ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。やっとこさウルトラマン&ゴジラの決戦開始。
今回は導入編みたいな感じなのですが、そこそこ長くなってしまいました。やはり人数が多いと大変ですが、かといって誰かを蔑ろにするのは出来る限り避けたいです。皆命がけの戦いを頑張ってるわけですし。


それでは本編をどうぞ。


父の背中

 ハシュマル、ゴブニュ(キメラ)、そして機械島が立て続けに撃破された映像はダイブハンガーにも映っていた。

追加人数分の夜食を作るために席を外したグレイフィアとそれを手伝いに行ったミライを除く他の者達はその光景に沸き立っている。

 

 

「やっぱりスーパーロボットはロマンだよなあ!俺の相棒もトランザムライザーソードとかフルソードコンビネーションとかあるし必殺技があるなしで変わってくるだろ!」

 

「マリーダさん凄いよね……あんな重装備初めて見たけど、地球の重力下であれだけの重量を高機動しながら運用出来るんだもん。機体の性能云々だけでどうにか出来るものじゃないよ、アレ」

 

「スーちゃんバコさんさっすがぁ!束さんの予想以上の見事な完成度!やっぱり『戦艦だから常に後ろでスタンバってます』なんてセオリーはぶっ壊してナンボだよねぇ!ドリル万歳!」

 

 

レイトやラフタ、束が特にノリノリである。まあ、それぞれの嗜好や立場を考えたら納得なのだが。

 

 

「どう?らっちゃんの専用機フルアーマーいっちゃう?いっちゃう?」

 

「ん〜……あのバンシィの活躍見せられたら悩んじゃうな……」

 

「フルアーマーってよ、本来は重装甲重装備が普通だけどあの黒いやつは重装備型かつデッドウェイトになったもんは外せるタイプみたいだし、それと同じやつはどうだ?」

 

「不要になった武装を切り離していくタイプかあ……」

 

「悪くないよね。フルアーマー装備全部使い切ってからがらっちゃんの本領発揮!みたいな」

 

「すぐに決めなくても案の一つに入れてても良いんじゃねえか?そうすりゃ割とベース機は軽量でも良いんだし」

 

 

レイトと束のアドバイスを聞き「考えてみる」と答えたラフタに頷きつつ、再びモニターに視線を戻す二人だったが、レイトのブレスに何かメッセージが届き、それを確認すると……

 

 

 

 

 

「……うそーん」

 

 

 

 

 

レイトは目が点になるほど呆然としていた。

 

 

 

 

 神衛隊はいずれも激戦を制し、残るはゴブニュ(オグマ)とスラン星人、そして最大の強敵ビオランテ。

しかし、多少は持ち直したとはいえこちら側の状況は好転しておらず、刻一刻と限界が近付きつつある。

パム治郎が全回復させるために使用した『変若水』も彼らの身体が大きく、加えて距離も離れていた為、少ししか効果がなかったのだ。

 

 

「超師匠……!そろそろウルトラやばそうなんですが……!俺よりもジード先輩やタイガ先輩が……!」

 

『落ち着いて見ればスラン星人の動きが直線的なものばかりだから対処出来ると思ったが……如何せん一発目を予想外に食らった事が尾を引いてるな。そのせいか奴の早さに対して先入観が捨て切れんようだ』

 

 

ゼットもゼットでゴブニュのタフさに息も絶え絶えだが、直接的な攻撃は受けていない分マシだろう。

ゴジラの方も元来のタフさと再生能力のおかげで何とか互角だ。この中ではまだ一番余裕がある。

 

しかし、ジードとタイガはそうではない。

 

スラン星人の連続波状攻撃を受け続けており、ジードはプリミティブで使用しているカプセルの種類に加え、父親から肉弾戦の重要性を叩き込まれていたため耐えられているものの、タイガは元々バランス型。

これがフーマならスラン星人の早さに対処出来た可能性もあり、タイタスなら耐えられたかもしれない。

 

 

「せめて、アイツの電撃に後ろから狙い撃ちされないようになれば二人を援護出来るのに!」

 

 

接近戦だけならスピード型のアルファエッジに有利なのだが、頭部から電撃を発射してくるためジードとタイガを援護するべく余所見、しかもゴブニュに後ろを向けようものならそこを電撃で攻撃される可能性が高い。

おまけにゴジラの方は相手が相手であるため援護してる余裕など初めから無い。

 

 

