ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
正月休みは今日だけだからなんとしても書き上げたかった……また明日からも仕事です。
今回で幕間は終わり、次回から正式に第四章に入ります。
それでは本編をどうぞ。
レジェンド一行は空の世界へ、オカルト研究部はダイブハンガーへの引っ越しや下宿の準備、そしてサーガと神衛隊、カナエは惑星レジェンドの海上都市アクアエデンへと赴いていた。
「ここが、サーガ様の……」
「ああ。俺と神衛隊の本居がある場所だ。クリスタルシティ程ではないが、かなりの大都市で各施設も充実している。これから向かうのは神衛隊直下の附属病院だ」
「そういや巌勝は縁壱師範に一言連絡入れなくていいのか?あそこの師範代やってて唯一本居があっちにあるからその管理も任せてるんだろ?」
「一度連絡入れたら義妹が出てな。今日本地獄で無惨様をしばき回してるらしい」
「いや、貴方の元上司でしょ?随分と淡白ね」
「確かに恩義はあるが、今の私はサーガ様の部下であり縁壱とも確執は消えた。刃を向ける気はないが、かと言って庇う気も無いというわけだ」
「まあ私は気にしないけど。ちなみに狛治は?」
「機会があれば思いっきりぶん殴ると言っていたな。今の狛治の一撃を受けて無惨様が無事でいられるとも思えん」
「狛治とも久しぶりだ。もうドラガイトから帰って来てるかな」
なにせ修行相手があの東方不敗だ。おまけに守るべき者(嫁や家族)がしっかり傍にいる為、パワーアップ具合が半端ではない。
狛治も狛治で日本地獄まで態々殴りに行く気はないが、目の前に現れたら容赦無く叩き込む気満々との事。
ふとした事でヨーコはカナエに聞いてみる。
「……ところでカナエ、なんでソワソワしてるの?」
「え、いやその……会ったらなんて言おうかとか、色々考えちゃって……」
「いざ会ってみると何も言えなくなるものだ。私と縁壱がそうだった。もっとも私の場合は道を違えていたし、そちらとは状況が違うが」
巌勝と縁壱の話が出たように、今回サーガや神衛隊に混じってカナエがいるのは病院に入院しているという人物の一人がカナエの妹の可能性がある『らしい』からだ。
念の為、出身世界座標を確認したところカナエと同じ世界の出身……つまり『弾かれ者』である。
「まあ同姓同名って線もあるし……」
「入院している二名だが、どちらも鬼殺隊の『柱』と言っていたそうだ」
「大将、言った傍からフラグ立てまくんなよ!?」
「……?すまない」
サーガに悪気は無い。
勝手知ったるなんとやら、病院に着き受付で部屋を聞いたサーガらは二手に分かれる事になった。
ヨーコとカナエはカナエの妹の方へ、サーガら男性陣はもう一人の方へ。
それぞれ同姓の方がいいだろうという理由からだ。
☆
病室のネームプレートを見るとやはりというか『胡蝶しのぶ』と書かれたものが掛けられている。まだ心の整理がついていないカナエを気遣いヨーコが先に入る事にした。普通に考えれば初対面なのにアポ無し且つ一人では怪しいと思われるが、ここはそもそも神衛隊附属病院。つまりサーガという最上級格光神直下の部隊に所属しているヨーコなら訪問してもおかしくはない。
「私が一先ず話をするから、頃合いを見て貴女も入ってきてね」
「分かりました。いつでも逃げられるようにしておきます」
「なんでそうなるの!?」
ちゃんと入ってきなさい!と念を押されヨーコは病室のドアをノックして「どうぞ」の返事を確認し、入って行く。
ベッドには上半身を起こして窓から外を眺めていたであろう女性―カナエの妹のしのぶがいた。首から下は包帯がほぼ全身に巻かれている。
(確か……サーガ様の話だと二人とも負傷が魂にまで届いててまだ完治してないのよね。九極天の卯ノ花先生やダンブルドア校長ならすぐ治せそうなんだけど)
件の卯ノ花はレジェンドの専属医で、ダンブルドアは文字通り校長職である為、簡単に都合をつけられる立場ではない。アーシアという線もあるにはあるのだが、レジェンドの巫女である上に今は学生だ。ある意味前述の二人より難しい。
