ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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大変お待たせしました。
ウルトラ四戦士&神衛隊VS二大魔王獣、激突と決着です。普段ならありえないような組み合わせと共闘(そもそも兄上がMS乗ってる時点でアレですが)という事もあってかなり時間がかかってしまいました。申し訳ないです。
やっぱり尺考えたらマガパンドン戦とマガバッサー戦分けた方が、とも思いましたがここまで来たら書ききってしまえと決着まで行きました。
次回はさすがにここまでは長くならないかと。

あとウルトラマンZ、2020年ネット流行語大賞第六位おめでとう!(本作では)店長も確か40位半ばに見事入賞してた!こっちもめでたい!


それでは本編をどうぞ。


絆、次元も時間も超えて

 ウルトラ戦士四人にターンXとバルバトスを加えた連合軍と、二体の魔王獣による決戦が始まろうとする頃、紫藤イリナはレジェンド一家の仮住居の一室にあるベッドで目を覚ました。

 

 

「う……あれ?ここは……病院じゃないわよね」

 

 

誰かが治療してくれたのであろう、傷は塞がっているものの痛みが残る身体を気力で動かし部屋から出ると、すぐ目の前にリビングが見えた。そこにあるソファーに二人の女性が座り、テレビにある映像を映して見ていた。

 

 

「ふむ、どうやら今回の件も大詰めらしいな。ゼットと言ったか?あいつが巨大化してあそこにいるという事はレジェンドが変身したのか。てっきり生身のまま自分でどうにかしてしまうかと思ったが」

 

「現状、あの方が自ら動く場合というのは限られるでしょう。おそらく彼に実戦経験を積ませる意味で変身したのではないかと。相手が格上であればあるほど、一瞬一瞬のやり取りが重要になり、そこから多くの事が学べるハズです」

 

「……学ぶ前にくたばらんといいがな」

 

「そこはレジェンド様がなんとかしますよ」

 

 

会話していたのは無論、C.C.と卯ノ花だ。

こっそりイリナがその映像を覗こうとすると、二人して平然と声を掛けてきた。

 

 

「おい、忍者の真似事なんてしないで普通に見れば良いだろ」

 

「うひゃぁい!?」

 

「目が覚めたようで何より。彼女の言う通り堂々としてくれて構いませんよ。私達が今見ているのは、貴女も関わり合いのある事件の最終局面ですからね」

 

「え!?あ……あれ?私の、その……荷物とかは?」

 

 

すると気怠そうにC.C.はイリナに顔を向けて答える。ちなみにその時、彼女の顔を見たイリナはその顔立ちを見て(イッセー君の好みのタイプっぽいな)とか思っていた。C.C.本人の想いはレジェンドに向けられているのだが。

 

 

「お前を運んで来た奴も、その時のお前も今お前が身に着けているものしか運んで来てないぞ。大方聖剣の一本でも持ってたんだろうが、そんなものはあの風来坊とやらも持って来ていない。吹っ飛ばされたかなんかしたか知らんがその時に手元を離れたところを奪われたとかなんかしたんだろ」

 

「そ……そんな……!」

 

「それに関しては問題ありませんよ。そちらは後で詳しく説明しますが、今はこちらを御覧になってはどうですか?」

 

 

にこやかにイリナを誘う卯ノ花。イリナがその映像を見るとそこには巷でひっきりなしに話題になっているウルトラマンという巨人が四人、さらに巨大ロボットが二機。それに相対するように二体の怪獣が映っている。

 

 

「え……!あれって噂のウルトラマンってやつじゃ!?それに何あのロボット!しかも何かヤバそうな怪獣らしきものも出てるし……」

 

「これリアルタイムで展開されてる状況だぞ」

 

「はひぇっ!?」

 

 

さっき変な声が出たばかりだというのにまた出してしまった。確かにC.C.の発言にはそれだけの威力があったし、仕方がない事である。

 

 

「軽く説明しておきましょうか。三日月さんから情報が先程まで逐次送信されて来てましたので」

 

「三日月さんって……あの日、私とゼノヴィアにご飯奢ってくれたあの人達の一人……」

 

「ああ、そういえばあいつそんな事言ってたな。あとペドロがどうたらこうたら」

 

 

これを聞いてイリナは若干凹む。仕方ない、金欠の原因は主に彼女なのだし。

 

 

「話を戻しますよ。三日月さんからの情報によると奪われたエクスカリバーは統合された後、聖剣デュランダルにより核を残し破壊。使用者フリード・セルゼンは両目を貫かれ、さらに身体を大きく斬られ戦闘不能。バルパー・ガリレイは三日月さんの駆る機体によって文字通り叩き潰されたそうです」

 

「なるほど、そいつはミンチか潰れたトマトになったわけか」

 

「ミッ……!?」

 

 

想像してしまい、青い顔で口元を抑えるイリナ。近くで見たら間違いなくトラウマになるだろう。さらに卯ノ花は続ける。

 

 

「その後、コカビエル及びもう一人の堕天使と交戦。その戦闘中にレジェンド様、サーガ様、オーフィスにゼットさん、そして巌勝さんが乱入する形で合流。その後、コカビエルはもう一人の堕天使……あら?字が変わってますね。まあいいでしょう。そのもう一人に翼を全て刈り取られ、バルパーの死骸諸共その人物が投げ落とした何かにより融合・変容しあのようになったようです。あちらの双頭の方ですね。もう一体はそのコカビエルの翼の一つが変容したものらしいですよ」

