘力が高いわけでもなく、バルバトスが攻撃されても痛くも痒くもなく文字通り『相手をする』だけとしか役割を持たされていないように感じる。数が数なので羽虫の如く飛び回っているそれは三日月の言う通りうっとおしい……もしくはウザったい。

 

 

(何だあれは……!?アザゼルの新しく作った何かか?いや、いくら奴でもあんなモノ作るとは思えん……奴は本当に何者だ……!?)

 

 

コカビエルすら知らぬそれはバルバトスの相手をしており叩き潰され、砕かれ、踏み潰されている。本来なら多少は戦力になるのだろうが相手が悪過ぎた。とはいえコカビエルがリアス達に集中出来るようになったのも事実。これ幸いにと目の前の獲物―最も期待していたガイやカナエに向かっていく。

 

 

「だが奴が何だろうと構わん!さあ、相手をしてもらおうか!」

 

「やっぱりこっち優先か!」

 

「ちょっとだけ潰し合いに期待しちゃいましたけど!」

 

 

光の槍を投げつけながら突撃してくるコカビエル。ガイとカナエは飛び上がり回避するが、着弾した場所が爆発し砂埃でコカビエルの姿が見えなくなる。探すよりも防御を固めた方が得策だと考えた二人は奇襲してくるであろうコカビエルを迎撃する為に構えた。そして推測通りコカビエルはガイへと仕掛けてくる。

 

 

「まずは貴様だガイとやらァ!!」

 

「返り討ちに合う事を考えてなかったのかお前ッ!!」

 

 

コカビエルの光の剣をオーブカリバーで受け止め、同時に放ってきた回し蹴りにも回し蹴りで対抗する。拳に対しても速度が出てくる前に掴むか受け止めるかしてダメージを極力抑えるような戦法を取るガイにコカビエルはさらに戦意高揚していた。

 

 

「ほう!やはり如何様にも対処してくるか!」

 

「ふっ……奇襲がお前だけの特権とでも思ったか?」

 

「何ッ!?」

 

 

今だ収まらぬ砂埃の中で激しい攻防を繰り広げるガイとコカビエルだったが、ガイの言葉の真意に気付くと同時に、砂埃を突っ切ってカナエが景桜・桜刃螺旋で突撃してきた。ガイを突き飛ばす事でその攻撃を間一髪逃れたものの手足に細かな傷が付く。

 

 

「ちいっ!俺が作り出した状況を逆利用したか!中々強かな小娘だ!」

 

「浅かった……!ガイさん大丈夫!?巻き込まれてない!?」

 

「ああ、なんとかな!奴へのダメージは浅かったかも知れないが、突き飛ばされたお陰で俺は無傷だ!そこは奴に感謝してやるか!」

 

 

体勢を立て直すガイとカナエに再度仕掛けようとした直後、背後から気配を感じて振り向くと裕斗とゼノヴィアが同時に斬り込んでくる。

 

 

「おおおおお!!」

 

「はあぁぁぁ!!」

 

「ぐっ!!貴様らァ!!」

 

 

紙一重で直撃は避けたものの、右肩と左足に少々深めの切り傷が出来たコカビエルは怒りを露わにし、裕斗とゼノヴィアをそれぞれ無傷なもう片方の手足で一撃ずつ叩き込んで吹き飛ばす。

 

 

「うぐっ!!」

 

「がはっ!!先の二人が健闘したからと続いたが……たった一発でこれか……!」

 

 

ゼノヴィアがそう零すが、あれはガイとカナエだから可能だったとしか言えない。この場の味方側において生身で最も戦闘力の高い二人だから対抗出来ているのだ。ついでに言うと彼女はデュランダルがあるからどうにかなっているのであり、それがなければこの場では支援特化のアーシアの次くらいの実力だろう。三日月は三日月でMSサイズのレンチメイス食らっても倒れないと言うし。

 

 

「くそっ……まだ身体の痛みが取れねぇ……!」

 

「無理しないでイッセー!いくら貴方が強くなってても今の状態じゃむざむざやられに行くだけよ!」

 

「部長……」

 

 

リアスを始め、朱乃や子猫、アーシアらは一誠の護衛に回っている。想像以上に先程の一撃が効いたのかまだ満足に身体を動かせない一誠は放っておくと真っ先に狙われかねない。アーシアが防御結界を展開出来るようになったといっても限界がある。自分のせいで、と己の不甲斐なさを悔いている一誠をリアスは優しく諭す。