(……ゼットの今の体力では俺が教えた技は厳しい……何か打開策は……)

 

 

そこまで考えて、レジェンドはある事に気付いた。

 

 

 

『彼』が遂に到着したことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバォォオオオオン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――!?!?!?」

 

「ウオアァァァ!?」

 

「ゴォォアアアアア!!」

 

「「「「!?」」」」

 

 

突然遥か上空から極大の稲妻がジード、タイガ、ゼット、そしてゴジラからそれぞれの相手を遠ざけるように降り注ぎ、ビオランテはどうにか耐えていたがゴブニュとスラン星人は大ダメージを受けつつ吹っ飛んで倒れ込む。

 

 

「何だ、今の!?」

 

「あれは……!」

 

 

スラン星人の猛攻から解放されたタイガは突然の事に混乱しているが、ジードはそれに見覚えがあった。

まさか、と上空を見た彼の目に天より舞い降りる姿が映る。

それは三大勢力のみならず、鬼灯や卯ノ花、神衛隊……そしてサーガさえも驚く存在であった。

 

 

 

 

 

外部からの干渉を不可能とするよう閉鎖していた結界を容易にブチ破り、一回転しつつ天空より舞い降りた巨大な影。

 

その偉業を讃えられ、赤き総司令官の証(ジェネラルマント)を身に纏い、専用アイテムであるギガバトルリライザーを携えし英雄。

 

 

 

 

 

「よう、ウチの息子と部下が世話になったな」

 

 

 

 

 

光の国が誇る英雄の一人にして銀河遊撃隊総司令官。そしてジードの父親。

ウルトラマンベリアルが彼らの危機に自らこの世界の地球へと降り立ったのだ。

 

 

 

 

 サーゼクスら三大勢力トップ陣はあまりの出来事に言葉を失っていた。護衛役らは何やら凄いウルトラマン程度にしか見えていないだろうが彼らは違う。

銀河遊撃隊結成の切っ掛けとなった死闘をレジェンドから見せられた彼らは、ベリアルが駆けつけたことに驚きのあまり開いた口がそのままになっていた。

 

 

「う……うっそぉ……」

 

 

辛うじて喋ったセラフォルーもグレンラガン登場時以上の衝撃でテンションが変わりまくっている。

よりによって本日一番の規格外とも言うべき存在が援軍として現れたのだ。そうもなるだろう。

アザゼル、ミカエル、サーゼクスの三名は未だ固まったまま。少しはセラフォルーのメンタルを見習ったらどうだろうか。

 

 

 

 

 

「ギャスパー君!あの人ね、リクさんの……ジードのお父さんよ!」

 

「えええええ!?リク兄さんのお父さんんん!?」

 

「なんと!?リク殿の父上が助太刀に!?」

 

「言われてみれば姉さんの言う通り雰囲気が似てるかも」

 

 

 鬼討伐メンバーの方もベリアルの増援に興奮気味である。リクを兄と慕うギャスパーだけでなく、共にギャスパーの護衛を務めた杏寿郎としのぶも興味津々だ。

同時にリアス達の心にも希望の光が灯る。グラハムらに神衛隊の皆が駆けつけ、一気に逆転へと導いたように。

彼の存在がタイガ達の勝利への道を切り開いてくれると信じて。

 

 

 

 

「と……父さん!」

 

「「ベリアル総司令!?」」

 

「おう、随分消耗してるな、お前ら。こっちに着く少し前に見てたが……ムーキット、だったか?あいつが回復系の技か何か使ってただろ。あっちがまだやれそうならかけてもらって来い。そのままじゃ途中でリタイアするハメになるぜ。ついでだ、お前もやってもらえ」

 

『オレ様は余裕だっつの。そもそもお前、アレの相手出来んのか?』

 

「ハッ!倒すんじゃなくて時間稼ぎなら大した事ねぇ。それに今日の主役はお前らだろうが。まずは傷を癒やしてこい!そうしたら……ジード、タイガ、ゼット。お前らに渡すもんがある。早く行け!」

 

「「「……っ!ハイ!!」」」

 

 

 ベリアルの言う渡すものが何なのかは分からないが、少なくとも悪い物ではないだろう。

オカルト研究部らがいる場所へ向かって行く三人と一匹を見送り、ベリアルは自身を標的としたであろうビオランテや、起き上がるゴブニュとスラン星人へと視線を移した。

 

 