 

 

イリナは開いた口が塞がらなかった。自分が倒れていた間に目まぐるしく事態が二転三転している。バルパーは死に、コカビエルも翼を全て失くしてバルパー共々怪獣化。フリードはおそらく瀕死で、もう一人の堕天使は裏切った。最後に関しては元々単に利害一致とかそんな感じだっただけで裏切るのとは違う気もするが。

 

 

「それから最後に一つ。あの筋肉系ウルトラマンのタイタスは兵藤一誠が変身しているぞ」

 

「ふぇいっ!?」

 

「お前は何かと変な声出しすぎだ」

 

 

もはやこの場で全ての情報を整理するのは無理そうだ。C.C.の言う通り、衝撃的な事が多過ぎて変な声ばかり出てしまっているので、大人しく状況を見守る事にする。

 

 

「ところでこれ、テレビでやってるんですか?」

 

「そんな訳ないだろう?ある物を持った連中の周囲の現状を出力してるだけだ。どのチャンネルでもやってないぞ」

 

 

うん、もう理解出来ない。とりあえずこの家に住むメンバーが色々非常識スペックなんだとだけは分かる。イリナはそこにいる二人が以前自分達をフルボッコにした片割れであるカナエの関係者であり、おまけに卯ノ花に至ってはカナエすら霞む実力者だとは、今だ露知らずの状態であった。

 

 

 

 

 そして激戦の場、駒王学園。

二体の魔王獣に対抗すべく、既に二手に分かれて戦闘が開始している。

マガパンドンへはオーブ、タイタス、ゼットが。

マガバッサーへは80、ターンX、バルバトスが。

見ているだけしか出来ない歯痒さを感じつつも、リアスらは目を離さず見守っている。

そんな中、アーシアとカナエは……

 

 

「あの、カナエさん。カプセル怪獣のゴモちゃんやモスちゃんならレジェンド様達の手助け出来るんじゃないでしょうか?」

 

「アーシアちゃんのアイデアは私も考えたの。でも……見て、アーシアちゃん」

 

 

何故か深刻な顔でカプセルの中を映してみると……

 

 

『……きゅー……きゅー……』

 

『……がぅ……んぐぅ……』

 

「二匹とも既にぐっすり夢の中よ」

 

「あぅ……起こすの躊躇しちゃいます……」

 

 

頼みの綱のゴモラとグリーンモスラは暫く呼ばれぬままカプセルの中にいたのでお休みモードになってしまい、二匹を可愛がっている二人は仕方無しに断念した。

 

 

 

 

 

「……ゴジラ、行ってくる?」

 

『別にいいがこんな狭い戦場じゃ周りの連中も巻き添えくらうだろうな。そうしたらオレ様はもちろん、呼び出したお前もレジェンドに怒られて、最悪嫌われるぞ』

 

「嫌。絶対嫌。それだけは嫌」

 

 

ゴジラを呼び出そうとしてたオーフィスも、ゴジラ自身が自分の戦闘力を危惧してオーフィスを諭し、レジェンド一番家族が二番な彼女は簡単に呼び出しを止めた。

 

 

 

 

 

 オーブ、タイタス、そしてゼットの戦っているマガパンドンはかつてオーブに一度は捨て身の戦法を取らせた程の強敵だ。今相手にしているのは亜種とはいえ、頭脳や素の力は元となった存在に起因し、本来のマガパンドンよりも強化されているだろう。

だがオーブとてそれは同じ事、当時とは違い本来の姿とオーブカリバーを取り戻し、さらに味方にはタイタスとゼットもいる。

そして何より、レジェンドから異常現象の事を知らされて以来、あの日からウルトラ戦士達はさらなる特訓を重ね続けていた。故に彼らは皆以前より大きく戦闘力を増しているのだ。

 

 

「俺が先行して隙を作るんで、お二人はそこへウルトラ凄い一撃を頼んますです!」

 

「よし!ならば二番手は私が引き受ける!」

 

「最後は俺だな。オーブカリバーなら一撃でもかなり効くはずだ。二人とも、行くぞ!!」

 

「「おお!!」」

 

 

オーブの号令で三人がマガパンドンへと突撃する。この中ではアルファエッジとなったゼットが一番素早さに優れている。使用したウルトラメダルの力の他に、少なからず人間体のレジェンドの能力もプラスされているからだ。

 

 

「デヤアァァァ!!」

 

 

勢いを付けた飛び蹴りがマガパンドンへと炸裂する。

ある程度予測出来ていたからか、その場でなんとか踏み留まりマガパンドンは目の前のゼットに反撃を試みるが、反撃される前にゼットは連続パンチからのハイキックでマガパンドンを後退させる。多少は効いているが、目に見えるダメージにはなっていない。

 

 

『ゼット、そろそろタイミングだ。相手の意表を突いてタイタスと交替!』

 

「ラジャー!!」

 

 

レジェンドの指示を受け、攻撃しようとしていたマガパンドンの胸の部分にドロップキックをかまし倒れなかった事を良しと考え、そのまま足場代わりに蹴飛ばしつつ大きく後方へバク宙する。

 

 

「ゼットさん、新体操の選手みたいに軽やかです!」

 