 

 

「イッセー、この戦いではね……最終的に皆生き残る事が目標なの。だから誰一人欠けては駄目。戦えなくてもいい、ちゃんと生きてる事が大事なのよ。身体を無理に動かして我武者羅に突っ込んで足手まといになればそれも叶わないわ。現に私があの中に飛び込んでもまともに戦えない。接近戦がメインだもの、ハッキリ言って今の私ではお荷物よ」

 

 

よく見るとリアスも手が震えている事に一誠は気付く。きっと本当なら目の前で戦っているカナエや裕斗らの援護に向かいたいのだろうが、彼女はどちらかといえば中距離〜遠距離から大出力の魔法を放つタイプだ。下手に突っ込めば返り討ちに合う事を理解しているのだろう。朱乃も似たようなタイプだし、アーシアはそもそも直接戦闘自体向いていない。この面子では唯一小猫ぐらいだが彼女が参戦した場合、今度はこちらが危険になる。

 

せめてあと一人、強力な援軍でも来てくれたらと思った時コカビエルが空中へと一旦離脱する。

 

 

「随分と手こずってるな。手助けが必要かい?」

 

「煩い!そんなものは要らん!しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、お前達神の信者と悪魔はよく戦う」

 

「……どういう事?」

 

 

リアスらはもちろん、カナエとアーシアも一瞬意味が分からなかった。自身らが仕えている(という表現が正しいかは別として)主、即ちレジェンドは普通に存命だ。神よりもさらに上に座する光神である事も虚偽ではなく事実。では何の事かと思ったが、二人は以前レジェンドからある事を教えられていたのを思い出した。

 

 

「フハハッ……フハハハハハ!そうだ、そうだったな!お前達下々までその真実は! 真相は語られていなかったな! ならついでに教えてやろう!!」

 

 

コカビエルは高笑いしながら衝撃の事実を口にする。

 

 

「先の三つ巴戦争で四大魔王だけじゃなく、神も死んだのさ。正しくは戦争の最中に現れたレイブラッドの軍勢が原因だがな」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

かのレイブラッド事変にて聖書の神は既に死んでいた。ガイやカナエ、アーシアやトライスクワッドを除く面々の顔が驚愕に染まる。それを見て笑みを溢しつつコカビエルは続ける。

 

 

「知らなくて当然だ。神が死んだなどと誰に言える? 人間は神がいなくては心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ? 我ら堕天使、悪魔さえも下々にそれらを教えるわけにはいかなかった。どこからそんな事実が漏れるかわからなかったからな。あの光神やその眷属を除けば三大勢力でもトップと一部の者達以外はこの真実を知らない。バルパーは先程気付いたようだがな」

 

 

神に仕えるもの・関わるもの全てを否定し、無意味とする程の重大な真実。

 

 

「戦後残されたのは神を失った天使、四大魔王と上級悪魔の殆どを失った悪魔、幹部以外の殆どがいなくなった堕天使……最早疲弊どころの騒ぎではない。人間に頼らねば種の存続すら不可能なところまで堕落したのだ。特に天使と堕天使は人間と交わらねば種を残すことなど出来ない。堕天使は天使が堕ちれば増やせるが、純粋な天使は神を失った今では増えることすら不可能。悪魔も純血種が希少だしな」

 

 

呆然とするリアス達、構えつつも黙って聞いているガイやカナエ達、エグリゴリとの戦いに集中し話どころではない三日月、そして今だ静観している謎の堕天使。

 

 

「光神に頼み込めばそれも解決出来ただろうが、肝心の光神の居場所自体掴めず、仮に会えたところでそもそも協力してもらえるかどうかさえ分からんという不確定要素だらけでまともな解決策には程遠い」

 

「まあ、あの方が子孫繁栄に簡単に協力するかと言われれば多分断ると思うけど」

 

「ほう?まるで光神を知っているかのような口ぶりだな。しかしそちらの娘、神の信者の割にまるで動揺していないように見える。動揺さえ忘れる程ショックが大きかったのか?クク……」

 

 

カナエとアーシアを見ながらコカビエルはそういうが、その予想は大ハズレである。アーシアは元々レジェンドを信仰しており、聖書の神の死も、そしてその神が今まで行ってきた所業の数々もレジェンドから聞いており動揺するはずもなかった。ただ、聖書の神の意思が込められていた『黄昏の聖槍』が神の意思ごと完全消滅した(させた)事を聞かされた時だけは驚いていたが。

