ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。新形態お披露目回です。
もうちょい活躍シーンを詰め込もうと思いましたが、そうすると正直倍以上に長くなりそう(しかも全員分じゃない)だったので一区切り入れました。


それでは本編をどうぞ。


新世代(ニュージェネレーション)ウルトラビッグファイト

 銀河遊撃隊総司令官ベリアルによって、新たなる力を齎されたジード、トライスクワッド、そしてゼット。

この激戦に終止符を打ち、勝利を手にする為に早速それらを使う事にする。

 

 

 

 

 

 最も早く動いたのはタイガ。正確にはトライスクワッドであり、託されたウルトラタイガアクセサリーがフォームチェンジするためのものではなく基本的に必殺技用である事、そして……

 

 

『アイアムスピードファイター!タイガ、ポジションチェンジ!ハリーアップ!ハリーハリー!』

 

『タイガァァァ!マジでフーマがヤバい事になってるから早く代わってやってくれよ!フーマって割と和風でもいける名前なのにもう英語しか言ってねーし!』

 

 

色々フーマが限界だったからだ。

 

 

「わ、わかった!わかったから!フーマ、代わるから準備!あー……あーゆーれでぃ!?」

 

『出来てるよ……タイガ、どーした?お前』

 

「『『『いきなり普通に戻るなよ!?むしろそのセリフはさっきまでのお前に言いたいわ!!』』』」

 

 

どっかの天才物理学者とベルトのやり取りをしたかと思えばフーマがいつもの調子に戻った事でドライグ含めて総ツッコミ。

直後、タイガの姿が即座にフーマへと変化する。

三大勢力らでそれを見ていた者達はいきなりタイガがフーマになった事に驚きを隠せない。

フォームチェンジにしては大幅に変わり過ぎだし、別の場所にいる者との入れ代わりだとしても転移用魔方陣もなしに突然、かつ瞬時に変わったからだ。

 

なお、リアスらに関しては「交代するの、ウルトラマンの姿でもこんなに早かったんだ」としか思っていない。球技大会における生徒会とのドッジボールでも一誠の身体で瞬く間に切り替わっていたし、食事の際も結構な頻度で交代しながら食事していたから見慣れたもんである。

 

 

「ジード先輩、ゼット!先に行くぜ!あのスラン星人は俺がぶっ飛ばす!」

 

 

そう言うとフーマは残像を残す程の早さで、またベリアルに攻撃しようとしていたスラン星人とベリアルの間を遮るように、かつすれ違いざまにスラン星人へと攻撃を仕掛ける。

 

 

「ぐおおお!?っく……!何だ貴様は!?」

 

「俺の名はフーマ!銀河の風と共に参上!」

 

 

名乗りを上げ、ポーズを決めるフーマ。新しいウルトラマンか、と思えば視線を移すとジードとゼットがおりタイガがいない。ともすればタイガと関わりがあるのは一目瞭然。

 

 

「何が銀河の風だ!貴様ではなくジードかベリアルを……」

 

「ハッ!先輩と総司令まで辿り着きたきゃ俺に勝ってからにしろよ!つっても早さなら俺もお前に負ける気はしねぇけどな!」

 

「ほざけ若僧が!」

 

「来やがれ三下ァ!」

 

 

フーマとスラン星人による高速戦闘が幕を開けた。

お互いスピードタイプだがパム治郎やコジローのおかげで全快したフーマに対し、スラン星人はベリアルから奇襲のベリアルジェノサンダーやカウンターキックなどで体力を大幅に削られている。加えて、フーマは先程ベリアルから新しいウルトラタイガアクセサリーを受け取ったばかり。

確実に戦況はフーマへと傾いている。

 

 

 

 

 

 フーマへと続くように、ジードはゴジラと共にベリアルの救援及びビオランテとのリベンジへと向かう事にする。

そう、父が持ってきてくれたウルトラの父とゼロのカプセルを使ったあの姿になって。

 

 

『自信有りげだな。いいぜ、ちょっとぐらい待っててやる。さっさと済ませろよ』

 