「元々体育系な上、ゲンさんやレイトくんだけじゃなくてセブンさんも武闘派って聞いてるから、メダルっていうののやつで一番相性が良いのね」

 

 

レジェンドが一体化している事と相まってアーシアが嬉しそうに言う。カナエも冷静に分析しているもののどことなくアーシア同様嬉しそうだ。朱乃も言葉こそ発していないが笑顔でゼット(正確には一体化してるレジェンド)を目で追っている。

そしてそのバク宙で後退するゼットの真下をすれ違いながら、今度はタイタスが拳を構えマガパンドンに迫る。

 

 

「次は私だ!覚悟しろ魔王獣!!」

 

 

少しでも距離があれば違ったがタイタス接近のギリギリまでゼットが粘り、しかも普通に後退するのではなく最後まで隙を作ってからのアクロバット交替だった事でマガパンドンの防御や反撃が遅れてしまう。

 

 

「賢者の拳は全てを砕く!」

 

 

強く握りしめられた右拳から繰り出される剛拳がマガパンドンの腹部に突き刺さった瞬間、マガパンドンは大きく吹き飛びダウンしてしまった。ワイズマンフィスト―タイタスにとっては鍛え抜かれた身体から繰り出される一撃一撃全てが必殺技のような威力だ。スピードこそトライスクワッドで最も遅いがそれを補ってあまりあるパワーと防御力を誇る。

 

 

「なんというパワーだ……!一発でマガパンドンという怪獣からダウンを奪った!」

 

「さすが日頃から筋トレしてるだけあるわ!」

 

「……まだ神器使ってません」

 

 

ゼノヴィアやリアスがタイタスへ驚きと称賛を向けるが、小猫の言う通りタイガがデガンジャ戦のラストにて一誠の神器たる『赤龍帝の籠手』を使用した事を考えるとさらに威力を増す可能性も秘めている。恐るべしウルトラマッスル。

 

 

「「ガ……ァァァァ!!」」

 

「ふんっ!!」

 

 

マガパンドンは起き上がりながら火炎弾を吐き出しタイタスへと命中させるものの、当のタイタスは堂々と己の肉体を強調するように大胸筋で弾いて見せる。

 

 

「「「「「はい!?」」」」」

 

 

確かに驚くだろう。魔王獣クラスの攻撃を、全力でないとはいえノーガードで直撃して無傷。小猫は「そういえばイッセー先輩は禁手化で攻防速どれか選んで倍化出来た」と思い出していた。フーマが言っていたように、タイタスが一番神器と相性が良いように思える。弱点をフォローするか、長所を伸ばすかすぐに判断しやすい。

 

 

「「グルオォォォォ!!」」

 

「それを待っていた!」

 

 

火炎弾が効かなかったタイタスへ直接攻撃すべくマガパンドンが突進して来るが、タイタスは横へ飛び側転で回避する。その後ろに控えていたオーブが絶妙なタイミングでオーブカリバーを振り抜き、マガパンドンを深々と斬り裂いた。

 

 

「「グガァァァ!?」」

 

「お前の元になった奴同様、こっちはチーム戦だって事を理解してないみたいだな!まだ終わりじゃないぜ!」

 

 

オーブはオーブカリバーのカリバーサークルを回して土の紋章の所で止める。さらにトリガーを引き、大地に突き立てる。

 

 

「オーブグランドカリバー!!」

 

 

地を這いながら円を描くように二つの光線がマガパンドンを襲う。近距離であった為に防御も取れず直撃したマガパンドンは再度倒れ込んだ。

 

 

「あれが……聖剣オーブカリバーの真の力……!エレメントを使った必殺剣なんだ!」

 

「グランド……土という事は少なくともあと三種類はあるのか、あれだけの威力を持つ技が……!」

 

 

彼にとって憧れだったヒーローの技を見た裕斗は興奮気味に叫び、ゼノヴィアはまるで『破壊の聖剣』の如き技がまだ数多の剣技の一つに過ぎない事に驚愕する。ただでさえタイタスの一撃より重いオーブカリバーの一太刀に加え、エレメントを使用したその技はマガパンドンに多大なる痛手を与えた。

これが銀河という広大な舞台で激戦を繰り広げ、打ち勝ってきたウルトラマンオーブの実力。

実力や経験の差異はあれど、三人のウルトラマンは即席にも関わらず見事な連携でマガパンドンを圧倒していた。

 

 

 

 

 三人のウルトラマンがマガパンドン相手に優位に立っている頃、80及び二機の神衛隊所属のMSとマガバッサーの戦いはやはり空中戦へと移行していた。

夜の駒王上空を飛ぶマガバッサーを先行して80が追い、その周囲を巌勝の駆るターンXがフォローの為に飛翔する。少しバルバトスが追う形になっているがこれは仕方がない。

 

バルバトスはネオ・ガンダム・フレームとして再開発された際に装備された、大型のバックパックの折り畳み式の可変ウイングを展開して飛行しているが、宇宙ならともかく本来地上型のバルバトスが空を飛ぶという経験が三日月自身に少ない為である。新生阿頼耶識システムの関係上、翼を動かすイメージで操縦は出来るがテイルブレードと違ってまだ感覚がいまいち掴めないらしい。