 

 

「そう、神の守護や愛がなくて当然。神は既に死んだのだからな。ミカエルはよくやっていると思うぞ? 神の代わりをして天使と人間をまとめているのだからな。まぁどのみち、神が使っていた『システム』さえ機能していれば、神への祈りも祝福も悪霊祓いもある程度は動作する。ただ神がいた頃に比べて切られる信徒の数が増えたがね。そこの聖魔剣を創りだせるのも神と魔王のバランスが崩れているからさ。本来であれば交わることなど有り得ない。両極のパワーバランスを司る神と魔王がいなくなれば、特異現象など何処でも起きる」

 

「バルパーとかいう奴にも言ったが、そいつはお前らの勝手な価値観だ」

 

「何だと?」

 

 

ガイがコカビエルの言った言葉の最後の部分に反論する。

 

 

「聖と魔、光と闇、交わる事が本来なら有り得ない……そういう理論こそ有り得ないのさ。たとえ相反する二つの力であろうとも、強い心があればそれらを結び、正しく使う事が出来る。要は自分次第ってわけだ。お前には絶対に理解出来そうにないけどな」

 

 

自分のサンダーブレスター、そして何より自分が所属している遊撃隊の総司令官―ベリアルが良い例だ。彼の中には今もかつて光の国に反旗を翻した『闇のベリアル』がいるが、今では口の悪い兄弟のような関係になっており、しっかりと共存している。そして二人の力を融合させた強化フォームさえ会得したのだ。それを見事使いこなし、宇宙の存亡を賭けたある任務を成功させた事で彼は本当の意味で歩むべき光の道へ『二人で』戻る事が出来たのである。英雄という、親友であるウルトラの父と同じ肩書と共に。

そんな経歴を持つ彼をガイは尊敬している。だから言ったのだ、光と闇が同時に在ってもおかしくはないと。

 

 

「……ウソだ……ウソだ」

 

 

ガイがコカビエルへ反論していた間、ゼノヴィアは地に手足をつけ項垂れていた。デュランダルをショックのあまり手放しているところを見ても相当な衝撃を受けている事が見て取れる。イリナがこの場にいなくて良かったと思わざるを得ない。

 

 

「そんなパワーバランスが崩れた結果起きうる出来事など実際のところどうでもいい。正直、大規模な戦争は故意にでも起こさなければ再び起こらない。それだけ三大勢力は先の戦争とレイブラッドの襲撃で痛い目を見たのだ。互いに争う大元となる神と魔王が死んだだけで、戦争を続けるなど無意味だと判断しやがった。アザゼルもアザゼルだ! 先の戦争で大半の部下を亡くし、光神の眷属と親交が出来ただけで『二度目の戦争はない』と言う始末!……アザゼルがもうやらんと言うのなら、俺が戦争をおっ始めてやる。これを機に!貴様らの首を手土産に!俺だけでもあの続きをしてやるのだ!我ら堕天使こそが最強たる存在であると、サーゼクスにもミカエルにも見せつけてやる!無論、あの光神やその眷属共にもな!!」

 

 

高らかに宣言したコカビエルだったが、そこで今まで静観していた堕天使の男が何かを考えていたようなポーズから思い出したように言い出した。

 

 

「ああ、そうだ。俺からもちょっといいかい?」

 

「まさか貴様まで戦争反対などと言う気ではないだろうな?」

 

「いいや、そうじゃないさ。そっちの黒髪ポニーテールの娘の事で思い出した事があってね」

 

「……私ですか?」

 

 

堕天使の男が気にしていたのは朱乃の事だった。彼女が堕天使バラキエルの娘である事はコカビエルも知っている。そこを突こうとしているなら浅はかだ、とコカビエルは考えていたが……

 

 

「年齢からして娘さんだと思うけど、母親は元気かな?」

 

「ええ、今も一緒に暮らしていますが……まさか母様を!?」

 

「そんな事しないさ。()()()()以来あそこは妙に厳重な結界が張られていてね。君達やバラキエルという人物では到底作り得ない複雑難解な術式で組まれていた。それを誰がやったのか気になってたんだよ」

 

「……え?結界?そんなものは……」

 

 

朱乃は見に覚えがなく、母である朱璃もそんな結界は張っていない。ならバラキエルかと思ったが先程の言葉からそうでもないと思い直す。だが朱乃はそれ以上に気になった部分があった。

 

 

「あの一件……?」

 

「そうそう、もう一つ言っておかないといけなかった」

 

 

そして、男は相変わらず笑みを浮かべながら本人達かある人物しか知らない事を言い放つ。犯人達は()()()()()()()()()()()()はずのあの事件の事を。

 

 

「無事母親と一緒に助かってオメデトウ」

 

「――ッ!!」

 

 

今何と言った?無事一緒に助かって?