「ごめんなさいね、初対面なのにいきなり押しかける真似して」
「いえ、この医院……で良いのでしょうか。ここの関係者の方ですよね?」
「まあ、
「入口の名札でお分かりかと思いますが、胡蝶しのぶと申します」
「あともう一人来てるんだけど……ていうかそっちの子の方が本題なのよ」
「もう一人……?」
ヨーコはちょっと待っててね、と退出するとさり気なく逃げようとしていたカナエの襟元をむんずと掴んで引き摺って来た。
「ヨーコさんの鬼ぃぃぃ!!」
「廊下に立たせるよりマシでしょ!?」
「この状況なら廊下に立たされた方がマシです!!」
「四の五の言わず面と向かって話しなさい!」
「……え……?」
目の前でヨーコとぎゃあぎゃあ騒いでるカナエを見て呆然とするしのぶ。それはそうだろう。姉であるカナエとは両親同様死別したはずだ。そして自分も上弦の弐・童磨との戦いで……
「姉さん……?」
「はわあああっ!?」
「なんでそこでアーシアみたく驚くのよ」
「だって……」
「とにかく、後は姉妹の問題で間違いなさそうね。二人でしっかり話す事。どんな結果にせよ、後腐れないように全部吐き出し合いなさい。私は外に出てるからね」
ヨーコはさっさと外に出てしまい、二人きりになった途端どことなく気まずくなってしまうカナエとしのぶ。
お互い何を話そうか迷っているが、このままでは埒が明かないとカナエが先に口を開いた。
「しのぶ、久しぶり……でいいのかしら?」
「……やっぱり、姉さんなのね」
「ええ、そうよ。たぶん年月にズレがあると思うのだけれど……しのぶは何歳になったの?」
「18よ」
「……え」
「……え?」
カナエは固まった。しのぶは困惑した。
理由は無論年月のズレの件であるが、カナエは向こう側での享年17であるが、こちらに来て二年以上経っており実は20歳を超えている。駒王学園への入学もその享年を参照した学年だったのだが、確かにリアスらから見ても『お姉さん』なのだ。
「良かった!ちゃんと私はしのぶより年上なのね!もしかしたらしのぶの方がお姉さんになっちゃってたのかと思ったわ!」
「そこなの!?そこが重要だったの!?」
そういえば元からこんな性格だったとか、以前よりパワーアップしてないかとか思ったがとりあえず一突きかましておいた。カナエにダメージは入ったが完治していないしのぶ自身にもダメージが返ってきたのはご愛嬌。
「痛いわしのぶ」
「私も痛いわよ姉さん」
やはり姉妹である。
それから二人はお互いの今に至るまでの事を話し合った。もちろん『弾かれた』事も含めてだ。
「……そう。ならやっぱり私は元の世界では死んだのね」
「……」
「姉さん?」
「童磨コロス」
「!?」
無惨コロスモード……通称ムッコロモードに続く新たな形態が誕生してしまった。そりゃあ自分だけでなく妹まで手にかけたとあればキレるだろう。
どうにかカナエを鎮めたしのぶは軌道修正する事にする。
「姉さんは今、幸せ?」
「ええ。おやかっ……レジェンド様もアーシアちゃんもモスちゃんも、皆良い人ばかりだもの。あ、モスちゃんは人じゃなくて怪獣ね」
「(おやか……?)怪獣?」
「この子がモスちゃんよ。モスちゃん、しのぶにご挨拶しましょうね〜」
「キュウッ!」
一番前の片足を挙げて返事するグリーンモスラはいつの間にかカナエの肩に出て来ていた。犬や猫といった動物が苦手なしのぶは一瞬ピシリと固まったが、どうも毛があっても虫ベースな彼は平気らしく徐々に落ち着いていく。
……黒歌や小猫、スカーサハのケモミミとか大丈夫なんだろうか彼女。
「ちなみにモスちゃんは蛾の怪獣よ」
「……あ、看護婦さん。いえ、私ではなく姉がおかしくなってしまって。可能なら診察を……」
「なんで!?」「キュ!?」
ナースコールするしのぶに焦るカナエとモスラ。主にモスラの見た目の華やかさが原因なのだが。
どうにか説明してしのぶを納得させ、再び先の話題に戻す。
「それで、いきなり幸せかなんてどうしたの?」
「……ここで生き延びても、私は鬼を殺す為に服用し続けた藤の花の毒で長くは生きれない」
「え……」