加えてメイン武装である可変式超大型メイスの重量の関係もある。元々身軽な80や、IFBDという特殊動力であり全地形万能型のターンXに比べると、どうしても遅れが出てしまう。

 

 

「ごめん二人とも、俺ちょっと遅れる」

 

「気にするな三日月!バルバトスの長所は陸戦における機動力の高さのみならず、絶大な攻撃力にある!私達の攻撃で隙の出来た奴に、その鉄塊で強烈な一撃を与えてやれ!!」

 

「ああ、彼の言う通り牽制は僕達が受け持とう。狙うなら頭か胴だ!」

 

「分かった……!」

 

 

80の約半分程の大きさしかない二機のMSだが、サーガから事前に貰っている情報に間違いがなければどちらも戦力としてこの上ない強力なメンバーだ。事実、極めて出力が高く自分の速度に平然と付いてくるターンXや、町を破壊する程の魔方陣を一撃で物理的に粉砕したバルバトスは文句無しの性能だ。さらに、三日月はMS戦歴が長く、対する巌勝は生身での戦歴が長い。形は違えど様々な形で現状に対応出来るベテランである。

 

 

「マガバッサーが方向転換してきたか……!」

 

「まずはこちらが先制を取って場を掌握する事から始めるとするか!準備は宜しいか80殿!?」

 

「もちろんだ、巌勝さん……で間違いないかな?」

 

「間違いなし!では行くぞ、マガバッサーとやら!」

 

 

町の上空である以上、確実に当てねば他所に被害が出る可能性のあるバズーカではなくビームライフルをキャラパスから取り出すターンX。80はマガバッサーに対して正面から突っ込んでいく。

マガバッサーは身体を傾けてその翼を使い刺突するように突進して来るが、80の放ったウルトラダブルアローを回避すべく体勢を戻したところへターンXのビームライフルより放たれた閃光が迫る。これをその場でホバリングする事でギリギリで回避したマガバッサーだったが、突如頭部を凄まじい衝撃が襲った。

80とターンXがマガバッサーを引き付けている間に、進路を変更したバルバトスが背後へと回るように大きく迂回しつつ接近していたのだ。

 

 

「まだだ……!もう一撃!」

 

 

先程とは逆方向から、まるで往復ビンタのように再度メイスを振り抜きマガバッサーの頭部を強打する。メイス自体が巨大かつ頑強であり、バルバトスの出力もあってこれによる急所狙いは抜群の効果だ。

 

 

「ギィッ……!ギアァァァッ!!」

 

「……!くっ……!」

 

 

マガバッサーが苦し紛れに翼から放った突風でバルバトスは吹き飛ばされるが、ターンXが後ろから受け止めさらにそれを80が二機をまとめて受け止めた。

 

 

「三日月さん、大丈夫か!?」

 

「うん、お陰様で。ごめん、二発しか叩き込めなかった」

 

「いや、十分!頭部にあれだけの打撃を受けた奴は、おそらく脳にも多大なダメージが入っているはずだ!今のうちに再度隙を作り、そこへ一気に必殺の一撃を叩き込めば勝負は決まる!!」

 

「ああ、その証拠に今のマガバッサーは飛行が安定していない。君が作ってくれたこの好機、奴が調子を取り戻す前にケリをつけよう!」

 

 

謝る三日月を逆に称賛で返す80と巌勝。攻撃や回避機動を両立していた両名に対し、攻撃のみに集中していた三日月とバルバトスだからこそ出せた威力だ。

ならばもう一度、今度は生まれ変わったバルバトスが誇る()()の武器を持ってマガバッサーを粉砕する。三日月はそう決意し、二人に提案した。

 

 

「80さん、巌勝さん。面倒をかけるけど、もう一回チャンスがほしい。あいつを地上に落とせる?」

 

「僕一人では時間がかかるかもしれなかったが、巌勝さんが一緒ならばそう問題もなく出来るはずだ。何か策が?」

 

「……バルバトスの切り札の一つを使う。それならあいつを確実に潰せる」

 

「なるほど、アレか……良かろう!ならば我らはその道を切り開くのみ!」

 

 

巌勝の言葉と三日月の決意に理解を示した80は頷き、今だダメージが尾を引いているマガバッサーへと向き直る。

 

 

「すぐに地上に叩き落とす!三日月は準備に入れ!」

 

「君を信じるぞ!奴の翼は僕らが封じる!」

 

「分かった……!」

 

 

光の国の精鋭と、神衛隊別分隊の同僚……二人からの信頼を受け、三日月とバルバトスは地上へと向かう。いよいよ決着の時が迫って来た。

 

 

 

 

 地上でのウルトラ戦士三人とマガパンドンの戦いも大詰めを迎えている。オーブグランドカリバーを受けた後、続けてオーブウォーターカリバーを喰らい、さらにゼットの怒涛のラッシュとタイタスから重い一撃を幾度と受けたマガパンドンは、遂に奥の手を出してきた。

光の槍などを使用する堕天使を素材としたからか、なんと炎ではなくレーザービームを口から発射してきたのだ。突然の事に驚いたとはいえ、オーブはなんとかオーブカリバーを盾代わりにして防いだものの、ゼットとタイタスはまともに受けてしまう。

 

 

「ぐあぁぁぁっ!?」

 

「ぬおぉぉぉっ!?」

 

 