「ああ!ゴジラ、ありがとう!」

 

 

ゴジラも待ってくれている。きっとベリアルもジードが戻ってくるのを今か今かと待ちわびているんじゃないだろうか、とほんの少し期待しつつジードはこの戦いを締めくくるに相応しい姿にならんとする。

 

 

 

 

 

融合(ユーゴー)!」

 

『セェアッ!』

 

 

自分を助け出してくれた恩人にして部隊での上司であり、そして兄貴分でもある、ウルトラマンゼロ。

 

 

「アイゴー!」

 

『ダァッ!』

 

 

父の親友にして後輩の祖父でもある偉大な英雄、ウルトラの父ことウルトラマンケン。

 

 

「ヒアウィーゴー!」

 

『フュージョンライズ!』

 

「守るぜ!希望!!」

 

 

ウルトラ戦士の中でも屈指の実力者たる二人の力が、今ジードの中へと流れ込み一つになっていく。

 

 

「ジィィィィド!」

 

『ウルトラマンゼロ!ウルトラの父!

 

ウルトラマンジード!マグニフィセント!』

 

「ゼェェェアッ!!」

 

 

 

 

 

新たなるジードの姿を、光神陣営をも含めたその場にいた者達は例外なく息を飲んで見つめていた。

特にウルトラの父を知るサーゼクスやセラフォルー、ソーナはフーマの時以上に目を見開いている。

 

鎧を着込んだ騎士のようなボディ、そして雄々しく生えた二本のウルトラホーンはタイガどころかタロウのそれよりも巨大。

ロボットらしさがあるソリッドバーニングとはまた違った、前述通り正しく重装騎士と言わんばかりに見る者を圧倒するフュージョンライズ形態。

 

ウルトラマンジード・マグニフィセントが、家族と共にビオランテとの死闘を制すべく遂に戦場にその雄姿を現した。

 

 

「あれがリクさんの、新しい姿……!」

 

「か……格好良くて強そうですぅぅぅ!!」

 

 

ゼロをよく知り、ウルトラの父のことも聞いているリアスはマグニフィセントがどれだけ凄まじいか予想出来てしまい、ギャスパーは目をキラキラさせながら敬愛するジードの新形態に感激している。

 

彼らの視線を一身に受けつつ、ジード・マグニフィセントはゆっくりと歩を進め、大きくバク宙でビオランテから距離をとったベリアルの前に立ち、ウルトラアレイ型の光を発生・高速回転させる『アレイジングジードバリア』によって、ビオランテがベリアルへと放った放射樹液を完全に防御した。

 

 

「ごめん、父さん。ちょっと遅くなった」

 

「気にすんな。しっかりあの野郎向けの役者は揃ったわけだしな」

 

『言っとくが今のオレ様はウルトラデンジャラスだぜ』

 

「お前の素なのか、それともゼットの影響受けてんのか、わかんねぇなソレ」

 

 

確かにゼットの口癖は『ウルトラ○○』だし、ゴジラが口にしたそれは偶然なのか狙ったのか分からない。

とはいえ、ゴジラの背鰭が赤く発光しているところを見ると誇張ではなくマジのようだ。おそらくこの戦いのフィニッシャーは彼になるだろう。

そうだとしても自分達もショボい戦いをする気は毛頭なく、ベリアルは新たにブレスレットからあるものを取り出してジードに投げ渡す。

 

 

「ジード、コイツを使え」

 

「……っと……これって……ギガバトルナイザー!?」

 

「師匠が俺のリライザーの試作品として作り直したレプリカだとさ。かく言うリライザー(コイツ)も元はレプリカに偽装してたワケだが……それはそれとして、そいつは俺のリライザー同様、バトルナイザーの怪獣使役機能はオミットされて純粋な武器でしかねぇ。出力も馬鹿みたいな威力が出るわけでもないし、気兼ねなく使うにはもってこいだろ。特にその姿にはうってつけじゃねぇか?」

 