「研究と同時に長年藤の花を服用する事で私自身を毒そのものにしたの。だから……」
「キュウッ」
そこまで聞いたモスラがいきなりカナエの肩からしのぶの頭の上に移動した。二人は突然の事に驚き一体何なのかと心配になったが、さらなる驚愕はここからだ。
「クワーッ!」
モスラが咆哮すると、しのぶの身体から粒子が溢れ出したかと思えばモスラの翅に吸収されていく。藤の花の持つ毒素をモスラが己の鱗粉へと変換しているのだ。
元々モスラ達は成虫へと変容する際、繭の中でその翅に鱗粉が生成されるのだが、それには限りがあり鱗粉を無くなる事はモスラの命が失われる事と直結する。攻撃や防御に使える万能性を持つ鱗粉は正しくモスラの生命線なのだ。しかも普通なら補給不可。
レジェンドの先代眷属である親モスラやその息子のグリーンモスラは自己生成出来る上、命との直結が無くなった為使い過ぎても死にはしないが、ストックしておく事に越した事はない。グリーンモスラは各種毒素を変換する事で外部からの補給が可能なので、浄化と補給が同時に出来る一石二鳥の能力である。
「凄いわモスちゃん!こんな事出来たのね!」
「(ふんす!)」
分かりにくいがドヤ顔のモスラとそれを褒めるカナエ。しかし一方のしのぶは浮かない顔だ。
カナエから聞いた話ではこちらには元の世界のような鬼は存在しないという事だが、万が一現れたら今の自分には対抗手段がない。日輪刀はおろか毒を調合する為の素材さえ無い。
「今の自分には戦う術がない、そんな顔ね」
「……うん」
「しのぶが柱って聞いた時は驚いたし、どういう方法でそこまで上り詰めたかもなんとなく予想出来たわ。でもねしのぶ、相手を討つだけが戦いじゃないのよ」
「でもっ……「私は差別することなく傷を癒やす事で正当に評価された子を知ってるわ」……えっ?」
無論これはアーシアの事だ。シックルが言っていたように彼女はハンター達の傷の治療や各種バックアップを行う事で直接戦わずともハンターの生存率を上げ、ギルドに貢献していると認められた為に普通より高いランクでスタートを切れた。そしてジェント曰くハンター全員が生きて帰って来る事、これこそが未来を作っていく大事な事なのである。
「だからね、刃を持って前線に出なくてもいいの。それよりも後ろで支えてくれる人達がどれだけ重要で大切か。ただずっと待って『おかえりなさい』って声をかけてくれるだけでどれだけ救われるか。だって私も見ているしかない戦いをこっちに来て、何度も見たから」
レジェンドは元より、80にジードやメビウス、レオやゼロ、そしてトライスクワッドの三人にゼット。ウルトラマンの戦いはどれも壮絶なものだった。最近の二体の魔王獣との死闘など複数のウルトラマンだけでなく二機のMSまで同時に戦列に加わっていたのだし。
その時自分も今のしのぶと同じ、無力感を味わった。
「でもレジェンド様は言ったわ。『自分は一人ではない、そう実感できる時が何よりも尊い時間だ』……私も柱だった頃、任務から帰った時にしのぶ達が出迎えてくれた時がまさにそうだった。だから、あの時と同じようにしのぶには私が帰って来る場所でいてほしいの。もちろん、一緒に肩を並べてっていうのも理想の一つではあるけど」
「姉さん……」
「今まで頑張って、鬼と戦う事ばかりだったでしょ?だからしのぶにとってどんな事が幸せかなんて、先に逝って苦労をかけた私が言える事でも、まして決める事でもないわ。だからこれからゆっくり探していきましょ、ねっ?」
「……変わらないわね、そういうところは」
「私でも変わりたいと思わないわ、ここは」
漸く、笑い合えるようになった二人。
「寿命に関しても問題なし!しのぶが助けられたのがこの惑星レジェンドでよかったわ。この星に満ちる光気のおかげで寿命は途方もなく伸びて身体機能も上昇!お肌もすべすべでツヤツヤに!」
「姉さんなんでそんな煽り文句みたいに言ってるの」
「結論!ずっと可愛いのは超正義!!」
「そこは変わってて欲しかったわ」
昔みたいなやり取りをし終わって一息入れた時にヨーコが再び入って来た。