タイタスは鍛え上げられた肉体の為、強い衝撃を受けた感じで済んだがゼットはそうもいかなかった。元々未熟な事に加えてアルファエッジは高水準のバランス型とはいえ基本はスピード重視の形態であり、パワー型の相手の一撃は予想以上にダメージを喰らうのだ。

初めてのウルトラフュージョンである事、さらに休憩したとはいえカゼキリとの戦いの後という事もあり先程の攻撃―マガレーザーの直撃を受けたゼットのカラータイマーが点滅を始める。

 

 

「っ!あれは……!」

 

「ゼットさんの胸のところが光ってます……何か知らせてるような……」

 

「……ゼットのエネルギーが危険域に入った事を示しているんだ」

 

『!?』

 

 

サーガの一言でリアスとソーナ、オーフィス以外は驚愕した。リアスとソーナは二人の家族の元に送られて来た記録映像から、オーフィスはレジェンドから直接その事を聞いている。説明もされていない為、知らずとも仕方がない。てっきり相手が強敵だと知らせるものかと思っていたが、実際は残りのエネルギー量を知らせる命の危険信号だったのだ。

 

 

「待ってください!確かゼットさんはレジェンド様と一体化してました……ゼットさんが危険だと言う事はつまり……」

 

「アーシアの予想通り、先輩も危険だという事になる」

 

「……っ!?」

 

「それって……タイガやタイタス、フーマの場合でも……」

 

「三人と一体化しているあの少年の場合も同様だ」

 

 

アーシアとリアスはこの事実に青褪めた。リアスの知るタロウやセブンはどちらも一体化ではなく本人だった為、変身時に危険な目に合えば人間体でもその影響が出るのは納得だったが、今は違う。今戦っている方が命を落としたら、もしかしたら一体化しているもう片方も命を落とす可能性がある。

だが、そんな二人を始めとした面々の不安を取り除くかのように言葉をかけたのはカナエ、オーフィス、そしてサーガであった。

 

 

「アーシアちゃん、リアス、そんな顔しないの。彼らが必死で戦っているのに見ているだけの私達が不安になってもどうする事も出来ないわ。タイタスさんの方はオーブさん同様まだ余裕あるみたいだし」

 

「で……でもそれじゃあゼットっていうウルトラマンの方は……」

 

「レジェンド言ってた。ゼットは逆境でこそ真価を発揮出来る。我と巌勝とゼット、それからレジェンドでさっき鬼と戦った時もそうだった」

 

「え……?」

 

「マガパンドン……奴は今の攻撃で少なくともゼットだけでも戦闘不能にすべきだった。この状況、ゼットがその可能性を見せつける絶好の場となる」

 

 

ゼットの可能性、それはゼロも認めた秘めたるポテンシャルの高さ。普段は空回りしているが、特定の条件下でそれが一気に爆発するのだ。逆境はその条件の一つ。

 

そして、ゼットが動いた。

 

 

「……レジェンド超師匠、ウルトラすいません。身体も力も借りといてアレですがウルトラ無茶します」

 

『ふっ……ノアやキングのおふざけではなく、若い次世代の芽が育つ為なら無茶ぐらい許容範囲だ。妥協するな、やるなら全力で行け……!』

 

「オーライ!!」

 

 

レジェンドからゴーサインが出たゼットはマガパンドンへ向けて走り出す。

 

 

「なっ……待て!ゼット!!」

 

「その状態ではヤラレに行くようなものだ!下がりなさい!!」

 

「俺が繋ぎます!!」

 

 

オーブとタイタスは止めようとするが、直後ゼットの気迫が込められた一言でハッとする。

 

 

「俺がお二人の必殺の一撃まで奴を引きつける!今の俺じゃ奴にトドメを刺すような攻撃力は出せない。だから、俺がやるべき事は先輩方が確実に奴を倒せるよう、必殺技の発動まで場を繋ぐ事だ!お頼みございましょうお二方!!」

 

 

最後の最後でゼット語が炸裂し台無しになりかけたが、オーブとタイタスは良い感じに緊張感が抜け、ゼットの思いを汲んだ。

 

 

「分かった!お前が作ってくれたこの瞬間、無駄にしないぜ!!」

 

「実力はまだ未熟かもしれない。だがその闘志と覚悟、紛れも無くウルトラ戦士のものだ!イッセー!今度は私達も力を振り絞るぞ!!」

 

『おうよ!やってやろうぜ、タイタス!!ドライグ、準備出来てんな!?』

 

『ああ、相棒より肉体的に完成している分、倍化回数は上回るかもしれんぞ』

 

 

限界が近づく中、先程よりも熱い闘志を持ってマガパンドンへ向かって行く後輩の背中に触発され、オーブとタイタス、そして一誠とドライグも奮起する。そしてタイタスの左腕にはタイガの時同様『赤龍帝の籠手』が装着された。

 

 

「凄まじい力を感じるぞ……!ウルトラマッスルならぬドラゴンマッスルだな!」

 

『まあ、普通に褒め言葉で受け取っておく』

 

 

悪く言われているわけではないし、タイタスは純粋に褒めているので彼らしい言葉だとドライグは納得する。

同時にオーブもオーブカリバーの力を解放し、自身の最大の必殺技の発動準備に入る。

それを妨害しようと再びマガレーザーを放とうとするまかだったが、それに合わせてゼットがあるものを作り出した。三本に増えたゼットスラッガーの二本から発生させた光波の刃を稲妻状のエネルギーで連結させヌンチャク状にし、それを高速回転させて盾のようにしたのだ。