「うん、確かにピッタリだ。何から何までありがとう」

 

「気にすんなって言ったばかりだろ。さて、準備は済んだな?このデカブツは俺らで片付けるぞ!」

 

「了解っ!」

 

『殿はオレ様だァ!!』

 

 

ゴジラの咆哮を皮切りに、それぞれギガバトルナイザーとギガバトルリライザーを構えたジードとベリアルが先制でビオランテに突撃していく。

ゴジラもまた、必殺の一撃を放つためにチャージしながら地面を揺らしビオランテへと進撃する。

その光景は正しく決戦と呼ぶに相応しいものだ。

 

 

 

 

 

 残るはゼットとレジェンド。

 

ここまでジードやタイガら先輩が盛り上げてくれた勢いを殺すわけにはいかないと、ゼットも意気込む。

それを感じたインナースペース内のレジェンドも今回は至極真面目だ。

 

 

「さて、ゼット。新しいウルトラフュージョンによるフォームチェンジを行う前に言っておくことがある」

 

『何ですか、超師匠?』

 

「この三人のメダルによって生まれるお前の新しい形態は、()()()から今日に至るまで俺との特訓で積み重ねた、他のウルトラ戦士にはない戦い方でこそ真価を発揮すると言っても過言ではない」

 

『あの日からの……』

 

「いいな、ゼット……俺はこのウルトラフュージョン後、余程の事態にならない限りセコンドに回る。いざとなったら口は出すだろうが、基本的に戦いはお前自身で切り抜けろ。まあ今までと何ら変わらん、という事だな。今日まで俺が教えた事を思い出せ。そして、見事勝利を掴んで見せろ!」

 

『っ……ハイ!!』

 

 

少々プレッシャーにはなったが、これからの戦い……この程度のプレッシャーは何度でも経験するだろう。

レジェンドに教え込まれた技術を上手く活かせるかどうか……それは実戦でやってみなければ分からない。だが、戦いに怯えるのは自分らしくもないとゼットは自分を奮い立たせた。

 

 

『超師匠!今こそ、真っ赤に燃える勇気の力を手に入れる時です!!』

 

「よし!」

 

 

レジェンドは左手にゼットライザーを、そして右手の指の間に挟んでいた三枚のウルトラメダルを掌に纏めるように握りしめると、順番にセットしていく。

 

 

「まずはウルトラマン!俺ら光神を除けば初めて地球を訪れたウルトラ戦士。まず知らぬ者はいない」

 

『文武両道のマン兄さん、俺達ウルトラ戦士皆の憧れです!』

 

「続いてエース!ウルトラ戦士はほとんどが切断技を有しているが、この男を置いて切断技ナンバーワンを語るなど正しく言語道断」

 

『俺、エース兄さんには特にお世話になりました!』

 

「そして今回のトリであるタロウ!ウルトラ六兄弟最強にしてタイガの父、訓練校の筆頭教官など最早説明不要、上に行くつもりならばこの男を超える気で行け」

 

『メビウス兄さんもタロウ教官の教え子なのは有名でございます!』

 

 

今までのコントじみた変身は何だったのかと思える程、短くも真面目な解説をする二人。惜しむらくはこのインナースペースに彼らしかいない事か。

 

『ULTRAMAN!ACE!TARO!』

 

メダルをスキャンし、本来のサイズのゼットがインナースペース内、レジェンドの後ろに出現する。

 

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェェット!」

 

 

言ってる事はいつもと変わらないが、雰囲気は今まで以上に真剣だ。そして、それに応えるべくレジェンドも彼の名を唱和する。

 

 

「ウルトラマン!ゼェェット!!」

 

 

『ヘェァッ!』『トワァッ!』『タァァッ!』

 

 

アルファエッジの時と同様に、ウルトラマン、エース、タロウの幻影が飛び交い一点に集中する。

 

 

 

 

 

『ULTRAMAN−Z!BETA−SMASH!!』

 

 

「ジュゥアッ!!」

 

 

 

 

 