「さて……お前らの方は少しばかり俺に付き合ってもらおうか。最近は部下任せでろくすっぽ動いてなかったからな……錆落とし、手伝えよ」

 

「遊撃隊総司令ウルトラマンベリアル……!貴様を倒せばマックスも出て来ざるを得まい!」

 

 

マントを脱ぎ捨てるベリアルに対し、スラン星人は起き上がると即座にベリアルへ高速移動からの攻撃を仕掛ける。しかし……

 

 

「フン!!」

 

「ゴバァッ!?」

 

 

ズドン!と凄まじい音と共にスラン星人は再度吹っ飛ばされて倒れ込んだ。ベリアルがスラン星人の攻撃に合わせ、完璧な形でカウンターを叩き込んだのだ。

自身が高速で動いており、それに対してベストタイミングでブチ込まれたカウンターの一撃も凄まじい早さであり、高速で仕掛けたが故にスラン星人は予想よりも大きいダメージを受けてしまったのである。

 

カウンター後のベリアルを背後からゴブニュが羽交い締めにするも、ベリアルはピクリとも動かない。

 

 

「オラどうしたポンコツ。もっと力入れろよ」

 

「――!!」

 

「仕方ねぇな……力技ってのはな、こうやるんだよ!!」

 

 

ベリアルはギガバトルリライザーを地面に突き刺して両手を自由に使えるようにし、羽交い締めにしているゴブニュの腕を掴み逆に固定しつつゴブニュごと飛び上がったかと思えば、ぐるりと空中で一回転し背中に組み付いているゴブニュを下敷きにするような体勢で落下。

 

 

「ストロング・バックスタンピート――!!」

 

 

重力が加わったベリアルの身体全体で挟み込まれるように全身を地面に叩きつけられるゴブニュ。

ベリアルの体重は6万t。筋肉質のためウルトラ戦士の中でも重い部類に入り、さらに重力が加わった全身による全身へのプレス攻撃は頑強なゴブニュにも大打撃だ。

起き上がったベリアルはそのまま片手でゴブニュの足を掴んで軽々と遠くに放り投げる。9万t近いゴブニュ(オグマ)をいとも簡単に投げ飛ばすベリアルの剛力に誰もが唖然としていた。

 

 

「フン、やはりポンコツか……ん?」

 

 

何かに気付いたベリアルはそちらに視線を向ける。向けた先にいるのはビオランテ。なんとビオランテがゆっくりと前進してきている。触手を器用に使い、根を張った巨体でありながら走ろうとしていたのだ。

 

だが、歴戦の勇士たるベリアルの判断はさらに早かった。即座に地面に突き刺していたギガバトルリライザーを引き抜き両手で一文字に構えつつ凄まじい速度で突進し、そのままビオランテに真っ向から激突。

ビオランテが加速する前にその巨体を押し留めたのだ。

これには見ていた者達のみならずビオランテ自身も驚愕する。

 

 

「さすがにちっとばかし驚きはしたが……てめぇみたいなタイプは余程例外が過ぎない限り初速はトロい上、加速するまでに時間がかかるのが当たり前だ。その前に止めちまえば問題ねえんだよ!」

 

 

そう言い放つベリアルだが、身長は約3倍・体重約4倍はあろうかと思われる巨体のビオランテの、加速こそしていないとはいえその前進を止める事自体が困難である。

それをやすやすと実行出来るあたり、さすがは銀河遊撃隊総司令官としか言いようがない。

ビオランテはならばと言わんばかりに放射樹液を吐きかけようとするも……

 

 

「動きが大仰なんだよデカブツ!!」

 

 

押し留めた体勢のままギガバトルリライザーの向きを変え、ビオランテの顔へと砲撃部を向けると続けて発砲。

ビオランテの巨体を制止しつつ、放射樹液の発射前に顎を無理矢理閉じさせるという離れ業を披露する。

 

 

「ガァアアアァァァ!?」

 

「最初に言っただろ……錆落としを手伝えってなァ!」

 

 

そしてそのままギガバトルリライザーを力任せにビオランテに叩きつけ、さらにキックを炸裂させ僅かにビオランテを後退させた。

 

 

(早く戻って来いよ、お前ら。俺がぶっ倒したらお前らの為にならねぇだろ)

 

 

ジードらの回復と戦線復帰を信じて、ベリアルは1対3という傍から見たら不利な状況でも怯みはしない。

 

 そこにあったのは、総司令官としてだけでなく――次代を担う者達を力強く支える一人の父親としての背中だった。

 