「どうやらちゃんと和解出来たみたいね。まあ、元々喧嘩別れとかしたわけじゃないみたいだし、しっかり話せばこうなるとは思ってたけどね」
「「ヨーコさん、お世話かけました」」
「あはは、ホント姉妹ね二人とも。私は一人っ子だったから貴女達がちょっぴり羨ましいかも。それはさておいて、病院の表に隣接してるカフェに行きましょうか。そこにサーガ様達やもう一人も集まってるから」
ヨーコの言葉を受け、カナエとしのぶも向かう事にした。なお、まだリハビリ中のしのぶはカナエに支えられながらである。
☆
一方、ぶっちゃけファミレスでもいいようなメニュー数を誇るカフェの屋外にて……
「うまい!」
既にそこにいるサーガらと―
「うまい!!」
まるで炎の如き髪の元鬼殺隊の炎柱―
「うまい!!!」
煉獄杏寿郎が食事をしていた。
まだ若干包帯は残っているが、ほぼ完治しており本人が望むなら退院も可能との事でサーガが話をすべく食事がてら連れ出していたのである。
尚、事の顛末は料理が来るまでに話し終えており、杏寿郎はあっさり受け入れた。ここら辺に彼の度量の大きさを感じる。
「いずれも初めて食す料理だが!よもやよもやこれ程の美味だとは!」
「ここは病院だけでなくアクアエデン全体からも人気があってな、気に入ってもらえたなら何よりだ」
「いやしかし申し訳ない!ここでの生活資金が無いというのに治療費からこうした食費まで全て面倒をかけてしまっている!俺としては何か恩返しがしたいが、生憎と武芸でしかそういった事が思いつかない!」
「その事で先の事も踏まえて相談……というか提案がある」
「なんと!?俺に出来る事であれば遠慮なく言って頂きたい!」
「それは……ん?」
すまない、とサーガがブレスレットの通信機能へ誰かからの通信が入る。初めて見る物を杏寿郎も凝視した。
「俺だ。どうした?」
『ご用事の最中だと思いますが失礼します。実はバド星人なる者達の円盤郡が侵略行為を行うべく本星に侵入しました。侵入前に再三の警告を行ったのですが「自分達は宇宙の帝王だ」などと聞き耳を持たず。最高位光神たるレジェンド様が統治され、レジェンド様とサーガ様がお住まいになられるこの地にての蛮行、最早慈悲をかける必要もなし!撃墜の許可を頂きたい!』
杏寿郎は通信から聞こえた声に揺るぎない忠誠心を感じた。同時に安易に刃を振るうわけではないという心意気もあるとも。しかしまあ宇宙の帝王とは大きく出た理由である。
「……お前程の奴からの再三に渡る警告を無視どころかどうしようもない理由で反論して強行侵入か。侵入地点周辺は何がある?」
『よりにもよってアクアエデンです。神衛隊及び本島管制室へは既に連絡済み、後はサーガ様の判断一つです』
「分かった。このアクアエデン、並びに惑星レジェンドに生きる全ての命を優先する為、侵略行為を行うべく侵入したバド星人円盤群撃墜を許可する。尚、他意なく投降の意を示した者に関しては捕縛のみに限定だ」
『了解しました!神衛隊第四分隊副隊長グラハム・エーカー大佐、並びにマリーダ・クルス少佐、円盤群を撃墜・駆逐に入ります!!』
ハッキリした返事をした後、交戦に入るのだろう、通信は切れた。サーガはやれやれと溜息を吐きながら杏寿郎に説明する。
「先輩が治めていても時たまこういう連中はやって来る。俺達がいない間は九極天や神衛隊の判断に任せているんだが、今回は俺が居た為、態々聞いてきたようだ。俺がどう答えるか分かった上でな」
「それだけ貴殿を信頼していると言う事か!しかし今の御仁、並々ならぬ忠誠心を感じた!一体何者なのだろうか!?」
「ああ、俺直属の護衛部隊『神衛隊』の第四分隊……主に機動兵器運用における教導並びに有事の際の出動を行う部隊の副隊長、グラハム・エーカーだ。あの口振りから察するにマリーダも一緒だな。噂をすれば……」
サーガが見上げた方向へ杏寿郎も目を向けると、その円盤群らしき物体に超高速で接近していく青と白、二機の鳥のような機体が目に入った。
☆
サーガとの通信を終えたコックピット内部ではグラハムが今度は随伴機に通信を入れる。
「マリーダ、ペーネロペーの調子はどうか?」