 現実世界で光に包まれたゼットが起き上がろうとするゴブニュへ向けて高く飛び上がり、その光が収まりフォームチェンジを終えたゼットが姿を現し――

 

 

「ウルトラマァァン!ゼェェット!ベータスマァァァッシュ!!」

 

 

なんと自らの名とフォーム名を現実世界でも堂々と名乗りつつ、やっとこさ起き上がったゴブニュへとタロウの得意技たるスワローキックを叩き込んだ。

 

 

「――!?!?」

 

 

当然ゴブニュが反応出来るわけもなくスワローキックを頭部へブチ込まれたゴブニュは再度吹き飛び倒れる。

そして、ようやくその場の者達はゼットの新形態を目撃し、フーマ、ジードと続きこの日一番の驚きを彼らが襲う。

 

アルファエッジのスマートさとは真逆で、比較的少な目のプロテクターに赤をメインにしたボディカラー。

しかしそれ以上に目を引くのはまるで覆面レスラーのような頭部に、筋肉隆々のその肉体。腹筋に至ってはもはやシックスパックと化しており、ウルトラマッスルの体現とも言える様相であった。

 

これこそ、ウルトラマンゼットのパワー重視戦闘形態・ベータスマッシュである。

 

 

 

 

『いやいやいやいや変わり過ぎだろ!?』

 

『ゼットさんてアレあんな変わんの!?体型から違うじゃん!!』

 

『もうアイツのゼットライザーって神器でもいいんじゃないかな』

 

『見事なマッスルボディだ!むうう……今のゼットと並び立てないのが口惜しい!フーマ!すまないが……』

 

「いや代わんねーからな!!今日は俺!絶対俺!!」

 

 

 ゼットのあまりの変わり様にタイガと一誠はパニクり、ドライグはゼットライザーを神器認識(今はレジェンドが使っているため、ある意味合ってる)し始め、タイタスは大興奮。しかも代わってもらおうとしてフーマに却下された。

 

 

 

 

 

「ウルトラメダルってあんなに変わるんだ……!」

 

「知ってるか、ジード」

 

「何、父さん?」

 

「ケンと闇の俺のカプセルを使えばお前もあれと同等以上の筋肉付くぞ」

 

「うっそぉ!?今度やってみよう!」

 

 

ジードはベリアルから教わった新しいフュージョンライズ形態を別の戦いで試そうとしている。というか何故ジードさえ未確認だったフュージョンライズを彼が知っていたのか後日聞いたところ、「俺もケンも筋肉質だからな」と分かりやすい答えが返ってきたそうな。

 

 

 

 

 

 サーガや三大勢力の避難場所では――

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「はっ……はい……!」

 

「ゼット様……筋肉が逆にセクシー……!」

 

 

生徒会のメンバーでゼットファンな者達が鼻血を出していた。とりあえず卯ノ花がティッシュを渡している。ちなみにゼットとレジェンドが一体化しているのを思い出したセラフォルーも……

 

 

「……えぶっ……」

 

「セラフォルー!?」

 

「お姉様!?」

 

 

顔を真っ赤にして鼻血を出した。ウルトラマンは基本服を着ない→ゼットもあんな感じで着ていない→レジェンド(人間ver)も今は着ていない!?と妄想が発展していったらしい。ちなみにガブリエルもそんな感じでミカエルやイリナに心配された。

 

※ちゃんと着ています。ご安心下さい。

 

 

 

 

 

「ほう!良いではないか新形態!」

 

「フ……カミナも気に入りそうな姿だな」

 

 

 そして、鬼討伐メンバー。ベータスマッシュをロージェノムが特に気に入ったらしい。どっちもムキムキである。ヴィラルの言う通り、グレンラガンのコックピットではカミナが絶賛ハイテンション中。

 

 

「オーフィスー、ベータスマッシュー」

 

「汚れちゃうから真似しちゃ駄目ですよー」

 

「うー」

 

 

スワローキックを真似しようとしたオーフィスはしのぶに取り押さえられた。横を見るとカナエが「いいなー」と指を咥えて見ていたので差し出したら笑顔で受け取っていく。

 