 

 

「……まさか、あれは……!」

 

「おっと勘違いしないでくれよ?俺はあくまで君達を探していたあの連中に君達の居場所を教えただけだ。別に俺が唆したわけでもなければ、指示したわけでもない。洗脳とかそういったマネをしたわけでもないから俺を恨むのは筋違いだ」

 

 

確かにその通りだ。男はただ朱乃達の居場所を教えただけで他意はなかったかもしれない。だが朱乃は考え直した。目の前の男は自分が堕天使と人間のハーフである事を知っていたのだと。だとすれば少なからず狙って教えたという事。

 

 

「でも、貴方は私が……」

 

「ああ、()()()()()とも」

 

「お前ぇぇぇぇぇ!!」

 

「朱乃さん!?駄目だ、俺の二の舞に……」

 

 

堕天使の男が軽く言い放ったそれに朱乃は冷静さが頭から吹っ飛び、一誠の言葉も聞かず男に突っ込んで行った。この男がいなければ自分が、母が危険な目に合わずに済んだ。『彼』が間に合わなければ、下手すると二人とも死んでいたかもしれない。だと言うのに目の前の堕天使は笑みを浮かべながらいとも簡単に言い放った。許せる訳が無い。一矢報いてやる、そう思った。

 

 

 

 

 

だが、現実は非情なものだった。

 

 

 

 

 

「アナゲンネーシス」

 

 

 

 

 

男が笑みを崩さず短い言葉と共に放たれた無数の光は朱乃に直撃するだけでなく地上にいたリアスやガイ達にも向けられていた。

 

 

 

 

 

「きゃあああぁぁぁぁぁっ!!」

 

「朱乃(さん)(先輩)ッ!!!」

 

 

明らかに一誠の受けた一撃より強力なものを食らい、朱乃は力無く落下する。空から降り注ぐ光を掻い潜り、カナエがなんとか朱乃を受け止めるが、上空に目を向けると今度はコカビエルが光の槍で狙いを定めていた。

 

 

「余計な事を……!」

 

「だから降り掛かる火の粉を払っただけだっての。ま、今回はちょっとばかり周りにやらかした自覚はあるけどな」

 

 

アナゲンネーシスと呼ばれた攻撃からまだ体勢を立て直す事が出来ず、三日月も方もだいぶ減らしたとはいえエグリゴリとの戦闘中。刺し違える覚悟で隙を作るしかないと考えていたカナエだったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こうべ)を垂れて跪け!名も知らぬ堕天使にコカビエルとやらァ!!」

 

 

 

 

凄まじい気迫の込もった声が響き渡る。

 

 

 

 

 

「我らが神々の御光来であるッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉が発せられた方向に全員が顔を向けると、そこには巨大なシルエットが月をバックに佇んでいた。腕や背部のそれにより左右非対称である事が特徴的なそれを見た三日月は小さく笑う。

 

 

「漸く来た。やっぱり敗けるわけなかったんだ」

 

 

そしてそのシルエットからさらに四つの人影が飛び降りる。うち一人はその中の一人の首に抱きついたが。地上に降り立ったそれを見た全員、しかも朱乃と小猫は目を見開き、カナエとアーシアは笑顔になり、ガイは驚きながらも笑みを浮かべ、ドライグやトライスクワッドは驚きの余り失神しかけていた。

 

 

 

 

 

「準備はいいな?やるぞ、サーガ!」

 

「了解だ、先輩!」

 

 

降り立ったのはアーブギアを身に纏ったレジェンドと、サーガ。さらにレジェンドの首に抱きついているオーフィスと、三人のちょっと後ろにゼット。

レジェンドとサーガはそれぞれ右と左の拳にエネルギーを集中させる。それも、異常な速度でチャージされた。何者かハッキリと分からぬものの危険だと頭の中で警鐘が鳴ったコカビエルが光の槍を投げるが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダブル!!」

 

「スペシウム!!」

 

 

「超!光!!波ァァァ!!!」

 

 

ズゴオォォォォ!!!