アルファチェインブレード―アルファエッジの特徴的な技の一つである。

 

 

「デヤアァァァ!!」

 

 

かつて闇のベリアルがゾフィーのM87光線をギガバトルナイザーを回転させて弾いたように、マガレーザーを弾きながら突進するゼット。マガパンドンもあまりの気迫に少し後退するが、その隙を見逃さずゼットは空高くジャンプし、レオやゼロと同じタイプのキック技であるアルファバーンキックを叩き込んだ。

 

 

「「ゴアァァァ!?」」

 

「うぐっ……」

 

 

マガパンドンは予想外の威力に後ろへと倒れ込むが、さすがにここでゼットに限界がきたらしく膝をついてしまう。

 

 

「もう十分だ!無理せず下がれ、ゼット!」

 

「俺に構わず……今がウルトラチャンスです……!」

 

 

ゼットはそういうものの、今撃てば間違い無くゼットは巻き込まれる。しかも今のゼットはまともに動けない。このままでは……と思った矢先、マガパンドンが起き上がってゼットを狙う。オーブもタイタスも既に必殺技を放つ準備を終えており、ゼットの言葉通り彼ごと撃つしかないと覚悟を決めた。

 

 

 

しかし、この土壇場で思いもよらぬ援軍が駆けつけた。

 

 

 

―踏ん張れ!相手から目を離すな!―

 

 

 

この声は、とゼットがハッとなると、夜空の月をバックにマントを靡かせながらあるシルエットが。

 

 

 

 

 

「俺の弟子を語るなら、根性見せやがれ!!ドリャアァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

ゼットが師匠と慕うゼロが、ここにきて最後の援軍として救援に馳せ参じた。ウルトラゼロマントを纏ったまま、得意技のウルトラゼロキックでマガパンドンを再度ダウンさせ、ゼットに肩を貸しながらオーブとタイタスの背後へと下がる。

 

 

「ゼ……ゼロ師匠!?」

 

「初めてにしちゃ上出来だ。今回は褒めてやるぜ、ゼット」

 

「ゼロさん!相変わらず良いタイミングで駆けつけてくれる!」

 

「彼らがマガパンドンから離れた!今こそ決着の時だ!」

 

 

颯爽と現れゼットを救出したゼロに感謝しつつ、オーブとタイタスは勝負を決めるべく必殺技を放つ。

オーブはオーブカリバーのカリバーサークルを回し全てのエレメントを解き放ち、オーブカリバーを大きく頭上で回転させてエネルギーを集約、さらに己の持つ光と闇の力も混ぜ合わせる。

対するタイタスも右手ではなく、神器を装着した左手でエネルギー光球を生成する。()()()()()()()を神器に頼るとし、エネルギー生成に全力を注ぐ。

 

 

「オーブスプリーム……」

 

『Boost!Boost!!Boost!!!』

 

『ブーステ「マッスルプラニウム……」えっ』

 

 

オーブとタイタス(一誠は言おうとした技名がキャンセルされた)の溜めに溜めたエネルギーが今、マガパンドンへと放たれる。

 

 

 

 

 

「カリバー!!!」「バスター!!!」

 

 

 

 

 

オーブカリバーから放たれた六属性のエネルギーの奔流と、神器によって倍化されたパンチで打ち出された特大エネルギー光球が寸分違わぬタイミングでマガパンドンに直撃する。

 

 

「ゴオォォォアァァ……!!」

 

 

二つの超エネルギーを同時に受け、断末魔と言えるであろう叫びを上げながらマガパンドンは消滅した。

 

 

「復活……とかしませんよね?」

 

「ああ。どうやら完全に消滅したようだな」

 

 

小猫の不安を消すようにサーガが答えると、リアス達は歓声を上げた。しかしまだ戦いは終わっていない。

 

 

「っていうか矢的先生は!?あのロボットだって戻って来てないぞ!?」

 

 

マガパンドンとの戦いがあまりの激戦だったので気にする余裕が無かったとはいえ、匙の言った通りまだ80や巌勝、三日月は戦っているのだ。彼らを放置して喜んでいた事を恥じる一同だったが、突如天空よりバルバトスが勢いよく地上へ落下してきて、大地を震わせつつ着地した。

 

 

「三日月さんっ!!」

 

「そっちは片付いたんだ。やっぱ、やるじゃん」

 

「こちらはたった今ケリがついた!そっちは!?」

 

「これから。80さんと、巌勝さんのターンXがあの鳥モドキをここに叩き落とす。そこを俺が潰す」

 

 

カナエとオーブの言葉に返答しつつ、三日月はバルバトスの中から今も空中戦を繰り広げているであろう二人を信じ、最後の一撃を叩き込む準備に入る。

 

 バルバトスの切り札―それは()()にあった。

 

 

 

 

 三日月からマガパンドンは倒されたという情報がコックピットに入電し、巌勝はそれを80へと伝える。

 

 

「80殿!どうやら地上はカタが付いたらしい!我々も仕上げといこうではないか!!」

 

「よし!ならば手筈通りに!!」

 

 