 

「おおお!!あの逞しい体つきに炎の如き体色!あれがゼット殿の新たな力か!!」

 

「見るからに肉弾戦特化……!俺も自然と滾ってきたぞ!」

 

 

杏寿郎と狛治も興奮気味だ。杏寿郎はゼットと親しく、狛治は格闘主体の戦闘方法故に納得がいく。

それから、オカ研メンバーも十分話題にしているが、ただ一人……小猫だけはある事を考えている。

 

 

(確かにパワー型ならあのロボットに対抗出来るかもしれませんが……今までスピードタイプしかなかったゼットさんがいきなり方針転換して十分に動けるでしょうか……)

 

 

そして、その懸念は当たる事となる。

 

 

 

 

 ゴブニュを蹴り飛ばしたゼットは、どっしりと構えてからゴブニュへと駆け出していく。

 

 

「デェェアッ!」

 

 

また起き上がったゴブニュに今度は剛腕による強烈な一撃が叩き込まれ数歩後退するも、今度は踏み留まりパンチでカウンターを返してきた。

 

 

「グッ!?」

 

「――!!」

 

 

ゴブニュの一撃はゼットの胸に打ち込まれ、続けてキックを仕掛けてくる。何とか回避しようとするゼットだったが……

 

 

(思うように動けねえ……!くそっ!)

 

 

仕方なく腕をクロスさせ、間一髪直撃は防げたものの少なからずダメージはくらってしまう。

アルファエッジならば十分回避が出来るはずだったが、ベータスマッシュになった事で筋肉質となった――つまり体重が増加したため、アルファエッジで出来た動きが一気に狭まってしまったのだ。

オーブのフュージョンアップや、ジードのフュージョンライズも体重変化はあるが彼らの場合は経験が積まれているのでそういった事態にも対応出来る。

 

ゼットの場合、単純に圧倒的な経験不足が足を引っ張ってしまっているというわけだ。

こればかりは一朝一夕でどうにかなる問題ではない。

 

 

(これなら……ゼロ師匠からテクターギア借りて装着しながら特訓しときゃよかったぜ……!)

 

 

パワー型のベータスマッシュの初戦相手がゴブニュ(オグマ)だったのも厳しい理由の一つだろう。

強固なボディと強烈なパワーを持つ、ベータスマッシュと同質の特性を有しティガをも苦戦させた相手。慣れない新形態で相手にするには荷が重いかもしれない。

 

なお、ゼットの基本形態(オリジナル)の体重は3万3千t、アルファエッジは3万5千t、そして今回のベータスマッシュは4万2千t。身長が変わらず基本形態から9千t、アルファエッジから7千tもいきなり増加したらさすがにこうもなるだろう。

基本形態を例にとって分かりやすく言えば、体重50kgの人がいきなり約15kg増えて65kgになるようなものである。

 

 

「こうなったらこのパワーと防御力を信じて得意な間合いに持ち込む……いや、飛び込んでやる!」

 

 

一先ずは吹っ切れたのか、ゼットは腕をクロスさせたままゴブニュへと突っ込んでいく。ゴブニュは電撃で応戦するが、防御力が上がった上にクロスガードしているため電撃の効果が薄く、ゼットの接近を許してしまう。

 

 

「肉を斬らせて骨を断つ戦法!デリャアァァァァァ!!」

 

「!!」

 

 

ゼットは両腕でクロスガードしたまま、ゴブニュに正面からタックルし、怯んだゴブニュの頭部に左足で回し蹴りを叩き込む。

 

……が……

 

グ ニ ャ リ

 

 

「なっ!?」

 

『え!?』

 

 

なんと機械であり関節らしきものも無かったゴブニュ(オグマ)の頭部が、まるで首があるかのように靭やかに曲がりゼットの蹴りを難なく回避したのである。

勢いをつけていたゼットは空振った事でよろめきながら図らずもゴブニュへ背中を向けてしまい……

 

 