 

 

 

 

 

二人が同じタイミングで拳を突き出しながらチャージしたエネルギーを一気に解放すると、有り得ない程強大な……ぶっちゃけコロニーレーザー並の極太エネルギー波が放たれた。予想など出来ようもない馬鹿馬鹿しい程の威力のそれは光の槍など歯牙にもかけぬように一瞬で飲み込む。間一髪難を逃れた男に対し、コカビエルはやはり回避しきれず翼こそ無事だが右腕と右足が光に飲まれ消し飛んだ。

 

 

「があァァァァァッ!?」

 

「おいおい殺す気か?ていうか何だよあの馬鹿げた威力。反則だろ」

 

 

さしものコカビエルも激痛に悲鳴を上げ、男も笑みを崩さないが冷や汗を大量に流している。それを引き起こした張本人らはと言うと……

 

 

 

 

 

「先輩……あそこから飛び降りるのは分かるし、合体技も分かる。だがアーブギア(それ)を纏う必要はあったのか?」

 

「どうやら地球では月夜の晩に美少女戦士を助ける場合、タキシードを着て仮面を着ける風習があるらしい。生憎と俺にタキシードは似合わんし、巌勝と合流した時も持っていなかったから仕方なくこれにした」

 

「そんな風習があるのか!?」

 

「我も知らなかった」

 

「ウルトラ初耳です超師匠」

 

 

何だその奇跡のロマンスなアムロボイス仮面情報は。断っておくが無論そんな風習があるわけ無い。ついでにこれをレジェンドに吹聴したC.C.や乱菊は後日グレイフィアや卯ノ花にこっぴどく叱られた。信じる方も信じる方だが。

 

 

「「レジェ「グリッターナイトさん!!」……え?」」

 

 

安心したカナエやアーシアがレジェンドに駆け寄ろうとするより早く、朱乃が笑顔でレジェンドに駆け寄っていた。彼女のそれは間違いなく恋い焦がれる少女のそれだ。

 

 

「おいサーガ、グリッターナイトって誰だ?」

 

「おそらく先輩だろう。その見た目、アーブギアが原因だな」

 

「そういえばヒカリの奴もハンターナイトツルギとか名乗ってた時があったな。あいつそれ言う度に黒歴史だーって悶えてたけど」

 

 

しかし、レジェンドはこの少女にあった事なんてあったか?と思っていたらそういえば以前はぐれ悪魔とやり合った時いたような……と思い出したが、あの時はテクターギアだったしこういう表情する理由でもないんじゃね?といまいちピンと来ない。そこで朱乃が笑顔のまま、漸くレジェンドが思い出すきっかけを言い出してくれた。

 

 

「あの、だいぶ前の事で覚えてらっしゃるか分かりませんが……神社で母娘を助けて下さったのを覚えてますか?その時、突然金色に光り輝いて……」

 

「神社で母娘を助けて金色に?……あ」

 

 

レジェンドはやっと思い出した。この世界へ再びやって来たあの日、変質者(仮)にグリッターゼペリオン光線を生身で発射した事を。しかもウルトラマンらしく飛び去った事まで。

 

 

「そういや昔それっぽい現場で、父親らしき堕天使が帰ってきたから質問攻めされる前にとっとと退散した気がする」

 

「はい!その時、母と共に助けて頂いた娘の朱乃です!やっと……やっとお会い出来た……」

 

 

感極まって涙を流し始めた朱乃。レジェンドは一先ず落ち着かせようとするが、強烈な悪寒を感じてそちらを向くとアーシアは涙目で頬を膨らませており、カナエに至っては痣こそ出てないが笑顔で赫刀を構えている。

 

 

「むう〜……」

 

「さてレジェンド様?私、朱乃とレジェンド様が知り合いだったなんて聞いてませんよ?」

 

「オイィィィ!?アーシアは可愛いけどカナエはソレ武器作った本人に向けちゃ駄目だからね!しかもホント知り合いレベルっていうか時間にして一時間も一緒にいなかったし!というかまともに会話したのたった今が初めてだ!!だからそのゴオオオオとかいう呼吸音やめろォォォ!!」

 

 