「概ね良好です。問題らしきものも発生していません。もっとも篠ノ之博士が開発中にそれらを発見してそのままにするとも思えませんが」
「確かに。彼女ならば一分のミスも残す気は無い、完璧な仕上がりにするだろうな。発展の可能性は残すだろうが」
「ただ、個人的にはバンシィ・ペルフェクティビリティの方がまだ扱いやすく感じます。慣れの問題とは思うのですが……フライト・フォームへの変形がバンシィの『変身』とは違い違和感があって」
「フッ……可変機に乗る者、最初は皆そのようなものだ。訓練を重ね、どちらも扱えるようになっておくと良い。その二機は他でもない君の専用機なのだから」
「しかし、隊長や私が元いた世界の未来の技術と機体をグレードアップして作り上げるとは驚きました」
「同じような事を私の機体にも言えるが、彼女はそういった方面で我々とは常識が違うようだからな。草しか生えんとは正にこの事か。そろそろ接敵する、準備は良いか?数多の命が暮らすこの星を、奴らの好きにはさせてはならない!」
「ハッ!私達に新しい光をくれた、あの方達の生きる場所を決して奪わせはしない!!」
グラハムの機体―ガンダムアメイジングエクシアGFとマリーダの駆るペーネロペーは飛行形態のまま円盤群へ突っ込んで行く。
「なっ!?奴らもう追いついてきたのか!」
「怯むな!技術力は我々の方が上だ!振り切れ!」
その認識は明らかな間違いであった。そもそも束の頭脳と渡り合えるのはレジェンドくらいなものである。
宇宙帝王(笑)の技術力などミジンコ程度にしか思っていない彼女はバド星人の円盤群をスペースコロニー・ドラガイト内の別荘で感知した後、既に惑星レジェンド全域に伝達済み。惑星レジェンド大気圏外では逃げ出した場合に備えて東方不敗が駆るマスターガンダム改までスタンバっている布陣。バド星人に逃げ場無し。
「マリーダ!初撃は任せる!挟み撃ちにするぞ!」
「了解!」
ある程度接近したペーネロペーはフライト・フォームからMS形態へ変形し、そのツインアイを光らせる。
これを見た地上の杏寿郎は「なんと!?」と驚いていた。
同時にペーネロペーが武器を構えていた事に、味方を撃つ気かと懸念してもいたが、それは違う。
ペーネロペーがビームライフルを構えると同時にアメイジングエクシアGFは急加速を行い、円盤群の中を突っ切っていく。そのタイミングでビームライフルを発射する事でバド星人達はそちらに意識が集中し円盤群を離散させるが、それが二人の狙い。
「バンシィにはない、クシャトリヤのファンネルと似て異なる武器を受けて落ちろ!ファンネルミサイル!」
ペーネロペーのファンネルミサイルラックから発射されたそれは、サイコミュ機能によって意思があるかのような不規則な動きをしながら一発も外れる事なく、そして迎撃さえも回避しながらバド星人の円盤群に直撃、撃墜していく。
「な、なんだあのミサイルは!?」
「こちらの偏光型レーザーさえ当たり前のように回潜ってくる!こんな武器は記録にないぞ!?」
「そちらばかり気にかけていないでもらおう!」
「!!」
バド星人がその声に反応すると、そこには急減速を行うと同時に変形するアメイジングエクシアGFの姿があった。
「人呼んで、グラハムスペシャル!」
そう、アメイジングエクシアGFのGFとは『グラハム・フラッグ』の略であり、この機体はエクシア系統には無かった変形機構を有する。ちなみにグラハムは機体に並々ならぬ愛情を持っており『グラハム・ガンダム二世』と呼んでいる。
変形から再度急加速して円盤群へと迫り、手にしたアメイジングGNソード改とアメイジングGNタチの二刀流で次々と撃墜していくエクシアGF。……長いので以後アメイジングの部分は基本省略させて頂く。
最早残り一機となった円盤に乗っていたバド星人は逃げる事も忘れ恐怖に染まっていた。
「な……何なんだ貴様は!?」
「敢えて言おう!グラハム・エーカーであると!!」
高らかに名乗ったグラハムのエクシアGFはGNソード改とGNタチを目の前で✕を描くように構え、一気に突撃し振り抜く。
「切り捨て、御めぇぇぇん!!」