先程までマガバッサーを砲撃していたのか、ターンXの左手にはバズーカが握られている。それをキャラパスには戻さず、ターンXは真正面からまだ少しフラついて飛んでいるマガバッサーを迎え撃ち、80はさらに高く飛翔していく。

 

この様子はサーガによって空中に映像投影され、戦いを終えたオーブ達を含む現在駒王学園にいる面々も見守っている。

 

 

「さてマガバッサー!いよいよ貴様も年貢の納め時!!潔く我らに討たれるがいい!!」

 

 

ターンXがマガバッサーの頭部へとバズーカを連射する。未だマガバッサーが回復していないのはこの頭部への砲撃が原因であった。80の姿が見えなくなったのもあり、マガバッサーはターンXを標的に定め、突撃していく。しかしそれは狙いの一つ。ターンXは尚もバズーカで狙い撃つがマガバッサーは回避……したところで翼に強烈な熱を感じた。バズーカではなくビームが翼を掠っていたのだ。

80は依然姿が見えず、ターンXは片手しか手持ち武器は使えないはず。今までの戦いからそう判断していたマガバッサーであったが、いざターンXの方を向いてみると右手から三連ビーム砲を放っているではないか。

三連装ビーム投射システムと呼ばれるそれは携行武装ではない、ターンXの固定武装の一つであり、右手は使えないのではなく使わなかっただけ。

 

 

「今まで全力でやり合っていたなどと思っていたのか!?魔王獣と呼ばれながら随分と頭が弱いようだな!!」

 

「ギュアァァァ!!」

 

 

巌勝の挑発にまんまと乗せられたマガバッサーはターンXに再度突撃しようとするが、今度は後方上空から80がムーンサルトキックを仕掛けてきた。こちらもギリギリ回避するが、それこそが80の作戦。マガバッサーはその時の80の体勢に警戒すべきだったのだ。何故なら―

 

 

「シュワッ!!」

 

「ギィアアア!?」

 

 

ムーンサルトキックの体勢のまま、向きだけを変えつつぐるりと突撃体勢のマガバッサーの下方へ円を描くように滑り込みながら、得意技のサクシウム光線を翼の付け根に放ったのである。まるでムーンサルトキックをドリフト走行が如く移動技として使う『ムーンサクシウム戦法』と名付けられたそれは、空中戦を得意とし、計算された戦いこそが最大の武器である80だからこその奇策だろう。

これによりマガバッサーは片方の翼が吹き飛んだ。しかしながらなんとか飛行しているのはさすが魔王獣といったところか。だが下方からの攻撃に続き、さらに上方より予想外の攻撃がマガバッサーを襲う。

 

 

ザシュッ!!

 

「ガアァァァ!?」

 

「見事な技を披露した80殿に見惚れるのは結構だがなぁ!こちらも忘れないでもらおうか!!」

 

 

ターンXがマガバッサーの背に張り付きながらガーベラストレートで翼の付け根を突き刺していた。しかも腱らしき部分を的確に捉えている。マガバッサーは苦し紛れに振り落とそうとするが、今までのダメージが蓄積されており満足に動けない。

そして遂に、ターンXのメイン武装とも言うべき右腕が隠されていた力を発揮する時がきた。ビームしか発射していなかったそれは、花開くように展開され五本指が如き様相となり凄まじいエネルギーがスパークし始める。

 

 

「貴様の生体反応のデータを取りつつ、神の国への引導を渡してやる!」

 

 

マガバッサーは危険だと理解し、どうにかして逃げようとするも叶わず、ターンXの必殺の一撃が放たれた。

 

 

「シャイニングフィンガーとはこういうものだ!!」

 

 

スパークしているエネルギーをマガバッサーの翼の付け根に叩き込むように右手を押し付けると、マガバッサーは激痛のあまりの暴れるがターンXは一切離れようとせず、遂には付け根から大爆発を起こしてもう片方の翼も丸々吹き飛んでしまった。

既に80によって片方の翼を吹き飛ばされていたマガバッサーは残りの片翼も失い、地上へと真っ逆さまに落ちて行く。ターンXはマガバッサーから離れてガーベラストレートをキャラパスの鞘へと仕舞い、シャイニングフィンガー…正式名称・溶断破砕マニピュレーターを閉じつつトドメを三日月とバルバトスに託す。

 

 

「下拵えは済ませた……三日月、そしてバルバトスよ!サーガ様の元で戦い続けてきた歴戦の勇士が、逃げてばかりの堕天使の翼から出来た獣などと違う事を見せてやれ!!」

 

「チーフやサーガが信頼する君の、君達の実力を改めて僕も信じよう!この戦いに幕を引くんだ、三日月・オーガス!!」

 

 

 

 

 80とターンXによってマガバッサーが両翼を失った事は地上の駒王にいる面々にも投影された映像で確認された。

 

 

「うおおおお!!矢的先生スゲェェェ!!」

 

「まさかキック技をスケートのように使って空中を滑り込む動きをするとは……!」

 

 

匙やソーナは80の戦法に感嘆の声を挙げる。

 

 

「おいゼット、お前ターンXのあの武器知ってたか?」

 

「いえ、メビウス兄さんのライトニングカウンター的なあの武器はウルトラ知りませんでした」

 

「ライトニングカウンターどころか一誠の神器でブーストしまくったレオの鉄拳じゃね?」

 