日の呼吸をレジェンドに叩き込む気満々のカナエ。正直コカビエルとの戦いの時より強そうな気がする。オーフィスはオーフィスでアーシア同様頬を膨らませながら抱きついている首に回した腕に力を込めていた。

 

 

「う〜……」

 

「ちょ……おまっ、締まってる!締まってるから!柔らかくて良い匂いとかそういうの感じる間もなく気道が狭まってきてるから!!オイ!赤くなるのは良いけどせめて腕の力緩めろ!!アレ!?京都で似たような状況になってなかったっけ!?そうだよ旅館で畳に慣れなかったスカーサハがうつ伏せで俺の顔面に乗っかってきたあの時だよ!!つまり俺ピンチ!?味方のピンチを助けに来て味方にピンチにされるとか笑えな……ごふッ……」

 

「うわあああああ!?超師匠しっかり!オーフィスちゃん、超師匠の首リリースリリースゥゥゥ!!」

 

 

格好良く登場したのが全部ウルトラ水流によって流れていった。ゼットによってなんとか救出され、息を整えるレジェンド。その際アーブギアを解除して素顔になったところ、朱乃が「あらあらまぁまぁ」と更に頬を赤く染めながら悶えていた。そして、もう一人。

 

 

「……ソランさん」

 

「小猫か。見たところ怪我は無さそうだな」

 

「……はい。あの……」

 

「詳しく説明してやりたいのは山々だが、一先ずこの場を切り抜けてからだ」

 

「約束、ですよ」

 

「ああ」

 

 

短い言葉だったが、二人には十分だった。やはりダイブハンガーで黒歌が何かを察知して小猫の元に向かおうとしていたが急加速した直後、すれ違うタイミングで急加速したゲンのラリアットを受けて気絶した。ゲンのガチラリアット受けて大丈夫なのか黒歌。

 

 

 

 

 

一方の三日月とバルバトスの方もかつてない心強い援軍を迎え、エグリゴリ殲滅に気合が入る。

 

 

「巌勝さん、それで初めての実戦、やれそう?」

 

「受領以来訓練は欠かしていない。任せろ!」

 

 

巌勝の駆る、神衛隊初のターンタイプMS・ターンXが月を背にツインアイを光らせる。残っていたエグリゴリはターンXへと向かって行くが、ターンXは背中のウェポンプラットフォーム『キャラパス』から専用のビームライフルを取り出し、横薙に一閃。一瞬で迫り来るエグリゴリを殲滅してしまった。たった一発で。

 

 

「フン!この程度で月の侍である私に挑むとは片腹痛い!」

 

「やっぱりああいうのにはビームの方が強いな。俺も今度束姐さんに何か作ってもらおう」

 

 

バルバトスの周囲に残っていたエグリゴリも最後の一体が叩き潰され、再びコカビエルと堕天使の男のみになる。後者はまだまだ余力はありそうだが、コカビエルは右腕右足を失い、かつそれまでのダメージもあって戦闘続行出来る時間も少ないだろう。

 

 

「あれは……ペドロの人か?」

 

「「「「「ペドロの人!?」」」」」

 

「「だからペドロの人って何!?」」

 

 

おいたわしや兄上。巌勝はゼノヴィアにペドロの人と認識されてしまったままの為、理由を知らないリアス達や既に一度そう呼んだのを聞いている一誠や裕斗は盛大にツッコんだ。

 

 

「その映画に関してはそこの堕天使二人をどうにかしてから見に行くとしようか。もっとも片方はすぐに済みそうだがな」

 

「貴様はっ……!新入り!始末したのではなかったのか!?」

 

「生憎とあの場に居たんじゃ俺も魂喰われたかも知れないんでね。『鬼』に任せてさっさと退散したんだが……まさか無事生還するどころか、とんでもないモノを持ち出して来た上にとんでもない連中連れて来るなんて流石に規格外過ぎやしないか?」

 

「笑止千万!!生還どころか鬼討ちしてやったぞ、あのカゼキリはなァ!!レジェンド様が完成させ、サーガ様より賜りし鬼神刀と!オーフィス殿とゼット殿、そしてレジェンド様の助力もあった以上、私が敗ける道理など皆無!!」

 

「……そもそもおたくそんな性格だっけ?」

 

 

堕天使の男もまさか呼び出した鬼を討伐するとは思いもよらなかったが、先刻会った時と明らかに性格が違い過ぎる。それは一誠や裕斗、小猫はもちろん、シミュレーター搭乗時の巌勝を見ていないカナエやアーシアも同意見だった。