双刀の一閃を受け、最後の円盤も爆散する。
侵入から十数分、バド星人の円盤群はたった二機の機動兵器によって残らず撃墜され、惑星レジェンドの地に足を着けることなく全滅した。
☆
バド星人の円盤群を撃墜後、カフェ近くへと着陸するエクシアGFとペーネロペー。二機並ぶとペーネロペーが一回り大きいのが良く分かる。杏寿郎はこの巨体でよくあれほどの動きが出来ると感心していた。
そしてグラハムとマリーダがそれぞれのコックピットから降りてくると、サーガより先に杏寿郎が駆け寄って行く。
「む?君は?」
「お初にお目にかかる!俺は煉獄杏寿郎!ここの病院で保護された者だ!」
「ここの?なるほど、君が先日の報告にあった二名のうちの一人か。しかし名乗られた以上、私も名乗らねば不作法というもの。私は神衛隊第四分隊副隊長グラハム・エーカー大佐だ。以後宜しく頼む」
グラハムに差し出された右手を快く握り返す杏寿郎。
「洋名では姓が後ろ側だと教わった!つまりグラハム殿が名前の方というわけだな!しかし見事な太刀筋だった!あの『もびるすーつ』とやらは専用のものになればなるほど扱いが難しいと聞く!それであの動きとは恐れ入った!」
「お褒めに預かり恐悦至極だ。又聞きになるが君も相当な剣士のようだな。私としても生身での戦闘訓練もしたい故、機会があれば手合わせ願いたい」
「うむ!こちらこそその時は全力でやらせて頂こう!それが礼儀というものだ!」
「その時、その機会というものだが、割と早く与えられそうだ」
「「!」」
会って早々親交を深めている両名にサーガが声をかける。そこにはサーガだけでなく、巌勝やオルガ、三日月。さらに合流したヨーコとカナエ、そしてしのぶも居る。
「煉獄君!?」「煉獄さん!?」
「胡蝶か!?そしてそちらはもしや胡蝶の姉上!よもやこの地で二人に再び会う事になろうとは思いもよらなかったな!猗窩座も鬼ではなく人として生きているようだし、不可思議な事の連続だが悪くないな!」
驚く胡蝶姉妹をよそに、杏寿郎は既に猗窩座こと狛治を許しているらしい。というか自身の命を奪った事は別に恨んでいなかった。己が弱かったと言い切った上、巌勝の事も同様にかつて鬼であろうと憎んだりしていない。
ただし無惨テメーはダメだ。
一応、しのぶもそれについては聞いているものの半信半疑だった。彼女の境遇を考えれば当然なのだが……
「む?」
三日月やオルガとクレープ頬張ってる巌勝(元上弦の壱)を見てどうでもよくなった。
あの騒動の中よく呑気に食べていられるなと思いつつ、ヨーコやカナエの話通りだと納得する。
「巌勝か、久しぶりだな。アムロ大佐との訓練を見学しに行って以来か?」
「ご無沙汰しております、グラハム大佐殿」
頭を下げつつ、ナチュラルに余分に買っていたクレープを差し出す巌勝と同じくナチュラルにそれを受け取るグラハムとマリーダ。特にマリーダの動きは早かった。ついでに杏寿郎とサーガにはオルガが、ヨーコたち三人には三日月が渡している。
「姉さん、何なのこの空気」
「いふものふぉとよしのむ」
「せめて飲み込んでからにして」
駄目だ姉は元々この空気の人間だったと、しのぶは簡単に考えるのをやめてクレープを頬張る。美味しい。
「それでサーガ様、機会が早く与えられそうというのは?」
「簡潔に言ってしまえば彼を神衛隊へ迎え入れたい。どの隊かはまだ決めていないが、入隊する以上機動兵器の訓練は必須だろう。タイミングよくグラハムが来てくれた事で教官役も見つかった」
「「なんと!?」」
「この二人、波長合いすぎじゃない?」
「うん、俺もそう思ったよ。ヨーコ姐さん」
ただ気になるのは、そうなった場合しのぶはどうするのかという事だ。カナエがレジェンドの許にいるとなるとサーガが独断で彼女の身内を神衛隊へは入れられない。
しかし、サーガは既に答えを用意している。
「それから、胡蝶しのぶに関しては先輩でも俺でもなく姉であるカナエの許にいればいい」
「「!」」
確かにこれならば別にカナエがレジェンド側に属していても、しのぶ自身は『カナエに属している』。神衛隊に属するわけでもレジェンドの眷属として属するわけでもないので何かあれば独断で動ける。カナエはあまり命令する性格でもないし。その上で身の振り方を考えればいい。