 

 

 

「ベ……ベリアル総司令ウルトラ強え!」

 

「そういえば、闇の方相手だけど父さんが手も足も出なかったって……!」

 

『タイガの父さんでさえ全く敵わなかったのかよ!?リクさんの父さん!』

 

「ゼロが最初勝った時も油断したところを一気に押し切ったらしいし……」

 

『逆に言うと油断しないガチンコバトルじゃ負ける可能性があるってことかよ……』

 

『私としては先程のプレス技をご教授願いたいところだ!』

 

『お前は変わらないよな、そこ』

 

『どうでもいいからさっさとパム治郎のところへ行けお前らァ!!』

 

「「「『『『『スイマセンでしたぁ!!』』』』」」」

 

『早くしないと野郎にアイツがぶちのめされそうだからな』

 

 

 ベリアルの活躍に、足を止めて興奮気味に見ていた三人+タイガの中の三人と一匹はレジェンドに怒られ再びパム治郎のいる鬼討伐メンバーの元へ集結する。ゴジラはいち早く辿り着いていた。

幸いにも神衛隊機動部隊がサーガらの護衛に回ってくれたおかげでそちらの心配はしなくてよさそうだ。

 

 

 

 

 

「……で、集まったけどどうするんだ?」

 

「パムパム〜」

 

「大丈夫?パムちゃん……色々あったばかりだし、無理しなくていいのよ?」

 

 

 タイガの疑問にパム治郎が手を挙げて意を示すが、カナエは先程の別れを思い出してパム治郎を気遣う。

周りのリアス達も心配そうな表情だ。無理もない、かつての家族全員との二度目の別れを経験したばかりのパム治郎に、今はこれ以上苦労をかけたくない。

 

しかし、パム治郎はやる気だ。

 

 

「今日、アト一回ダケ。ダカラボク、ガンバル」

 

「立派だぞ、パム治郎!皆!ここはパム治郎の好きにさせてやりたい!どうか見守ってやっていてくれ!」

 

 

パム治郎にとって今の主である杏寿郎からも頼みこまれ、折れるしかなかった鬼討伐メンバー一同。

 

 

「仕方ないわ。今、この場で回復系の術技が使えるのはその子かアーシアくらいだもの。しかも当の本人がやる気だし」

 

「はい……あ、でもカナエさんの言う通り無理は駄目ですよ!それっぽく見えたら私が代わりますっ!」

 

「そっちもかなり無茶に聞こえますよー」

 

 

しのぶのツッコミに「はわっ!?」と動揺するアーシアだが、やれるのがこの二名だけだし、としのぶも納得する事にした。

 

 

「三人トゴジラ、近クニヨッテー」

 

「これぐらいかな?二人ともあんまり近すぎると何かあったら杏寿郎君とパム治郎に被害が……」

 

「ええっ!?じゃあえーっと……このぐらいでございますか?」

 

「っていうかゴジラデカイって!俺達の倍ぐらいあるから場所も取ってるし……」

 

『ああん!?そんなもんオレ様が知るか!』

 

 

ギャーギャー(しかもゴジラは正にそう鳴いてる)騒ぐ三人と一匹に再びレジェンドが、今度は静かに怒る。

 

 

『……お前ら、ちゃんとしないと今度の晩飯メンマ一切れだけな』

 

「「「準備良しです!」」」

 

『『『一応こっちもOKです!』』』

 

『鬼より鬼かテメェ!?』

 

『メンマじゃなくてわかめ一枚に変えてやろうか?』

 

『分かった。黙る』

 

(((((レジェンド様強っ!?)))))

 

 

一家の胃袋を掴んでいる、グレイフィアと並ぶ厨房の最強戦力は伊達ではない。ゴジラさえ直接手を出さず黙らせた。

杏寿郎とパム治郎を囲んで四角形になるように立ち、パム治郎のタマフリを待つ三人と一匹。

それを確認するとパム治郎はタマフリ『変若水』を発動させる。

 

 

「パ〜……ムー!」

 

(尊いっ……!)