 

 

「な……なぁ、巌勝さん性格違くねーか?ファミレスとか、あの廃教会で会った時は冷静で縁壱先生と似てたのに今はこう……勢いあり過ぎっていうか……」

 

「え?どういう事なの?」

 

「私も分からないわ、リアス」

 

「……ありゃ御大将モード入ってるな」

 

『御大将モード!?』

 

 

レジェンドが零した一言に全員が食い付いてきた。三日月は知っているようで、レジェンドの言葉を補足する。

 

 

「巌勝さん、ターンXに乗ると何でかハイテンションになるんだ。しかもそれ以外何もなくて、本当にテンションが上がるだけみたい。それでその言動や巌勝さんの生まれから付いた名前が御大将モード」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

ちなみに他のMSや機体では起こらない。マジでどうなってんのアレは。

そしてコカビエルは忌々しげにターンXを睨みつける。その手に光の槍を作り出しながら。

 

 

「貴様さえいなければ……!貴様さえいなければ俺が翼を失う事もなく!今もこうして余計な邪魔が入る事も!腕や足を失う事も無かったのだ!!」

 

「戦場でなァ!!お前がいなければと相手に八つ当たりする時というのはなァァ!!己の未熟さを棚上げしている甘ったれな青二才が言う台詞なんだよ!!」

 

 

兄上、ノリノリである。しかしその意見は的を得ていると納得してしまう。自身の力不足を相手のせいにしたところで能力が上がるわけでもない。常に格上を超えんと死にものぐるいで努力を重ね続ける巌勝が言えば、それは正しく迫力を増す。

 

 

「黙れぇ!!そのガラクタ共々果てるがいい!!」

 

 

コカビエルは巌勝の言葉に激昂しつつ、光の槍をターンXに放つが、それはターンXに届く前に消し飛んでしまう。そう、光……即ち『ビームと認識された』からだ。

 

 

「な……んだと……!?」

 

「フハハハハ!!その程度でこのターンXのIフィールドを抜けると思ったか!?浅はかなりコカビエル!!」

 

 

本来、MSのジェネレーター出力は高くても3000〜4000kW前後と言われている。それ以上の出力を有する機体となると巨大MSや大型MAクラスになる。代表的な機体ではサイコガンダムが33,600kW。40mの巨体にビーム兵器を多数搭載し、Iフィールドまで持っている故にその凄まじさなのだ。

 

しかしターンXはその比ではない。約20mとサイコガンダムの半分のサイズにも関わらず、その出力はなんと68,000kW(±5000〜500,000+)

W換算で推定値とはいえ倍どころか十倍以上にもなる化け物通り越して異常な出力である。Iフィールドの出力もこれに基準する為、よっぽどでなければビームでは装甲表面に到達さえ出来ないのだ。ついでにサイコガンダムより出力が高いビグ・ザムは35,000kW×4で140,000kW。これを見てもらえればターンXがどれだけ馬鹿げた出力を有しているか御理解頂けるだろう。

 

 

「……こりゃ、そろそろ引き上げた方が良さそうだ」

 

 

堕天使の男は諦めたように呟いた。しかし、コカビエルは納得していない。

 

 

「巫山戯るな!俺は引かん!尻尾を巻いて逃げたければ貴様一人で逃げるんだな!」

 

「戦略的撤退、そう言ってほしいね」

 

 

やれやれ、とコカビエルに呆れる堕天使の男。

だが……ここで衝撃的な事が起こる。

 

 

「しかしまあ、このままじゃそれも一苦労だしアンタが消し飛ばされる可能性も無きにしもあらずだ」

 

「フン、だから仕方なく手を貸すとでも言う気か?そんなもの「しないってそんな事」……ならば何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタが死ぬ前に―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翼を全て貰っておこうと思ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男の生み出した赤い四本の光の剣が、コカビエルの背に残っていた八枚の翼を全て斬り落とした。

 

 

 

〈続く〉




いよいよ次回、ウルトラマンへの変身になります。
オーブやタイガだけでなく久々にあの人も変身します。ヒントは匙の家族達がファンなウルトラ戦士。
それから堕天使の男(分かる人にはバレバレ)の関係者。名前の呼び方から関わり合いのある二人もなんとなく予想出来ると思います。

しかし……しのぶさん大人気だな。私も好きですが。

それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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