「……ありがとうございます」
「見たところ思慮深い性格だろう。今自分の置かれた状況にすぐ納得してどうするか選べというのは酷だ。ゆっくり考えて選ぶといい。先輩でもそう言うはずだ」
サーガの配慮に感謝しつつ、カナエもしのぶもお互い一緒にいられる事に喜ぶ。レジェンドの説得に関しては彼の事だからあっさり受け入れるだろう。
「それを踏まえてこれからの事だが、俺とヨーコ、巌勝、オルガ、それから三日月は正式にダイブハンガーへ出向する第一から第三分隊までのメンバーの手続きをする為、あちらの世界に戻るのに少し遅れる」
「え?あの、私学園に……」
「心配しなくてもいい。そこは……」
「束さん参上!!」
「……彼女が送ってくれるそうだ」
いつの間に来たのやら、束がクロエを伴ってやはりクレープを食べつつ現れた。
「やーレジェくんの専用機を渡そうと思ったのにまた問題が出てきちゃってさ。せっかくだからもう予定前倒しで私とクーちゃんもレジェくんのとこ行っちゃおう!という事にしたわけなんだよ〜。あ、カナちゃんしのちゃんだけじゃなくてグラくんとマーちゃん、それからきょーくんと、あと……」
「俺も一緒だぜ」
そう答えたのは束が乗ってきたであろうニンジン型の船から上半身だけ出してニヤリと笑っている流竜馬。実にシュールである。
「な、なんかたくさん初対面の方が……」
「さぁさぁ早く準備して出発だよ!」
「そういえば煉獄……勝手に話を進めてしまったが神衛隊の入隊は……」
「願ってもない事だ!しかも話から察するにグラハム殿が師範とは文句どころか感謝しかない!元の世界で命を失った俺がこうして再び人を護れるのはなんたる僥倖か!これからは神衛隊の一員として、己の責務を全うする所存!」
「……こっちもこっちで心配しなくていいみたいだな」
巌勝や狛治と違い割とあっさり入隊してくれた。彼自身後ろめたい事は殆どない快男児だったし。
「一応先輩に事前に話は通してあるが、他の者に話が行き渡ってない可能性もあるから念の為これを渡しておく」
束とグラハムへそれぞれ手紙が渡される。束へはレジェンドからの、グラハムへはサーガからのメッセージを書き記した物だ。ついでに言っておくが束の手にしたそれは別にレジェンドからのラブレターとかそんなのではない。グラハムが渡された物同様、ダイブハンガー在住者に渡すための物である。
「細かい話や詳しい話は後にして今は準備準備!タイムイズマネー!時は金なり早く早く!」
「ちなみに先輩は何人かと『空の世界』へ行っている。空の世界には数日間滞在するようだが、帰って来るまで二日ほどだそうだ」
「皆忘れ物が無いように落ち着いてじっくり準備してね」
「「「「「おい落差ァ!!」」」」」
「私学園行かなきゃいけないのにー!!」
「え?姉さん学校通ってるの?」
「フッ……相変わらずカオスだな」
「流竜馬、今の君の姿勢がある意味一番そうだと言わせて頂こう」
一波乱の後、賑やかに……別の意味で騒動になるのは惑星レジェンド在住者の特徴なのかもしれない。
その後、杏寿郎はともかく、しのぶの退院に関して少々揉めたが、カナエが退院先に卯ノ花がいる事を伝えたら一発で許可され、準備を終えていた束とクロエ、グラハムとマリーダ、そして竜馬と共にかの世界のダイブハンガーへと出発して行った。
別れていたそれぞれの道は再び一つとなり、各情勢も新たな動きを見せる事となる。
〈続く〉
というわけでサーガと神衛隊先遣部隊はグラハム、マリーダ、竜馬がダイブハンガーへ行くかわりに序盤はまだ惑星レジェンドにいる為、次回登場は中盤以降。
しかし煉獄さんの機体どうしようか……グランヴェールとか炎属性の機体多いし、MS以外にもそろそろ出したいんだよなぁ。
今こそダイゼンガー使う時か?
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
-
真ゲッタードラゴン(大決戦版)
-
真・ゲッター1(スパロボα仕様)