 

「姉さん何悶えてるの」

 

 

可愛いは正義、を掲げるカナエにはパム治郎の一挙一動がどストライクらしい。しのぶにジト目で見られてるのも気にせず悶えている。

それはともかくとして、ジード、タイガ、そしてゼットがほぼ全回復する。

 

 

「すっごく楽になった……!」

 

「こっちもだ!これならまた戦える!」

 

『俺に代われ俺に代われ俺に代われ俺に代われ』

 

『タイガ、フーマが何か呪詛みたいなの唱えてんぞ!?』

 

『これは素直に変わってやった方がいいだろうな』

 

「よっしゃー!リベンジでございますよ!」

 

『おい、まだ問題が残ってるぞ』

 

「「「『『『へ?』』』」」」

 

『オレ様だァァァァァ!!!』

 

 

気付かないレジェンド以外の面子にゴジラが怒りの咆哮を上げた。彼だけあんまし回復出来てない。単純にゴジラの能力値が想定外に高過ぎたので、本日分のタマフリ発動が限界に近かったパム治郎がその効果を存分に発揮出来なかったのである。

 

 

『それなりには回復してるが……全然足りねぇ』

 

「パム〜……」

 

 

頼みの綱のパム治郎は目を回してダウンしてしまい、杏寿郎に抱きかかえられながらぐったりしている。これは仕方ない。

と、言うわけでやっとお仕事が出来た事に少しばかり喜びつつ、アーシアへバトンタッチ。

 

 

「ゴジラ、アーシアがやってくれるから尻尾下ろして」

 

『尻尾からやんのか?別にいいけどよ』

 

「安心して下さいね、ゴジくん!私が頑張りますっ!」

 

 

屈託なくにこにこ笑うアーシアは純粋に嬉しそうだ。とりあえずゴジラは、元の姿でもゴジくん呼びされた事で笑いを堪えている三人のウルトラマンに後でドロップキックかますことを心に誓った。

早速アーシアが神器と回道を駆使し、ゴジラを癒やしていく。

 

 

『あ゛〜……効く〜……』

 

『なんかオッサンみたくなってるぞ』

 

『黙ってろマダオ』

 

『ヒデェ!俺だってな、倍加出来れば強い……』

 

『それが通じないでタイラントにボッコボコにされたの誰だ?あ?』

 

 

あ、ドライグがいじけた。

それはそれとしてゴジラもようやく回復が完了し、今度はアーシアがダウン。サイズがサイズだしこれまた仕方ない。

 

 

「はぅぅ〜……」

 

「頑張った!アーシアちゃんは頑張ったわ!」

 

「姉さん、さっきも含めて今日一番活き活きしてるわね」

 

 

アーシアを妹のように、それはもう可愛がりまくりなカナエがまたも甲斐甲斐しく世話している。

と、そこへバルバトスをクロガネの甲板に降ろしたスターファルコンが飛来してきた。

 

 

「あら?何でしょう?」

 

「ん?おやっさんから通信……?」

 

 

狛治がブレスレットを操作し、スターファルコン内のコジローが映し出される。

 

 

『おう、狛治お疲れ』

 

「おやっさん、その格好……まさかあれに乗ってるのか!?」

 

『まあな、それより三人のウルトラマンへスターファルコン(こっち側)にカラータイマーを向けて並んで立てと伝えてくれ。駄目押ししておく』

 

「駄目押し……?とりあえずわかった」

 

 

釈然としなかったが、狛治はコジローに言われた通りジード達に並んで立つように伝え、ジード達も言われた通りにする。

三人が並び立ったのを確認したコジローは、かつてコンパチガリバーがメビウスのエネルギーを完全回復させたスペシウムチャージャーの改良版とも言うべき光線を三つに分けてカラータイマーへと照射。その光は体力や負傷とは違い、完全とまでいかなかったエネルギーの方を完全に回復させた。

これにより、三人は正に全快状態へと戻ったのである。

 

 

「「「お……おおおおお!?」」」

 

『チャージャーの改良版、もう完成させてたのか……』

 

 

元祖スペシウムチャージャー開発者のレジェンドも舌を巻く。後にコジローが「元がしっかりしていたから改良版・改善はそれ程難しくなかった」と言っており、決してレジェンドの作った物の完成度が低いわけではない。

それだけでなく、コジローはチャージャーの出力や性質を変化させ、ゴジラの背鰭へも照射する。

すると、ゴジラの背鰭が赤く発光し始めた。

 

 

『こいつは……ハッ!やるじゃねーかマグロのオヤジ!』

 

「鳴き声から何言ってるか大体分かるぞ、せめてマグロじゃなくて機械関係で言えっての」

 

 