「――!!!」

 

「ウグアァァッ!!」

 

 

至近距離で電撃を背中に受け、派手にうつ伏せに倒れ込んでしまう。杏寿郎やしのぶを始めとするゼットと仲の良い者達もこれには動揺する。

さらにゴブニュは、何とか起き上がろうとするゼットに対し、馬乗りになりながら仰向けにするとその剛力でゼットの首を絞めだした。

 

 

「グッ……ア……!!」

 

「――!!」

 

 

ギリギリと締め付けられ、苦悶の声を上げるゼット。

どうにかゴブニュの手を外そうとするも、力が凄まじい事に加え、首を絞められているためゼットは力が入らない。

いよいよ周りからも悲鳴の混じった声が聞こえ始める。

 

 

 

 

 

「ゼットさん!」

 

「いかん!あれでは俺達が呼吸法を封じられるのと同じ、まともに力が出せない状態だ!いくら力を増した形態であろうと、それを振るえなければどうにも出来ん!どうにかしてゼット殿が本来の力を引き出せねばあのまま死を迎えかねないぞ!」

 

「そんな……!ゼットさん、レジェンド様……!」

 

 

 しのぶ、杏寿郎、そしてアーシアが特に悲痛な顔でゼットとゴブニュの戦いを見ている。

そんな中、かつて共に戦ったオーフィスと巌勝はある可能性に賭けていた。

 

 

(何故かゼットはピンチの時、いきなり強くなる)

 

(この状況を打破するにはそれを信じるしかない。ゼット殿には我々の知らない力が眠っているはずだ)

 

 

 

 

 

 ゼットはいよいよ意識が遠のき始めていた。目の前がチカチカ点滅しているような気がする。

 

 

(くそっ……大口叩いてこれかよ……結局俺はゼロ師匠の言う通り、半人前どころか3分の1人前……それ、以下じゃねえか……)

 

 

ただ、ゴブニュの腕を掴んで外そうとする姿勢は変わらない。まだ諦めてはいないが、力だけが抜けていく。

 

 

(このままじゃ……身体を貸してくれているレジェンド超師匠まで巻き込んじまうってのに……意識が…………)

 

 

意識を失う兆候なのか、ゼットの――ゼットだけの目の前が強烈な光に覆われ、ゼットは遂に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はっ!?ここは……ゴブニュは!?超師匠、ここはなんでございますか!?……超師匠?」

 

 

 ゼットは突然、インナースペースではない真っ白な空間で目を覚ました。当然の如く混乱し、レジェンドに尋ねるも自身と一体化しているはずの彼からの返答はない。

 

それどころか、彼が自身の中にいる気配さえ無い。

 

 

「え……どういう事だよ……身体はベータスマッシュのままだし、でも超師匠はいなくて……何なんだよ、これ」

 

 

あまりに不可思議すぎる事態にゼットはますます混乱する。

そんなゼットの前で、さらに強烈な光が発生した。

 

 

「うわあっ!?な、何だ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前の底力はそんなものじゃないだろう?我らが友、レジェンド……光り輝く超人『レジェンドマン』の弟子、ウルトラマンゼットよ!』

 

 

ゼットの目の前には、逆光でシルエットしか分からないがいずれもベータスマッシュとなったゼットから見ても圧倒されるほど鍛え抜かれた肉体を持った者達が何十人も立っていた。

 

 

「あ……貴方達は!?」

 

 

 

〈続く〉




……殆どお披露目だけになってしまった今回、次回こそニュージェネメンバーが活躍します。特にゼット。

本作でのゼットは『チートラマンにはならないけど、原作に比べて格段に強化される』レベルに強くなります。
ある部門限定でレジェンドに次ぐか、少なくとも最強クラスの実力が付きそう。


それではまた次回。

特別編で見てみたいのは?

  • 『それは、星を救う物語』の続き
  • 米花町にホームズとモリアーティ来訪
  • 特殊特異点にAチーム+α送り込み
  • リリなの世界に蛇倉苑メンバー出張

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