「ウルトラ納得ですゼロ師匠」

 

 

シミュレーターをやりまくっていた二人は初めて見るターンXの溶断破砕マニピュレーターをとんでもないものに例えていた。本気で洒落にならない威力だと一発で理解出来る例えだ。

そんなマガパンドン討伐組の会話を尻目に三日月はマガバッサーにトドメを刺すべく、バルバトス最強の攻撃力を持つ武器の準備に入る。

 

 

「皆、ちょっと離れてて」

 

「三日月さん、何かあったんですか?」

 

「今から鳥モドキを潰す。その為の武器を出す」

 

「え?武器を出すって、何か召喚するとか……」

 

「悪魔の名を持つとはいえ、機動兵器でそれは無いのではないか?」

 

 

アーシアやリアス、タイタスが疑問に思いながらも全員でその場から少し離れると、それを確認した三日月はバルバトスで手にしたメイスを両手で持ち、振るうように背中に近づける。すると、バルバトスのバックパックが分離・変形してメイスを覆うように連結していく。

 

 

「ちょっ……!何だそれ!?」

 

「何って、束姐さんが作ってくれた凄い武器」

 

「僕の『騎士殺し』が可愛く見えるほど物騒な得物なんだけど」

 

 

バルバトスのバックパック―それは本当はバックパックではなく所謂追加武装である。

正式名称『Variable Armed Expansion Unit』通称VAEユニットと呼ばれるそれはバルバトス本来のバックパックを覆い隠すように装備されており、かつその形態で様々な機能を発揮出来る為、勘違いされやすいのだ。

 

VAEユニットと連結させた可変式超弩級メイスを構えるバルバトス。可変式超大型メイスでも十分凄まじいインパクトがあったが、超弩級と化したメイスはその比ではない。

80とターンXによって両翼を失ったマガバッサーが天空より落下し、大地を大きく揺らしながら地上に叩きつけられた。同時に、バルバトスは空高く跳躍する。そんな中、三日月は先程聞こえたゼットの言葉を思い出していた。

 

―俺が繋ぎます!!―

 

彼は自分が未熟であると理解ながらも、決死の覚悟でマガパンドンへと向かって行き、ゼロに助けられながらではあるが見事その役目を果たしオーブとタイタスの必殺技へと繋いだ。

 

 

(皆は未熟って言うけど、俺はそうは思わない。ゼットさんはやった。やり遂げた。だから―)

 

 

次は自分の番だ。自分は80と巌勝の二人に繋いでもらった。ここまでしてもらって失敗したら、二人どころか殆ど一人で役目を果たしたゼットに顔向け出来ない。

 

 

「やるぞ、バルバトス。必ず出来る……俺達なら……!」

 

 

"当然だ"―そう三日月の言葉に応えるようにバルバトスのツインアイが輝くと、空中で一回転しながら超弩級メイスをレンチメイス形態へ変形させつつそれを地面に突き刺すような体勢で急降下する。超弩級レンチメイス自体の重量に加えてバルバトス本来のバックパックに備え付けられたフレキシブルブースターによる加速は、うつ伏せ状態から起き上がろうとするマガバッサーを少しも立ち上がらせる事無く容易に押し潰す。

 

 

「ギィアアアァァァ!!」

 

「今度こそ捕まえたぞ、鳥モドキ……!」

 

 

超弩級レンチメイスに身体を挟み込まれ、同時に備え付けのチェーンソーにより削られていく。

当然かつてよりもその威力は大幅に上昇しており、魔王獣たるマガバッサーの肉体からはメキメキと万力に潰されるが如き音と、火花を散らせながらガリガリと削られる音が二重奏を奏で、そのあまりに壮絶な光景にウルトラ戦士すら圧倒されている。

 

 

「ガア……ァァァ……」

 

「これで終わり……だッ!!」

 

 

もはや苦しみの声さえ出せなくなっていたマガバッサーの胴体を断ち切り潰すべく、新型エイハブ・リアクターが唸りを上げバルバトスの出力が上昇する。そしてその身体をレンチメイスが挟み潰した瞬間、大爆発が起こりバルバトスを飲み込んだ。

 

 

『!!』

 

 

それを見た者達は衝撃を受け、アーシアは最悪な結果を思い浮かべ涙を溜め、ゼロやゼット、カナエら仲の良い"家族"は焦りを隠せなかったが、サーガの穏やかな一言がその不安を吹き飛ばす。

 

 

「心配ない。三日月とバルバトスは……決して止まらない」

 

 

その言葉に応えるように、その爆風を超弩級メイスで払いながらバルバトスが無傷の姿を見せた。獣が咆哮するような動作で、自分達の勝ちだと示しながら。

その姿が確認出来た全員は心から喜びの声を上げる。

 

 長く激しい月下の死闘は、ウルトラ戦士・神衛隊連合軍の勝利という形で、今漸く終わりを告げた。

 

 

 

〈続く〉




というわけで次回にて聖剣編終幕です。
ゼットをTV本編で最終回迎える前に今話を書き上げてやりたかった、悔いはな……くない気もするけどとりあえずヨシ。

しかしアンケート、グラハムさん首位独走。二位は割と接戦だけどマリーダさん優勢か。なるかどうかは分からないけど、票数が同率二位とかだった場合、同率メンバーはもれなく参戦させる予定です。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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