ギャオギャオと嬉しそうに叫ぶゴジラへ、ニヤリと笑いながらも軽い文句を言いながら旋回しつつ、スターファルコンは再び神衛隊の一員として護衛に回るべく離脱する。

その際、激励の一言も忘れずに。

 

 

「必ず勝てよ、新世代(ニュージェネレーション)!!怪獣王!!」

 

「「「ハイ!!」」」

 

『当然だ!お前らは祝杯の用意でもしてな!』

 

 

こちらからは見えなかったが、なんとなくコジローがコックピットでサムズアップしているような気がした。

 

 

 

 

 

 三人と一匹は今もビオランテらを食い止めているベリアルへ向き直ると、それに気付いたベリアルもジードらの方を向く。

 

 

「ようし……エネルギーも体調も万全みたいだな。まずはタイガ!コイツを受け取れ!」

 

 

三体を同時に吹っ飛ばし(ビオランテのみ後退させ)距離を取りながら、ベリアルがブレスレットから何かをタイガに向けて放つ。それはタイガの中の一誠、そしてリアスらにも届けられた。

 

 

『これって……タイガ達に変身する時のやつと同じ……!』

 

「分かるだろ?ウルトラタイガアクセサリー、それもニュージェネレーションの連中の力が込められたやつだ。ようやく一通り完成したんでな。ついでにそれ以外のやつのアクセサリーはグレモリーの娘っ子のところに送ったケースにいくつか入れてある。お前らが部員とか何とかってゼロが言ってたからな、その部員達に御守り代わりに持たせとけ」

 

 

リアスはベリアルの言葉を聞いて今渡された物――ウルトラサインの書かれた銀色のケースをすぐさま開けて確認すると、中にはティガを始めとした遊撃隊メンバーや、光の国で活躍しているヒカリらのものなど何名分か入っており、スペースも多く空いている。

どうやら後々完成したものから転送されてくるとのこと。

 

 

「あ……ありがとうございます、総司令!」

 

「ちゃんと仲良く分けろよ。それからゼット!お前にはこれだ!」

 

 

 続けて渡されたのはゼット。

受け取ったのは現在、ゼットと入れ替わる形でゼットの中にいるレジェンド。その手には新しく『ウルトラマン』『エース』『タロウ』のウルトラメダルが。

 

 

『遂に完成したか……!第二の形態用メダル!』

 

「ある意味ゼットの性格に一番適した形態らしいんでな、おそらく師匠もそれを見越した特訓を課してるだろうし……大事に使え」

 

「了解であります総司令官殿!」

 

「イマイチ口調に慣れねぇな……まあいい。そして……ジード!待たせたな、ほらよ!このカプセル、エネルギーの再充填が終わったぜ!」

 

 

 最後に渡されたジードの手には、『ウルトラマンゼロ』と『ウルトラの父』のウルトラカプセルが。

 

 

「これ……この世界のこの星に来る前の戦闘で異常な消耗させられて、しばらく使えなかった……!」

 

「安心しな、ジード。ゼロの分は元々ガーディアンベース内にエネルギーストックがあったし、ケンの分は光の国に一旦戻したらケンの奴が直々にチャージしてくれたみたいだぜ?俺からも礼は言っといたが、後でお前からも言いな」

 

「うん!ありがとう、父さん!」

 

 

これなら、あの形態になれる――!!

 

ジードの声色は隠し切れない喜びが込められていた。

父が、助けに来てくれただけでなく新しい力も持ってきてくれた。

神衛隊の父と呼ばれるコジローが、再び戦う力をくれた。

 

 偉大な英雄達の手助けは、これからの次代を作っていく若き戦士達の心と体をさらに上のステージへと押し上げる。

 

 

 いよいよこちらも反撃開始、大詰めだ。

 

 

 

〈続く〉




新世代三人(いや五人か)、一斉にパワーアップ。
ジードとゼットがどうなるかは最早お分かりでしょう。かく言うゼットは特に本作では強化される予定です。
その訳はかつてある人物の回想中にレジェンドが使った技にあります。

そういえば、既に気付いている方もいらっしゃるかと思われますが、地味に主人公設定の方を更新しました。
結構前にやったのですが報告が遅れて申し訳ありません。


それではまた次回。

特別編で見てみたいのは?

  • 『それは、星を救う物語』の続き
  • 米花町にホームズとモリアーティ来訪
  • 特殊特異点にAチーム+α送り込み
  • リリなの世界に蛇倉苑メンバー出張

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